第2部 中小企業の生産性の向上に向けて 

第3節 中小企業の取組と生産性

 前節では労働生産性の水準や労働生産性に対する中小企業の意識を見てきたが、本節では、企業の様々な取組と生産性との関係を分析する。「中小企業実態基本調査」とアンケート調査により、2005年度あるいは2006年度において労働生産性が高かった中小企業に共通して見られる取組を見ていくことにより、中小企業の労働生産性の向上のためのヒントを探す26

26 我が国全体の労働生産性の向上のためには、産業や企業間における生産要素の適切な配分や、企業の正常な新陳代謝も重要であるが、本節では、個々の企業の取組に焦点を絞っている。また、以降の分析では、それぞれの取組が進んでいるから労働生産性の水準が高いのか、労働生産性の水準が高いからそれぞれの取組が進むのか、因果関係は示していないことに注意が必要である。なお、生産性の伸びと企業特性の関係については、付注2-1-10参照。


1 IT化と生産性
 第1節では我が国経済が直面している構造変化の一つとしてIT化の進展について簡単に言及し、中小企業の一部はIT化の進展をチャンスと捉えていることを見たが、中小企業はITの活用に取り組むことにより、労働生産性を向上させることができるのだろうか。
 IT活用の具体的な事例の一つが、急速に普及している電子商取引である(第2-1-18図)。労働生産性が高い企業と低い企業のそれぞれについて電子商取引を実施している企業の割合を見ると、ほとんどの業種で労働生産性の水準が高い企業の方が電子商取引を実施している割合が高い傾向が見られる(第2-1-19図)。また、労働生産性の水準が高い企業では、コンピュータ・ネットワークがより広範囲で利用されている傾向も見られる(第2-1-20図)。
 以上から、中小企業のIT活用と労働生産性には相関関係があると考えられるが、実際の中小企業のIT活用は大企業に比べると遅れているとされている。このため、中小企業によるIT活用の実態や中小企業がITを有効活用していく上での課題について、第3章でより詳しく見ていくこととしよう。
 
第2-1-18図 電子商取引の市場規模推移
〜電子商取引市場は拡大傾向にある〜
第2-1-18図 電子商取引の市場規模推移
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第2-1-19図 電子商取引を実施した企業の割合
〜生産性が高い企業ほど、全体的には電子商取引を実施している傾向にある〜
第2-1-19図 電子商取引を実施した企業の割合
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第2-1-20図 コンピュータ・ネットワークの利用状況
〜生産性の高い企業では、コンピュータ・ネットワークの範囲がやや広い傾向にある〜
第2-1-20図 コンピュータ・ネットワークの利用状況
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2 グローバル化と生産性
 次に、IT革命と並んで大きな構造変化であるグローバル化に中小企業が対応し、輸出や海外展開に取り組むことは、中小企業の労働生産性とどのような関係があるのだろうか。
 一般に製造業など生産設備の導入等で固定費が大きくなる業種では「規模の経済性」が働くことから、国内向けのみならず海外への輸出も行うことにより生産量を増大させると、それに伴って労働生産性が向上するとされている。こうした仮説は実際のデータと整合的なのであろうか。
 第2-1-21図は、「中小企業実態基本調査」をもとに、中小企業の主要な販売先の地理的範囲と労働生産性の水準との関係を示したものである。これによると、労働生産性の水準が高い企業ほど販売地域が広い傾向が見られる。次に、産業全体での輸出額27の割合が比較的高い製造業と卸売業のそれぞれについて、労働生産性の高低と中小企業の売上高に占める輸出額の割合との関係をみると、労働生産性の水準が高い企業の方が直接輸出の割合が高いことが分かる(第2-1-22図)。
 以上の結果は、中小企業の輸出による海外市場の開拓と中小企業の労働生産性との相関関係を示すものであるが、労働生産性が高い中小企業が輸出による海外市場の開拓を行っているのか、それとも、輸出による海外市場の開拓が中小企業の労働生産性を向上させるのか、という因果関係は明らかではない。このため、第4章で、海外への企業立地も含めて中小企業のグローバル化への対応の実態を見るとともに、中小企業による輸出や海外展開が労働生産性に対してどのような効果を与えているのかについて分析を行うこととしよう。

27 ここでの輸出額とは「企業活動基本調査」における「直接輸出額」を指し、自社名義で通関手続を行った輸出額をいう。

 
第2-1-21図 販売地域の地理的範囲
〜生産性が高い企業では、比較的販売地域が広い〜
第2-1-21図 販売地域の地理的範囲
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第2-1-22図 売上高に占める直接輸出額の割合
〜製造業でも卸売業でも、労働生産性が高い企業ほど直接輸出額の割合が高い〜
第2-1-22図 売上高に占める直接輸出額の割合
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3 企業の競争優位性と生産性
 第2節第6項では、労働生産性が高い中小企業は増収増益となっている傾向が見られた。これは、労働生産性が高い中小企業は競争力を有しているからなのであろうか。
 はじめに、企業は自社に競争力があると考えているのか、そして、競争力があるとすれば、その源泉は何であると考えているのかを見ていこう。第2-1-23図は、大企業と中小企業における自社の競争優位性についての認識を示したものである。これによると、中小企業では「競争優位性はない」としている企業の割合が22.7%となっており、大企業の9.4%と比べて高くなっている。また、中小企業のうち労働生産性の水準が高い企業と低い企業を比べると、労働生産性が低い企業では「競争優位性はない」とする割合が高くなっている一方、労働生産性が高い企業では「製品・サービスの差別化」を競争優位とする企業の割合が、労働生産性が低い企業に比べて高くなっている28

28 「企業立地」を競争優位として挙げている中小企業は5%程度にとどまっているが、労働生産性の水準が高い企業では、製造業、非製造業共に比較的産業集積地に立地している傾向も見られており、産業集積には一定の効果がある可能性が考えられる(付注2-1-11参照)。

 
第2-1-23図 競合他社と比べた競争優位性
〜中小企業では競争優位性を有していない割合が高いが、中でも労働生産性の水準が低い企業では、競争優位性を有していない割合が高い〜
第2-1-23図 競合他社と比べた競争優位性
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 さらに、第2-1-24図は、売上高に占める研究開発費の割合と労働生産性との関係を示したものであるが、これによると、ほとんどの業種で労働生産性が高い企業の方が研究開発に積極的である傾向が見られる。研究開発費は原則費用計上であるため、先行的な研究開発に熱心で、その成果がまだ得られていないような企業では、費用負担が大きくなり(付加価値額が減少し)、労働生産性の水準を押し下げてしまうことが考えられるにもかかわらず、労働生産性の水準が高い企業の方が売上高に占める自社研究開発費の割合が高い。
 以上の結果を総合すると、中小企業が研究開発等に取り組み、製品・サービスの差別化等の競争優位性を獲得することが、労働生産性の向上、ひいては企業業績の向上に繋がっている可能性が考えられる。
 
第2-1-24図 売上高に占める自社研究開発費の割合
〜労働生産性の水準が高い企業ほど、研究開発に積極的である傾向にある〜
第2-1-24図 売上高に占める自社研究開発費の割合
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4 設備投資と生産性
 第2節第3項では、労働生産性の水準の高低はおおむね資本装備率の高低で説明できることを見た。これは、中小企業が資本装備率を高めるため積極的に設備投資を行うべきことを意味しているのであろうか。
 第2-1-25図は、アンケート調査をもとに、過去5年間に設備投資を実施した中小企業がどのような目的で設備投資を行ったのかを示したものである。これによると、既存設備の維持・更新に次いで「省力化・合理化」が多く挙げられており、「新規事業部門への進出・事業転換・兼業部門の強化など多角化」よりも多い29。また、中小企業が生産性の向上等による経営の効率化に取り組み、その効果があったと考えていることを見ると、「業務の機械化」を挙げる企業が多い(第2-1-26図)。こうした結果から、中小企業は業務の機械化による経営の効率化に取り組み、実際に効果を得ていると感じている様子がうかがえる。

29 「省力化・合理化」を目的として設備投資を行った中小企業では、経営が効率化されたと感じている企業が相対的に多い(付注2-1-12)。なお、アンケート調査では「経営の効率化」を、「生産性向上等を通じて、より少ないコストで多くの財・サービスを生産する工夫・成果のことを指し、コストの削減のみを指すものではない」と定義している。

 
第2-1-25図 設備投資の目的
〜既存設備の維持・更新に次いで、省力化・合理化が設備投資の目的として挙げられている〜
第2-1-25図 設備投資の目的
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第2-1-26図 経営の効率化に効果があったこと
〜従業員教育や業務の機械化が、経営の効率化に効果があったこととして挙げられている〜
第2-1-26図 経営の効率化に効果があったこと
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 しかしながら、中小企業が経営の効率化を推進していく上での課題として挙げていることを見てみると、「優秀な従業員の確保」や「提供する製品・サービスの品質の維持」が多く挙げられている(第2-1-27図)。仮に業務の機械化により労働投入量の削減に成功しても、それに伴って製品・サービスの品質の低下も招いて付加価値額を減少させてしまう場合は、労働生産性を低下させる可能性さえある30。また、過剰な機械化により設備の稼働率が落ちて資本生産性が低下する懸念もある31。経営の効率化のためには、業務の機械化だけではなく、人材の育成・確保に努めるとともに、製品・サービスの品質の維持・向上とのバランスを意識することが必要である。

30 アンケート調査にて、経営の効率化を重視していない中小企業に対して、その理由を聞いたところ、「コストの削減を行う余地がないため」という回答の次に、「効率化により提供する製品・サービスの品質が落ちるため」との回答が多くなっており、効率化と品質のバランスがある程度意識されていることがうかがえる(付注2-1-13参照)。
31 平成19年度経済財政白書では、資本装備率の上昇を単純に労働生産性上昇のための手段とみなすことには資本の生産性の観点から問題があると指摘している。

 
第2-1-27図 経営の効率化を推進していくうえでの課題
〜優秀な従業員の確保や、提供する製品・サービスの品質の維持が課題〜
第2-1-27図 経営の効率化を推進していくうえでの課題
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5 人的資本と生産性
 労働生産性と、企業で働く人材に密接な関係があることは議論の余地がないであろう。第2-1-28図は、中小企業が最も重要と考える経営資源を示したものである。最も重要な経営資源として従業員を挙げる中小企業が全体的に多いが、労働生産性の水準が高い企業は低い企業に比べて、従業員こそが最も重要な経営資源であると考える企業の割合が顕著に高い。
 
第2-1-28図 最も重要と考える経営資源
〜労働生産性の水準が高い企業では、従業員を最も重要な経営資源であると考える割合が高い〜
第2-1-28図 最も重要と考える経営資源
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 それでは、労働生産性を向上させる観点から、中小企業は人的資本32の蓄積を図るためにどのような取組を行うべきなのであろうか。こうした観点から、日本的雇用慣行と言われた「終身雇用」や「年功序列型の賃金体系」と労働生産性との関係を見てみよう。第2-1-29図によれば、労働生産性の水準が高い企業では、終身雇用を前提とし、また、賃金体系について成果給よりも年功序列を重視している企業が多くなっている。さらに、「終身雇用」や「年功序列型の賃金体系」を重視している企業では正社員の定着率が高く33、また労働生産性の水準が高い企業では低い企業に比べて、正社員の定着率が高い傾向も確認できる(第2-1-30図)。これらもあくまで相関関係を示すものであり、十分に幅をもって解釈することが必要であるが、終身雇用といった日本的雇用慣行により従業員の勤続年数が長くなり、従業員のスキルが向上すると同時に社内にもノウハウが蓄積されることで、高い労働生産性を実現してきた可能性が示唆される。

32 中小企業は比較的労働集約的であることからも、人的資本が企業に与える影響は大きいと考えられる(付注2-1-14)。
33 付注2-1-15参照。

 
第2-1-29図 雇用形態および賃金体系
〜生産性が高い企業では、終身雇用を前提としている割合が高い〜
第2-1-29図 雇用形態および賃金体系
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第2-1-30図 正社員の定着率
〜生産性が高い企業では、正社員の定着率が高い傾向にある〜
第2-1-30図 正社員の定着率
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 これらを踏まえれば、労働生産性の向上を図るためには、中小企業が人的資本の蓄積に取り組むことが必要であり、そのためには人材の意欲や能力を高める仕組みを工夫するとともに、教育訓練等を通じた人材の育成に取り組むことが重要であると言えよう34

34 なお、企業の代表者の属性と労働生産性の関係は、付注2-1-16参照。


事例2-1-1 従業員とのコミュニケーションを重視して生産性を向上させている製造業者

 横浜市旭区の株式会社三興ネームプレート(従業員28名)は、EL発光パネルや電極基板、各種表示パネルメイバン類等の特殊性をもった製造業者である。同社では、従業員とのコミュニケーションを大切にすることにより、生産性の向上の効果を得ている。
 同社は、その社名が表すとおり、以前は主に金属表示プレートの加工を行っていたが、十分な利幅を得ることができていなかったため、現在は基板等の機能性製品に事業を集約し、金属メイバンの特殊工程は外部へ委託する等、時代の変化に対応したモノ作りに取り組んできた。
 同社では、20年前より従業員から業務に関する改善提案を出してもらい、採用された提案をした従業員を表彰するという活動を続けている。従業員に対して改善提案の提出を義務付けているわけではないが、長年にわたり継続的に取り組んできたことから、従業員の間には改善提案を積極的に行う風土が定着している。これまでに、製品の包装手法の改善に関する提案を採用し、実際に生産性を向上させた実績もある。同社の経営陣は、人材の育成が生産性の向上につながるとの考え方のもと、従業員とのコミュニケーションを重視して、自らの持つノウハウの伝承に努めている。また、従業員に勉強してもらうこと等を目的として、経営陣が率先して中小企業診断士との勉強会を毎月開催している。
 従業員に意欲や目的意識を持って働いてもらうことは非常に重要であるが、それを実現するには相当の努力を要する。そうした努力の第一歩として、まずは経営陣が従業員を大切にする姿勢を示すことが不可欠と考えている。

6 企業外部の経営資源の活用と生産性
 中小企業は大企業に比べて企業内部の経営資源が乏しいことから、外部の経営資源を有効に活用することが期待される。
 外部の経営資源を活用する手法の一例として、業務の委託35に注目してみよう。第2-1-31図で示されているとおり、労働生産性の水準が高い企業では、「業務委託や外注を活用している」割合が高くなっている36。自社の強みや活用できる経営資源を踏まえて業務の見直しを行い、自社で行うべき業務と外部に委託する業務を見極め、業務委託を有効に活用することが労働生産性の向上という観点からも重要であると言えよう。

35 業務委託については、付注2-2-8参照。
36 「中小企業実態基本調査」からも同様の傾向が確認できる(付注2-1-17)。

 
第2-1-31図 業務委託や外注の活用
〜労働生産性が高い企業では、比較的業務委託や外注を活用している〜
第2-1-31図 業務委託や外注の活用
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事例2-1-2 協同組合の活用により効率化を図る運送業者

 横浜市保土ヶ谷区の共立運輸株式会社(従業員18名)は、海上コンテナ輸送を手掛ける運送業者である。同社は、協同組合事業を活かして固定費の負担を軽減し、効率化を図っている。
 海上コンテナ輸送を手掛ける上での大きな課題として、トレーラシャーシの確保及び車両の保管場所の確保が挙げられる。同社は、同業者による組合(横浜シャーシターミナル協同組合)に加盟しており、車両保管場所に関する課題を解消している。同組合では車両を共同購入し、組合員が相互に随時利用できるシステムを構築しているため、組合員は余分な車両を保有する必要がなくなり、保管場所の確保や車両の保守のための固定費負担から解放されている。同組合は、車両の整備工場を有し、車両の状態を常に良好に保つとともに、賃貸の運用を適正に行うことに注力しており、車両の稼働率は90%近くを維持している。同社では、価格競争が厳しくなっている遠距離輸送を減らし、近距離輸送に軸足を移して回転率を上げることで売上高や採算を確保する戦略をとっているが、こうした戦略は機動的な車両の確保が前提となるため、同組合の事業なくしては成り立たず、その恩恵は非常に大きい。また、同組合ではガソリンスタンドを併設しており、市価よりも安価に給油できる利点もある。
 以上のとおり、同社は、中小企業者単独では得られにくいメリットを、協同組合を活用することで享受し、固定費削減による効率化に成功している。
 
横浜シャーシターミナル協同組合の「立て掛け式駐車設備」
横浜シャーシターミナル協同組合の「立て掛け式駐車設備」

 また、中小企業が、取引先や金融機関等の企業の外部者37が有する知見や情報を活用する観点から、これらの外部の主体に相談していくことも、労働生産性の向上に資する可能性が考えられる。そこで、中小企業が日常から経営全般を議題として接触している外部者と労働生産性との関係を見たものが第2-1-32図である。これによると、労働生産性の水準が高い企業では、労働生産性の水準が低い企業と比べて「税理士・会計士」や「金融機関」等の外部者と経営全般を議題とした接触を行っている割合が高いことが分かる。中小企業にとって、税理士・会計士や金融機関等の外部者と良好な関係を構築し、これらの知見を活用しながら、業務の不断の改革に取り組んでいくことが労働生産性の向上という観点からも重要であると言えよう。

37 ここでの「外部者」とは、会社の代表者や親族、知人、従業員、親会社以外の者を指す。

 
第2-1-32図 接触している外部者
〜労働生産性が高い企業では、より企業の外部者と接触している〜
第2-1-32図 接触している外部者
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事例2-1-3 企業外部の有識者の視点を活かしている製造業者

 東京都江東区の株式会社富士ボルト製作所(従業員90名)は、異形鉄筋の機械継手等の建設関連製品の製造販売を手掛けている。同社では、外部のコンサルタントを交えた幹部会を月1回開催すること等を通じ、企業外部の視点を活かした経営を行っている。
 設備投資の負担が大きかった15年ほど前に、コンサルタントを通じて新たな税理士を紹介してもらったことを契機に、同社の役員及び幹部社員に加え、外部のコンサルタントもメンバーの一員である幹部会を毎月開催してきた。役員だけでなく、幹部社員もメンバーとすることで、同社の経営方針を社内に浸透させる効果もある。また、同社社長は技術系の出身であることもあり、従来の同社の経営は技術的な側面を特に重視する傾向にあったが、幹部会の開催により、技術以外の視点も経営に十分反映させることができるようになった。また、労働安全への意識を徹底するため、定期的にコンサルタントに来てもらっており、工場における整理整頓が進み、作業が効率化され、従業員の残業時間が削減される効果を得ている。
 こうした外部の視点を取り入れることに加え、現在、米国公認会計士の資格を有する社長の子息を中心に、若手社員による勉強会を活発に開催している。ビデオの視聴によりベストプラクティスを学び、いかに自社に取り入れていくべきかを議論している。工場における整理整頓活動も、この勉強会のメンバーが中心となって社内に浸透させていった。企業外部の視点の活用と同時に、次世代を担う若手社員の育成を行い、企業価値の向上を図っている。

 第1章 中小企業を巡る構造変化と生産性

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