東京都板橋区 ハッピーロード大山商店街
交流都市のアンテナショップ事業
空き店舗を活用した交流都市のアンテナショップでの特産品販売により来街者が増加。
事業実施の背景
平成15年より、サマーセールやクリスマスセールにて実施していた岩手県物産展や知床物産展など全国のふるさと物産イベントが大盛況であったため、全国の特産品を集めたアンテナショップを商店街に誘致できないか検討していた。そんな中、板橋区が空き店舗を活用して、交流都市のアンテナショップ開設を計画していたため、すぐに事業実施を決定した。また開設にあたり、以前より商店街では、大型店やチェーン店の増加による業種構成の偏りを問題視しており、商店街自らがテナントコントロールをしていく必要性を感じていたため、そのモデルケースとして商店街がアンテナショップを運営することとなった。
従来の空き店舗対策や空き店舗活用事業は、商店街全体の活性化になかなか結びつきにくかったが、本事業は、顧客のニーズを的確にとらえ、商店街事業とうまく連携させて行なうことで、商店街全体の活性化につながる新たな空き店舗活用の取り組みである。
事業の概要

板橋区と交流のある9つの市町村の特産品販売や観光情報を発信するアンテナショップとして、平成17年10月、全国ふる里ふれあいショップ「とれたて村」を開設し商店街振興組合で運営している。
(1)特産品の販売
9市町村でしか味わえない四季折々の特産品約600点を販売している。商品の特徴としては、商店街であるため、各地の観光土産的なものではなく、毎日の食生活に欠かせない商品を中心に取り揃えており、地元板橋産の野菜も毎日仕入れることにより、地産地消を通じた都市農業の促進にも寄与している。また、商品の売れ筋や消費者趣向など都心のマーケット情報を生産者側に随時フィードバックすることで、生産者の販売戦略や新商品の開発などに役立ててもらっている。
(2)町のPR・観光情報の発信
店内には、観光パンフレットやポスターはもちろん、地元の新聞・広報紙を豊富に取り揃え、観光ビデオクリップの放映により参加市町村の観光PRを行っている。また、この時期ならではの観光スポットやイベントなど生情報を紹介したり、旅行や観光情報を知りたい人は、店員がその場で直接現地スタッフと連絡をとり色々な情報を提供している。
(3)多彩なイベント事業
ショップ店頭や商店街のスペースを活用して、現地のスタッフによるふるさとイベントを週末に開催。
例えば、商店街をすいか一色にした尾花沢すいかまつりをはじめ、アーケードを長崎ランタンで装飾する長崎の伝統芸能蛇踊りの披露や、商店街に妙高市の4大温泉の足湯を設置したり、商店街のど真ん中に鴨川市の乳牛が登場して搾乳体験を実施するなど通常の商店街イベントでは考えられない、現地なら開店前のプレイベントを含め、平成18年4月までの約半年間で20回ものふるさとイベントを開催。商店街だけでイベントをやろうとすると経費、企画、人の問題で年数回が限度であり内容もマンネリ化してしまうが、板橋区や参加市町村と連携することにより、多彩なイベントを開催することが可能となった。
(4)板橋区と参加市町村との交流事業支援
板橋区民と交流都市の市民が行き交う相互交流の仲立ちを行っている。例えば商店街が企画した○○町まるごと体験バスツアーや地元小学生同士の交流支援など色々な交流事業を検討している。交流を通じて継続的な事業運営につなげていこうと考えている。
(5)その他
商店街のサマーセールやクリスマスセールのイベント景品、ポイントカードの交換品として、参加市町村の旅行や特産品を活用するなど商店街の販促事業との連携を図っている。
事業の効果
単なるショップとしての集客機能ではなく、商店街が運営することで、イベントや販促など様々な商店街事業とうまく連携することができ、個店(点)から商店街(面)へ展開することができた。特に市町村とタイアップした多彩なイベントを頻繁に開催できることが可能となり、ハッピーロードに行けば「何か新しいこと、おもしろいことをやっている」という新たな来街動機づけができつつある。マスコミに多く取り上げられたこともあり、1日約25,000人と例年横ばいであった商店街の通行量は、1日約28,000人とショップ開店後約3,000人近く増え、週末のイベント開催日には約30,000人の人出があるほど集客効果は絶大である。
事業の課題
今後は、売れ筋商品を商店街の各個店で販売するなど個店とのタイアップも検討している。また18年度は商店街オリジナルの交流事業を開始し、板橋区民と参加市町村民の相互交流の拠点づくりに力をいれ、新たな魅力を打ち出していく予定である。