平成19年度において講じた中小企業施策 

第5章 ものづくり中小企業の高度化支援

第1節 中小企業のものづくり基盤技術高度化支援

 我が国製造業の国際競争力の源泉は、ものづくり基盤技術を有する中小企業が、製品等の開発・生産プロセスにおいて、川下の企業と密接な摺り合わせを実施している点にある。我が国経済を牽引していく製造業の国際競争力の強化及び新産業の創出のためには、基盤技術を担う中小企業の競争力を一層高めていくことが重要である。
 しかし、こうした中小企業は、競争の進展に伴う取引関係の変化や、技術の高度化・専門化による技術開発リスクの上昇など、様々な課題に直面している。
 このため、「中小ものづくり高度化法」を平成18年6月に施行し、基盤技術に関する研究開発への支援や環境整備の施策を展開した。

1.ものづくり中小企業の研究開発支援
(1)技術高度化指針(技術別指針)の策定及び研究開発等計画の認定
 「中小ものづくり高度化法」に基づき、「特定ものづくり基盤技術」(鋳造、鍛造、めっき等)を指定し、技術毎に中小企業が目指すべき技術開発の方向性を取りまとめた「特定ものづくり基盤技術高度化指針」を策定した。また、当該指針に基づき中小企業が作成した特定研究開発等計画を国が認定し、支援した。

(2)戦略的基盤技術高度化支援事業 
 我が国経済を牽引していく産業分野の競争力を支える基盤技術(鋳造、鍛造、めっき等)の高度化等に向けて、中小企業が行う革新的かつハイリスクな研究開発や、生産プロセスイノベーション等を実現する研究開発を支援した。(継続)(予算額7,061百万円+中小機構運営費交付金の内数)

2.ものづくり基盤技術高度化のための環境整備
(1)川上・川下間のネットワークの構築支援
 基盤技術を担う川上中小企業と川下産業間の緊密なコミュニケーションを通じた「川上中小企業が行う技術開発の不確実性の低減」「情報の非対称性の解消」を図るため、川上中小企業と川下産業との「出会いの場」の創出、ネットワーク構築に向けた取組を支援した。(継続)(予算額190百万円)

(2)戦略的基盤技術高度化支援事業
 (再掲 第5章第1節1.(2)を参照のこと)

(3)中小企業ものづくり人材育成事業
 中小企業の人材育成・確保を図るため、高専等の設備を活用した中小企業の若手技術者育成カリキュラムの開発、各地域の産業界・工業高校・行政等の連携による実践的教育プログラムの充実など人材育成支援策を実施した。(新規)(予算額536百万円)

(4)計量標準による技術の精度・信頼性の客観的な証明
 中小企業が行う加工・製造プロセスの精度・信頼性を客観的に証明し、製品の市場への供給を支援するため、試験検査機関等による中小企業向けの精度管理システムの構築や人材育成、施設整備等計量標準供給基盤の強化を行った。(継続)(予算額300百万円)

(5)基盤技術の承継の円滑化 
 熟練技能者の暗黙知となっていた設計・加工ノウハウ等をデジタル化・体系化し自社内で蓄積することを可能にするソフトウェアを開発した。併せて、蓄積されたノウハウ等を活用できる生産管理システム等を中小製造業者が自ら作成するための支援ソフトウェアを開発し、成果を中小企業に提供することにより、中小企業の基盤技術継承を支援した。(継続)(予算額271百万円)

(6)知財駆け込み寺事業(中小企業知的財産啓発普及事業等)
 知的財産の創造・活用・保護の面で課題を抱える中小企業が知的財産関係の情報を得られるように公的機関等に取り次ぐゲートウェイ機能として、商工会・商工会議所に設置された「知財駆け込み寺」の機能強化等を目的に、経営指導員向けの「相談対応マニュアル」や知的財産の啓発普及のための「ポスター」、「リーフレット」の作成等の各種支援を行った。(継続)(予算額100百万円)
 我が国のものづくりを担うやる気と能力のある中小企業が元気になることが経済の活性化や国際競争力の強化には必要不可欠であり、世界トップレベルの優れた技術力を持つ中小企業を多数輩出するため、新事業・新分野に果敢に挑戦する中小企業の技術開発を強力に支援した。

第2節 技術革新の促進

1.中小企業技術革新制度(SBIR制度)
 「中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律」に基づき、新産業の創出につながる新技術開発のための特定補助金等の指定、支出の目標等の方針の作成、中小企業者等への支出の機会の増大を図った。さらに、その技術開発の成果を事業化につなげるために、特許料等の減免措置、特別貸付制度、信用保証の特例などの措置により支援を行った。

2.中小企業・ベンチャー挑戦支援事業
 中小企業等の技術シーズ、ビジネスアイデアを市場につなげるため、中小企業等が行う実用化研究開発に要する経費や事業化に向けた販路開拓等に要する経費の一部を補助するとともに、ビジネスプランの具体化に向けたコンサルティング等を一体的に実施し、創業・新事業展開を支援した。特に、平成19年度から、公設試験研究機関等へ研究開発や分析・検査経費の一部についても新たに補助対象とした。(継続)(予算額1,431百万円+中小機構運営費交付金の内数)

3.イノベーション実用化助成事業
 研究開発型ベンチャー企業等の民間企業及び大学等による全国レベルで優れた先端技術の実用化開発に対して助成支援を行った。なお、平成18年度まで、民間向け「産業技術実用化開発補助事業」、大学等の産学連携向け「大学発事業創出実用化研究開発事業」と分立していた実用化開発助成事業を統合。(継続)(予算額8,675百万円)
 中小企業における知的財産の保護とその効果的な活用を支える環境整備を図るため、以下の事業を実施した。

第3節 中小企業の知的財産対策

1.中小企業知的財産権保護対策事業
 海外展開を図る我が国中小企業の知的財産権保護を図る観点から、(独)日本貿易振興機構の有する海外ネットワークを活用して、中小企業の個別要望に基づいた知的財産権の侵害状況調査等を実施した。(継続)(予算額32百万円)

2.地域中小企業知的財産戦略支援事業
 知的財産戦略に基づいた事業展開を図っていく中小企業に対し、知的財産専門家を派遣し、知的財産戦略づくりを支援するとともに、地域における中小企業の知的財産戦略支援人材の育成を図った。(継続)(予算額354百万円)

(1)知的財産戦略策定支援事業
 都道府県等中小企業支援センターを通じ、地域の中小・ベンチャー企業に対して知的財産の専門家を一定期間集中的に派遣する支援を実施した。(継続)

(2)地域における知的財産戦略支援人材の育成事業
 法律、技術等の専門家による支援チームを各地域で編成するとともに、支援チームによる中小企業の支援事例を蓄積し、その成果の普及啓発を図った。(継続)

3.中小企業・ベンチャー挑戦支援事業
 (再掲 第5章第2節2.を参照のこと)

4.中小企業等特許先行技術調査支援事業
 中小企業等の審査請求前の特許出願について、出願人の依頼に応じて、特許庁から委託を受けた民間調査事業者が先行技術調査を行い、審査請求するか否かを判断する際の参考となる情報を提供した。(継続)(予算額611百万円)

第4節 産学官の連携の促進

 産学官連携による技術開発・事業化を以下のような事業により、強力に推進した。

1.地域新生コンソーシアム研究開発事業
 地域において新産業・新事業を創出し、地域経済の活性化を図るため、大学等の技術シーズや知見を活用した中小企業を中心とする産学官の強固な共同研究体制(地域新生コンソーシアム)の下で、実用化に向けた高度な研究開発を実施した。(継続)(予算額1,141百万円)

2.産業技術研究開発事業(中小企業支援型)
 先端的な研究開発活動を行う中小・ベンチャー企業に対して、高度で豊富な研究資源(技術シーズ、人材、施設・設備等)を有する公的研究機関による共同研究の実施等を通じて支援を行った。(予算額798百万円)

3.イノベーション実用化助成事業
 (再掲 第5章第2節3.を参照のこと)

4.大学等技術移転促進費補助金
 大学等の研究成果の円滑な技術移転を図るため、平成10年に施行された「大学等における研究成果の民間事業者への移転の促進に関する法律」に基づき、実施計画が承認されたTLO(承認TLO)に対して、技術移転事業に必要な資金の一部を補助した。(継続)(予算額580百万円)

 第5章 ものづくり中小企業の高度化支援

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