平成22年度において講じた中小企業施策 

第1章 中小企業を幅広く支援する

第1節 資金繰りの円滑化
 2008年秋に発生した世界的な金融危機を受け、特に中小企業者においては、受注の減少や収益の大幅な悪化など厳しい経営状況が続いていたことから、2008年度後半、2009年度に引き続き2010年度も中小企業資金繰り対策として、総額57兆円の事業規模で景気対応緊急保証やセーフティネット貸付、条件変更の推進等を実施してきた。
 このような中小企業資金繰り支援策の効果もあり、資金繰りDI(中小企業庁・中小企業基盤整備機構「中小企業景況調査」)は2010年度第2四半期にはリーマン・ショック前の水準以上に回復し、その後も回復傾向にあった。また、同年度には、新規の資金需要とともに景気対応緊急保証の実績は落ち着いてくる(年間実績8.1兆円、対前年度比19%減)一方、条件変更や借換えに対するニーズが高まっていた(公的金融機関による条件変更実績8.4兆円、対前年度比33%増)。
 こうした背景も踏まえ、2010年9月10日に閣議決定された「新成長戦略実現に向けた3段構えの経済対策〜円高、デフレへの緊急対応〜」に基づき、2010年度予算経済危機対応・地域活性化予備費(以下「予備費」という)を活用し、信用保証協会による保証付貸付の条件変更の推進等を行い、さらに10月8日に閣議決定された「円高・デフレ対応のための緊急総合経済対策〜新成長戦略実現に向けたステップ2〜」に基づき、2010年度補正予算を通じ、〔1〕ニーズの高まっている借換保証や条件変更の推進、〔2〕特に業況の悪化している中小企業向けのセーフティネット保証や小規模企業向けの小口保証等の対策の重点化、〔3〕(株)日本政策金融公庫(以下「日本公庫」という)等による借換えやセーフティネット貸付等の直接貸付の充実等の総額15兆円規模の資金繰り支援策を実施した。
 また、民間金融機関においても、2009年12月に施行された、中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律(以下「中小企業金融円滑化法」という)により、中小企業者向け貸付にかかる貸付条件変更等の実行の割合が、9割を超える水準となっているなど、着実に金融円滑化に向けた取組が進捗した。加えて、日本公庫や(株)商工組合中央金庫(以下「商工中金」という)においても、中小企業金融円滑化法の趣旨等を踏まえ、同様の対応が行われた。
※なお、上記の資金繰りDIは、東日本大震災が発生した2011年3月は、大幅に悪化した。震災に関連して講じた施策については、第5章に記載する。

●具体的施策●
1.景気対応緊急保証の実施
 景気対応緊急保証は、中小企業者が民間金融機関から融資を受ける際に、信用保証協会が一般の保証枠とは別枠で債務保証を行う制度である。原則として全業種を対象とする景気対応緊急保証は、現場からの声を踏まえ、指定業種の大括り化や利用企業の認定要件の弾力化により、中小企業者にとって使い勝手の良い制度に改善した。

2.セーフティネット金融の推進
 セーフティネット貸付は、社会的な経済状況の変化により、売上や収益が減少する等の影響を受けている中小企業者に対して、業種を問わず(ただし、政令で規制されている業種、農林水産業などは除く)、7億2,000万円(中小企業)、4,800万円(小規模企業)の範囲内で融資を実施するものである。また、近時の雇用環境の悪化に鑑み、所要の要件を満たした場合の金利減免措置を講じた。2011年3月末時点で、約4.3兆円を融資した。

3.中小企業金融円滑化法の実施及び期限の延長等
 中小企業金融円滑化法の施行(2009年12月)を受け、金融機関が、貸付条件の変更等を適切に行っているか等について、検査・監督を通じて検証を行った。こうした中、経済金融情勢や金融機関の金融円滑化に向けた取組状況等に鑑み、中小企業金融円滑化法の期限(2011年3月末)を1年間延長することとした。

4.貸付条件の変更等の推進【予備費:330.0億円】
 信用保証協会、日本公庫及び商工中金においても、貸付条件の変更に積極的に対応した。信用保証協会においては2010年1月から2011年3月末の目標の2兆円を大幅に上回る約7.4兆円(2011年3月末時点)の実績を挙げており、日本公庫、商工中金においては、2010・11年度の目標額3.3兆円を大幅に上回る約4.6兆円(2011年3月末時点)の実績を挙げた。

5.流動資産担保融資保証制度の推進【2010年度予算:813.0億円の内数】
 流動資産担保融資保証制度は、中小企業者が有する売掛債権や在庫を担保とした金融機関の融資に、信用保証協会が債務保証を行う制度である。個人保証や不動産担保に過度に依存しない融資制度として、普及を促進した。2001年12月から2011年3月末までに、売掛債権担保で約2.2兆円、在庫担保で約4,800億円の融資を実施した。

6.劣後ローン貸付の推進【2010年度予算:360.0億円】
 日本公庫において、創業や企業再建等への取組を行い地域経済の活力の維持、向上に資する事業を行う企業に対して、当該企業の財務体質を強化し、民間金融機関からの資金調達の円滑化を図るために、劣後ローン制度(注)を通じて融資を行った。2011年3月末時点で、220億円を融資した。
(注)期限一括償還型の貸付制度で、融資を受けた中小企業者が法的倒産となった場合に貸付金の償還順位を他の債権に劣後させるもの。中小企業事業においては、毎期の決算の成功度合いに応じて金利を変更する等の制度設計とすることにより、当該劣後ローンは、金融検査上自己資本と看做すことが可能となっている。

7.デフレに伴う実質金利高への対応策の実施
 デフレの進行に伴い実質金利上昇の下で抑制されている設備投資等の下支えを図るため、危機対応業務における指定金融機関及び日本公庫が、設備投資等資金に係る貸出金利を2年間0.5%引き下げる措置を2010年2月15日から開始した。

8.マル経融資制度【財政投融資】【2010年度予算:36.0億円】
 中小企業のうち特に小規模事業者は、経営内容が不安定であること、担保・信用力が乏しいこと等の理由から事業の生命線ともいうべき金融確保の面において、更なる措置が必要である。こうした状況に鑑み、商工会・商工会議所・都道府県商工会連合会の経営指導員が経営指導を行うことによって日本公庫が無担保・無保証人で融資を行った。また、〔1〕貸付限度額の上限を1,000万円から1,500万円、〔2〕貸付期間を、運転資金は5年以内から7年以内に、設備資金は7年以内から10年以内、〔3〕据置期間を、運転資金は6か月から1年に、設備資金は6か月から2年にそれぞれ拡充する措置を、前年度から引き続き実施した。2010年度は、37,654件、1,478億円の融資を実施した。

9.小規模企業設備資金導入制度(設備資金貸付・設備貸与)【財政投融資】
 小規模企業の創業及び経営基盤の強化に必要な設備導入を促進するため、各都道府県の貸与機関を通じ、設備資金の無利子貸付及び設備貸与を実施した。2010年度は、資金貸付は401件、設備貸与は753件行った。

10.中小企業投資育成株式会社による投資
 中小企業の自己資本の充実を促進し、その健全な成長発展を図るため、中小企業投資育成株式会社において、株式、新株予約権、新株予約権付社債などの引受けによる投資事業及び経営相談、事業承継支援等の育成事業を実施した。2011年3月末時点の投資残高は、2,223社、699億円であった。

11.貿易保険が付保された中小企業の輸出代金債権の流動化促進(商工中金との業務協力)
 関係機関と連携し、中小企業から金融機関へ譲渡した輸出代金債権に係る保険事故後の回収義務(保険事故が発生し、保険金を受け取った後も、金銭の回収に努める義務)等の被保険者義務を(独)日本貿易保険(以下「NEXI」という)が一部免除することなどにより、中小企業に対する資金供給を促進した。具体的には、2010年4月より、商工中金とNEXIとの間で業務協力に関する覚書を締結し、貿易保険付きの中小企業の輸出代金債権を担保として優遇金利で融資する制度を導入した。

12.沖縄の中小企業対策【財政投融資】
 沖縄振興開発金融公庫(以下「沖縄公庫」という)を活用した沖縄における資金繰りの円滑化をはじめとする中小企業対策については、日本公庫が行う業務・取組について沖縄公庫の業務範囲に対応するものについては同様に行うとともに、沖縄の特殊事業を踏まえた独自の貸付制度の拡充等を実施した。


第2節 財務基盤の強化
 中小企業の多様で活力のある成長発展を支援するため、経営基盤の強化等の観点から、きめ細やかな税制面の措置を講じた。
 また2010年度税制改正においては、中小企業の財務基盤の強化や生産性の向上等を図るための措置等を講じた。

●具体的施策●
1.中小軽減税率の引下げ【税制】
 中小法人に係る法人税の軽減税率(年所得800万円以下の部分に適用)について、時限的な措置として22%から18%に引き下げている。

2.中小企業投資促進税制【税制】
 中小企業者等が一定の機械装置等を取得した場合に、その基準取得価格の30%の特別償却又は7%の税額控除を認める措置の適用期限を2012年3月31日まで2年延長した。

3.中小企業の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例制度【税制】
 中小企業者等が30万円未満の減価償却資産を取得した場合において全額損金算入(合計年300万円を限度)を認める措置の適用期限を2012年3月31日まで2年延長した。

4.交際費等の損金不算入の特例【税制】
 中小法人が支出した交際費等については600万円を上限としてその90%の損金算入が認められており、その適用期限を2012年3月31日まで2年延長した。


第3節 下請取引の適正化
 親企業に比べて弱い立場にある下請中小企業に不当なしわ寄せが生じることがないように、適正な取引を推進するため、不公正な下請取引を取り締まるとともに、法律違反を未然に防止することで下請中小企業を守っていく必要がある。
 2010年度においては、公正取引委員会と連携しつつ下請代金支払遅延等防止法(以下「下請代金法」という)に基づく書面調査の実施等による下請代金法の厳格な運用、下請かけこみ寺による相談体制の強化、下請適正取引等のためのガイドラインの普及啓発を実施した。

●具体的施策●
1.下請代金法の運用強化
 下請取引の公正化、下請事業者の利益保護のため、公正取引委員会と中小企業庁が密接な協力関係の下、下請代金法を執行した。2010年度においては、公正取引委員会及び中小企業庁が事業者に対して書面調査等を実施した。
 また、改善指導を2回以上受けている親事業者等に対して、特別事情聴取を行うなど、親事業者の法令遵守の徹底を促した。
 加えて、2010年11月15日には下請取引の適正化を要請する経済産業大臣及び公正取引委員会委員長連名の通達を親事業者代表取締役(34,583社)及び関係事業者団体代表者(651団体)宛てに発出し、同法の周知徹底を図った。
 
下請代金法の運用強化


2.相談体制の強化と下請取引適正化に関する普及啓発【2010年度予算:7.1億円の内数】
 全国48か所に設置した下請かけこみ寺において、中小企業の取引に関する相談に対応した(2010年度の相談件数は4,468件、無料弁護士相談646件)。
 また、下請代金法の違反行為を未然に防止するための講習会を開催した。親事業者の調達担当者を対象とした講習会を124回、経営者層を対象とした講習会を50回開催し下請代金法及び下請中小企業振興法(以下「下請振興法」という)の一層の周知を図ったほか、全国8会場で親事業者の取組事例等を紹介し、広く下請代金法の遵守を呼びかけるシンポジウム等を開催した。
 さらに、親事業者と下請事業者の望ましい取引関係を構築するためのガイドライン(下請適正取引等の推進のためのガイドライン)を2010年6月30日に、4業種(鉄鋼産業、化学産業、紙・紙加工品産業、印刷産業)で新たに策定するとともに、既に策定している3業種(広告産業、情報通信機器産業、建材・住宅設備産業)で改訂を行い、15業種のガイドラインの説明会を243回開催した。

3.下請中小企業の振興
 下請中小企業の振興を図るため、以下の事業を実施した。
〔1〕下請取引あっせん、商談会による販路開拓支援【2010年度予算:7.1億円の内数】
 新たな取引先を開拓したい下請中小企業に対して、「ビジネス・マッチング・ステーション(BMS)(http://biz-match-station.zenkyo.or.jp/)」により、自社の希望する業種、設備、技術等の条件に合った製造委託等の企業間取引の受発注情報の提供を行った。2010年3月末現在の登録企業数は23,052社。また、広域的に新たな販路開拓を支援するため、緊急広域商談会を4会場で開催した。
〔2〕下請事業者への配慮要請等【2010年度予算:7.1億円の内数】
 下請振興法に基づく下請事業者及び親事業者がよるべき一般的基準(振興基準)等について、講習会等で周知を図った。加えて、下請事業者への配慮等を行うよう、2010年11月15日に関係事業者団体(750団体) の代表者宛てに通達を発出した。


第4節 事業再生・事業承継への対応
 中小企業の事業再生については、産業活力の再生及び産業活動の革新に関する法律(以下「産業活力再生特別措置法」という)に基づき、各都道府県の商工会議所等に中小企業再生支援協議会を設置し、企業再生に関する知識と経験を持つ常駐専門家が、中小企業の事業再生に関する相談を受け、課題解決に向けたアドバイスを実施した。また、相談案件のうち、再生のために財務や事業の抜本的な見直しが必要な企業に対して、常駐専門家と中小企業診断士、公認会計士、弁護士等の外部専門家とで編成される支援チームが、財務面・事業面についての調査(デューデリジェンス)等を行い、再生計画策定と金融機関との調整を支援した。
 さらに、地域経済の活力維持や雇用確保の観点から、中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(以下「経営承継円滑化法」という)に基づく支援(民法特例、金融支援、税制措置)及び事業承継制度の普及啓発等による中小企業の事業承継の総合的な支援を実施した。

●具体的施策●
1.中小企業再生支援協議会【2010年度予算:50.1億円】
 各都道府県の商工会議所等に設置した中小企業再生支援協議会において、収益性のある事業を有しているが財務上の問題を抱えている中小企業に対し、窓口相談による課題解決に向けたアドバイスや、関係金融機関等と調整も含めた再生計画の策定支援を行った。2010年度の実績は、相談件数1,929件、再生計画の策定完了件数364件となり、制度発足時から2010年3月末までの実績は、相談件数22,140件、再生計画の策定完了件数2,945件となった。

2.中小企業承継事業再生計画(第二会社方式)
 産業活力再生特別措置法に基づき、中小企業承継事業再生計画の認定を行い、その計画に従った事業の承継を行う場合に、許認可承継の特例措置、金融支援及び税負担の軽減措置を実施した。

3.中小企業再生ファンド
 再生に取り組む中小企業の再生計画上必要な資金供給や経営支援を実施するため、(独)中小企業基盤整備機構(以下「中小機構」という)と地域金融機関、信用保証協会等が一体となって、地域内の中小企業の再生を支援する地域型ファンドや広域的に中小企業の再生を支援する全国型ファンドの組成を促進した。2003年3月の創設以来、2010年度までに22件のファンドが創設され、ファンドの総額は794億円に上った。また、当該再生ファンドによる投資実績は2010年3月末までに156社、約328億円に上った。

4.経営承継円滑化法による総合的支援
 経営承継円滑化法には、遺留分に関する民法の特例を始めとした中小企業の事業承継に関する総合的支援を盛り込んでおり、2011年3月までに、民法特例の適用の基礎となる経済産業大臣の確認を29件実施した。

5.事業承継円滑化支援事業【中小機構交付金】
 全国各地で中小企業の事業承継を広範かつ高度にサポートするための支援ネットワーク体制の構築、中小企業支援者向けの研修や事業承継フォーラムによる中小企業経営者等への普及啓発を実施した。

6.事業継続ファンド
 事業承継問題を抱える中小企業における資金調達の円滑化を図るため、中小機構が民間投資会社や地域の金融機関とともに事業継続ファンドを組成した。2006年10月から2010年6月までにファンドの組成は6件、ファンドの出資総額は243億円、投資先企業数は14社となっている。なお、2010年7月15日より事業継続ファンドは中小企業成長支援ファンドに再編。

7.事業承継融資【財政投融資】
 日本公庫において、事業承継に要する資金(株式・事業用資産の買取資金等)を必要とする中小企業及び代表者個人に対する低利融資を実施した。

8.非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度(事業承継税制)【税制】
 事業承継税制は、後継者が経済産業大臣の認定を受けた非上場会社の株式等を先代経営者から相続、遺贈又は贈与により取得した場合において、その後継者が事業を継続することを前提に、相続税・贈与税の納税を猶予し、後継者の死亡等の一定の場合には猶予税額を免除する制度である。2009年度より事業承継税制の適用の基礎となる認定を開始し、2011年3月までに、相続税に係る認定を286件、贈与税に係る認定を96件実施した。


第5節 人材・雇用対策
 採用意欲の高い中小企業が若手人材の採用に苦戦する一方で、2010年12月1日時点の大学卒業予定者の就職内定率は過去最低の水準になるなど、若年者の雇用情勢は厳しい状態であり、ミスマッチが生じている。このため、当該ミスマッチを解消すべく、中小企業におけるインターンシップや、インターネットを通じたマッチング支援、ジョブカフェにおける採用意欲のある中小企業の掘り起こし等の事業を実施した。
 また、中小企業における即戦力人材・中核人材や、中小企業の支援人材を育成するため、研修事業を行った。
 さらに、景気の変動や経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた場合における失業の予防や雇用の安定を図るため、休業や出向を行うことにより労働者の雇用維持を図る事業主に対して、雇用調整助成金を支給するとともに、中小企業に特化した制度として、中小企業緊急雇用安定助成金を支給した。

●具体的施策●
1.新卒者就職応援プロジェクト【予備費:98.1億円】
 中小企業の人材確保・生産性向上・競争力強化と新卒者等の雇用拡大を図るため、就職の決まっていない新卒者等を対象に、中小企業における長期(原則6か月間)の職場実習(いわゆるインターンシップ)を実施した。2010年度前半で、4,988人が職場実習を行い、1,831人の雇用を実現した(雇用移行率36.7%)。また、2010年度後半以降は、既卒3年以内の未就職者等を対象に加え、職場実習を実施した。

2.中小企業採用力強化事業(ドリームマッチプロジェクト)【予備費8.7億円】
 中小企業等と大学新卒者等のマッチングを目的として、次の事業を実施した。
〔1〕インターネット上で、中小企業等と大学新卒者等のマッチング機会を提供。企業が求人票を登録すると、求人情報が会員学生に送られるとともに、企業には会員学生を案内し、企業と学生の面談を設定した。
〔2〕ブースでの企業から学生への説明だけでなく、会場内で選考も行える合同説明会を、全国7都市(札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、福岡)で合計14回開催した。
会員数は49,073名、参加企業数は5,570社、内定者数は2,284名に上った(2011年3月25日現在)。

3.ジョブカフェ事業【2010年度予算:5.0億円、2010年度補正予算9.8億円】
 雇用ミスマッチ解消のため、ジョブカフェを通じた中小企業の人材確保支援事業へ支援を行った。2010年度の経済産業省支援地域における実績は、2月までに、延べ利用者数78.8万人、新規登録者数9.5万人、就職者数4.1万人であった。

4.合同就職説明会【予備費:3.0億円】
 若手人材を求める中小企業と就職未内定の新卒者等の出会いの場を創出するため、地域の中小企業と大学との連携による合同就職説明会を、2010年度は431回開催した。

5.魅力発見ツアー【予備費:1.0億円】
 全国の学生等を対象に、意識の変革や雇用の促進を目指し、ものづくりや農業、介護サービスといった雇用ミスマッチの生じている個別産業の魅力に触れる機会を提供した。

6.実践型研修事業【予備費:8.9億円、2010年度補正予算:5.0億円】
 中小企業において中核となる人材や即戦力となる人材を育成するため、ものづくりや農商工連携等の基盤分野・成長分野において、実践型の研修を実施した。

7.中小企業ものづくり人材育成事業【2010年度予算:0.9億円】
 中小企業のものづくり人材育成・確保のため、各地域の産業界・工業高校・行政等が、学校への企業技術者の講師派遣、生徒や教員の現場実習等で連携し、工業高校等における実践的な教育プログラムの充実を図る取組を支援した。2010年度においては、2008年度に採択した国内6地域でのモデル事業を継続実施 した。

8.中小企業大学校における人材育成事業【中小機構交付金】
 全国9か所にある中小企業大学校において、中小企業支援人材の能力向上のための研修を実施するとともに、中小企業の経営者、管理者等を対象に経営課題の解決に直接結びつくような研修を実施した。2010年度は、中小企業と中小企業支援担当者の計28,415名を対象に、966回の研修を実施。

9.中小企業等の次世代の先端技術人材の育成・雇用支援事業【2010年度予算:3.7億円】
 地域における次世代産業の振興と雇用創出のため、大学・公的研究機関・自治体・中小企業等が連携し、次世代産業の担い手となる先端技術人材を雇用・育成し、中小企業等への雇用を促進する取組について支援を実施した。2010年度は13件を採択し、58名を育成した。

10.人材投資促進税制【税制】
 中小企業の人材投資を加速させるために、中小企業者の当該事業年度の労務費に占める教育訓練費の割合が0.15%以上の場合に、教育訓練費の総額の8〜12%に相当する額の税額控除を認める措置である。

11.キャリア教育民間コーディネーター育成・評価システム開発事業【2010年度予算:1.1億円】
 地域の中小企業への職場体験など民間のアイデア・経験を活用したキャリア教育を実現するため、学校と企業との仲介役となるコーディネーターを育成・評価する事業について、実施地域を9地域から14地域に拡大して実証を行い、2011年3月には、本事業の継続組織となる「キャリア教育コーディネーターネットワーク協議会」が、民間が主体となって設立された。

12.労働者の雇用維持対策【2010年度予算:7,257.0億円】
 景気の変動、産業構造の変化等の経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた場合における失業の予防や雇用の安定を図るため、その雇用する労働者について休業、教育訓練又は出向を行う事業主に対する支援として、雇用調整助成金(大企業事業主向け)及び中小企業緊急雇用安定助成金(中小企業事業主向け)を支給した。また2010年度においては、経済情勢及び雇用情勢を踏まえ、生産量要件の緩和 等について更なる見直しを行った。
 また、不正受給防止対策にも積極的に取り組み、休業等を行った労働者へのヒアリングの実施や、事業所への実地調査を強化したほか、2010年11月1日以降の支給申請分からは不正受給を行った事業主名等を公表するなど、本助成金のより一層の適正な支給に努めた。雇用調整助成金及び中小企業緊急雇用安定助成金に係る休業等実施計画届受理状況は、事業所数55,187件、対象者は1,173,486人であった(2011年3月時点)。

13.中小企業の活力をいかした新たな雇用機会の創出支援【2010年度予算:41.9億円】
 中小企業が創業・異業種進出や生産性の向上に伴い労働者を雇い入れた場合の他、中小企業の団体が雇用管理の改善の取組を行った場合についての助成等を行うことにより、雇用機会の創出の担い手である中小企業における人材の確保、魅力ある職場作り等を支援した。

14.地域再生中小企業創業助成金【2010年度予算:7.6億円】
 地域における新たな雇用創出を図るため、雇用失業情勢の改善の動きが弱い地域において、当該地域における重点分野で創業し労働者を雇い入れる事業主に対して、創業経費及び雇入れについて助成を行う地域再生中小企業創業助成金を支給した。


第6節 経営安定対策
 中小企業の経営の安定を図るため、中小企業の連鎖倒産を防止するための共済金の貸付を行う中小企業倒産防止共済制度及び小規模企業の個人事業主又は会社等の役員に対して廃業や転業等をした場合等に共済金を支給する小規模企業共済制度の両共済事業の着実な運営と推進を行った。
 災害・倒産対策としては、2010年4月に宮崎県で発生した口蹄疫により影響を受けた中小企業への支援措置として、宮崎県、熊本県、鹿児島県の3県において、商工会議所、都道府県商工会連合会、都道府県中小企業団体中央会、公的金融機関等に特別相談窓口を設置するとともに、セーフティネット貸付等の金融支援を実施した。また、宮崎県に設置した「口蹄疫復興中小企業応援ファンド」について、中小機構の災害時融資制度を活用した支援を実施した。

●具体的施策●
1.中小企業倒産防止共済制度(経営セーフティ共済制度)【中小機構交付金】
 中小企業倒産防止共済制度は、取引先企業の倒産により売掛金債権の回収が困難となった場合に、積み立てた掛金の額に応じて無利子、無担保、無保証人で共済金の貸付けを行う制度である(貸付上限額は3,200万円)。2011年3月末現在で30万社が在籍しており、2010年4月から2011年3月までの新規加入者、新規貸付金額はそれぞれ、3.1万社、195億円であった。また、第174回通常国会において成立し、2010年4月21日に公布された中小企業倒産防止共済法の一部を改正する法律(平成22年法律第25号)のうち、共済事由に私的整理の一部を追加する措置について同年7月1日に施行し、共済金を貸し付ける事由を拡大した。

2.小規模企業共済制度【中小機構交付金】
 小規模企業共済制度は、小規模企業者である個人事業主や会社等の役員が掛金を積み立て、廃業や引退をした際に共済金を受け取れる制度であり、いわば小規模企業の経営者のための「退職金制度」である。2011年3月末現在で120.9万人が在籍しており、2010年4月から2011年3月までの新規加入者は6.4万人に上った。また、第174回通常国会において成立し、2010年4月21日に公布された小規模企業共済法の一部を改正する法律(平成22年法律第24号)を2011年1月1日に施行し、共済制度の加入対象者を、個人事業主の配偶者や後継者を始めとする「共同経営者」にまで拡大した。

3.経営安定特別相談事業【2010年度予算:43.5億円の内数】
 経営の危機に直面した中小企業の経営上の様々な問題の解決に資するため、全国の主要な商工会議所及び都道府県商工会連合会に設置した「経営安定特別相談室」において倒産防止に関する幅広い分野の経営相談が円滑に実施されるよう、日本商工会議所及び全国商工会連合会の実施する指導事業等を支援した。

4.中小企業BCP普及の促進
 災害等による事業の中断を最短にとどめ、早期に事業復旧するための事前の取組であるBCP(事業継続計画)について、中小企業が策定する際の資料とするため、被災中小企業が被災時に実際に講じた対応措置の内容と効果をまとめた事例集を作成、配布した。
 また、中小企業者が策定したBCPに沿った防災施設の整備に対して、日本公庫(中小企業事業)において低利融資を実施した。2010年4月から2011年3月までの融資実績は82件、90億円であった。



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