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中小企業の会計に関する検討会 第8回ワーキンググループ 議事要旨

日時:平成23年9月2日(金)10:00〜12:00
場所:経済産業省別館 8F 827会議室
議事概要:日本商工会議所の荒井担当部長よりプレゼンテーションが行われた後、自由討議。WGにおいて検討すべき論点について意見交換を行った。


収益、費用の基本的な会計処理について

  • 収益計上における実現主義の原則の解釈について、実務上は各々の企業の取引の実態に応じて決定すると記載した場合、解釈の幅が広がってしまう懸念があるため、実現主義の原則を満たすように決定すると記載してはどうか。
  • 本文中に、収益計上は原則実現主義による旨の記載があり、その上で各々の企業の実態に応じて決定した場合も実現主義の原則を満たすことは明らかであると考えられるため、敢えて「実現主義の原則を満たすように」と繰り返し強調する必要はないのではないか。

金銭債権及び金銭債務について

  • 金銭債権においても、金銭債務においても、債券の割引発行の場合のみしか記載されていない。企業会計原則ではアキュムレーションの場合もアモチゼーションの場合も記載されており、割引発行の場合しか記載しないのであれば、例示にする等、記載ぶりの工夫が必要ではないか。
  • 中小企業の実務上、割引発行の場合がほとんどであると考えられることから、割引発行の場合について解説する形としている。
  • 金銭債務については、割引発行するケースしか考え難いと思われるが、金銭債権については、取得価額の方が額面金額を上回るケースも考えられるかもしれない。例示にする等の修文も考えられる。
  • 中小企業の実態を考えれば、打歩発行は稀有であるから割引発行の場合だけを記載しておけば十分ではないか。

有価証券について

  • 評価損の計上について、会社計算規則の表現である「回復の見込みがある場合を除き」とした場合、会計学上は、回復の見込みが無い場合と、回復の見込みが不明の場合も含めて評価損を計上すると解釈されるのが一般的である。中小企業にとっては、時価の測定だけでも困難であり、更にその上回復の見込みまで検証することは負担が大きいと考えられることから、回復の見込みが無い場合には評価損を計上するという記載ぶりにし、判断基準を明確化した方が中小企業の実態に即しているという考え方も本ワーキンググループで議論されたところである。会社計算規則の記載ぶりに平仄を合わせるとしても、中小企業の実態に配慮した記載ぶりが必要ではないか。
  • 回復の見込みがあると判断した場合を除き、評価損を計上するという記載ぶりは、経営者に回復の見込みについて価値判断の裁量を弾力的に与えた表現であり、これまでのワーキンググループの意見も反映されている表現ではないか。
  • 回復の見込みがあると判断した場合を除き、という表現は、会社計算規則と平仄が合っており、かつ中小企業側に回復の見込みについて判断する裁量を与えていることから、中小企業の実態にも即した表現ではないか。
  • 回復の見込みがあると判断した場合を除き、評価損を計上するという記載ぶりが、回復するか否かについて経営者の判断を尊重するという、中小企業の実態に配慮した表現であるならば、異論は無い。中小企業に会計を活用してもらい、普及させていく観点からも、中小企業の実態に配慮した記載ぶりを心掛けていくべきである。

棚卸資産について

  • 製造原価に関する記述は、全体を通して棚卸資産の部分しかないが、ここで原価計算に関する考え方を示唆しているという理解で良いか。
  • 業種によって使用する勘定科目も異なる為、どこまで記載するかに配慮している。製造業者の方にはこの解説を参考にしていただくということでよいかと考えている。

固定資産について

  • 中小企業の財務計算書類の信頼性を高める観点から、相当の減価償却とは、一般的に規則的な減価償却をいいますと言い切った方がよいのではないか。
  • 相当の償却の中には、規則的ではない減価償却もあり得ると考えられることから、相当の減価償却とは、一般的に規則的な減価償却を行うことが考えられるという幅のある表現の方がよいのではないか。
  • 相当の償却イコール規則的な償却とは言い切れないことから、相当の減価償却とは、一般的に規則的な減価償却を行うことが考えられるという幅のある表現の方がよいのではないか。とはいえ、無制限にどのような減価償却でも認めるというものではないということから、一般的にという表現を付していると理解している。
  • 相当の減価償却とは、一般的に規則的な減価償却を行うことが考えられるという表現で、十分実務を反映していると思う。
  • 法律的にも、相当の減価償却とは、一般的に規則的な減価償却を行うことが考えられるという表現でよいということなのか。
  • 「相当の償却」という用語は旧商法時代からあり、それは規則的な償却をいうと解されてきた。そのような解釈があることを前提とすると、「相当の減価償却とは、一般的に規則的な減価償却を行うことが考えられる」という表現をした場合でも、規則的でない減価償却は無条件に認められるわけではなく、規則的でない償却をするための合理的な理由が必要であると整理されることとなるのではないか。
  • 規則的償却と言いつつも、途中で見積もりの変更が許される場合もある。相当の償却イコール規則的な償却と記載し、見積もりの変更も許されないと誤解を与えてしまうことがあり得ると考えれば、相当の減価償却とは、一般的に規則的な減価償却を行うことが考えられるという幅を持たせた表現の方が逆の誤解を避けられると個人的には考えている。
  • 相当な減価償却とは、一般的に規則的な減価償却を行うことが考えられるという幅を持たせた表現であっても、実態上大きく変わることは無いと考えられるため、幅を持たせた表現でよいのではないか。

引当金について

  • 取得原価と記載されているところは、他の記載と整合させ取得価額とするべきである。
  • 取得原価の部分は取得価額で統一したほうが分かりやすいのではないか。 会社法及び税法では「回復の見込みがあると認められる場合を除き」となっており、「回復の見込みがないと判断したとき」とは意味合いが異なる。 会計では回復の見込みが不透明な場合には評価損を計上し、税では回復の見込みが不透明な場合には評価損の計上を認めていない。中小企業にあまり時価評価を強要しないようにするという観点からは、「回復の見込みがないと判断したとき」という記載でよいのではないか。
  • 「大幅な債務超過など」の場合に評価損を計上するとあるが、中小企業が所有する有価証券のうち子会社や関係会社の株式については、それらの会社の財政状態を把握できることも多い。評価損を計上する場合の判断として、簿価純資産価額が取得時のそれと比較して2分の1未満になった場合などを考慮するべきではないか。
  • 回復不明の場合というのは判断がなかなかできないため、むしろ、回復の見込みが無いと明確に判断できた場合に評価損を計上するという規定の方が中小企業にはわかりやすいのではないか。
  • 社債に対する貸倒引当金計上と、有価証券の評価損計上の整合性について整理する必要がある。
  • 解説についてははっきりと記載した方がよい。曖昧な表現で誤解を招くのであれば、記載しないという方法もあるのではないか。
  • 中小企業は付き合いで非上場の取引先の株を持つことが有り、その場合、時価の把握は困難なことが多い。そのような株を取得する判断においても、相手の経営者の資産状況や相手企業の営業力等の決算書以外の判断要素も考慮しており、決算書のみで判断している訳ではない。有価証券の評価については、明らかに価値が無いと判断できる場合に評価損を計上するという記載の方が中小企業には分かりやすい。
  • これまでの議論の経緯から見ても、評価損を計上するということは、本文ではっきりと記載すべきである。
  • 本ワーキンググループで想定している中小企業の場合、一部の例外を除き、売買目的で有価証券を持つことはないと思う。また、売買目的以外の有価証券を保有している場合も、厳密な評価が難しいため、評価減は倒産など税務基準で損金算入が認められる段階で行うケースがほとんど。中小企業の場合は、「回復の見込みがないと判断したとき」の説明として、損金算入要件に該当した場合を例示するなど、客観的で簡便なものにしたほうがよいのではないか。
  • 中小企業の実務においては、法人税法上損金にならないものを評価損にするのは通常考えられない。金融機関が評価損については精査するため、中小企業が敢えて法人税法上損金にならない評価損を計上する必要はないのではないか。
  • 経営者に役立つものということであれば、決算書を入手するのは当たり前であり、実務でやっていないから評価損の計上をしなくてよいというのは理解できない。会社法で定められている計算書類の精神を意識しながらルール作成を行うべきである。
  • 中小企業の経営者にわかりやすくするという観点から記載ぶりを考える必要がある。勿論会社法の枠内で検討することが前提であるが、非上場株式の持ち合いなどが多く、時価評価困難な中小企業の実態も考慮するべきである。

棚卸資産について

  • 「時価が取得原価よりも著しく下落」という部分の取得原価のところは帳簿価額でもいいのではないか。実務的には個々の商品等ごとに把握することが難しいことも想定されるという記載は、経営者が棚卸資産を管理するという意味では敢えて記載しなくてもよいのではないか。
  • 実務的には個々の商品等ごとに把握することが難しいことも想定されるという記載は不要である。

経過勘定について

  • 金額的な重要性の乏しいものについては費用処理することも認められるという記載は、税法で損金として認められないこともあるので、記載しなくてよいのではないか。
  • 税法で全て否定されているわけではないので、記載しておいてよいのではないか。

固定資産について

  • 規則的な償却を前提としない相当な償却とはどのようなものを想定しているのか。
  • 規則的な償却でない相当な償却として稼働率に応じて償却する場合が想定される。稼働率に応じて増加償却を許容するような規定もある。
  • 中小企業には外部に投資家がいないので、必ずしも規則的な償却を求めなくてもよいのではないか。相当の償却の範囲内で経営者や税理士等がその償却の範囲を判断すればよいのではないか。
  • 決算書の信頼性を確保する観点から、災害等により著しく陳腐化した資産の評価損計上は強制的な記載にしてもよいぐらいである。また、固定資産の稼働率が大幅に下がった場合などは、規則的に償却をする方が実態に合わないという感覚もある。
  • 「毎期、規則的に減価償却を行うことが望ましいが、合理的な説明ができる範囲の償却を行うこともできる。」としてはどうか。

繰延資産について

  • 税法固有の繰延資産における「長期前払費用」の表示箇所については様式集に明示していただきたい。

引当金について

  • 退職給付引当金について、期末自己都合要支給額の例えば一定割合を計上するという表現については、経営者に計上額の判断を任せるため、一定割合という表現を除いて、期末自己都合要支給額を基礎として計上するという表現の方がよいのではないか。
  • 退職給付引当金については将来の退職金を現時点でいくら引き当てておくかという議論であり、従業員の年齢や昇級率等企業の実態に応じて様々な要素で変わる。一方で会社計算規則にのっとった処理が必要であることから、その計算は合理的に見積もらなければならないと考えられる。そのような考えから、期末自己都合要支給額の「例えば、その一定割合を」という表現にしている。
  • 中小企業の実態を勘案すれば、必ずしも全額を積立てる必要はないと言える。一定割合という言葉から退職給付債務の割引現在価値などの考え方を暗示することもできるので、一定割合という表現は残しておくべきではないか。

各論及び様式集全般について

  • 字句の見直しを行う際、流動性配列についても見直しを行ってはどうか。
  • 各論における個別の議論については、深い審議を重ね、大分落ち着いてきたと思う。出来るだけ早く中小企業に利用してもらえる体制を整える観点からも、各論については、ここで一旦収束させてはどうか。
  • これまでの議論を踏まえ、字句については事務局で引き続き修正を行う必要があるものの、各論の内容については一旦、本ワーキンググループのご了解を得、結論を得たという形で総論の議論に移りたいと思うがよいか。また、様式集についても特段の意見が無かったということで、一旦、本ワーキンググループのご了解を得たという形に収束させたいと思うがよいか。

<<意義なしと発声あり。>>

総論について

  • 法令等で強制されるものではないという表現は、強制力を伴う法令等に相当するものではない等の、もう少し柔らかい表現に修正してはどうか。
  • 会社法が求める一般に公正妥当な会計慣行の一つであるというような表現を入れてもよいのではないか。
  • 会社法の一般に公正妥当な会計慣行であれば、会社法自体が強制法であるので、法令等で強制されるものではないという表現は語弊がある。
  • 会計参与設置会社の中にも、規模の小さな企業があり、新ルールの方が実態に即している場合もある。明示的に会計参与設置会社はこのルールを使えないとするのではなく、現場の運用と、職業会計人の判断に任せてよいのではないか。
  • 取引が複雑でないような企業でも、会計参与を設置している企業があり、このルールが会計参与設置会社を除外することは反対である。逆に、会計参与設置会社はこのルールを利用することが望ましいというような、積極的な書きぶりについても反対である。除外する会社は金商法の適用会社と会社法上の会計監査人設置会社だけにしておき、運用については、その会社の規模や取引の複雑性に応じて判断することにすればよいのではないか。
  • 会計参与制度については、会社法で詳細に規定されており、会計参与報告の作成も義務付けられていることから、行動指針が策定されている。行動指針の確認表には中小指針と会社計算規則の内容が盛り込まれている。会計参与は公認会計士や税理士などの会計の専門家が就任していることから、会計参与設置会社については中小指針に基づくとした方が整理がし易いと考えられる。ただし、規模が小さい企業でも会計参与設置会社となることはできるという実情を考えれば、敢えて除外する対象として会計参与設置会社と記載しないのも一つの方法である。上場を目指す会社については、利害関係者も増えることから、企業会計基準に従うべきである。
  • この新しい会計ルールは、一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行であるという点で、現行中小指針と同レベルであるという認識が出発点であり、その意味からは、どちらに準拠していても会社法に違反するものではない。対象範囲を限定してしまうことは、会社法やIFRS for   SMEs等のトレンドにも反する。会計参与設置会社には様々な規模があり、適用除外としない方が、より弾力的な運用ができるのではないか。
  • 上場を目指す会社という言葉はかなり主観的であり、適用除外する会社として記載すべきではない。会計参与設置会社についても、新ルールが使えないとしてしまうのは窮屈である。会社規模や取引の複雑性等について記載するのであれば、記載ぶりは工夫の余地がある。また、総論において言及する内容については、記載する順序も検討が必要である。
  • 会計の普及、活用を考えれば、経営者にとって中小指針と新ルールの関係が分かりやすくなるようにすべきである。中小指針と新ルールは選択適用できるという内容を記載した方がよいのではないか。会計参与設置会社でも規模の小さい企業が多く、中小指針によるか新ルールによるかの判断については裁量の余地を残すべきである。会計参与は会社法の機関であるため、会社法に抵触しなければよいのであり、必ずしも中小指針に拠らなければならない訳ではない。
  • 会計参与が設置されていなくても立派な会社があり、企業会計基準を利用する会社もある。新ルールの想定対象を記載する場合には、企業会計基準や中小指針を利用する事を妨げるものではない旨の記載があれば、金商法対象会社と会社法大会社以外にすれば足りる。
  • 新ルールは、中小企業が会社法上の計算書類を作成する際に、参照するための会計処理や注記等を示すものであるという記載と、法令等で強制されるものではないという記載を繋げて記載してはどうか。会計参与設置会社や上場を目指す会社については適用除外として敢えて記載しなくてもよいのではないか。
  • 実際に経営者に使ってもらう、また普及させるという観点からは、「本ルールが推奨される」や「尊重される」というような表現が入っていてもよいのではないか。
  • 新ルールは経営者が理解しやすい書きぶりになっており、専門的な言い回しを避けている。他方、会計参与設置会社については、専門家が入っていることから、中小指針を利用する方が適当と考えられるが、小規模企業でも会計参与を設置している企業があるという実態を考えれば、そこまでは言い切れないかもしれない。会計参与設置会社は概ね想定対象外としつつも、会社の実態に応じ新ルールも利用できるという記載ぶりとしてはどうか。
  • 新ルールの改訂にかかる説明の部分は、国際基準のコンバージェンスがあったからといって改訂するものではないという表現にした方がよい。
  • 新ルールが利用され始めた後、ユーザーから色々な要望が出るかもしれないので、要望が出てきた場合には数年後にでも1回目の改訂を行ってよいのではないか。