付注 

付注2-1-8 取引が密な企業群の抽出方法

 ネットワーク図における企業群は、コミュニティと呼ばれる。企業をコミュニティに分割する無数のパターンのうち、コミュニティ間での取引数に対するコミュニティ内同士の取引割合が最も大きくなるような分割パターンは「最もまとまりが良く分割されている」状態であり、この時、コミュニティ内部間での取引は密であるが異なるコミュニティ間での取引は疎である状態になっている。本分析の企業の横方向の位置は、この「最もまとまりが良く分割されている」コミュニティの分割パターンを企業群のまとまりとして採用し、配置・決定されている。その具体的な手順は、以下のとおりである。

1.コミュニティの抽出
 初めに、「最もまとまりが良く分割されている」コミュニティ分割の状態を抽出する。その方法は、ネットワーク内において作成されるモジュラリティQ という指標を用いて行われる。モジュラリティQ は「分割されている状態のまとまり」を定量化したものであり、モジュラリティQ を最大化するような分割パターンを抽出することで、最適なコミュニティ分割パターンを決定する(モジュラリティQ は、各企業の取引数を保ったまま取引関係をランダムに張り替えた場合を考え、その場合の企業群内での取引割合を企業群抽出の判定規準としている。モジュラリティQ が大きいほど、コミュニティ内での取引割合が多く、コミュニティ間同士での取引割合が少ない1

(注)1. 詳細は、Clauset, Newman, Moore[2004]「Finding community structure in very large networks, Physical Review E, Vol. 70, Issue 6, p.66111」を参照。

 
付注2-1-8〔1〕図 コミュニティの分割例


付注2-1-8〔1〕図 コミュニティの分割例

2.コミュニティの横方向への配置
 次に、抽出されたコミュニティについて、コミュニティ同士の親和性を基準に、親和性が高いコミュニティは近くに、低いコミュニティは遠くに配置する。その方法は、「互いにコミュニティを融合させた場合に、どの程度モジュラリティQ が減少するか」を計算した上でコミュニティ間の距離を決定し、距離に基づいてコミュニティの位置を決定する。コミュニティ融合時のモジュラリティQ の減少幅が小さい場合は距離が短く(親和性が高い)、大きい場合は距離が遠く(親和性が低い)配置される。コミュニティ内における各企業の横方向の配置はランダムに行われる。
 
付注2-1-8〔2〕図 コミュニティの分割例


付注2-1-8〔2〕図 コミュニティの分割例



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