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中小企業の会計に関する検討会 第1回ワーキンググループ 議事要旨

日時:平成23年2月21日 16:00〜18:00
場所:経済産業省別館9階 940会議室
議事概要:事務局より配布資料に基づいて説明の後、自由討議。WGにおいて検討すべき論点等について意見交換を行った。


議事要旨

  • 非上場会社の会計基準に関する懇談会報告書(以下「懇談会報告書」という。)、中小企業の会計に関する研究会中間報告書(以下「研究会報告書」という。)で共通している部分について重視していくという意見に賛成である。中小企業の活性化、中小企業の成長、経営者にとって理解しやすい点、会社法の一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行に配慮しつつも、税法に従った処理という基本的スタンスに賛成している。
  • 今回新たに作成する中小企業の会計処理を仮に新ルールとさせていただく。新ルールの目的をどうするのか再確認したい。新ルールの目的には次の4つの視点が考えられる。@中小企業の成長及び活性化に資するものであること、A中小企業の実態・実務を十分に踏まえること、B中小企業の経営者が理解できる平易な表現であること、CIFRSの影響を受けない安定的なものとすること。 新ルール策定後には、経営者に対して、なぜ会計が必要なのかを分かりやすく説明する必要がある。 新ルールの基本的考え方について、次の5つの視点を盛り込むべき。@経営者自身が遵守しようと思えるもの、A経営者が理解しやすく自社の経営状態の把握に役立つもの、B経営者が対応可能なもので作成負担が最小限であること、C中小企業の利害関係者に有用な情報を提供するもの、D確定決算主義の維持が必要であるが一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行から逸脱しないもの。 中小企業の会計は幅のあるものである必要があり、次の2つの視点が考えられる。@企業会計基準や中小企業の会計に関する指針(以下「中小指針」という。)も利用できるようにすること、A具体的な処理に幅のあるものとすること。 記帳については重要な位置付けとすべき。記帳は中小企業への経営サポートには不可欠なものである。
  • 研究会報告書と懇談会報告書の内容で明確に異なるものはあるのか。私の理解では差異がないと認識している。 中小企業に対する活性化について、有用な情報を提供するとは、何を意味しているのか。
  • 研究会報告書と懇談会報告書の内容については、議論の途中で異なる意見もあったが報告書となった段階では基本的に方向性は同じであり、表現が違うだけである。経営者が会計の中身が分かっていない状況であり、経営者が少しでも会計を理解して経営することで、成長することになると考えている。
  • 会計のルールを作成するというのではなく、中小企業に対する適切な会計の指導書を作るという理解で良いか。
  • 中小企業の会計に関する検討会でも出た意見だが、ルールを作った場合、施策・普及をしていくことが重要だと思っている。
  • 中小企業の会計の骨格を議論するうえで、3つの前提条件を置く必要がある。
    @公開企業や大企業と中小企業の企業属性が異なる。公開企業の経済事象の見方と中小企業の経済事象の見方は違うことを前提にしておくべき。前提条件に違いがあるため、中小企業が最低限守るべきミニマムレベルを提示すべきではないか。これまでは高いレベルのあるべき姿を見せていたが、最低限どうするべきかを議論の中心にすべきであり、そのようなルール作りをすべきである。
    A確定決算主義の問題も前提条件として考える必要がある。確定決算主義は我が国の制度として定着している。会計ルールは、その国固有の文化を基礎とするべきである。税務との親和性について、確定決算主義の維持は重要な意味を持っている。国際会計基準と一線を画す意味では確定決算主義を維持すべきである。
    B記帳の重要性についても配慮する必要がある。会計と簿記を明確に区別することはできない。昭和24年に経済安定本部により大企業向けに企業会計原則が制定され、その第一原則は真実性の原則である。一方、中小企業向けには中小企業簿記要領が制定され、その第一原則は正規の簿記の原則、第二原則が真実性の原則となっている。中小企業にとって記帳は重要な意味をもっているため、記帳へ配慮したルール作りが必要である。
  • 中小企業の経営者の間では、会計に対する不人気ぶりは相当なものがあるようだ。会計は過去のデータを扱うものという認識が強い。こうした経営者の実態を前提にするなら、会計が普及しないのは会計ルールにこそ問題があると単純化するのは本質を見誤ることになるのではないか。会計ルールを簡素化し分かりやすくするという方向性は大賛成である。だがそうしたことだけでは、“中小企業の経営者が会計のユーザとなり会計を活用する”ことにはならないだろう。実は中小企業の経営者は、株式会社という独特の法形態で経営する功罪を十分に理解していない嫌いがある。そのため、経営の実態を示す会計情報を作成することが、法律的な義務にとどまらず事業を成長させるために必須であり役立つのだ等といった、正確な会計情報の有り難みを感じていないのではないか。中小企業の経営者は経営に投入する時間のうち数パーセントしか会計情報について考えていないという実態調査があるが、その間の事情を物語っているのではないか。他方、中小企業の会計問題は、活用されていない販売や在庫や仕入れなどの経営情報の問題と同根の問題であるとの視点が必要である。従って、経営情報をどのように活用するかという視点から経営者を啓蒙することも重要であり、そのために教科書的な問題も含め事例を作っていくことが必要ではないか。普及や活用の分野で是非検討を加えてほしい。
  • 両報告書の趣旨は同じであり、その方向で進めてほしいと感じている。会計を分かりやすくし理解してもらう必要性は、大きい会社も小さい会社も同じである。中小企業には簡便なものであるべき。会計は説明したことをいかに理解してもらうかが大変である。 もう一つ重要なことは、正確に理解してもらうことである。ただし、正確性を期すあまり記述が詳細に過ぎると返って分かりにくくなる。その見極めが重要である。そのあたり、あらかじめ考え方を決めて一定のラインで切るのではなく、我々で具体的に考えていくことになるのではないか。 また、活性化について、中小企業の経営者により理解されれば大きな戦力になる。経理人数が少ない中小企業には、普及の面が重要となる。
  • 懇談会報告書、研究会報告書の内容は十分に議論されていると感じている。概ね中小企業の問題点は網羅されているのではないか。検討の論点として、留意してほしいポイントは、中小企業の成長に資する会計、中小企業の経営に役立つ会計、分かりやすく簡潔で中小企業が理解できる会計、国際ルールの影響を受けない安定的な会計、税法と乖離しない会計であり、総論として盛り込んでほしい。 また、各論を検討するにあたって、会計情報を受け取る側がどういう風に理解するかを考える必要がある。数少ない利害関係者である金融機関がどう受け取るのか議論すべき。
  • 商法の商業帳簿規程、法人税法の2つが重要となるのではないか。検討すべき論点は、概念であり、ここでは議論しない方が良いのではないか。商業帳簿の証明力は、言い換えれば、中小企業の会計帳簿の信用力である。商業帳簿規程の現代的意味を生かしていく姿勢で良いのではないか。 実務家の視点では、収益・費用の認識について、企業会計と法人税法はほとんど変わらない処理を行っている。法人税法の条文理解と実務の理解が異なることもあるが、齟齬があるのは減価償却、引当金くらいである。中小企業に負担をかけないというのは、法人税法を基本としながら、会社法で言う一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行と合わないものを抽出し議論することが良いのではないか。 記帳の重要性について、付加価値税においてインボイスがないのは日本だけであり、日本の帳簿の信頼性が高いことを示している。金融機関にも分かりやすいものとしていくことが、日本らしい中小企業の会計の仕組みではないかと考えている。
  • 中小企業であってもすべて会社法の対象会社であり、会社法が最低限求めているのは、法的な債権債務の確定をベースとした発生主義会計であり、それは遵守しなければならないであろう。 J−GAAPは、そのような会社法が会計に要求するものに投資家情報を加えたものであると考えられる。したがって、ここで議論する会計の取扱いには投資家情報は全く関係なく、会計上の見積もりや公正価値会計も議論の対象ではなく、ましてやIFRSとは全く関係がないと考えている。ただ、中小指針はJ−GAAPの中に位置付けられるのかどうか判然としない。 確定決算主義は、会社法の会計をベースにしている。会社法が最低限求めている領域の中で、多くの中小企業に係わるものを理解しやすく抽出すれば、何も問題はない。
  • 現行の中小指針があるので、IFRSの影響は遮断されている。この検討会では、中小企業の目線に立った会計ルールの策定についてのみ議論をすることになる。中小指針との境目については、今後議論することになるのではないか。
  • 論点において、懇談会報告書と研究会報告書は基本的に同じとされているが、研究会報告書のみが、トップダウンではなくボトムアップであるべきとしている。 新ルールの具体的な中身を検討するにあたっては、何らかのたたき台があって議論をすべきではないか。また、どういう風に有用性のあるルールを作るのかがネックである。 中小指針の最大のネックは、会計は1つであるということ。頂点がIFRSになっており、毎年改訂され、中小企業がついていけないと言っている。IFRSを遮断することを、それぞれの委員が考えるべき。ただし、会計である以上、IFRSを全く無視できないし、何かしら関係はあるかもしれない。 税法基準が簡便であるという意見であるが、税法はここ10年独自の改正を行っている。会計に寄り添ったり、離れたりしており、一貫性がなく、税法がいつ確定決算主義を手放すか分からない。確定決算主義はガタガタになっている。そのような中で、中小企業の会計をどういう風にするか考えることは非常に難しい問題がある。税法との親和性について、中小企業の会計はこうだと示すことにより、税法はそれに沿わざるを得ないという状況を作るべきだ。税法改正は会計基準が変わったら直す部分と、会計基準が変わっても直さない部分に分かれているため、単純に税法基準に寄れば良いという言い方はできないのではないか。
  • 企業会計原則を根底に置くのは勿論だが、特に明瞭性の原則や重要性の原則にポイントを置き、ある程度メリハリをつけて議論を進める必要性があるのではないかと考えている。中小企業の活性化という視点も、それを平成14年の研究会報告時の様に、新分野へのチャレンジという視点に繋げると、実態にそぐわなくなり、旧有限会社も含まれる実情を踏まえると、生き残りに向けた努力という様な角度も重要で、今回の議論は、中小企業でも小さい企業が中心であるため、そこに焦点を当ててマニュアル的な要素も多くする等の考え方で策定しないと、かえって上から目線ということで使われなくなってしまうのではないか。
  • 商工会の会員の半数が一人親方であり、経理人数が少ない。そのため、過度な負担を課さないという面を考慮して作り上げていく必要がある。これは、普及の面でも影響があるため、普及面での仕組みも考える必要があるのではないか。
  • 中小企業の活性化に役立つ、経営者にとって利用しやすい、簡素で安定的なものということはその通りであると思う。しかし、これからやろうとしていることが非常に困難なことではないかと感じている。 金融機関は、決算書の内容や試算表を細かく分析する必要があるが、難しい内容や複雑なものでは、中小企業が利用しづらいのではないか。経営者の理解がしやすいものと役立つものとは相反する部分がある。これらをどう並列するのか。やはり中小企業の経営者が理解できる簡単なものが必要と感じる。
  • 平易なものと役に立つものの両立は難しいという意見は理解できる。しかし、一人親方や小規模な企業は勘定科目が少ないため、やってみれば簡単であるとの結論になるのではないか。 確定債務を計上しているのか、減価償却をしているのかといった基本的なことをきちんとしているかどうかが重要である。会計と税務の多くは重なっているので、異なるところを調整していけば解決できるのではないか。
  • 金融円滑化法により、支払猶予の件数は約150万件であり、1社で複数の金融機関と取引をしていることを勘案すれば、30万社〜40万社が適用を受けていることになる。条件変更をした場合に、1年以内に、実効可能性の高い抜本的な経営再建計画(実抜計画)を策定することとなっているため、金融円滑化法により条件変更をした中小企業は、3年後、5年後の計画を作るということが目の前で起きている。中小企業の活性化、中小企業の成長に資するという目的のために、小規模企業の経営者にも分かりやすい簡素なルールを作る必要があるのではないか。
  • 適用対象について、15日の検討会において、金融商品取引法の規制の適用対象会社、会社法上の法定監査対象会社、会計参与設置会社、ベンチャー企業のような上場を目指す会社以外の会社が対象となるといった意見が出されたが、その通りだと思う。新ルールは強制適用ではないので、規模で分ける必要はないと思う。同じ規模の会社で、ある会社にはあるルール、ある会社にはこのルールと、そういうことがあっても良いのではないか。 検討すべき勘定科目について、実際に使われていると思われる勘定科目に言及すべきであり、見積り、重要性の判断など過度な事務負担となる会計処理は避けるべき。また、会計処理は幅のあるものにすべき。必要となる勘定科目は11科目程度ではないか。例えば、金銭債権、貸倒損失/引当金、有価証券、棚卸資産、固定資産、繰延資産、引当金、退職給付債務、リース会計、経過勘定、計算書類の注記。このようなものが想定され、このようなものから考えていくべきではないか。税効果会計については、見積もりが多いので、外しても良いと思っている。 また、普及の促進、会計の活用が重要である。例えば、表現ぶり、説明の仕方、普及の仕方が非常に重要である。関係者が多く集まっているので、それぞれが役割を考えていくべき。活用という観点では、利用する中小企業へのインセンティブ措置も併せて考えていく必要があるのではないか。
  • 制度の活用が重要であると考えている。具体的には、資金調達が課題となる中小企業に対して、仕事の増加に繋がることや、助成やサービスの付与が上向きになるというものが必要ではないか。その結果として、企業価値の向上という形となり、金融機関としては企業実態の把握に資することになる。そして、それが融資判断に資することにも繋がる。
  • 中小企業金融の現場の立場から申し上げる。最近導入された会計については、よくわからないという経営者が多い。「中小指針」よりも簡単な最低限のラインを示すことで、経営者が活用しやすくなり、銀行員と経営者のコミュニケーションが円滑になるのであれば良い。最低限のラインのイメージとして、例えば、現金主義ではなく発生主義によること、費用収益対応の計上、税法基準に準じた減価償却、引当金の計上等であれば受入れられやすいのではないか。
  • 経営の実態の把握のためには、企業の経営者にこの新しい会計のルールを使ってもらうことがカギになる。これまでは、外部報告の視点から経営の実態がどうであるかの議論がされてきた。だが、経営者にとって自社が本当はどのような実態かが分かる会計というのは、中小企業の場合には十分に議論がされてこなかったのではないか。実は経営者は、財務諸表とは別に会社の実態が分かる非会計的な資料を程度の差はあれ持っている。従って、会計問題を財務諸表の問題だけに狭めず、会計情報を経営者の持っている「経営情報」に統合させて経営の実態を経営者が認識することが企業の成長に資するのではないか。財務諸表だけでは十分ではなく、経営の実態を掴むデータと財務諸表を合わせることが必要ではないか。活用と普及が重要である。教育訓練を含めて活用について議論してほしい。