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中小企業の会計に関する検討会 第6回ワーキンググループ 議事要旨

日時:平成23年6月17日(金)10:00〜12:00
場所:経済産業省別館8階 825会議室
議事概要:日本商工会議所荒井担当部長よりプレゼンテーションが行われた後、自由討議。WGにおいて検討すべき論点について意見交換を行った。


「収益、費用の基本的な会計処理」について

  • 本ルールが想定する主な読者や利用者としては、誰を念頭に置いているのか。念のため、確認したい。ルールとしての規範性を維持するために記載内容や表現などについて統一性が必要と思うが、その基本的な方針・考え方について教えてほしい。 解説の部分については、目的、原則、例外など、小見出しを付けることが便宜ではないだろうか。
  • 読者としては経営者だけでなく、経理担当者や専門家等も想定している。記載内容については専門家の方々の意見も考慮して記載する。枠内のルール本文は出来るだけ簡潔に記載し、書ききれない部分を解説で補うという形で考えている。目的については、総論部分で記載する形で良いのではないかと考えている。小見出しを付けることは、その方が分かりやすいかもしれない。
  • 解説のボリュームは1勘定科目につき1頁程度が上限と考える。中小企業の経営者を想定読者として比重をおいた書きぶりにしてはどうか。小見出しをつけることについては賛成である。経過勘定や繰延資産については、表形式で示すことも検討すべきである。

「資産・負債の基本的な会計処理」について

  • 取得価額、取得原価、取得価格という用語が混在しているため整理することが必要である。棚卸資産については、取得価額とするよりも、取得原価とした方が、購入価額に付随費用を加算した金額という意味になるため、分かりやすいのではないか。
  • 会社計算規則も、取得原価と取得価額を使い分けており、取得原価は取得価額に償却減価法の増加分等を含めた金額を意味する。会社法で時価と比較する場合には取得原価とされている。本ルールでも、使い分けた方が理解しやすいと思う。
  • 取得価額は付随費用を含めたものであり、取得価格はプライスそのもの、取得原価は原価配分という概念からくるものであるため、整理する必要がある。取得価額が帳簿価額の概念と一致するということであれば、取得価額で統一するべきである。ちなみに法人税法は全て取得価額である。
  • 純資産については、自己資本の重要性を認識させるためにもどこかで記載する必要があるのではないか。
  • 純資産については、当初の案では記載されていたが、これまでの議論で、様式集の方で記載するということで理解している。
    自己資本の蓄積の重要性については、総論の方で記載してはどうか。
  • 注記の項目の前に、純資産の項目を追加で記載してはどうか。

「金銭債権・金銭債務」について

  • 「資産・負債の基本的な会計処理」と「金銭債権・債務」は内容が重複しているが、前者は全般的な考え方で、後者は金銭債権債務に的を絞った考え方であるため、別立て項目のままでよいのではないか。また、「及び」と「又は」など、漢字と平仮名が混合しやすい記載については統一するよう注意が必要である。

「貸倒損失・貸倒引当金」について

  • 並列的な書き方は経営者にとって分かりにくいため、書き方を検討する必要がある。本文には最低限必要なことを記載すればよい。本文の表現としては「〜できる」というものを避けた方がよい。
  • 「債務者から債務免除を求められた場合」という受け身の表現は、「弁済されことがないと考えられる債務者に対して債務免除をする必要があると認められる場合」というように、債権者側の判断で会計処理をする書きぶりにすべきである。

「有価証券」について

  • 逆基準性を避ける観点から、本文では「法人税法上の」という表現は避け、解説にておいて記載すべきである。
  • 解説で「価値がゼロ」というような数的概念の記載は避け、”ほとんど価値が無い”という抽象的な記載にすべきある。
  • 原則を記載する項目と場合毎の会計処理を記載する項目は、それぞれの内容は並列関係ではないので、それがわかるように形式を整えて記載した方が分かりやすい。

「棚卸資産」について

  • 「回復の見込みがあるかどうかの判断が困難と思われます」という記載では説明不足であるため、「そのような時には、強いて評価損の計上を必要としません」のような解説をつける必要がある。
  • 個別法や先入先出法などの評価方法について本文と解説のいずれに記載するかは、有価証券の場合と記載レベルを合わせる必要がある。

「経過勘定」について

  • 本文には手続きを記載するべきであるので、経過勘定とは何かを説明する記載については本文から除外して解説に記載するべきである。
  • 未収収益の例示については、記載する必要性はあるだろうか。もし解説に入れる場合でも、限定的にするべきでなかろうか。また、ルールであるから、表記する際には、「考えられます」、「思われます」、「想定されます」等の表現は避けた方がよいのではないか。

「繰延資産」について

  • IFRSでは繰延資産の概念がなく、今後会計基準もそのようになっていくと思われるが、会社法上は繰延資産という概念は継続するのか。
  • 一般に公正妥当な会計慣行として、企業会計の慣行の中で繰延資産が計上されているのであれば継続すると考えられる。

「リース取引」について

  • 「望ましい」という説明文については本文ではなく解説に記載すればよい。
  • 未経過リース料の注記については本文に記載せず、注記の項目の中で記載するか、リース取引の解説として記載してはどうか。
  • 未経過リース料の注記についてはリース取引の解説として記載した方がよい。さらに重要性に関する記載が解説にあってもよい。
  • 未経過リース料の注記は、解説に記載した方がよい。また、リースの減価償却については実施方法が決まっているので、記載しておいた方がよい。

「引当金」について

  • これまでの議論と同様に、引当金としては何が該当するかという説明文は、本文への記載を避け、解説などに記載するよう検討する必要がある。
  • 解説において、法的債務性の要件を満たす場合には負債の計上が必要であると例示してもよいのではないか。退職給与引当金は中小指針では10年以内で処理することができたが、今回はそのような考慮は不要なのか。
  • 「退職一時金制度を採用している会社」という表現は避け、利用者の幅を考慮し「採用している場合」という記載のほうがいいのではないか。
  • 引当金に関して、重要性がなければ計上しなくてもよいという旨を記載した方がよい。
  • 中小指針に記載されている退職給与引当金を10年以内で処理する規定は激変緩和措置であり、本ルールでは記載は不要ではないか。
  • 退職給与引当金について、「自己都合要支給額の一定割合等を計上する」と記載するのは相応しくないと考える。
  • 「一定割合等を計上する」というのは税法のルールに依ったものであると理解している。中小企業は税法に定められた処理を行っていること等を考えれば、一定割合等と記載するのが望ましいのではないか。
  • 経営的な観点で考えると、全員が直ちにやめるということではないので、一定割合を計上するという提案は受け止めやすいといえる。
  • 記載の方法として、本文では「自己都合要支給額を基礎とする」と記載し、解説で「一定割合、例えば50%」等と記載するのはどうか。
  • 平成14年の12月に纏めた、日税連の中小会社会計基準では、法人税法の変遷を考慮し、50から100%計上するという記載になっている。

「外貨建取引等」について

  • 外貨建取引について、原則として取引発生時の為替相場で記録し、一定期間の為替相場によることもできると記載されているが、一般的に期中において一定期間の為替相場で記録することはあまり無いように思う。むしろ、為替相場は急変することがあるため、外貨建金銭債権債務の期末決算時の計上方法として、一定期間の為替相場によることができると記載するべきである。

「注記」について

  • 会計方針のなかには表示方法も含まれるため、「会計方針」という表現は「会計処理」にするか、解説において表示方法について説明するべきである。
  • 会社法432条を具現化する意味での試算表の作成頻度等、会社計算規則が求めるもの以外で独自の注記があってもいいのではないか。
  • 解説の中で、手形の割引額や未経過リース料等の他の注記も記載してはどうか。また、「誤謬の訂正に関する注記」については、まったく削除することはできないが、一般的に必要とされることは少ないと考えられるので、記載ぶりを工夫する必要がある。

「固定資産」について

  • 折衷案として、本文では「相当の償却」と記載し、解説で「相当の償却とは毎期継続して規則的な減価償却を行うことと解されている。」というように記載してはどうか。また、IFRSでも耐用年数の見直しを要請しており、年度ごとに償却額が変更されることはあり得ることである。差額注記は税法上の限度額による規則的な償却だけがあるべき処理であるかのように捉えられるため避けるべきである。それより、償却の耐用年数を見直したとき等に注記として記載すべきである。
  • 上場企業と中小企業の属性はそもそも異なるため、減価償却の規則性は必ずしも求められない。情報として、差額注記をすることは情報提供の視点から考えればあり得るといえる。「法人税法に定める期間よりも短くなる場合もあれば、長くなることも考えられます」という表現は曖昧であるため、追加で解説をする必要がある。
  • 本文では「相当の償却」と記載し、解説で「原則として、毎期継続して規則的な償却」と記載するべきである。また、償却不足という概念を避けるため、解説の中で、「相当の償却を行わなかった場合は、その内容を注記することが望ましい。」と記載するのも一つの方法である。
  • 本来は、毎期・規則的な償却とすることが望ましい。ただ、実務上、対応可能かどうかということの中で、相当な償却という記載ぶりが浮上してきているが、解説で主旨を補うことができれば、ぎりぎり許容できるかもしれない。差額の注記は可能なら記載することが望ましいが、実務的には難しいのではないか。
  • 「法人税法に定める期間よりも短くなる場合もあれば、長くなることも考えられます」という表現については「法人税法の耐用年数と異なることがあります。」という表現にした方が適切ではないか。
  • 償却方法や耐用年数について、理屈の上では個々のケースに応じ選択の幅がありうるということは承知している。しかし、中小企業の場合、財務諸表が主に税務申告時や金融機関への提出等に利用されていることを考えると、できるだけシンプルに「税法の耐用年数を使用する」とした方が、企業側も財務諸表を利用する側も負担が少なく、見解の相違等の無用なトラブルも避けられるのではないか。
  • 減価償却は投資資金の回収期間を考慮して行うべきであるが、実務としては納税申告事務負担軽減の観点から法人税法に定める期間で減価償却が行われている。差額注記は誰が見るのか。決算書を提出しても照会を受けた事は無く、注記の意味が無いと考える。本文は「相当な償却」とし、解説で「毎期継続的」に行うことと記載するのが望ましい。
  • 差額を注記することは、本来のルールに則らないことを暗示することにもなる。金融機関に対する財務諸表の信頼性という意味で考えても、減価償却をきちんと実施することが必要であり、償却は利益に関係なく行う旨などさらに記載できないか。