宮崎県延岡市 山下新天街商店街
市民のまちづくり参加のための拠点を設置
空き店舗やアーケード等を活用したまちなかでの市民の活動を促進し、地域コミュニティの形成による「夢・心・感動のあるおせったいのまち」づくり。
事業実施の背景

大型店の相次ぐ閉鎖により、まちなかでの消費者の利便性、快適性が失われる中、山下新天街の全蓋アーケードを生かした定期市の開催をはじめ、市民のまちづくりへの参加を促進することで、回遊性、賑わいを創出する必要性が高まってきた。
そのような中、多目的トイレを備えた交流サロンや広場整備にあわせ、交流拠点施設として空き店舗を活用して「イベント工房」や子育て支援施設「キッズホーム」を設置し、学生や市民団体等に無料で貸し出しを進めた結果、新たな市民のまちなかでの活動促進につながった。今後、様々なイベント開催や活動促進などの更なる展開により来街者の増大や賑わい、商店街の活気の創出が期待できる。
事業の概要

(1)定期市「延岡門前市」の開催
平成14年4月から、毎月1日・11日・21日の3回開催、山下新天街の全蓋アーケード内で野菜、海産物、生花、だんご、お菓子をはじめ、商店街のワゴンセールを実施。現在、63店が出店しており、「延岡門前市」開催日の通行量は平日の約1.5倍となり、全体7割が女性客で、56%が高齢者、近隣から9割で、すっかり地域住民に定着している。
(2)空き店舗を活用した市民・学生の活動拠点設置
- ・イベント工房(延岡市TMOが借上げ、無料で貸出)
- 農業高校、海洋高校の農水産加工品をはじめ新鮮野菜や卵などを販売する「高校生の実習店舗「和」や大学生の店「WAKABA」など、学生のまちなか活動の場として利用促進を図っており、商店街に若い声が響き渡り、まちの活気・活力の源になり、また、話題性があり多くの消費者が来街するようになった。
- ・キッズホーム
- 子供一時預かり事業、相談・指導事業、子育てサークル活動支援事業などの子育て関連事業、各種講座(パソコン講座、フラワーアレンジ講座)やイベント開催を組み合わせたコミュニティビジネスモデル事業を実施。これまで商店街利用が少なかった主婦層を中心に利用者が増加している。
- ・のびっこ広場
- 保育園主催の「子供祭り」、高校生文化祭、子育てサークルの「フリーマーケット」などの会場として利用が進んでおり、市民の憩い・集いの広場として拠点が高まっている。
(3)コミュニティ空間づくり
全蓋アーケードを活かして大師祭りや50年の歴史を持つ「七夕まつり」、延岡門前市などの市を代表するイベントを開催し、賑わい、回遊性向上につなげている。今後、建替えを機に、アーケードの市民の利用促進を図り、コミュニティ空間づくりを目指すこととしている。
事業の効果
(1)市民活動拠点づくり
全蓋アーケードを活用した七夕まつりや延岡市門前市、高校生文化祭など市民参加イベントが活発化し、活性化の基盤づくりが進んでいる。
(2)コミュニティ空間づくり
高齢者の憩い・交流の場、学生を中心とした実習・活動の場として定着してきており、商業者を含めた地域コミュニティ空間として役割を担っている。
(3)地域のへそづくり
商業者の意識や市民のまちづくり参加意識が高まったことで、当地域が「地域のへそ」として、また、アーケードが「まちのシンボル」としての醸成が図られ、建替えに向けたコンセンサス形成が進んだところである。
事業の課題
(1)商店街との連携強化・体制整備(外部人材活用)
商店街の活性化、市民のまちづくり活動など、まちなかでの活動を一体的に調整・推進し「まちの再生」を図るため、専門の人材を配置する必要がある。また、相乗効果を周辺商店街に波及させるため、商店街間の連携強化も必要である。
(2)空き店舗・空き地利用の促進
商店街の賑わい、回遊性を向上させながら、不足業種の解消を図るため、空き店舗への新規出店を促すとともに、様々なイベント開催や商業施設の建設を促進し、空き地利用を進め、魅力ある商店街づくりが必要である。
(3)アーケード建替えの実現
老朽化の著しい全蓋アーケードは、まちのシンボルであり、「おせったい」を基調に自然光を取り入れた明るいショッピングモールとして、利便性、回遊性のある商店街に生まれ変わるためアーケード建替を推進する。また、生活者の視点に立った質の高い生活空間形成により、市民から親しまれる中心商店街としての再生が急務となっている。