北海道函館市 函館西部地区バル街
個性的な町並みと飲食店の既存資源を活用
伝統ある函館の西部地区をスペインの「バル街」に見立てて「飲み」・「歩き」を徹底的に楽しもうというユニークなコンセプトを設定。
事業実施の背景
平成16年2月16、17日に開催された「2004スペイン料理フォーラムin HAKODATE」のイベントの一つとして、「西部地区で一晩のバル街を」と名づけた飲み歩きの催しが行われた。スペインの飲食文化を代表する「バル街」を函館の西部地区に再現し、世界的なブームになっているピンチョスをつまみにお店をハシゴして歩くという企画は、西部地区の25店の飲食店の協力で行われ、400人を超す内外の参加者により大盛況で終了した。
この「バル街」終了直後から再度の実施を希望する声が多く寄せられたため、「フォーラム」実行委員会が再度集まり、「函館西部地区バル街実行委員会」を組織し、第2回以降を単独イベントとして実施することとなった。
事業の概要

「バル街」
函館の旧市街である西部地区の個性的な町並みと飲食店という既存資源を活用し、新たなイベントを創出する。
・ 一冊3,000円(600円の券が5枚つづり)を前売りチケットとして販売し、参加者はこれを購入することで当該イベントへ参加する。
・ 参加者はチケットとともに渡されるバル街マップを基に、店を選択する。
・ 参加店は、チケット半券1枚で、ドリンク1杯と各店が趣向を凝らしたピンチョス(スペインのバルで出される、ひと口かふた口で食べられるおつまみのこと)を提供する。
・ 半券は1店で1枚限りの使用が原則であり、チケット1冊で5店のはしごをすることができる。
・ イベントにかかる経費はチケット収入の一部で賄い、行政等の補助金には依存しない持続可能な仕組みづくりを指向するとともに、参加者、参加店舗それぞれにメリットが生まれるシステムを構築。
事業の効果
(1)西部地区のイメージ向上
函館の伝統をかたち作ってきたまちで、グラスをかたむける雰囲気と、それにふさわしい店が多数存在することを参加者が認識し、さらに、日常にない特別なコミュニティ空間が創出されることにより、当該地区の魅力の再発見につながった。
(2)参加店舗の認知度の向上(高いPR効果)
当該イベントを機会とし、各店舗において趣向を凝らしたピンチョスを提供するなどの経営努力の結果、新規顧客の確保や店舗のPR、リピーターの増加などに大きな効果が得られ、参加店のメリットが実感できるイベントとなっている。
(3)新たな観光資源の誕生
優れた企画力によるイベントそのものの魅力に加え、実行委員会の周到なパブリシティ戦略の成果により、わずか5回の実施にもかかわらず、その知名度は飛躍的に高まってきており、旅行エージェントが興味を示すなど、函館市の新たな観光資源として期待されている。
事業の課題・反省点
(1)組織体制の整備
補助金等に頼らない事業システムの構築を指向してきたため、経済的には自立できているが、事業運営についてはボランティアのマンパワーに頼るところが大きく、組織体制の整備が必要である。
(2)イベント回数の増加
現在、年2回(春、秋)のペースで実施しているが、回数の増加や通年化への移行について要望があり、検討が必要となっている。
(3)キャパシティの強化
平成18年4月開催の第5回には、50店が参加し、2,000人以上が参加(第1回は25店、400人)するまでに成長した。一方、店舗数に対し来店者数が多くなってきた(1店平均来客数200人超)ため、各店舗の対応能力が限界となってきており、魅力的な店舗の発掘や、イベント時間の延長、あるいは開催日の複数設定などの検討が必要となってきている(第5回では初の日曜日開催、午後2時から実施するなど改善に向けた取り組みは既に一部実施)。