石川県金沢市 堅町商店街
ホコ天拡大 毎日の買い物が安全・安心
土・日・祝の午後の歩行者天国「ホコ天」を平日にも拡大し、365日、午後は憩いの街に。
事業実施の背景

金沢市の人口は約45万5千人。他の中小地方都市にみられるように、中心市街地商店街は、郊外大型店・ショッピングセンターとの競争激化や郊外移住による街なか定住者の減少の影響を強く受けている。
竪町商店街においては、従来よりモール化整備事業を推進し、御影石による道路舗装や電気ロードヒティングも完備し、ハード整備はほぼ一巡していた。
しかし、より魅力のある商店街として賑わいを増し、街中に人を呼び込むには、ソフト面における有効策が必要であった。
このため、以前取り組んだものの、周辺地域の反対により挫折した、歩行者天国「ホコ天」の拡大に取り組んだ。
事業の概要
「竪町商店街通り」は、車道幅員6メートルの金沢市道とその両側各3メートルの歩道、計12メートルの通りが430メートル延びる通りで、商店はその両側に軒を連ねている。
この通りの従来からの交通規制は、土、日、祝の午後(12時から18時)に限り、車両の進入が禁止となっていたが、休日で約3万人、平日でも休日の半数程度の通行量があり、人と車の混在は安全上からも問題があった。
このため、取り組みに当たっては、組合においても車両通行量調査を実施したほか、金沢市交通政策課へも働きかけ、「金沢市における歩けるまちづくりの推進に関する条例」にのっとり作業を進め、周辺地域の了解も得ることが出来た。併せて警察とも連携をとり、平成17年12月1日より、平日にも交通規制を拡大することが出来た。なおこの際、夕方の規制時間を1時間延長し、12時から19時とした。
アーケードのない商店街における通年のホコ天は、全国的にもあまり例がないと思われる。
事業の効果
ホコ天拡大後における通行量調査がなされていないため、確かなデータはない。
しかし、通りを行き交う人達は、車を気にせず道の真中をゆったりとくつろいで歩いている。また、幼児を乗せたバギー車を押した若い夫婦連れも歩道を歩かず、車道を歩く。
こうした安心感はやがてリピーターに繋がり、来街者の増加になるものと考えられる。
中心市街地は、高齢者比率も高く、散歩を日課としている人も多い。交通規制後はこうした人達からも散歩ルートとして好評であるほか、周辺住宅街では、従来、多くの通過車両が流入していたが、竪町通りの交通規制を機に、減少し、静かな環境づくりの一助ともなっている。
事業の課題
年間を通しての午後の交通規制の実施により、一般車の商店街への進入は抑制できたが、警察発行の通行許可証を有する運送業車両や組合員業務車両は、進入可能の状態となっている。
このため、一般車両が減った分、これら車両が目立ち、買い物客の印象を悪くしている。
対策として、荷捌き所の設置が求められているが、商店街通りは430メートルと長く、2箇所は必要で適地の確保は容易でない。また、各店の商品の荷受、配送は、リアルタイムで動いており、規制時間内の自由な通行を望む商店街の組合員の要望も多い。
これらは今後、運送業者との調整や、組合員への説得を要する部分である。
また、ホコ天は、寛ぎの空間や憩いの場所の提供も必要で、ベンチやパラソルといったストリートファニチャーの充実、街路樹の増植、景観の向上等のハード面、オープンカフェの実施、通りでのイベントの開催等のソフト面、これら両面での今後取り組むべき課題も多い。