トップページ商業・地域サポート商業・物流支援がんばる商店街77選アイディア商店街:東北七日町通りまちなみ協議会・アネッサクラブ 

がんばる商店街77選

にぎわいあふれる商店街アイデア商店街まちづくりと一体となった商業活動

福島県会津若松市 七日町通りまちなみ協議会・アネッサクラブ

「大正浪漫調」のまちづくりとおもてなしの心
既存建物の表層部分の修景による「大正浪漫調」の街並みづくりと、交流活動を通したおもてなしの心による「ふれあいのまちづくり」の推進。

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店舗修景の状況

七日町通りまちなみ協議会

会員数
会員98名(うち事業所会員71名、個人会員27名)
商店街の類型
地域型商店街

アネッサクラブ

会津若松駅前~大町通り~野口英世青春通り~七日町通り周辺・・・商店街の枠を越えた女性たちのまちづくり団体

会員数
110名
商店街の類型
地域型商店街

事業実施の背景

福島県会津若松市は、豊臣秀吉の奥州仕置きで会津を拝領した蒲生氏郷が、東北の要衝として近代城郭を整備したことに始まる。氏郷は城下を碁盤状に整備し、各町は住居、商業、工業など機能ごとに分けられ、地名も「若松」と改名し、漆器産業の育成や自由経済制度の「楽市」の導入等により商工業の育成を図るなど、都市計画、商工業振興などにおけるまちの基礎が形づくられた。

(大正浪漫調の街並みづくりへの取組み)

七日町通りも氏郷の時代にほぼ現在の形に町割が行われ、古くから"七"のつく日に「市」が立っていたことから"七日町"と命名され、大町四つ角を起点とする日光、米沢、越後街道が通っていたことから、問屋、旅籠、料理屋が軒を連ね、明治以降も重要な通りとして繁栄した。

しかし、近年のモータリゼーションとともに来街者が減少し、近代化の波にも乗り遅れ、廃業する店舗が増加し、商店街の様を呈していない状況となった。

衰退した状況に危機感を抱いた地元有志は、なんとか再生する糸口をみつけようと、七日町通りの状況を自分達の足で歩いた。通りの建物はトタンやサッシに隠されてしまっているが、その中には明治・大正・昭和初期の歴史のある建物が眠っており、これを活かした街並みづくりが活性化のポイントではないかと考えた。この取組みへの理解とともに平成6年3月「七日町通りまちなみ協議会」が発足した。

(おもてなしによるまちおこし)

氏郷の町割りの1番古い商店街「大町通り」は、会津若松駅から南に走る商店街であり、近年では観光会津の玄関口として賑わいを見せていたが、バブル経済崩壊後はみるみる観光客が減少し、商店街が廃れていくのも必至だった。

このような状況の中、市が道路のモール化計画を打ち出した中で、女性の参加のもとに自分のまちは自分達で創ることの大切さと表現の楽しさが実感できる取組みが始まり、65店舗のおかみさんらの参加により、平成9年2月に「アネッサクラブ」が設立された。「アネッサ」とは商家のおかみさんを「あねさま」と呼ぶことからとっており、自分達の住むまちの歴史と格式ある商人文化の伝統を踏まえ、さらに人と人との交流による「ふれあいのまち会津」づくりを目指している。

事業の概要

会津ブランド館・のきさきギャラリー・「四つのどうぞ」運動

(七日町通りまちなみ協議会)

(1)景観による街並み整備
七日町通りを三つの地区に分け、それぞれ、街並み協定を結び、そのまちづくりのテーマに沿った建物を修景したり、けばけばしい看板を撤去したり、自然素材を用いた看板を設置したり、店先に植物を植えたりしている。
(2)会津ブランド館
「大正浪漫調」をコンセプトに空き倉庫を改装した建物で、緑を基調としたレトロな洋館造りとなっている。1階は、会津地方の市町村が連携した"会津ブランド認定品"や"地域産品"、安全で安心な食品などの展示・販売スペースとなっている。

(アネッサクラブ)

(1)のきさきギャラリー
店の一角をギャラリーに見立て、昔から伝わるお宝(調度品や民芸品など)を季節にあわせたテーマをもって飾り、歴史ある商人文化を見てもらい、そこからふれあいが生じ、元気で楽しい街並みづくりを行っている。
(2)“四つのどうぞ”運動
  1. ・「いす」をどうぞ、お休みください。
  2. ・「トイレ」をどうぞ、お使いください。
  3. ・「お茶」をどうぞ、お召し上がりください
  4. ・「お荷物」をどうぞ、お預かりします。
街を歩いていると、自ずと必要になってくることであり、商人として当たり前のことであるが、入りやすいようにと店舗入口に表示し、四つの中から、自店でできることだけを表示することで無理なく続いている。

事業の効果

「大正浪漫調」のまちづくりや「おもてなし」による交流づくりは、民間による草の根的な活動から始まり、行政やTMO、他のまちづくり団体と様々な機関を巻き込んだ大きなまちづくり活動となった。

同市の中心市街地活性化の方策の一つとして「まちなか観光の推進」を掲げているが、非日常性を感じる異空間の創出とおもてなしとの相乗効果により、まちなかを散策する観光客が増加した。

事業の課題

七日町の取組みやアネッサクラブの活動は、対外的にも評価を得て訪れる観光客が増えているが、特に店舗の修景には助成制度の活用はあるものの多額の経費がかかることから、いかに継続していくかが課題である。また、同市は城下町特有の狭隘道路であるため、歩行者が安心してまちなか散策が行えるよう道路整備を進めることも課題となっている。