山形県米沢市 粡町(あらまち)通り商店会
国道を歩行者天国に「ドラマチック戎市(えびすいち)」
商店街の後継者グループによる生き残りをかけた路上大テント市。地域との連携により、後継者グループの組織強化を実現。
事業実施の背景

米沢市は山形県の南に位置し、上杉氏の城下町として貴重な史跡や文化財が数多く残っている。粡町は米沢市中心市街地区域の北部に位置し、かつては門前町として市内でも一番の賑わいがあった通りである。現在は中心市街地の空洞化が深刻化し、その賑わいは過去のものとなっている。
そのような状況において、粡町通り商店会の若手メンバーで組織するプロジェクトZ隊の、『止まることを知らない中心市街地の空洞化にブレーキを!』、『昭和の賑わいを甦らせよう!』、『今、やらなければ個店も商店街もダメになる!』という、切羽詰った、しかし熱い想いが商店街や地域住民・県・市・県警までをも動かし、東日本初となる国道を定期的に止めて歩行者天国にした大テント市を実現させた。
事業の概要

(1)商店街に面した国道を利用したテント市事業
・事業の企画からテント市出店者の募集、地域住民や警察への説明・交渉、タクシー協会やトラック協会・バス会社などとの交渉も含め、地域の小学校や幼稚園・子ども会からも協力を取り付け、国道250メートルにおよそ100張りのテントを配した大テント市を年7回実施。
・手作りのアクセサリーをはじめ趣味の工芸品、路上足裏マッサージや小学生対象の工作教室、米沢牛串焼き・路上カフェなどの飲食テントと出店者は多種多様。
・幼稚園や小学生の鼓笛パレードや本格的なサンバダンサーによるサンバパレード、様々な大道芸人によるパフォーマンス、バンド路上ライブや駐車場にリングを設置してアマチュアプロレスなどの集客イベントを実施。
(2)商店街の景観高揚を目指したウコギ生垣設置、統一暖簾掲載事業
上杉氏の城下町である米沢らしさと景観美化、商店街の統一感を演出する目的で、上杉鷹山が提唱し屋敷の生垣に推奨したといわれているウコギを商店街に設置するとともに、それぞれの商売をPOPに図案化したオレンジ色の統一暖簾を作成し全店の店先に掲載。
事業の効果

(1)集客力アップ
5月から11月までの7ケ月、毎月1回大テント市を開催し延べ10万人を超える集客を実現。にぎわいを創出し市民の行事として広く定着した。(米沢市の人口9万人弱)
(2)地域との連携確立
地域住民や小学校・幼稚園などが商店街の事業を理解し、協力体制を組んでくれるようになった。
子ども会の餅つきや小学校・幼稚園のマーチングバンドによるパレード出演、近隣寺院めぐりツアーなど商店街と地域の連携が確立された。
(3)商店街イメージ向上
全店同色の暖簾やウコギ生垣により商店街に統一感と色彩による華やかさが加わり、後継者グループへの支持とともに視覚的なイメージ向上が図られた。
(4)後継者グループの組織力強化
事業の企画・交渉・準備・実施を通して次世代を担う後継者グループの企画力・組織力が飛躍的に向上した。また、商店・商店街の市民への認知度が高まった。
事業の課題
(1)事業の自立・採算
事業をより自立性の高い継続的な取り組みにするためにも、広報宣伝費やアルバイト人件費の圧縮(ボランティア)等採算性の向上が課題となっている。
(2)個店・商店街の取組み
イベントとしての戎市の集客力は対外的にも評価は高いが、個店の売上や戎市以外の日の集客・売上増加に結びついていないのが現状。個店や商店街が戎市を“にぎわい創出”や“売上増加”のための手段としていかに利用するかが課題となっている。