第3部 地域経済と中小企業の活性化 

第4節 まとめ

 本章では、地域活性化という観点から中小企業のネットワークについて概観し、経営資源の限られる中小企業が様々な外部の主体と連携を行っている現状が明らかになった。
 企業間連携では、従来の下請取引に見られる縦のつながりから、より緩やかな横のつながりへとシフトしている。また、異業種企業との連携が進んでおり、お互いの「強み」を持ち寄って、新たな付加価値の源泉を見出す取組が進んできている。
 中小企業の産学官連携も活発に行われてきており、特にTLOや地域共同センターなど総括的な窓口のある大学で積極的な取組が見られる。今後さらに連携を進めていくには、現場経験のある人材が連携の仲介機能を果たすことが必要であり、企業の退職人材等(新現役人材)を仲介者として一層活用していくことが期待される。
 農林水産資源を活用した連携(農商工連携)では、原材料の確保や、消費者の安全志向の高まりもあり、農業との連携が重要となっている。また、地域名を冠した付加価値商品を販売して行くにあたっては、生産者(農)、加工業者(工)、販売業者(商)の密な連携が重要となっている。
 中心市街地の活性化では、商店街が地域のニーズに応えた多様な機能を提供すべくコミュニティビジネス等と連携していくことが期待されるが、現状は必ずしも十分に進んでいるとはいえない。考え方の異なる主体を結びつけるべく、仲介役として行政の役割に期待がかかる。また、個々の主体が互いを認識するために情報の受発信を積極的に行い、コミュニケーションを促進することで、地域社会における多様な主体とのネットワークの強化を図り、中心市街地活性化に向けて地域全体で取り組んでいくことが期待される。
 以上のとおり、地域経済の活性化を図っていくためには、グローバル化やIT化、少子高齢化等の社会経済構造の変化に伴って生じる新たなニーズに対応し、新たな付加価値を創造していくべく地域の多様な主体を繋ぐネットワークを再構築していくことが必要と考えられる。地域の中小企業、大学等の研究機関、コミュニティビジネス、地域住民等の様々な主体が有機的に連携し、地域経済の新たな成長のエンジンを作り出せるかどうかが地域経済の再生の鍵を握っているといえよう。

 第3章 新たな連携やネットワークの形成に取り組む中小企業

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