鹿児島県鹿児島市 中央地区商店街
道路空間の新たな活用による中心市街地の再生
来街者のアメニティ向上に資する道路空間の多面的な活用と、魅力ある歩行空間創出への取り組みの有効性の検証。
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中央地区商店街
いづろ商店街、天神おつきや商店街、天文館にぎわい通商店街、中町ベルク商店街、天文館はいから通商店街、天文館本通商店街、中町コア・モール商店街、照国表参道商店街、納屋通り商店街、天文館一丁目商店街、金生通り商店街
- 所在地
- 鹿児島市
- 会員数
- 11商店街 583会員
- 商店街の類型
- 広域型商店街
事業実施の背景
鹿児島市の天文館地区商店街は、古くから「天文館」の名で親しまれ、南九州随一の商業・飲食・娯楽施設を擁する広域型商店街として、今日まで確固たる地位を築いてきた。しかし、周辺市町の商業基盤の充実や消費者のニーズの高度化・多様化等により、その優位性は揺らぎ、中心市街地としての求心力にかげりが見え始めている。
そのような変化の中で、平成16年3月に九州新幹線が部分開業し、同年9月には「西鹿児島駅」から改称された「鹿児島中央駅」の駅ビル"アミュプラザ鹿児島"がオープン、さらに、平成17年4月には、海の玄関口であるウォーターフロントの一街区に鹿児島の味を中心にした飲食街や特産品を販売する大型商業施設"ドルフィンポート"が開業し、県内外から多くの人々が訪れ、それに伴い天文館地区にも新たな人の流れが生まれつつある。
このように、天文館地区をとりまく商業環境が大きく変貌している中、今後は平成23年の九州新幹線全線開業を見据え、上位都市との都市間競争がますます激しさを増すことが予想される。
そのため、「天文館地区が一つになった街づくり」、「鹿児島らしさを追求した街づくり」、「来街者にやさしい街づくり」など、単に物を買い求める場から情報、生活文化、アメニティといった付加価値を享受する場へと、高次都市機能の付加充実が求められている。
(アメニティ空間づくりへの取組み)
天文館地区は、アーケードの整備により、連続した広域的なショッピングモールとして多彩な顔を持っている。そのアーケードと道路等既存施設を有効活用し、来街者が歩いて楽しいハイアメニティな道路空間づくりや街区連携を図り、さらには、個店と道路空間が一体となった"新たなにぎわい空間"を創出するため、平成16年から2カ年にわたりアメニティ空間づくり事業を実施した。
事業の概要

平成16年は下記(1)から(6)の事業を実施し、平成17年は下記(1)から(6)の事業に加え、(7)子育て交流事業及び(8)商店街サポーター育成事業といったNPO団体や地域住民等との連携による商店街活動の新たな可能性に着目した取組みを企画し、10月22日から11月20日の1カ月間にわたり実施した。
- (1)かごしまの観光PR事業
- (2)オープンカフェ
- (3)イベント
- (4)ワゴンセール・貸しスペース事業
- (5)花と緑いっぱい事業
- (6)街なか案内・道路清掃パトロール
- (7)子育て交流事業
- (8)商店街サポーター育成事業
事業の効果
オープンカフェは、土日を中心に来街者に休憩スペースとして活用され、滞在時間の延長につながるとともに、従来少なかった通り客とのコミュニケーションも増え、吊り看板、フラッグ、照明などによる通りの装飾は、幻想的な雰囲気を演出し、集客に貢献した。また、毎週末を中心に常に何らかのイベントを開催することで来街者の期待感が高まり、にぎわい創出も促進された。
1カ月間様々なソフト事業による情報発信を続けたことで、「元気な中心市街地」を市民に広くアピールできている。
そのほか、街路空間やアーケード内のアメニティを向上させるために、花と緑を使った春の「華・花フェスタ」や秋の「天文館フラワーフェスタ」、さらには「天文館夢フェスタ」を開催するなど、一年を通じた共同イベント等も来街者の好評を得ている。
その他の事業も含め、2年続いての事業の継続実施により、来街者や商店主からみた取組みに対する評価が高く、官民協働(行政・TMO・商店街等)での実施も円滑に事業を進める上で効果的であった。また、複数の商店街での取組みは高い相乗効果があり、面的なにぎわいづくりを行う上で非常に有効であった。
事業の課題
今後、自己財源で恒常的に実施していくにあたって、事業結果を踏まえた収益創出の仕組みづくりが急がれるが、自主運営で継続するには道路の使用形態に一定の“秩序”が不可欠であり、商店街、出店者、関係機関、来街者の十分な理解と合意を得られる運用ルールを作成する必要がある。