付注 

付注3-1-9 ベクトル自己回帰モデル(VARモデル)による開業率、廃業率の分析

1.分析概要・分析方法
 開業率、廃業率と主要な経済変数との関係を分析するために、ベクトル自己回帰モデル(Vector Auto Regression Model;VAR)を用いて、Grangerの因果性テストを行った。使用データ及びその単位根検定の結果は以下のとおりである。

2.使用データ
 使用データは1970年〜2005年の年次データを利用した。各変数の出所等は以下のとおり。
〔1〕開業率(OPEN)
 開業率は、下記に基づき算出。
 開業率=設立登記数/前年の会社数×100
 データは、法務省「民事・訟務・人権統計年報」、国税庁「国税庁統計年報書」。設立登記数については、1955年から1960年までは「登記統計年報」、1961年から1971年までは「登記・訟務・人権統計年報」、1972年以降は「民事・訟務・人権統計年報」を用いた。また、1963年、1964年の会社数は国税庁「会社標本調査」による推計値である。1967年以降の会社数には協業組合も含む。
〔2〕廃業率(CLOSE)
 廃業率は、下記に基づき算出。
 廃業率=開業率-増加率(=(前年の会社数+設立登記数-当該年の会社数)/前年の会社数×100)
 データは、〔1〕開業率と同様。
〔3〕貸出約定平均金利(ACLD)
 データは、日本銀行「経済統計年報」、「金融経済統計月報」。2004年以降は、同「貸出約定平均金利の推移」を用いて、各年12月末時点の金利を使用。年利、貸付・国内銀行ベースのものを使用。
〔4〕東証株価指数(TOPIX)
 データは、(株)東京証券取引所「TOPIXの過去の推移(終値ベース)」。第一部総合、暦年、終値ベース(2007年12月28日現在)のものを使用。
〔5〕実質賃金指数(WAGE)
 データは、厚生労働省「毎月勤労統計調査」。産業計、事業所規模30人以上、就業形態計、年平均ベースのものを使用。

3.単位根検定
 次に、上記の方法で入手・構築したデータについて、単位根検定を行うことでその性質を調べた。検定方法は、下記の様なADF(Augmented Dicky-Fuller)検定に基づいて行った。拡張項の次数は、赤池の情報量基準(Akaike information Criterion;AIC)を用いて同定した。
 
単位根検定

 ただし、yは検定対象の変数を示し、μはドリフト項、tはトレンド項、uは誤差項、β、γ、δはパラメーターを示す。
 以下は、単位根検定の結果である。ADF検定を2次階差まで実施したところ、開業率(OPEN)、廃業率(CLOSE)、貸出約定平均金利(ACLD)、東証株価指数(TOPIX)は、1次の和分過程(I(1))に従い、実質賃金指数(WAGE)は、2次の和分過程(I(2))に従っていることが明らかになった。
 
【ADF検定】
ADF検定

 以上のように、今回の推計に用いたデータは1次の和分過程に従うデータ(I(1))と2次の和分過程に従うデータ(I(2))が混在していることが明らかになった。従って、階差型VARを適用する。

4.分析結果
 
4.分析結果

5.結論
 本文及び付注3-1-10参照

 第3部 地域経済と中小企業の活性化

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