岩手県盛岡市 盛岡市肴町商店街
全蓋(ぜんがい)アーケードを利用したソフト事業の充実
盛岡市内の商店街で唯一設置されている「全蓋(ぜんがい)アーケード」の下、各種イベントを開催し、市民に広く親しまれる商店街へ。
事業実施の背景
秀峰岩手山を背に、市街地を悠々と幾筋の川が流れる盛岡市は、南部氏による盛岡築城以来400余年、現在は岩手県の県庁所在地、北東北の交通の要衝として、たゆみなく歩みつづけている。
市内には約40の商店街があり、それぞれが地域商業の核として、重要な役割を担っている。
特に盛岡市肴町商店街は、盛岡の中心市街地内商店街の一つであり、盛岡の歴史的なたたずまいを最も色濃く残す地区に存在し、江戸時代より今日まで繁栄を続けている。
来街者は女性や壮年老年層の構成が高く、商店街周辺には現在も住宅・マンションが多く立ち並んでいることから、同商店街は最寄品、買回り品の店舗が多い構成となっており、「地域の台所」としての役割を担い続けている。
また、アーケード北東側には商店街の核として大型店が立地し、更に、商店街周辺には盛岡バスセンターが立地していることで、集客力は市内広域に及ぶ。
しかしながら、他の市内商店街同様、モータリゼーションの進展や盛岡市周辺の郊外型大型店の増加に伴う商業環境の著しい変化の只中にさらされ、空き店舗の急増は見られないものの、商店街構成店の売上高は前年度を上回ることが難しい状況に置かれている。
これに対し、同商店街では、商店街の魅力の根源は「個店の魅力」にあるとして、魅力ある個店づくりを進めながら、同商店街の若き後継者集団肴町商店街振興組合青年部「よんえすかい4S会」と連携して、新たなイベントの企画や来街促進につながる情報の発信を、「ぜんがい全蓋アーケード」というハードを活用して展開している。ぜんがい全蓋アーケードは、昭和58年に完成したものを、平成13年にリニューアルを行っている。その際、バリアフリーに配慮して段差を無くした路面改修を行い、更にカラー舗装や、大型ヴィジョン、北東側入口の広告掲示板等が新たに設置された。これらは、同商店街が開催するイベントの集客向上にも大きく役立っている。
事業の概要

- 開催している各種催事は以下のとおり。
- ・肴町ワゴンセール
- ・肴町ほっとイベント~ゴーゴーキッズ
- ・肴町春まつり
- ・肴町ゴールデンウィークフェスティバル
- ・4S会ゴーゴーキッズ子供フェスティバル
- ・肴町チャグチャグ馬コ祭り
- ・肴町夏まつり
- ・盛岡七夕祭り
- ・夜の八幡参り
- ・盛岡フラッグアート展
- ・動物いのちの会岩手による「犬猫の譲渡会」
- ・キッズマート
- ・肴町・ジョイ・中三合同大えびすセール
- ・「肴町らっぱ隊」によるクリスマスパレード
- ・肴町初売りイベント
- ・肴町節分祭
- ・肴町ほっとイベント(キッズクラブ卒業式~卒業証書授与等)
このように、年間を通じて間断なくイベントを開催して誘客し、地域でも「肴町では何かが行われている」という認識が定着している、このような状況を作り上げた同商店街の優位点として以下の点が挙げられる。
- ・バスセンターが近くにあり、郊外から来る客の利便性が高い。
- ・盛岡で唯一ぜんがい全蓋アーケードを設置している。
- ・共同販促など、商店街の核店舗としての中三デパートと連携が保たれている。
- ・会員20万人を数える協同組合JOYを設立し、JOYカードを活用した顧客確保に積極的。
- ・イベントを相互に主催するなど、商店街組合と青年部の活動の連携が円滑である。
雑多な要素を上手に取り入れ、活力ある商店街として市民に親しまれている。
事業の効果
商店街が実施する上記イベント開催時には、情報誌の新聞折込やTVの生活情報番組での告知などを活用して、広く周知を図っている。このことから、来街者は地元住民だけでなく、市内全域に広がっている。
商店街では、来街者の満足度を高めるため、通りを楽しく活用する工夫を続けている。ここから、商店街内の個店への集客に繋げている。
事業の課題
今後の課題として、(1)利用者の増加したJOYカードシステムの更新、(2)歴史的建造物や近郊を流れる中津川など自然との取組み、(3)おもてなしの心に溢れた個店の接客、(4)新しい時代の情報発信コンテンツの充実、などが挙げられる。