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がんばる商店街77選

にぎわいあふれる商店街アイデア商店街まちづくりと一体となった商業活動

北海道小樽市 小樽運河周辺商業集積

小樽運河周辺の歴史的建造物を活かした商業集積
小樽運河周辺の歴史的建造物とその街並みを保全し、石造建造物を商業施設として再活用を図りながら、にぎわいづくりを推進。

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ノスタルジックな「小樽雪あかりの路」

小樽運河周辺商業集積

所在地
小樽市
会員数
運河周辺商店約100店
商店街の類型
広域型商店街

事業実施の背景

多くの観光客で賑わう小樽運河

小樽市は、北海道西海岸のほぼ中央に位置し、天然の良港と豊かな自然環境に恵まれたまちで、港を核として、商工業・金融・海陸輸送などの面で大きな役割を果たし、歴史と伝統を継承しながら、北海道の拠点として発展してきた。

小樽経済の最盛期は、大正末期から昭和11年頃であり、小樽運河も大正12年に国内唯一の海岸沖合埋め立て方式で完成している。

その後、北海道経済の中心が札幌へ移転し、小樽は高度成長期の発展から取り残され、小樽運河もその使命を終え、運河周辺には過去の小樽の繁栄を物語る重厚な木造石造りの倉庫群、商社や銀行などの歴史的建造物が数多く残された。

こうした中、昭和41年に交通渋滞解消策として、運河全面埋め立ての都市計画決定がなされ、工事が進捗する中で、運河保存を訴える市民運動が起こり、運河の埋め立てか保存かをめぐる「小樽運河論争」が始まった。

10年以上の議論の末、最終的に昭和61年運河の幅の半分を埋め立てて道路とし、残りは御影石を銀杏模様に敷き詰めポケットパークの配置やガス灯がともる散策路として整備された。

事業の概要

石造り倉庫を利用した「北一硝子」館

(1)小樽運河周辺再生

再生された小樽運河は、小樽のシンボルとして定着する一方、運河周辺には昭和58年頃から、民間資本による新しい投資が活発に行われている。古い石造倉庫の再活用や歴史的建造物と調和したデザインの建物が新築され、ガラス工房やレストラン、寿司屋、地ビールなどが次々と誕生し、往時の賑わいを取り戻している。

(2)石造り建造物、木骨レンガ造り

とりわけ、昭和58年に、明治の石造建造物の旧木村倉庫を店舗として再活用した「北一硝子三号館」の開業をきっかけとして、石造り建造物が次々に商業店舗として再活用されるようになり、現在、北一硝子関係の店舗だけで、18店舗も集積している。

このほか、明治の木骨レンガ造の建物を活用したオルゴール館や明治29年創業の現存する北海道最古の時計店、コンブ専門店の展開など個性豊かな店舗が集積し、活況を呈している。

(3)屋台村「小樽出抜小路」

また、平成17年には明治・大正時代の雰囲気を伝える屋台村「小樽出抜小路」が「地産・地消・地人」をテーマに22店舗でオープンし、新たな飲食施設として、多くの市民・観光客が訪れている。

(4)行政の取組

行政では昭和58年に北海道で初の「小樽市歴史的建造物及び景観地区保全条例」を制定し、歴史的景観保全の取り組みを進めるとともに、「小樽市都市景観賞」を設け、都市環境の向上とまちづくりへの市民の関心を高める取り組みを行っている。

また、運河に面した歴史的建造物「旧小樽倉庫」を取得し、博物館や観光物産館「運河プラザ」として活用している。

事業の効果

小樽運河周辺は、今や小樽の基幹産業である観光のシンボルとして大きな役割を果たしている。

年間約750万人の観光客が訪れ、観光産業は小樽経済に大きな効果をもたらしている。

また、最近の観光動態として、小樽をロケ地として公開された映画「ラブレター」などの影響により、韓国や台湾などの東アジア圏を中心に外国人観光客が増加するなど、国際的な観光スポットとしても注目を浴びている。

一方、運河周辺は、観光の閑散期の新たなイベントとして平成11年から毎年2月に開催されている「小樽雪あかりの路」のメイン会場として、運河の水面に浮かべた浮き球キャンドルや散策路に設置したスノーキャンドルが訪れる人々を魅了し、期間中約50万人の来場者を集めている。

事業の課題

小樽運河周辺は、小樽の観光に大きな役割を果たしているが、小樽観光の課題である宿泊滞在型への移行のために、観光客の多様なニーズに対応できる受け入れ体制の整備とともに周辺施設のさらなる魅力の向上を図る必要がある。

特に、北運河は運河創建時の幅40メートルの水路のままであり、旧日本郵船小樽支店などの周辺施設との回遊性を高めることにより、小樽観光の質的向上に大きな役割を果たすことが期待される。