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がんばる商店街77選

にぎわいあふれる商店街アイデア商店街まちづくりと一体となった商業活動

北海道檜山郡江差町 江差町歴まち商店街

歴史的・文化的遺産を活かした商店街づくり
歴史的・文化的・人的資源を生かし、「守り」「育て」「創る」まちなみ整備と商店街活性化。

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江差町歴まち商店街

江差町歴まち商店街

所在地
檜山郡江差町
会員数
27名
商店街の類型
近隣型商店街

事業実施の背景

「壱番蔵」でのライブコンサート

江差町は、北前船とにしん漁で賑わい、北海道の中でも古くから商業の町として繁栄していたが、北海道経済の中心が札幌に移るにつれ、町は次第に衰退していった。

しかし、栄華の名残として下町地区に数多くの問屋、町家、蔵、商家、寺社等の歴史的、文化的遺産が残されている。この美しく貴重な景観を後世に永く伝え、また訪れる人が心の安らぎを感じることができるまちなみとして、「いにしえ街道」の整備を進めた。

このハード面での整備と同時並行で、商業活性化として、「歴まち商店街協同組合」の十数年にわたる努力により、各種イベントを実施し、元気でがんばる商店街づくりを行っている。

<経過>

平成元年
北海道戦略プロジェクト「歴史を生かすまちづくり事業」の「歴史を生かす街並み整備モデル地区」に指定
平成3年
「景観形成デザイン委員会」発足
平成4年
「歴まち商店街組合」設立(任意団体)
平成5年
「いにしえ夢開道」のイベント開催開始
平成8年
「江差町歴まち商店街協同組合」(法人格)商店街として、本格的な近代化事業の取組開始
「ふるさと江差の街並み景観形成地区条例」制定
平成10年
「歴史のまち宣言」
平成12年
「江差町中心市街地活性化計画」策定
中心市街地を4ゾーンに区分けし、それぞれの地区の特徴を生かしながら一体的な商業活性化を目指す。下町地区は、歴まち事業を柱として、集積区域整備事業を実施してきた。
平成15年
「壱番蔵」を拠点とし、歴まち商店街協同組合が管理運営を実施
平成16年
「江差朝市・新鮮組」開催
平成17年
「いにしえ街道」オープンフェア開催

事業の概要

行列の出来る「江差朝市・新鮮組」

地区内に存在する歴史的・文化的・人的資源を生かし、「守り」「育て」「創る」を意識しながら、数多くのソフト事業を展開している。

(1)「いにしえ夢開道」

平成5年より「職人芸が生きる工芸品と食」をコンセプトに「いにしえ夢開道」(春、秋)を街路内で実施している。

(2)CI活動

ペン画家の唐澤照文さんによるイメージキャラクター「夢作」誕生、現在では各商店主をイメージしたキャラクターも作成。干支を題材にしたマスコットも作成している。

(3)町民野外劇「江差幕末物語」の実施

幕末の榎本武揚、土方歳三を主役に「開陽丸」が江差沖に沈んだことをテーマに演じられている。

(4)「壱番蔵」を利用したライブコンサートの実施

毎回多彩なゲストを招いたライブコンサートの実施。

(5)年末年越しイベントの実施

「壱番蔵」で餅つき、年越しそば、「切声」等のイベント開催。

(6)北前の道ウィンドギャラリーの実施

地区内の一般家庭、商店によるウィンド展示。

(7)旧檜山郡役所前での夕焼けコンサートとビアガーデン

日本海に沈む夕焼けを背景に地元中学生のブラスバンドの演奏と手作りビアガーデンの実施。

(8)「夢作宣伝社」(ちんどん屋)

商店街組合員によるによるイベントPR事業の実施。

(9)「江差朝市・新鮮組」

平成16年から、姥神神社前広場で5月から10月まで、第1、第3土曜日に朝市を開催、15、16件程度の出店により、地場産の活イカや新鮮な野菜等が並ぶ。商工会青年部も、朝市集客企画(クワガタ虫プレゼント)や、オリジナル商品「江差産寒のりラーメン」等を朝市で販売し、好評である。

事業の効果

「いにしえ街道オープンフェア」は、人口1万人の江差町に1週間に約6万5千人の人を集めた。住民参加型の企画も多く、町人には和服姿での参加を呼びかけ、「江差沖上げ音頭」「江差餅つき囃子」「江差追分」などの郷土芸能が披露され、郷土料理の屋台や朝市は、観光客でにぎわった。

「歴史を生かすまちづくり」の先進地視察が、数多く訪れるようになっている。

地元小学生による「写生会」や、修学旅行の受入れの実施により、歴史・文化や地域の景観に対する総合学習の場を提供している。

各種イベントを活用した商店街活性化事業は、地元住民に定着している。朝市についても、「朝市なら地元の活イカが手に入る」と評判になっている。

事業の課題

「いにしえ街道」の整備は、道路拡幅事業と同時並行で実施されてきたが、移転補償費等での困難な事例や、商店の閉鎖により空き地となってしまった土地や、今まであった生鮮食料品店や本屋が「いにしえ街道」内から移転してしまったケースもある。今後更なる商店街の魅力向上のために不足業種の出店が望まれる。

また、地元住民と観光客双方をターゲットとした商店街づくりを目指すため、地元住民が観光客と一緒に楽しむことが出来るような商店街活性化事業を地元住民自身が企画し実施していく体制作りが課題である。