秋田県鹿角市 花輪新町商店街
高齢者への癒しのカードとお店のサービス
地域の幅広い世代に商品や情報、文化を提供する「お買い場」として地域社会の核へ。
事業実施の背景

鹿角市は秋田県の北東端にあり、北奥羽三県のほぼ中央に位置する人口約3万9千人(平成14年)の都市である。
市の南部には八幡平、北部には十和田湖の国立公園と接し、市内を流れる清流も多いなど自然環境に恵まれていることから、「青垣をめぐらす鹿角」と言われている。
市域は、東西に20.1キロメートル、南北に52.3キロメートルに達し、総面積707.34平方キロメートルの広さを有し、その8割を林野が占めている。
主要産業は、農業と鉱業という時代が長く続いたが、社会経済情勢の変化とともに第3次産業の占める割合が高くなりつつある。
鹿角市の中心市街地ではいくつかの商店街が連なり、この地域の生活を支える役割を果たしてきた。「キララ新町」という愛称の花輪新町商店街も地域密着の商店街の一つである。
しかし、近年では全国的に依然厳しい経済状況、少子高齢化、モータリゼーションの進展等の諸問題が商店街活動にも影響を及ぼしている。
特に、鹿角市では急速な高齢化が進んでおり、商店街も早急に何らかの手を打たなければならない状況にある。
当商店街では、商店街としてどのような活動ができるのか、ということに着目し、高齢者に優しいまちづくりを推進するため、今後の商店街はただ商品やサービスを提供するだけでなく、地域社会の核としての公共的な役割を持つことが必要であると考えた。つまり、商店街は「売り場」としての商店群から、地域内の幅広い世代に商品や情報文化を提供する「お買い場」としての広場に変身することを目的として、特に高齢者問題に重点を置く事業を実施することに至った。
事業の概要

(1)高齢者優遇カード(すこやか会員証)の発行事業、会員拡大イベントの実施
60歳(発行当初は65歳)以上の方に対して会員証を発行。また、会員拡大イベントを実施した。
※すこやか会員証について
- 1)すこやか会員概要
- 60歳以上の高齢者に入会資格があり、特典として花輪新町商店街、他商店街の各参加店でのオリジナルサービスを受けることができる。
- 2)すこやか会員証の工夫
- 会員証には天然トルマリンパウダーが配合されており、持っているとそのマイナスイオン効果で心身ともに癒される効果を持っている。また、会員証の裏には「ライフカード」として会員の生年月日、緊急時の連絡先、かかりつけの病院、保険証番号などが記載されており、外出中万が一の場合に対応できるようになっている。
- 3)加入者数と参加店数
- 加入者数 282人 参加店数 54店
(2)高齢者、来街者との交流拠点の設置
街区内の空き地を利用し、簡易休憩所及び商店街のアーケード下にイス、テーブルの設置を行った。
(3)事業推進委員会の設置
専門家、高齢者、消費者、商店街代表者等をメンバーとする委員会を設置し、高齢者に優しいまちづくりのための検討を行った。
(4)先進地視察
シルバーカード発行に関して、先進地を視察し、当事業の実施に当たっての参考とした。
事業の効果
シルバーカードを発行するにあたり、近隣商店街にもサービス店への参加協力を呼びかけたところ、約20店の協力が得られた。
当事業を通して、実際に高齢者と接する機会があり、高齢者のニーズや高齢者社会に対応するまちづくりの課題を見いだすことができた。
会員証の内容、利用について高齢者の方に理解をしていただくのは困難であった。
今後は、当事業から得られた課題について、専門家に調査・分析を依頼し、さらに検討、改善が必要である。
事業の課題・反省点
当初予定では、500人くらいの会員獲得を目指していたが、300人弱にとどまった。マスコミを使ったPRの不足、老人会等への働きかけの問題、参加サービス店のPR不足が響いた。また、高齢者の方に会員証のメリットや内容、参加店のサービスについて理解してもらうことが大きな課題である。