東京都豊島区 巣鴨地蔵通り商店街
巣鴨は「お年寄りの原宿」
歴史と文化を大切にした、ふれあいのある、人に優しい街。コンセプトを明確にした「お年寄りの原宿」。
事業実施の背景

JR山手線巣鴨駅、都営地下鉄巣鴨駅、都電庚申塚停留所近くに位置し、全長約780メートルの商店街。商店街にはとげぬき地蔵尊のある高岩寺、江戸六地蔵尊の眞性寺と猿田彦大神庚申堂が存在し、「歴史と文化を大切にした、ふれあいのある、人にやさしい街」を商店街の基本コンセプトにしている。
巣鴨は、「お年寄りの原宿」と呼ばれて久しいが、もともと宗教施設に囲まれた、いわゆる寺町であり、菊づくりのふるさとであり、地域の歴史と文化を感じさせる商店街である。
参詣客と買い物客で連日賑わいを見せるが、「4の日」のお縁日では数多くの露店が並び、観光バスで地方からも多くの来街者が訪れる。年間を通してとげぬき地蔵尊を中心に様々なイベントを開催し、「巣鴨に行ったら、いつも何かをやっている」という来街者の期待に応えている。過去より、お寺と地元との協力関係は良好で共に活動を行ってきており、境内をイベント広場として開放するなど、現在もその関係が続いている。
また、ホームページを活用し、イベント情報の積極的な情報発信を行っている。
事業の概要

(1)4の日
年中行事が多い街であるが、4の日のお縁日は200軒近くの露店が出て、多くの来街者が訪れる。1、5、9月の24日の例大祭には15万人の人出となる大盛況である。
(2)どんがら市(春・秋)
昭和49年から続くイベント。日頃の顧客への感謝として各店頭にてその日限りの破格値で商品を提供することで多くの来街者が訪れる。
(3)菊まつり
平成4年から続くイベント。とげぬき地蔵尊境内・真性寺境内に丹念に作られた菊が展示される。2000本以上の花を持つ大輪や美しい形の懸崖、繊細な仕上げの盆栽まで多数の色鮮やかな菊が好評を博し、多くの来街者が訪れる。
(4)ミニみに縁日(8月29・30)
いつもはお年寄りで賑わう地蔵通り商店街で、毎年恒例で実施している夏休最後のお楽しみ縁日。とげぬき地蔵高岩寺境内で、焼きそばなどの食べ物だけでなく、射的や輪投げ、ボール釣などを行っている。この両日ばかりは、とげぬき地蔵も子供達であふれる。
(5)すがも商人まつり(4月下旬の土日)
一つの商店街だけではなく、地域の商店街が力を合わせ巣鴨地域全体で取り組むイベント。巣鴨地域の6商店街に七福神を設定し、地域を巡るスタンプラリーや豊島区との友好都市の観光物産展を開催している。
事業の効果
新聞やテレビなどマスコミからも取り上げられており、全国から参詣客や買い物客を集めているほか、全国の商店街や自治体から視察が多く来ている。
事業の課題
国道17号線の拡幅により、地蔵通り側に約9メートル道路が拡幅されることで、既存の商店街や高岩寺境内のにぎわいの減少やこれに伴う公衆便所の維持、道路景観や来訪者の流動についても少なからず影響が出ることが予測される。また、中高層マンション建築など街を取りまく地域環境の変化も問題となっており、地元の人が地域協議会などを通じて地域のコンセンサスを形成しながら街づくりのアイデアを出し合い意見交換をしていかなければならない。
また、これまでのにぎわいを維持していくための活動を継続させ、お寺の伝統行事に積極的にかかわり、同時にお寺の繁栄が町の振興に貢献するという相互関係を続けていくことも重要である。
更なる商店街の発展のためには、より一層のサービス向上や新たなイベントの実施、イベント以外の販促方法の開発、街の環境の変化に対応した今後の街づくりの検討も必要となっている。