第3部 地域経済と中小企業の活性化 

第5節 まとめ

 本章では、まず、第1節で各種統計データを利用することにより、中小企業の業況感や倒産件数には、地域によってばらつきが見られることを示したうえで、第2節にて開業・廃業の動向を地域・業種の観点から分析を行った。その中で、〔1〕最近の開業・廃業の動向として、開業率が上昇したことにより、開業率と廃業率の差が縮まっており、特に、情報通信業や医療,福祉といった業種での動きが活発であること、〔2〕都道府県別に見た場合、開業が活発な県とそうでない県が存在しており、開業率・廃業率の水準は地域の人口動向や倒産動向等と何らかの相関関係を有すること、さらに、〔3〕同一県内であっても、県庁所在市か否かで、開業率・廃業率に大きな差が生じていること等を示した。
 第3節では、回避可能な廃業を防ぐ観点から、多くの中小企業が経営困難な状況となった経験があることを示したうえで、その際に講じた対策や相談相手等についての分析を行った。また、このような中小企業が事業再生を図る際に重要な役割を担うと考えられる、中小企業再生支援協議会の現状を示し、このような再生スキームがより一層利用されることが重要であることを示した。
 第4節では、地域経済において大きなウェイトを占める小規模企業について、統計データによる定量分析とアンケートによる定性分析を行い、規模が小さいからといって、収益力がないというわけではなく、中規模企業の収益力を上回る小規模企業が少なからず存在することや、経営者が自社の強み・弱み、経営目標、経営理念等についてどのように考えているのかという実態を明らかにした。
 地域の経済における中小企業の存在は大きく、その形態は多種多様である。これらの中小企業が活発に参入し、その潜在能力を存分に発揮して事業を展開でき、必要に応じて事業の再生を円滑に行うことを可能にすることにより、小規模企業を含めた中小企業の活力を引き出すことで、地域経済の活性化に繋がると考えられる。そこで、次章では、地域の中小企業が事業展開を行う上で生命線となる資金調達について、そして、第3章では、地域の中小企業が自社の経営資源を補完するための鍵となる、他の企業や大学等とのネットワークの形成について採り上げていく。

 第1章 地域を支える中小企業の事業再生と小規模企業の活性化

前の項目に戻る     次の項目に進む