東京都青梅市 青梅市内8商店街
フィールドミュージアム「おうめまるごと博物館」構想
「昭和の町」として整備を始めた商店街に、青梅のまち全体が博物館という新しい概念(フィールドミュージアム)で活性化。
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青梅市内8商店街
上町商店会、仲町商店会、本町商店会、仲通り睦会、キネマ通り睦会、住江町商店街、西分町大通り振興会、東栄会
- 所在地
- 青梅市上町、仲町、住江町、西分町、勝沼(JR青梅駅周辺)
- 会員数
- 8商店街 180商店
- 商店街の類型
- 地域型商店街
事業実施の背景

東京都青梅市は都心から西に40から60キロメートル圏に位置し、秩父多摩甲斐国立公園の玄関口として、豊かな自然環境に恵まれた都市である。関東山地が平野部と接し、東側に向けて扇状の武蔵野台地を形成しており、その扇の要に当たる。青梅駅周辺は西多摩地域最大の繁華街として昭和30から40年代に最盛期を向かえ、「青梅市の顔」として中心商店街の役割を果たしてきた。
しかしながら、モータリゼーションの進展、交通体系の整備、消費者のライフスタイルの多様化などの影響を受け、大型小売店など商業施設の郊外展開が進んだ。この結果、空き店舗も増加し、商業機能の空洞化も危惧されている。
このような状況に対し、青梅における商店街の振興策として、大正・昭和のレトロな風景を活かしたまちづくり、景観を重視したまちづくりが基本コンセプトにあげられており、住江町商店街では、町内の空き店舗を活用し、集客のための施設として、平成11年に「昭和レトロ商品博物館」、平成15年に「青梅赤塚不二夫会館」を開設した。2館の入館者は年間約6万人となっている。
集客力が高まる中で、更なる活性化を目指して、商店街の商店一つひとつが博物館であり、店の主人が学芸員であるというコンセプトで「まるごと博物館」事業をスタートさせた。
イベント「青梅宿アートフェスティバル」は、平成3年に住江町商店街振興組合により開催されたが、年を追うごとに参加商店街も増え、15回を数える平成17年度は7商店街で実施した。
また、このアートフェスティバルで映画看板を掲示したところ、好評であり、映画看板のある街として、全国的に知られるようになるきっかけとなった。アートフェスティバルの参加商店街が増えていく中で、商店街間の交流も進み、イベント時だけでなく、半日から1日、来街者に青梅を楽しんでいただけるように、8商店街で「ぶらり青梅宿ガイドブック」を作成した。
このような中で、JR東日本では、青梅駅をレトロ化する「レトロステーション」事業の実施、市内にある明星大学の造形芸術学部の学生が、アートフェスティバル開催時に空き店舗で作品展示等を行うなど、商店街の枠を越えた活動となってきた。
これらのことから、商店街では、既存の商店街の枠を越えた組織をつくり、活性化を進めることとし、「ぶらり青梅宿実行委員会」を組織し、「おうめまるごと博物館」構想を推進することとした。
事業の概要
青梅市の美しい風景を育む条例、青梅市商店街振興プラン、青梅商工会議所「魅力ある商店街づくり・まちづくり」などの条例、計画を基本に、誇りの持てるまちづくりをすすめ、買い物、食事もできて一日楽しめる観光商店街「ぶらり青梅宿」を推進する。
活性化部門とイベント部門により構成、車輪の両輪として進める。
(1)活性化部門
青梅駅周辺の地域を特性ごとに3つのフィールドに分け、地域資源を活かし、箱物でなく、まち全体を博物館化して活性化を図る。
- ・町屋まるごと博物館(上町、仲町地区)
- 江戸時代後期の土蔵造りの商家(東京都指定有形民族文化財)、明治期の建物の店舗、蔵等が存在。
- ・昭和まるごと博物館(本町、住江町地区)
- 青梅赤塚不二夫会館、昭和レトロ商品博物館などが存在。
- ・匠まるごと博物館(西分町、勝沼地区)
- 古くから青梅を担ってきた織物産業を代表してきた青梅織物工業協同組合、鍛冶屋、竹細工店が存在。
- これら地域の資産を活用して、活性化を図る。
(2)ソフト部門
- ・地域ブランドづくり事業
- 青梅の代名詞を創出する
- ・シンクタンク「商行宿」事業
- さまざまな領域の専門家と商業、行政、市民(青梅宿)との連携強化を図り、次世代の青梅宿を作りあげる。
- ・イベント事業
- 青梅宿「歳時記フェスティバル」を開催し集客に努め商店街とまちのPRを行う。
- 春 朧月夜の青梅宿(青梅宿さくらまつり)
- 夏 真夏の夜の青梅宿(昭和の夏の定番、肝だめし)
- 秋 晩秋の青梅宿(青梅宿アートフェスティバル)
- 冬 光と影の青梅宿(影絵とキャンドルアート、年末のイルミネーションを青梅宿流に演出)
- ・ガイドブック作成事業
- 青梅宿の楽しみと商店街の情報を提供するガイドツール。第1編「レトロ編」、第2編は発行済み。
- 今後も定期的に発行していく予定。
事業の効果
他の商店街と連携したイベントの開催、ガイドブック作成等の活動が礎となり、各商店街が協力してまちづくりを進めていこうという機運が高まって、平成18年3月26日、買い物も食事もできて一日楽しめるまち=観光商店街「ぶらり青梅宿」を推進するため「ぶらり青梅宿実行委員会」を発足することができた。
事業の課題
商店街の努力により来街者は増加しているが、一定の商店街の範囲に留まっているのが現状である。実行委員会において、前述のとおり事業を計画しているが、来街者にいかに全商店街を回遊してもらえるか、また、来街者を増やしていくかを考えながら、それを着実に実行していくこと、さらに、事業をいかに展開していくか、が今後の課題である。