平成19年度において講じた中小企業施策 

第4章 中小企業金融対策

第1節 中小企業金融の円滑化・多様化

1.中小企業等の再チャレンジのための金融支援
 一度経営に失敗した者が再チャレンジする場合、担保用資産の不足、経営者の信用低下等により融資を受けにくい現状の中で、経営者の資質や事業の見込み等を評価するなどして、政府系金融機関の融資や信用保証協会による保証を可能とする枠組みを創設した。

(1)再チャレンジ支援融資制度の創設
 中小企業金融公庫及び国民生活金融公庫において、いったん経営に失敗した起業家を対象として、積極的に融資する制度を創設した。リスクや担保不足等による上乗せ金利を引き下げるとともに、前事業に係る過去の債務が残っている場合の返済資金をも融資対象とした。また、事業立ち上げの際の資金負担を軽減するため、貸付後2年間の元利金返済を抑制する一方、成功度合いに応じた金利を適用する『成功払い型スキーム』を導入した(固定金利型との選択制)。

(2)再挑戦支援保証制度の創設
 再チャレンジ起業家への民間金融機関による融資を後押しするための再挑戦支援保証制度を創設した。信用保証料率を低めに抑えて引き下げ、再チャレンジ起業家を応援するとともに、過去の債務が残っている場合の返済資金をも保証の対象とした。

2.担保や保証に過度に依存しない融資
(1)中小企業向け貸付債権の証券化支援の更なる推進
 中小企業に対する無担保貸付を促すため、民間金融機関の中小企業向け貸付債権の証券化を支援する業務を中小企業金融公庫において推進した。

(2)経営者の本人保証を免除する制度
 中小企業金融公庫においては、創業等の支援のため定期的な財務報告を行うこと等を条件に、経営者本人の保証債務を発生させない制度(保証人猶予特例)を創設した。また、国民生活金融公庫においては、事業計画の審査に基づき、創業者に無担保・無保証の融資を行う制度(新創業融資制度)について、自己資金要件を緩和し、貸付限度を引き上げるなどして、拡充を図った。

(3)第三者保証人等を不要とする融資・保証制度
 国民生活金融公庫において、平成20年度4月1日から、第三者保証人等を不要とする融資制度の貸付限度額を1,500万円から2,000万円に引き上げるとともに、上乗せ金利を圧縮し、平成20年2月25日から、当融資の貸付限度額を2,000万円から4,800万円に引き上げた。加えて、信用保証協会において昨年度から実施している第三者保証人の原則非徴求化を徹底した。

(4)流動資産担保融資保証制度の創設
 中小企業の持つ約140兆円の在庫・売掛債権を活用し、中小企業の金融の円滑化を促進するため、売掛債権担保融資保証制度を拡充し、新たに在庫(棚卸資産)を担保とする融資についても保証を行うことを可能とした。

3.信用補完制度の見直し
 平成17年6月20日に中小企業政策審議会基本政策部会において取りまとめられた「信用補完制度のあり方に関するとりまとめ」を踏まえ、必要な制度改正を引き続き行った。具体的には、平成19年10月から、金融機関と保証協会とが適切な責任共有を図る制度を導入したことにより、金融機関による中小企業に対するきめ細かい支援等を促した。

4.早期転換・再挑戦支援窓口相談事業
 事業継続の見通しがつかない中小企業経営者の事業転換や廃業経験者の再起業を支援するため、相談窓口を全国各地に設置し、各窓口の相談員が財務諸表等に基づく経営診断の実施や、必要に応じて、弁護士、会計士、税理士、中小企業診断士等を派遣して、専門的なアドバイスを実施するなど、早期の事業転換や再起業をサポートした。

第2節 再生に取り組む中小企業への支援

1.中小企業の再生支援の推進
(1)中小企業再生支援協議会による支援
 「産業活力再生特別措置法」に基づき、各都道府県に設置した中小企業再生支援協議会では、地域の実情に応じてきめ細かく中小企業の再生への支援を実施した。平成19年度においては、複雑・多様化する地域中小企業の再生ニーズに適切に対応するため、各地域に蓄積された再生支援に関する知識を収集・分析・体系化する中小企業再生支援全国本部を設置し、中小企業再生支援協議会の機能強化を図った。また、再生のノウハウ普及のためのセミナー及び研修を各地域において実施し、再生支援人材の育成を図った。(継続)(予算額3,321百万円)

(2)地域中小企業再生支援ファンドによる再生支援
 経済産業省と(独)中小企業基盤整備機構は、中小企業再生支援協議会が活用できる再生手法の選択肢を広げ、地域の中小企業の再生を主に財務面から支援するために、地域中小企業再生ファンドの組成を積極的に支援した。結果、平成19年度においては、北海道において新たな中小企業再生ファンドが発足し、既に発足しているファンドと合わせ15件の中小企業再生ファンドと、各都道府県の中小企業再生支援協議会とが一体となって、地域の中小企業の再生支援を実施した。(継続)

(3)再挑戦ファンド
 自己破産等による廃業歴を有する経営者の再挑戦(新規事業の開始)に必要な資金調達を円滑化することを目的とし、(独)中小企業基盤整備機構の「ベンチャーファンド」の一形態として「再挑戦支援ファンド」を創設した。(新規)

2.経営進路形成支援
 (独)中小企業基盤整備機構は、中小企業が自社の経営状況をコスト負担をかけずに迅速・客観的に把握できるよう、CRD(中小企業信用リスク情報データベース)等を活用し、J-Net21上で財務データを入力するだけで、即時に財務上の問題が把握できる経営自己診断システムを提供した。(中小機構運営費交付金の内数)

3.中小企業の再生資金調達の円滑化
 中小企業の事業再生を支援するため、国民生活金融公庫において、民事再生法における再生計画等の認可後の期間を対象とした融資制度(レイターDIPファイナンス)を新設するとともに、中小企業金融公庫において、既に導入しているレイターDIPファイナンスに加え、再生計画等申立後認可前の中小企業を対象とした融資制度(アーリーDIPファイナンス)を追加した。また、信用保証協会においても事業再生保証制度を拡充し、アーリーDIPに対応するとともに、私的整理におけるつなぎ資金の融資に対応した保証制度も創設した。

第3節 政策金融改革の実現

 「簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律」及び「政策金融改革に係る制度設計」に基づき、政策金融改革の実現を図るための所要の法整備を行った。

1.商工中金の株式会社化
 平成20年10月の商工組合中央金庫の株式会社化、完全民営化までの移行期に係る商工組合中央金庫の在り方等を規定する「株式会社商工組合中央金庫法」が第166回通常国会で成立した。同法においては、中小企業団体及びその構成員向けの金融機能の根幹を維持するため、株主資格の制限、融資対象の限定、金融債の発行や預金資格制限の撤廃等の資金調達円滑化のための措置、特別準備金の設置等の強固な財務基盤を確保するための措置等が規定されている。

2.日本政策金融公庫の設立
 中小企業金融公庫、国民生活金融公庫等の4つの政府系金融機関を統合して設立される株式会社日本政策金融公庫について、その目的、業務の範囲等を規定する株式会社日本政策金融公庫法が第166回通常国会で成立した。同法においては、株式会社日本政策金融公庫の平成20年10月の設立や中小企業者の資金調達を支援するための金融の機能、指定金融機関を活用した危機対応業務の内容等が規定されている。

平成19年度における予算措置等

1.政府系金融機関における事業規模
 
政府系金融機関における事業規模
政府系金融機関における事業規模

 第4章 中小企業金融対策

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