第2部 中小企業の生産性の向上に向けて 

第1節 我が国経済のグローバル化

 第1部第1節で見たとおり、2007年度に発生したサブプライム住宅ローン問題は世界的な金融市場の動揺を引き起こし、世界経済は先行きの不透明感を増大させているものの、過去10年間を振り返ると、世界経済は着実な成長を遂げ、堅調に推移してきた。ASEAN及びNIES諸国は1997年に発生したアジア通貨危機の影響から速やかに立ち直り、高い成長率を維持しているのに加え、米国経済やユーロ圏の好調さも重なり、世界全体は年平均5.4%の成長を遂げている(第2-4-1図)。世界経済が安定的な成長を維持するなか、我が国経済のグローバル化も急速に進行している。輸出入と海外展開の動向から、こうしたグローバル化の姿を見ていこう。
 
第2-4-1図 世界及び主要国・地域の実質GDP成長率
〜世界経済は安定した成長を遂げている〜
第2-4-1図 世界及び主要国・地域の実質GDP成長率
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1 我が国企業の輸出入額の動向
 我が国の輸出入額の推移を見てみると、1990年代以降増加基調にある中で、特に2002年以降の伸びが著しい(第2-4-2図)。第2-4-3図に基づき1992年から5年ごとに輸出額と輸入額の増減率を見てみると、1992年からの5年間は輸出額の伸び率が18%、輸入額の伸び率が39%であったのに対し、1997年からの5年間については輸出額と輸入額がともに5%以下となり、伸びが鈍化した。しかし、2002年からの5年間では輸出額と輸入額がともに60%を超える伸びを見せ、貿易額が急拡大した。地域別に寄与度を見てみると、輸出額と輸入額のいずれも、高い経済成長率を維持するアジアが牽引していることがわかる。また、アジア以外の地域では、輸入については中東の寄与度が高く、輸出については北米・西欧の寄与度が高い。原油価格の高騰1が中東からの輸入額の増大に寄与した一方、北米・西欧の順調な経済成長が輸出額の増大の要因と考えられる。

1 原油価格高騰については、第1部第1節を参照。

 
第2-4-2図 日本の輸出入額の推移
〜2002年以降、輸出入額が大きく伸びている〜
第2-4-2図 日本の輸出入額の推移
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第2-4-3図 輸出入総額の増減に対する地域別寄与度
〜アジアとの貿易量の拡大が日本の輸出入額を牽引している〜
第2-4-3図 輸出入総額の増減に対する地域別寄与度
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2 我が国企業の海外展開の動向
 次に、我が国経済のグローバル化を企業の海外展開という側面から見てみよう。我が国の対外直接投資額を見ると(第2-4-4図)、2001年以降低調だった直接投資額は2004年以降伸び始め、2006年には6兆円に手の届くところまで伸びている。地域別に見ると、年ごとにばらつきがあるが、アジアへの直接投資が堅調である。
 
第2-4-4図 地域別の対外直接投資額の推移
〜対外直接投資額は2004年以降伸び始めている〜
第2-4-4図 地域別の対外直接投資額の推移
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 対外直接投資の増加に伴い、製造業の海外生産比率(海外生産に係る売上高が内外での生産全体に係る総売上高に占める割合)も上昇傾向にある(第2-4-5図)。地域別に見てみると、欧州・北米の海外生産比率の上昇には一服感が見られるのに対し、高い経済成長を保っているアジアへの生産機能移転が機械関連の製造業を中心に堅調に推移している2

2 経済産業省「平成18年海外事業活動基本調査」32頁を参照。

 
第2-4-5図 製造業における海外生産比率の推移
〜海外直接投資の増大に伴い、海外生産比率も上昇傾向〜
第2-4-5図 製造業における海外生産比率の推移
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 第4章 中小企業のグローバル化への対応

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