平成20年度において講じようとする中小企業施策 

第9章 研究開発・創業等の支援

第1節 中小企業のものづくり基盤技術高度化支援

 我が国製造業の国際競争力の源泉は、ものづくり基盤技術を有する中小企業が、製品等の開発・生産プロセスにおいて、川下の企業と密接な摺り合わせを実施している点にある。我が国経済を牽引していく製造業の国際競争力の強化及び新産業の創出のためには、基盤技術を担う中小企業の競争力を一層高めていくことが重要である。
 しかし、こうした中小企業は、競争の進展に伴う取引関係の変化や、技術の高度化・専門化による技術開発リスクの上昇など、様々な課題に直面している。
 このため、「中小ものづくり高度化法」を平成18年6月に施行し、基盤技術に関する研究開発への支援や環境整備の施策を展開する。

1.ものづくり中小企業の研究開発支援
(1)技術高度化指針(技術別指針)の策定及び研究開発等計画の認定
 「中小ものづくり高度化法」に基づき、「特定ものづくり基盤技術」(鋳造、鍛造、めっき等)を指定し、技術毎に中小企業が目指すべき技術開発の方向性を取りまとめた「特定ものづくり基盤技術高度化指針」を策定した。また、当該指針に基づき、中小企業が作成した特定研究開発等計画を国が認定し、支援する。

(2)戦略的基盤技術高度化支援事業 
 我が国経済を牽引していく産業分野の競争力を支える基盤技術(鋳造、鍛造、めっき等)の高度化等に向けて、中小企業が行う革新的かつハイリスクな研究開発や、生産プロセスイノベーション等を実現する研究開発を支援する。(継続)(予算額6,805百万円+中小機構運営費交付金の内数)

2.ものづくり基盤技術高度化のための環境整備
(1)川上・川下間のネットワークの構築支援 
 基盤技術を担う川上中小企業と川下産業間の緊密なコミュニケーションを通じた「川上中小企業が行う技術開発の不確実性の低減」「情報の非対称性の解消」を図るため、川上中小企業と川下産業との「出会いの場」の創出、ネットワーク構築に向けた取組を支援する。(継続)(予算額190百万円)

(2)中小企業ものづくり人材育成事業 
 中小企業の人材育成・確保を図るため、高専等の設備を活用した中小企業の若手技術者育成カリキュラムの開発、各地域の産業界・工業高校・行政等の連携による実践的教育プログラムの充実など人材育成支援策を実施する。(継続)(予算額762百万円)

(3)基盤技術の承継の円滑化 
 ものづくり中小企業が保有する熟練技能者の暗黙知となっていた設計・加工ノウハウ等をデジタル化・体系化し自社内で蓄積することを可能にし、汎用性の高いソフトウェアを開発する。併せて、蓄積されたノウハウ等を生産活動で活用するために、業務用アプリケーション(生産管理、品質管理、出荷管理等)を設計する知識のない中小製造業者が自ら作成可能となる支援ツールを開発し、成果を中小企業に提供することにより、中小企業の基盤技術継承を支援する。(継続)(予算額153百万円)

(4)知財駆け込み寺事業(中小企業知的財産啓発普及事業等)
 知的財産の創造・活用・保護の面で課題を抱える中小企業が知的財産関係の情報を得られるように公的機関等に取り次ぐゲートウェイ機能として、商工会・商工会議所に設置された「知財駆け込み寺」の機能強化等を目的に、経営指導員向けの「相談対応マニュアル」や知的財産の啓発普及のための「ポスター」、「リーフレット」の作成等の各種支援を行う。(継続)(予算額56百万円)
 
第2節 技術革新の促進

 我が国のものづくりを担うやる気と能力のある中小企業が元気になることが経済の活性化や国際競争力の強化には必要不可欠であり、世界トップレベルの優れた技術力を持つ中小企業を多数輩出するため、新事業・新分野に果敢に挑戦する中小企業の技術開発を強力に支援する。

1.中小企業技術革新制度(SBIR制度)
(1)中小企業技術革新制度(SBIR制度)
 「中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律」に基づき、新産業創出につながる新技術開発のための特定補助金等の指定、支出目標等の方針の作成、中小企業者等への支出の機会増大を図るとともに、特許料等の減免措置、信用保証の特例等の事業化支援措置を行う。

(2)SBIR段階的競争選抜技術革新支援事業
 調達を行う国等の機関が中小・ベンチャー企業からの採用を見込む技術的課題を設定し、ハードルの高い研究開発の前に、同テーマで数件のF/Sを公募し、幅広い企業に参入の機会を提供する。(新規)(NEDO運営費交付金の内数)

2.中小企業・ベンチャー挑戦支援事業
 中小企業等の技術シーズ、ビジネスアイデアを市場につなげるため、中小企業等が行う実用化研究開発に要する経費や事業化に向けた販路開拓等に要する経費の一部を補助するとともに、ビジネスプランの具体化に向けたコンサルティング等を一体的に実施し、創業・新事業展開を支援する。(継続)(予算額421百万円+中小機構運営費交付金の内数)

3.イノベーション実用化助成事業
 研究開発型ベンチャー企業等の民間企業による全国レベルで優れた先端技術の実用化開発に対して助成支援を行う。なお、平成19年度に統合した大学等の産学連携向け「大学発事業創出実用化研究開発事業」は地域イノベーション協創プログラムの一部として整理し分離。(継続)(予算額3,100百万円)

第3節 中小企業の知的財産対策

 中小企業における知的財産の保護とその効果的な活用を支える環境整備を図るため、以下の事業を実施する。

1.中小企業知的財産権保護対策事業
 海外展開を図る我が国中小企業の知的財産権保護を図る観点から、(独)日本貿易振興機構の有する海外ネットワークを活用して、中小企業の個別要望に基づいた知的財産権の侵害状況調査等を実施する。(継続)(予算額31百万円)

2.地域中小企業知的財産戦略支援事業
 独自の基盤技術を持ち、今後、自ら経営戦略の一環として、知的財産戦略に基づいた事業展開を図っていく中小企業に対する知的財産戦略づくり、戦略的な外国出願を支援するとともに、地域における中小企業の知的財産戦略支援人材の育成を図る。(継続)(予算額475百万円)

(1)知的財産戦略策定支援事業
 都道府県等中小企業支援センターを通じ、地域の中小・ベンチャー企業に対して知的財産の専門家を一定期間集中的に派遣する支援を実施する。(継続)(予算額116百万円)

(2)地域中小企業外国出願支援事業
 都道府県等中小企業支援センターが実施する地域の中小・ベンチャー企業に対して特許の外国出願に要した費用を助成する事業に対する支援を実施する。(新規)(予算額141百万円)

(3)地域における知的財産戦略支援人材の育成事業
 法律、技術等の専門家による支援チームを各地域で育成・組織化し、支援チームによる中小企業の知的財産戦略策定の支援事例を蓄積し、その成果の普及啓発等を図る。(継続)(予算額218百万円)

3.中小企業・ベンチャー挑戦支援事業
 (再掲 第9章第2節2.を参照のこと)

4.中小企業等特許先行技術調査支援事業
 中小企業等の審査請求前の特許出願について、出願人の依頼に応じて、特許庁から委託を受けた民間調査事業者が先行技術調査を行い、審査請求するか否かを判断する際の参考となる情報を提供する。(継続)(予算額639百万円)

第4節 産学官の連携の促進

1.産業技術研究開発事業(中小企業支援型)
 先端的な研究開発活動を行う中小・ベンチャー企業に対して、高度で豊富な研究資源(技術シーズ、人材、施設・設備等)を有する公的研究機関による共同研究の実施等を通じて支援を行う。(継続)(予算額718百万円)

2.産学連携人材育成事業
 大学と産業界との対話を促し、人材育成に係る諸課題の解決を図る「産学人材育成パートナーシップ」での検討を踏まえ、産学連携による実践的教育プログラムの開発や、その実証等を行う。また、地域中小企業の技術者育成や、キャリア教育の推進、産業技術の理解の醸成等といった、小中高校の段階における実践的な産学連携プログラムの充実を図る。(新規)(予算額2,822百万円)

第5節 新事業活動への密接な支援

1.新連携活動促進事業
 異分野の中小企業が有機的に連携し、その経営資源(技術、販路等)を有効に組み合わせて新事業活動を行うことにより、新たな事業分野の開拓を図る取組(新連携)に対して支援を行う。

(1)新連携対策支援事業
 「中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律」に基づく「異分野連携新事業分野開拓計画」の認定を受けた代表者が当該計画に従って行う取組や、優れた経営資源を有する中小企業が具体的事業化を図るため他者と連携体を構築する取組に要する経費を補助する。(継続)(予算額2,737百万円)

(2)新連携支援地域戦略会議推進事業
 「新連携支援地域戦略会議」を設置し、中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律に基づく「異分野連携新事業分野開拓計画」に取り組む中小企業に対し、各種専門家がアドバイス等を行う。(継続)(予算額954百万円)

2.新市場創出支援活動事業
 ベンチャー・中小企業の販路拡大、事業提携、事業資金の確保等のため、マッチング機会を提供するとともに、施策及び成果の普及・啓発のため、先進的事例の紹介、フォーラム等を開催する。さらに地域中小企業の取引機会拡大のための地域資源を活用した新商品等の展示・販売を支援する。(継続)(中小機構運営費交付金の内数)

3.販路開拓コーディネート事業
 優れた新製品、新技術及び新サービス等を持ちながら、全国市場など広域的な販路開拓を行う手がかりがない等、自ら販路開拓が困難な中小企業に対し専門家派遣や経験・人脈の豊富な販路ナビゲーターと中小企業のマッチングの場を設ける等の支援を実施する。(継続)(中小機構運営費交付金の内数)

4.エンジェル税制
 起業期のベンチャー企業への個人投資家(いわゆるエンジェル)からの資金供給をより促進するため、個人投資家が以下の要件を満たす一定のベンチャー企業に出資した金額について、1,000万円を限度として、寄附金控除を適用する制度を創設する。
〔1〕 設立1年目の株式会社
 … 中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律に規定する特定新規中小企業者であるもの
〔2〕 設立2年目又は3年目の株式会社
 … 特定新規中小企業者であって前事業年度及び前々事業年度における営業活動によるキャッシュ・フローが赤字であるもの

5.「がんばれ!中小企業ファンド」への出資
 優れた技術やアイデアを有する中小企業の新事業展開・第二創業に対し、(独)中小企業基盤整備機構が目利き能力、販売網などを有する民間主体とともに「がんばれ!中小企業ファンド」を組成し、資金供給や販路拡大等の経営支援をきめ細かく行うことにより、中小企業の新事業展開を支援する。(継続)

6.「ベンチャーファンド」への出資
 国内のアーリーステージにあるベンチャー企業等に対する投資促進のため、(独)中小企業基盤整備機構が民間のベンチャーキャピタルとともに「ベンチャーファンド」を組成し、中小ベンチャー企業等への投資・ハンズオン支援を行い、中小企業の新事業展開を資金面及び経営面から支援する。(継続)

7.新創業融資制度
 ビジネスプランを的確に審査し、無担保・無保証人で創業者等に融資を行う「新創業融資制度」を実施し、創業促進及び雇用創出を図る。(継続)

 第9章 研究開発・創業等の支援

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