福島県郡山市 郡山市中央商店街
ユニバーサルデザインの街づくり
商店街の道路高質化と併せたイベント事業の継続的な実施による商店街活性化。
事業実施の背景
中町地区は、旧奥州街道沿いに栄えた宿場町「郡山町」の中央に位置し、また、JR郡山駅から徒歩5分という好条件から、周辺市町村からも多くの人が買い物に訪れるなど、古くから地域一番の繁華街として栄えた地区である。
この中町地区の賑わいを作り上げてきたのが、「郡山市中央商店街」であり、最先端のモノや文化、情報があふれる、まさに福島県内随一の商店街である。
しかしながら、かつて、多くの人出で賑わっていた当商店街も、空き店舗の発生や来街者の減少など、全国的に問題となっている中心市街地の空洞化が顕在化し始めた。
このような状況を打破するため、会員一同が一念発起し、「エレガントでダンディーな街」をコンセプトに、世代を超えて楽しめるユニバーサルデザインの街づくりを目指し、「道路高質化事業」をはじめ、様々なイベントを継続的に実施するなど、商店街の活性化に取り組んでいる。
事業の概要

(1)道路高質化事業(平成15年度実施)
- ・概要
- 場所:県道須賀川―二本松線
- 幅員:12メートル 延長:305メートル
歩道(1,824平方メートル)を高質化(御影石を使用)するとともに車道との段差を無くし、景観に配慮したボラードは収納式や取り外し式とした。女性をイメージしたデザインの街路灯には催事用電源や放送設備を付属することによって、イベント等の使用にも対応できるものとした。
また、当地区の歴史的価値やその顕彰を後世に残すため、地域にゆかりのあるモニュメントを配し、歴史や文化などを感じながらより多くの市民が楽しめる空間「なかまち夢通り」として完成した。
(2)イベント事業の継続的な実施
年間を通じ「なかまち夢通りストリートカーニバル」として各種イベントを実施している。
・ビール祭りinなかまち夢通り:野外でビールを飲みながら大型ビジョンでの野球観戦。(7月)
・うねめ福祉バザール:商店街各店や露天商による路上での販売。出店料の一部を福祉団体に寄付。(8月)
・花市:市内農家による切花販売と併せ、商店街各店のワゴンセール及びフリーマーケットの実施。(8月)
・ウィンターフェスティバル:ミュージシャンによる野外ライブやFM放送の中継、地元農産物やそばの打ち立ての販売等。(11月)
・オープンカフェ(7月から11月の土日約30日)
・冬のイルミネーションページェント(12月)等
(3)「まちづくり憲章」の制定
街の文化や景観などを守っていくために、「まちづくり憲章」及び「同細則」を制定し、建物の新築・増改築に関する事項、道路管理に関する事項、さらには商店街における禁止行為等を定め、商店街としての方向性を定めている。
まちづくり憲章
- わたしたち郡山市中央商店街人は、いつも商店街を愛し、
- ひとつ、郡山市の発展の源であることを誇りとし、文化の香り高いまちをつくります。
- ひとつ、訪れるすべての人にやさしい、安全で快適で楽しいまちをつくります。
- ひとつ、お互いに助け合い、信頼しあい、働く喜びに満ちたまちをつくります。
- ひとつ、新鮮さを求め、質の高い空間と、夢と活気みなぎるまちをつくります。
- ひとつ、美化と啓発に努め、共に美しいまちをつくります。
事業の効果
(1)にぎわいの創出
「なかまち夢通り」の高質化と各種イベントの継続的実施により、「エレガントでダンディーな街」というコンセプトに見合う店舗が数多く出店し、空き店舗の解消が図られるなど、賑わいが戻りつつある。
(2)市民における商店街の知名度の向上
継続的なイベントの開催により、中央商店街に行けば何かをやっていると市民から思われるようになった。
(3)組合員間における意識の醸成
ハード整備、まちづくり憲章の制定、イベントの実施等組合員が協力し合う機会を経ることにより、組合員相互が協力する気風が醸成され、今後の活動の基盤が形づくられた。
事業の課題
(1)イベントの集客力の一層の向上
継続的なイベントの実施による来街者の増加が、イベントごとの集客力の差を無くすことに繋がることが必要。
(2)イベントによる売上向上
イベントでの集客を、個店の売上向上につなげることが必要。
(3)他の団体との連携の強化
他の商店街等とのより一層の連携強化が必要。