第3部 経済成長を実現する中小企業

第2節 我が国の転業の実態23

 第1節では、我が国の起業をめぐる動向について概観し、我が国の起業活動は、数字の上では、必ずしも活発ではないものの、経済の新陳代謝やイノベーションの促進、雇用の創出、社会の多様化といった観点から、起業が経済社会に重要な影響を及ぼしていることを述べた。起業家の誕生が、我が国の経済成長の重要な一翼を担っていることは確かであるが、経済成長に必要となる旺盛な企業家精神を持っているのは、新たに生まれる起業家ばかりではない。既存の経営者の中にも、更なる成長や難局の打開のために、起業時のような企業家精神を発揮して、新分野への進出や事業転換、業種転換を行う者も存在する。そこで、第2節では、既存企業の新分野進出、事業転換、業種転換といった転業に着目して、転業の実態及び転業が経済社会に与える影響について分析し、転業による経済の新陳代謝について詳細に見ていく。

23 シュムペーターは、著書「経済発展の理論」の中でこう述べている。「だれでも「新結合を遂行する」場合にのみ基本的に企業者であって、したがって彼が一度創造された企業を単に循環的に経営していくようになると、企業者としての性格を喪失するのである。またそれゆえ、だれでも数十年間の努力を通じてつねに企業者のままでいることは稀であって、これはちょうど、どんなにわずかであっても、なんらの企業者的要因ももたない実業家の存在が稀であるのと同様である。」。



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