岐阜県岐阜市 玉宮通り商店街
街並み整備とイベント開催で商店街の再生
商店主を中心とした地域住民がまちづくり組織を結成し、まちづくり協定の締結と街並み整備の推進、オープンカフェ等の実験的なイベントを開催。
事業実施の背景

・ 急激な人口減少と商店街衰退によって駅周辺地域から柳ヶ瀬地域を中心とする都心部が空洞化した。
・ かつてはいわゆる駅前通りとして賑わった南北約300メートル(幅員約6メートル)の玉宮通り商店街も、来訪者の減少が著しく、街の再生に向け、地権者とテナントから成るまちづくり協議会を新たに結成した後、ハード・ソフト両面から様々なまちづくりを展開した。
・ 行政側も、総合計画における活性化策の一つとして、両地区の間に位置する玉宮通りを、主要な歩行者動線軸として位置付けるとともに、歩行者優先のショッピングモールの形成により、都心部全体の回遊性の促進と賑わい再生を目指して、支援を行った。
事業の概要と経過

(1)まちづくり協定の締結と街並み整備の推進
・まちづくり協定の締結(街並み整備のルール化)による個性的な景観を有する商店街の創出(1.5メートルのセットバック、半地下建物の奨励等)
・事前協議システムによる協定遵守の担保(確認申請提出前の協議)
・整備費用助成による事業の推進(市によるセットバック空地整備補助)
(2)新しい社会実験の開催による新しいまちづくりの展開
・オープンカフェ社会実験(平成16)の先駆的試みによるモール化の促進とまち情報の発信
・落書きクリーンアップキャンペーンの実施(平成17)
(3)定期的なイベントの開催と販売促進活動の展開
・賑わい再生のまちづくり活動の一環として定期的なイベントを開催
事業の効果
(1)魅力的な街並みの整備と個性的テナントの集約
・ 1年に1件程度のペースで街が更新され、全体の約30%程度が建て替わった
・ 既存の街並みとも相まって個性的な街並みが生み出され、それとともに多種多様なブティックや居酒屋が集積した。
(2)イベント開催による賑わい再生
業種の壁を越えた、一体的な一つの商店としてイベントを実施することにより、まちなかショッピングモールとしての個性化を図ることができた。
(3)都心部の回遊性促進と一体的な発展
歩行者交通量の相対的な増加による賑わい再生と、人的・物的な流動促進による駅周辺・柳ヶ瀬地域双方の活性化が図られた。
(4)先駆的な試みによる街の情報発信
オープンカフェ社会実験や落書きクリーンアップキャンペーンにより、常に新しい街のあり方を模索しつつ、外部に対する恒常的な情報発信を図った。
事業の課題
(1)街並み整備のスピードアップ
まちづくり協定に基づいた魅力的な街並みの早期実現に向け、建替え活動のスピードアップを図る。
(2)景観協定等の法的拘束力を有するルール化
任意協定に過ぎないまちづくり協定を法的拘束力を有する景観協定や景観地区、あるいは地区計画のレベルに引き上げることにより、より確実に魅力ある街並みの形成を促進する。
(3)クルマ排除による歩行者空間化の促進
現在のクルマ規制の状況は、平日は朝夕、休日は終日であるが、よりゆったりとショッピングや飲食ができるための、歩行者専用化の実現に向けた条件整備(共同駐車場の確保等)を図る。
(4)テナントミックス等も含めたまちづくりマネジメントへの発展
テナントミックス等の商店街全体のタウンマネジメントを実施することにより、バランスのとれたモール型のショッピングストリートを創出する。
(5)線から面へのまちづくりの展開
都市部の回遊性促進のため、玉宮通り沿道のまちづくりを面的により広域に拡大することにより、より効果的なまちづくりを促進する。