付注 

第2章

付注3-2-1 後継者不足による廃業により失われる雇用の推計方法

 総務省「事業所・企業統計調査」(2004)(図〔1〕)を用いて、直近の年間廃業企業数、年間廃業企業常用雇用者数を中小企業、大企業別に算出すれば、以下のとおり。
 
 図〔1〕 直近の規模別年間廃業企業数、年間廃業企業常用雇用者数[民営、非一次産業]
付注3-2-1 〔1〕直近の規模別年間廃業企業数、年間廃業企業常用雇用者数[民営、非一次産業]

 上記の廃業企業のうち、以下の2つの仮定を置いて、後継者不足のために失われる常用雇用者数を推計する。
仮定1:
 「経営者の引退による廃業」という現象について、
 (1)従業員50人未満の小規模な企業にのみ起こると仮定した場合を「最小ケース」
 (2)大企業では起こらないが、中小企業は全体に起こると仮定した場合を「最大ケース」 とする。
仮定2:
 「経営者の引退による廃業」という現象が起こる企業の中においては、「後継者がいない」ことを理由とする廃業の割合は、企業規模によらず24.4%であると仮定する。

仮定1について
 「承継アンケート」によれば、自社について「自分の代で廃業したい」、「事業を他者に引き継ぎたい」の二者択一のうち、「自分の代で廃業したい」と回答する割合は従業員規模が大きくなるほど減少し、50〜100人規模以上の企業ではほとんど見られなくなった。

 
図〔2〕 自分の代で廃業したいと考えている企業の割合(従業員規模別)
付注3-2-1 〔2〕自分の代で廃業したいと考えている企業の割合(従業員規模別)


 これは、企業規模が大きくなるほど、経営者個人の引退を理由とする「企業全体の廃業」がそもそも起こらなくなっていくことを反映していると考えられる。
 そこで、「経営者の引退による廃業」という現象は従業員50人未満の小規模な企業にのみ起こると仮定した場合を「最小ケース」とした。
 ただし実際には、当初は経営者の引退を期に廃業するつもりがなくても、代替わりの混乱により経営が傾き、廃業に「追い込まれる」企業は、ある程度規模の大きい企業についても想定し得る。
 そこで、「経営者の引退による廃業」という現象は中小企業全体に起こり得ると仮定した場合を「最大ケース」とした。
 なお、大企業になると、一般的に企業のステークホルダーが分散しているため、オーナーの相続のみを理由として経営が傾く企業は想定しづらいと考え、上記の推計からは除外した。

仮定2について
 「承継アンケート」によれば、「自分の代で廃業したい」と回答した企業についてその理由を集計すると、「適切な経営者が見当たらない」ことを理由とする企業は、(サンプル数により信頼性は差し引いて考える必要があるものの)概ね企業規模によらず一定であった。
 よって、推計に当たっては、企業規模によらず、「後継者がいない」ことを理由とする廃業の割合は24.4%と仮定した。

 
図〔3〕 自分の代で廃業を検討する理由(従業員規模別)
付注3-2-1 〔3〕自分の代で廃業を検討する理由(従業員規模別)


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 以上の「仮定1」、「仮定2」を踏まえれば、後継者不足による廃業のために失われた年間常用雇用者数は以下のとおり。
 (1)最小ケース:
   882,587人(従業員50人未満の廃業企業の常用雇用者数合計)×24.4%(第3-2-2図)=215,351人
                                          …約20万人
 (2)最大ケース:
   1,453,623人(廃業中小企業の常用雇用者数合計)×24.4%(第3-2-2図)=354,684人
                                          …約35万人

 

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