平成22年度において講じた中小企業施策 

第4章 その他の中小企業対策

第1節 環境・エネルギー対策
 中長期的なエネルギー価格の上昇傾向や、地球温暖化問題の高まり等を勘案すると、中小企業の低炭素化は強い経営基盤を作るためにも重要な課題となっている。
 こうした状況を踏まえ、中小企業における省エネルギー設備・再生可能エネルギー設備の導入支援や公害防止対策支援等を行った。

●具体的施策●
1.国内クレジット制度【2010年度予算:28.3億円、2010年度補正予算:15.9億円】
中小企業等が行った省エネ等の取組を評価し、これを支援する「国内クレジット制度」において、中小企業等の負担軽減のため、手続面等を支援する事業を行った。また、2010年度補正予算事業として、国内クレジット制度を活用した中小企業等の低炭素型投資を後押しするため、低炭素型設備の導入を通じたCO2排出削減見込量に相当する助成金の支給を行った。

2.カーボンフットプリント制度構築事業【2010年度予算:6.1億円】
 温室効果ガス排出量を「見える化」することで、事業者によるサプライチェーン全体の温室効果ガス削減を促し、事業者と消費者とが一体となって低炭素社会の構築に貢献するために、製品のライフサイクル全体(原材料調達〜廃棄・リサイクル)を通して排出される温室効果ガス排出量をCO2量に換算し表示する「カーボンフットプリント制度」にて、制度参加事業者への専門家派遣や全国で説明会を開催するなど、制度の構築・理解促進等の取組を進めた。また、2011年度末に発行予定であるISOの国際標準化に向けた議論に積極的に貢献した。カーボンフットプリント許諾製品は308件に上り、全国規模で説明会等を17回開催した(2011年3月時点)。

3.環境・エネルギー対策資金(公害防止対策関連)【財政投融資】
 中小企業の公害対策を促進するため、公害防止設備を導入する事業者に対して日本公庫による低利融資を行った。2010年度においては、対象設備・利率の一部を見直し、措置期間を2012年3月31日まで延長した。
 
[融資実績](2010年4月〜2011年3月)


4.公害防止税制【税制】
 中小企業者の公害防止対策に対する取組を支援するため、公害防止設備についての固定資産税の課税基準の特例及び、公害防止用設備を取得した場合の特別償却等の措置を講じた。2010年度においては、適用期限が到来する対象設備について、対象設備・償却率を見直し、対象設備の適用期限を1年延長した。

5.エネルギー使用合理化事業者支援事業【2010年度予算:270.1億円】
 事業者が計画した省エネの取組のうち、「技術の普及可能性・先端性」、「省エネ効果」、「費用対効果」を踏まえて政策的意義の高いものと認められる設備導入費(リプレースに限る)について、特に先端的な設備・技術や中小企業の取組に対する導入補助に重点を置き、年間で200件を超える補助を行った。

6.省エネルギー対策導入促進事業【2010年度予算:9.1億円】
 中堅・中小企業や業務部門を含めた工場・事業場等における省エネ対策を促進するため、専門員等による省エネ技術・設備の導入可能性に関する診断事業(約1,100件程度)、説明会開催等の取組を行った。また、エネルギー消費量を「見える化」する計測監視システムの導入を支援した。あわせて、「見える化」されたデータを活用し、簡易省エネ診断を実施した。

7.エネルギー需給構造改革推進投資促進税制【税制】
 特定の省エネルギー設備等を取得し導入する事業者等に対して、その取得価額等の30%の特別償却(中小企業者等は、取得価額等の7%の税額控除との選択が可能。なお、2009年度より2年間は、取得価額の全額を償却することができる、いわゆる即時償却制度が実施されている)を認める税制措置である。


第2節 IT化の促進
 中小企業が競争力を強化するためには、企業経営においてITを利活用することが必要不可欠である。しかしながら、中小企業においては、資金や人材等の経営資源が限られているとともに、ITに関する具体的な知識が不足がちなことから、ITを利用しにくい状況に置かれている。また、地域においては、ユーザとなる中小企業に求められるITの供給が十分に行われておらず、企業経営におけるIT利活用の促進の阻害要因となっているとともに、地域間格差是正の阻害要因にもなっている。
 そこで、ITを活用して中小企業の競争力を強化するため、IT経営の重要性の気づきを与える研修事業、中小企業IT経営力大賞等によるベストプラクティスの収集・普及事業、地域中小のITユーザ・ベンダ間の連携支援、中小ベンダ間の連携促進策、高度な情報セキュリティの確保された質の高いIT投資を促進するための税制上の措置等を講じた。

●具体的施策●
1.地域イノベーション・パートナーシップ/IT経営応援隊【2010年度予算:4.2億円の内数】
 地域のITユーザ・ベンダ間の連携強化を図る地域イノベーション・パートナーシップ構想の下、官民の連携支援ネットワークであるIT経営応援隊の取組を実施した。具体的には、中小企業にIT経営の実践を促す研修を2010年度は約200回行った。また、積極的にIT経営を実践し、他の中小企業にとって参考になる取組を表彰する中小企業IT経営力大賞等を通じて、2010年度は105件の事例を収集した。

2.政府系金融機関の情報化投資融資制度(IT活用促進資金)【財政投融資】
 中小企業におけるIT・デジタルコンテンツの普及変化に関連した事業環境の変化に対応するため、日本公庫による融資を着実に実施した。2011年3月末現在の貸付実績は、6,411件、777億円である。

3.中小企業情報基盤強化税制【税制】
 中小企業情報基盤強化税制は、大企業と比べてIT活用の遅れが顕著な中小企業の生産性の向上を実現し、高度な情報セキュリティの確保された質の高いIT投資を促進するため、一定の要件を備えたIT設備等の投資をした場合に、その投資額の30%の特別償却又は7%の税額控除の選択適用を認める措置である。取得価格要件を70万円以上とし、仮想化ソフトウェア等新たなIT設備等を加えるなど、使い易さに配慮した制度とした。


第3節 知的財産対策
 大企業のみならず、中小企業においても、技術上の発明や営業上のノウハウ等の知的財産を活用することは、企業の維持・発展を図る上で、ますます重要となっている。他方で、中小企業は、大企業と比べて自らの知的財産を保護するための十分な知識や人材、資金を持つことが困難であるため、知的財産制度に関する啓発、知的財産保護のための外部人材の活用等が重要な課題となっている。このため、中小企業に対する相談や人材派遣等の事業を実施した。

●具体的施策●
1.中小企業の知財に関する「課題解決型相談・コンサルティング」【2010年度予算:8.1億円】
 中小企業等の企業経営の中で生じる知的財産に関する悩みや課題を一元的に受け付けるワンストップ相談窓口を47都道府県に開設し、悩みや課題を正確に把握・認識して適切な解決方策を導き出す専門のコーディネーターを配置し支援を実施した。
 2011年3月末時点では、相談窓口におけるコーディネーター対応(26,560人)、コーディネーターが選定した知財専門家の中小企業等への派遣(1,744回)、知財専門家による無料相談会の開催(6,191回)、電子出願支援(4,173人)を実施した。

2.特許流通促進事業【INPIT交付金】
 知的財産の活用を促進するため、(独)工業所有権情報・研修館(INPIT)において専門家派遣等の各種事業を実施した。2010年度は、特許情報活用支援アドバイザーによる中小企業等に対する訪問指導を10,849件実施し、特許流通アドバイザーの支援に基づくライセンス契約等の成約件数は、1,272件に上った。

3.中小企業等特許先行技術調査支援事業【2010年度予算:5.3億円】
 中小企業等の審査請求前の特許出願について、出願人の依頼に応じて、特許庁から委託を受けた民間調査事業者が先行技術調査を行い、審査請求するか否かを判断する際の参考となる情報を提供した。2010年度の実績は6,572件に上った。

4.特許出願技術動向調査【2010年度予算:6.2億円】
 研究開発戦略や知的財産戦略構築を支援するために特許出願動向等について調査を行い、特許庁ホームページ等を通じて情報発信した。2010年度は「風力発電」等の環境・エネルギー技術、「ドラッグデリバリーシステム(DDS)」等のライフサイエンス技術、「レーザ加工技術」等のものづくり技術といった12の技術テーマについて実施した。

5.地域中小企業知的財産戦略支援事業【2010年度予算:1.7億円】
 中小・ベンチャー企業に対して、一定期間集中的に知的財産の専門家を派遣し、企業経営における知的財産の戦略的な活用を支援する事業、及び戦略的に外国出願を行い海外展開をしようとする中小・ベンチャー企業を支援する事業を都道府県等中小企業支援センターを通じて実施した。2010年度の支援実績は、コンサルティング事業32社、外国出願支援事業71社に上った。

6.知的財産権制度、産業財産権制度に関する普及【2010年度予算:0.8億円】
 知的財産権に関する基礎的な知識や情報、審査基準の内容や運用のための指針、法改正に関する内容等を広く周知することによって、知的財産権の取得や活用等を促進するため、全国各地で初心者、実務者等の階層別に制度説明会を開催した。
 2010年度は、初心者向け説明会を47都道府県で56回開催、実務者向け説明会を全国22都市で73回開催した。

7.中小企業知的財産権保護対策事業【2010年度予算:0.3億円】
 海外展開を図る我が国の中小企業の知的財産権保護を図る観点から、ジェトロが有する海外ネットワークを活用して、中小企業の個別要望に基づいた知的財産権の侵害状況調査等の実施を支援するとともに、調査に要する経費の一部を補助した。2010年度の採択件数は13件であった。

8.特許戦略ポータルサイト【2010年度予算:0.1億円】
 特許庁ホームページ内の特許戦略ポータルサイトにおいて、パスワード交付申込みのあった出願人に対し、自社の直近10年間の特許出願件数、審査請求件数、特許査定率等のデータが掲載された「自己分析用データ」を提供した。2008年の提供開始から2011年3月末までにパスワード交付申込みのあった企業数は、1,142社であった。

9.中小企業向けの特許料等の軽減
 積極的に研究開発を行う中小企業等に対し、その研究開発成果の特許化を通じて新たな事業活動の展開ができるよう、審査請求料や特許料(第1年分から第3年(場合により第6年)分)を半額に軽減する措置を引き続き講じた。

10.審査請求料の納付繰延べ
 昨今の景気の悪化を受けて、中小企業等の資金的な負担を軽減するための緊急的な措置として、出願審査請求書の提出日から1年間に限り、審査請求料の納付を繰り延べる措置を講じた。2009年4月1日より実施し、2011年3月までの利用実績は30,628件に上った。

11.早期審査・早期審理制度
 中小企業者が早期に産業財産権を取得できるよう、出願人や審判請求人が中小企業者の場合、「早期審査に関する事情説明書」や「早期審理に関する事情説明書」を提出することにより、通常に比べ早期に審査又は審判を受けられるようにする早期審査・早期審理を実施した。


第4節 人権啓発の推進

●具体的施策●
 中小企業者等に対して、人権尊重の理念を広く普及させ、人権意識の涵養を図るため、民間団体等や地方公共団体に委託し、講演会の開催、パンフレットの作成等を実施した。【2010年度予算:1.9億円】


第5節 自殺対策に連動した支援

●具体的施策●
 2010年2月、政府の自殺総合対策会議が決定した「いのちを守る自殺対策緊急プラン」を踏まえ、2010年9月、自殺総合対策会議に自殺対策タスクフォースを設置し、同タスクフォースにおいて同年9月から12月までの年内に集中的に自殺対策を実施することを決定し、全国84か所の経営者向け法律相談及び全国250か所の経営安定特別相談室での対応強化を実施した。
 また、月別の自殺者数が最も多い3月の「自殺対策強化月間」においては、2011年3月の取組として、上記取組に加え〔1〕約400の団体・機関への当該月間の周知要請、〔2〕「中小企業ワンストップ電話相談月間」の実施、〔3〕全国約8千人の商工会・商工会議所経営指導員による巡回指導を始め、日常的な中小企業との接点できめ細かい対応を図るよう中小企業関係機関・団体に対する要請等を実施した。


第6節 調査・広報の推進

●具体的施策●
1.施策の広報
 中小企業施策を広報するため、施策のポイントをまとめたパンフレットやチラシを作成し、各地方公共団体や中小企業支援機関等に配布したほか、イベント「一日中小企業庁」の開催等により、広く広報を実施した。
(1)冊子類の発行
 中小企業施策を網羅した「施策利用ガイドブック」、施策別のパンフレットのほか、ポケットブック「中小企業の皆さんを応援します」を作成し、中小企業、地方公共団体、中小企業支援機関、金融機関、中小企業を支援する税理士、弁護士、中小企業診断士等に広く配布した。
(2)チラシの発行
 最新の中小企業支援施策を分かり易く紹介する「中小企業を応援します」チラシを毎月発行するとともに、緊急に知らしめる必要のある施策のチラシを作成し、冊子類と同様広く配布した。
(3)「一日中小企業庁」の開催
 開催地の都道府県と中小企業庁が共催し、地元中小企業者の方々に最新の施策を説明し、理解を深めていただくとともに、意見交換や交流の場を設け、今後の中小企業施策の見直し・拡充等に反映させるイベントを開催した。1964年度以来、毎年度開催しており、2010年度は、三重県、福島県において開催した。これまでの開催実績は54回。
(4)インターネットを活用した広報
 〔1〕ホームページによる広報
 中小企業庁ホームページにおいて、中小企業施策に関する最新情報、公募に関する情報、印刷を行ったチラシ・冊子等を公表した。年間約5,266万ページビュー(2010年4月〜2011年3月末)のアクセスがあった。
 〔2〕メールマガジン
 各中小企業支援機関と連携し、元気な中小企業の紹介、施策情報、地域情報、調査・研究レポート等の情報をメルマガ登録者に、毎週水曜日に配信した。メルマガ登録総数は約68,450件(2011年3月時点)。
 〔3〕モバイル中小企業庁
 携帯電話専用の中小企業施策検索サイトを運営し、最新の中小企業支援策等の情報提供を行った。年間約30万ページビュー(2010年4月〜2011年3月末)のアクセスがあった。また、毎週水曜日に携帯版メールマガジンを配信した。登録総数は約2,700件(2011年3月時点)。
(5)J-NET21(中小企業ビジネス支援ポータルサイト)
 中小企業支援に関するポータルサイトを運営し、必要な情報源にスムーズに到達できるサービス体制を提供した。2010年度累計4,347万ページビューのアクセスがあった。

2.中小企業白書の作成等
 中小企業の現状や課題を把握するため、中小企業基本法第11条の規定に基づく年次報告等(2011年版中小企業白書)を作成するとともに、規模別製造工業生産等指数の作成等を行った。

3.中小企業実態基本調査
 中小企業の売上高、従業者数等の経営・財務情報に関する統計を整備するため、中小企業基本法第10条の規定に基づく中小企業実態基本調査を実施した。

4.中小企業景況調査の公表
 中小企業の景気動向を把握するため、四半期ごとに中小機構が実施する中小企業景況調査の公表を行った。



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