平成22年度において講じた中小企業施策 

第3章 業種別中小企業対策

第1節 中小農林水産関連企業対策

●具体的施策●
1.中小農林水産関連企業の近代化
(1)木材産業原料転換等構造改革緊急対策事業【2010年度予算:4.0億円】
 国産材の加工に必要な加工設備の導入や経営の安定等に必要な資金の借入れに対する利子助成と、品質・性能の確かな木材製品を低コストで安定的に供給するための機械設備の導入等に対する利子助成やリース料への助成を行った。
(2)競争的資金等により、以下の事業を実施した。
 〔1〕イノベーション創出基礎的研究推進事業【2010年度予算:59.9億円】
 農林水産業・食品産業等のイノベーションにつながる技術シーズの開発及び開発された技術シーズを実用化に向けて発展させるための研究開発を推進するとともに、ベンチャーの育成に資する研究開発への支援を行った。
 〔2〕新たな農林水産政策を推進する実用技術開発事業【2010年度予算:61.8億円】
 農林水産業・食品産業の発展や地域の活性化に資するため、農商工連携にも配慮しつつ産学官連携による実用化に向けた技術開発を推進した。
 〔3〕民間実用化研究促進事業【2010年度予算:17.0億円】
 バイオマスの利活用など農山漁村の6次産業化を推進するため、民間における実用化段階の技術開発及び実証試験への支援を行った。
(3)食品産業品質管理向上推進事業【2010年度予算:1.9億円】
 食品製造事業者の中小規模層におけるHACCP手法(食品の原料の受入れから製造・出荷までのすべての工程で危害の発生を防止するための重要ポイントを継続的に監視・記録する衛生管理手法)の導入の加速化、及びHACCP手法の導入が困難な零細規模層に対して一般的衛生管理を徹底させるための取組を支援した。
(4)水産物フードシステム品質管理体制構築推進事業【2010年度予算:0.9億円】
 漁船、市場、加工場など水産物流通の全段階を通じたHACCP手法の導入や、欧米等への輸出を目指す水産加工場等へのHACCP手法の導入を支援した。
(5)農商工等連携支援【2010年度予算:7.7億円】
 農商工連携の一層の推進のため、専門的なアドバイスを行うコーディネーターの活動、様々な異業種とも連携した新商品開発や販路拡大等の取組に対して支援を行った。
(6)農商工等連携促進施設整備支援【2010年度予算:7.8億円】
 農商工連携の本格的な事業化を促進するため、農林漁業者と食品事業者が安定的な取引関係を確立して行う食品の加工・販売施設や農林漁業用機械施設の整備等の支援を行った。
(7)日本公庫による各種融資【財政投融資】
 〔1〕特定農産加工業者の経営改善、〔2〕特定農林畜水産物の新規用途又は加工原材料用新品種の採用の推進、〔3〕食品製造業者等と農林漁業者等の安定的取引関係構築及び農林漁業施設の整備等、〔4〕乳業施設の改善、〔5〕水産加工業の体質強化等の推進に対して融資した。
(8)新事業創出人材育成事業【2010年度予算:0.4億円】
 農林水産業及び農山漁村に由来する「資源」の画期的な活用方法の創出等、農林水産分野における新事業の創出に全国各地で携わる人材を育成するため、大学等における寄付講座等に向けた人材育成プログラムの開発等を実施した。

2.食料、木材の流通の合理化
(1)食品産業表示推進支援事業【2010年度予算:0.1億円】
 原産地表示のためのガイドラインにより自主的に原料原産地表示を進めようとする食品産業界の事業者に対し、ガイドラインに基づく原産地表示が促進されるよう普及を推進した。
(2)森林・林業・木材産業づくり交付金による木材産業の体制整備への支援【交付金】
 地域の中小製材工場が中核工場と連携した生産品目の転換等のための施設や製紙用間伐材チップの安定供給体制整備を図るための施設整備等に対し支援を行った。
 品質・性能の明確な木材製品を低コストで安定的に供給する流通・加工施設の設備や乾燥材供給体制の整備、新たな総合利用システムのモデル的構築を図った。
(3)食品流通構造改善事業【財政投融資】
 鮮度保持等品質管理を行うための産地から小売段階まで一貫した流通システムを整備するため、食品販売業者等に対して融資した。
(4)乳業再編整備等対策事業【2010年度予算:18.3億円】
 乳業工場の広域的な再編・合理化の更なる促進を図るとともに、高度な衛生管理水準を備えた乳業施設への生産集約等に対して助成した。
(5)木材産業等高度化推進資金、林業・木材産業改善資金
 木材の生産・流通を合理化するため、木材産業等高度化推進資金による融資を行うとともに、林業・木材産業の経営改善等を実施するため、林業・木材産業改善資金を融資した。


第2節 中小運輸業対策

●具体的施策●
1.倉庫業への支援
 経済・社会環境の変化の中で高度化する物流ニーズに対応すべく、施設における物流機能の高度化の推進を行った。

2.自動車分解整備事業の支援
 自動車分解整備事業の近代化に必要な資金調達の円滑化を図るため、自動車整備近代化資金制度の適正な活用により、債務保証及び利子補給を行った。

3.内航海運・国内旅客船事業対策
(1)海上交通の低炭素化事業【2010年度予算:1.0億円】
 モーダルシフトの主要な担い手であるフェリー・内航海運の低炭素化等を行うことにより、競争力の確保・活性化を図った。
(2)海上交通低炭素化のための内航海運船舶関連投資の促進【2010年度補正予算:29.9億円】
 海上交通事業者のシャーシ等輸送機器の導入の取組を支援することで、海上交通ネットワークの利用を促進し、環境負荷低減や物流コスト削減等を図った。また、(独)鉄道建設・運輸施設整備支援機構(以下「鉄道・運輸機構」という)の船舶共有建造制度を活用し、船舶の共有建造を行う海運事業者を対象に、省エネ対策及び内航フィーダーの充実に資する共有建造について、船舶使用料の一定割合を軽減した。
(3)内航海運暫定措置事業
 内航海運暫定措置事業の円滑かつ着実な実施を図るため、同事業に要する資金について政府保証枠の設定による支援措置を講じた。
(4)船舶共有建造制度を活用した環境にやさしく効率性の高い内航船の建造促進
 内航海運業の活性化を図るため、鉄道・運輸機構の船舶共有建造制度を活用し、スーパーエコシップ等の環境にやさしく効率性の高い船舶の建造を促進した。スーパーエコシップについては、2011年4月現在、19隻が就航済みであり、3隻が建造中。

4.中小造船業・舶用工業対策
 景気対応緊急保証制度の特定業種指定を受け、経営の安定のためのセーフティネットの確保に取り組んだ。また、経営技術の近代化に向けた講習会を全国8か所で実施するとともに労働災害の防止に向けて統括安全衛生責任者研修会を全国3か所で実施した。更に、船舶からの二酸化炭素排出削減に向けた省エネルギー技術等の開発を支援(技術開発プロジェクト全22件のうち、中小企業の参加するプロジェクトは12件)するとともに、鉄道・運輸機構による新技術の実用化支援等を通じ、技術力の強化等に取り組んだ。


第3節 中小建設・不動産業対策

●具体的施策●
1.建設業における人材確保・育成
(1)建設産業の将来の人材の確保・育成を図るため、建設技術者・技能者による学校での生徒への講義や実践的指導など、地域の建設業界と工業高校等が連携した取組(5地域)に対し支援を行った(文部科学省と国土交通省の連携事業)。【2010年度予算:文部科学省1.0億円の内数、国土交通省0.2億円】
(2)建設生産物の品質の確保、生産性の向上等を図るために、施工現場で中核的な役割を担う登録基幹技能者の確保・育成を推進するとともに、その活用を図るため、一部直轄工事において総合評価落札方式(試行)における評価を実施した。
(3)建設現場において「ものづくり」に携わる方の誇りと意欲を増進し、その社会的評価の向上を図るために、優れた建設技能労働者411名に対し、優秀施工者国土交通大臣顕彰(建設マスター)を実施した。

2.建設業の経営力の強化
(1)農林業、観光分野等の団体や地方自治体との連携により、地域活性化や新事業展開を図ろうとする建設企業を支援する「建設業と地域の元気回復助成事業」により、156の事業者を選定し、経費助成を行った。
(2)建設企業が連携の強化を図り、技能者等を新規に雇用することにより、維持管理、エコ建築、耐震、リフォーム等の成長が見込まれる市場の開拓を図る事業を支援する「建設企業の連携によるフロンティア事業」を創設した。【2010年度補正予算:11.0億円】
(3)中小・中堅建設企業の新分野進出や経営革新、経営基盤強化の取組を円滑化するため、ワンストップサービスセンター事業を実施し、建設企業が関連するサービスを1か所でまとめて受けられる経営相談窓口を都道府県ごとに設置し、関係省庁等と連携して支援した。【2010年度予算:1.4億円】

3.建設業における金融支援
(1)建設業の資金調達の円滑化を図るため、建設企業が公共工事発注者に対して有する工事請負代金債権について未完成部分を含め流動化を促進すること等を内容とした地域建設業経営強化融資制度を実施した。本制度を利用する建設企業は、国の助成により、金利負担等の軽減が図られる。なお、2010年度補正予算により、対象工事に病院、福祉施設、PFI等の公共性のある民間工事を追加した上で、2010年度末までの事業期間を2011年度末まで延長した。【2010年度補正予算:3.2億円】
(2)下請建設企業又は資材業者の経営及び雇用の安定、連鎖倒産の防止等を図るため、下請建設企業等が元請建設企業に対して有する工事請負代金等に係る債権の支払をファクタリング会社が保証する場合に、下請建設企業等の保証料負担を軽減するとともに、保証された債権の回収が困難となった際の保証債務の履行のためファクタリング会社に発生する損失を補償することにより、下請建設企業等の有する債権の保全を促進する下請債権保全支援事業を実施した。なお、2010年度補正予算により、保証の対象となる元請建設企業に係る要件を大幅に緩和した上で、2010年度末までの事業期間を2011年度末まで延長した。【2010年度予算:8.1億円、2010年度補正予算:32.4億円の内数】

4.建設業の海外展開支援【2010年度予算:0.2億円】
 海外事業に必要となる知識・ノウハウを提供することにより、海外事業経験に乏しい地方・中小建設企業の海外展開を支援するため、地方・中小建設企業を対象として、専門家によるアドバイザー事業及び海外展開セミナー(全国5か所)等を実施した。

5.中小不動産業者に対する金融措置
 (財)不動産流通近代化センターによる中小不動産業者の協業化円滑化資金、共同施設資金等、事業者団体等の協業化のための資金等についての債務保証を行った。

6.中小住宅生産者の活性化・技術力向上
(1)中小住宅生産者による地域材等を活用した木造の長期優良住宅の整備に対して支援を行った。【2010年度予算:50億円の内数】
(2)地域の大工・工務店や木材生産者等が連携して行う木造住宅の供給体制整備、普及推進、その他の取組に対して支援を行った。【2010年度予算:5.5億円】

7.不動産流通市場の整備
 指定流通機構制度のより一層の普及を図るため、同制度に対する消費者の認知度や関心度を高めるとともに消費者から信頼を得ることが必要であり、指定流通機構(レインズ)が保有する不動産取引価格情報を活用した情報提供の取組を支援し、不動産流通市場の一層の整備を促進した。


第4節 生活衛生関係営業対策

●具体的施策●
1.生活衛生関係営業対策【2010年度予算:4.9億円】
 生活衛生関係営業(以下「生衛業」という)の振興を図るため、生活衛生営業指導センターにおいて、以下の事業を実施した。
(1)生衛業における省エネルギー対策を推進するため、各業種ごとのガイドラインの作成等を行う省エネルギー実施促進事業を実施した。
(2)生衛業の後継者確保に関する取組を支援するため、若年者の生衛業への就職促進を目的としたインターンシップ制を導入するためのモデル的事業を行う後継者育成支援事業を実施した。
(3)大企業の進出等による競争の激化に対して、生衛業がその地域の実情に即した営業形態に転換することを支援するため、検討会の開催、消費者・利用者の意識調査を行うとともに新たに構築された営業形態によるモデル的事業を実施する経営改善推進事業を実施した。
(4)生活衛生同業組合連合会等の自主的活動により消費者サービスの向上、地域福祉増進、人材の育成、衛生水準の向上等を図る事業を実施した。
(5)商店街等の生活圏単位のまちづくりを支援するための検討会の開催、意識調査、生衛業マップの作成等を行うまちおこし推進事業を実施した。

2.生活衛生関係営業に関する貸付【財政投融資】【2010年度予算:12.2億円】
 日本公庫及び沖縄公庫において、振興計画に基づき営業を行う生活衛生関係営業者に対し低利融資を行った。2010年度(速報ベース)は、日本公庫においては10,719件、59億円、沖縄公庫においては457件、35.2億円の融資を実施した。
 また生活衛生同業組合や都道府県生活衛生営業指導センターの特別相談員や経営指導員が経営指導を行うことによって日本公庫及び沖縄公庫が無担保・無保証人で融資を行った(衛経融資)。2010年度(速報ベース)は、日本公庫においては1,362件、39億円、沖縄公庫においては、155件、5.9億円の融資を実施した。


第5節 サービス産業対策
 金融界に端を発する世界的な不況の影響やデフレ経済の長引く中、雇用を確保し、賃金水準を上昇させるにはサービス産業においても生産性向上の取組と具体化が課題であった。そこで、2007年度からの3年間でサービス事業者の生産性向上のための各種支援策を実施し、その成果を蓄積した。また2010年度は、蓄積した成果を元に、中小企業での容易な活用を可能とするためのツールを開発し、普及・啓発を行った。

●具体的施策●
1.中小サービス事業者の生産性向上のための業務改善標準フレームワークの策定【2010年度予算:2.7億円の内数】
 これまでに、300以上の優秀なサービス事業者の取組や改善事例を収集した。それらの事例から、中小サービス事業者が生産性向上を実施するための共通項を取り出して、業務改善のための標準フレームワークを開発し、チェックシート・マニュアルとともに提供した。

2.「中小サービス評価診断システム(SES)」の開発【2010年度予算:2.7億円の内数】
 他国の先行事例を分析し、開発した日本顧客満足度指数(JCSI)の思想と調査の仕組みを踏まえ、中小サービス事業従事者が、効率よく、安価に活用できる中小企業版の簡易顧客満足度調査の仕組みを開発し、経営改善に役立てるための具体的な利用法と活用イメージをあわせて発信することで、顧客満足度重視経営への取組を喚起すべく提供した。



前の項目に戻る     次の項目に進む