第3部<テーマ分析[2]>少子高齢化・人口減少社会における中小企業 

第3節 高齢化の進展

1.高齢化の状況
 我が国の65歳以上の高齢者人口は、1950年には総人口の5%に満たなかったが、1970年に7%を超え、更に1994年には14%を超えており、いわゆる高齢化が急速に進展している19

19 全人口の中に占める65歳以上の高齢者人口が7%を超えた社会を「高齢化社会」と呼ぶ。特に、14%を超えた社会を「高齢社会」と呼ぶ。一般的には、両者をまとめて「高齢化社会」と呼ぶことが多い。


 これから団塊の世代が65歳以上のカテゴリーに入れば、更に高齢化が進行する見込みである。国立社会保障・人口問題研究所の推計では、今後も高齢者人口は2020年まで急速に増加し、その後はおおむね安定的に推移するとされている(第3-1-8図)。一方で、総人口が2005年から減少に転じたことから高齢化率は上昇を続け、2010年には22.5%、2020年には27.8%に達し、国民の約4人に1人が65歳以上の高齢者という極めて高齢化の進んだ社会の到来が見込まれている20

20 同推計によると、高齢化率は2050年に35.7%に達し、国民の約3人に1人が65歳以上となる見通しとなっている。


 
第3-1-8図 高齢者人口及び高齢化率の推移
〜今後、更に高齢化が進んでいく〜

第3-1-8図 高齢者人口及び高齢化率の推移
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 また、高齢者人口のうち、前期高齢者人口21は2016年をピークにその後は減少に転ずる一方、後期高齢者人口は増加を続け、2018年には前期高齢者人口を上回るものと見込まれており、増加する高齢者数の中で後期高齢者の占める割合は、一層大きなものになるとみられる。

21 「高齢社会白書」(2005年版)では、高齢者を前期高齢者(65〜74歳)と後期高齢者(75歳以上)に分類している。


2.労働力の高齢化と技能承継
 次に、労働力の高齢化について見ていくことにしよう。2004年の労働力人口総数(15歳以上労働力人口)は6,642万人であるが、そのうち65歳以上の者は490万人であり、労働力人口全体の7.4%を占めている。
 この労働力人口総数に占める65歳以上の者の比率は、1980年の4.9%から増加し続けており、今後、労働力人口総数が急激に減少していくと予想される中で、労働力人口の高齢化は一層進展していくであろう(第3-1-9図)。

 
第3-1-9図 労働力人口の年齢構成比の推移
〜労働力人口も高齢化が顕著〜

第3-1-9図 労働力人口の年齢構成比の推移
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 では、労働力の減少や高齢化の影響を特に受けているのは、具体的にどのような規模の企業なのであろうか。総務省「労働力調査」のデータを用いて詳しく見ていこう。
 第3-1-10図は勤め先の従業員規模がそれぞれ〔1〕100人以上、〔2〕10〜99人、〔3〕1〜9人である就業者の人数を時系列で示したものである。これによると、就業者の最近10年間の推移は、従業員規模が10〜99人では若干増加、100人以上ではほぼ横ばいあるのに対して、1〜9人では減少傾向にあることが分かる。また、従業員規模が1〜9人の企業では55〜64歳、65歳以上の就業者数は時系列でほとんど変化がないことから高齢者の割合が一段と高まっている22

22 1〜9人の従業員規模の企業に勤務する55歳以上の就業者の割合は、1980年には24.3%だったが、1990年に32.6%、2000年に39.3%と上昇し2003年には40.9%と初めて40%を超えた。


 つまり、従業員規模別に見た場合、労働力の減少や高齢化の影響を受けているのは中小企業の中でも規模が小さい企業なのである。高齢化が進展することにより、企業内の技能・知識の承継を行うことが困難になっていくことが危惧される。特に小規模企業においては、技能・知識の承継がスムーズに行われないことは、事業の存続自体に直接影響を及ぼすことから、技能承継の問題は高齢化社会における中小企業の重要課題であると言えよう。

 
第3-1-10図 年齢別就業者数の推移
〜従業員規模が小さい企業に勤務する者が減少しており、かつ高齢化している〜

第3-1-10図 年齢別就業者数の推移
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3.企業経営者の高齢化と事業承継
 少子高齢化社会の到来による影響について、対象を経営に携わる人々の年齢に絞って見ていこう。
 まず、自営業主であるが、総務省「就業構造基本調査」によると、自営業主の平均年齢は、1979年には49.2歳であったのに対し、2002年には56.2歳となっており、自営業主の高齢化が進んでいることが確認できる。また、自営業主数を時系列で追っていくと、60歳未満の自営業主が1987年頃から急激に減少していることが分かる(第3-1-11図)。

 
第3-1-11図 自営業主数と平均年齢の推移
〜65歳以上の自営業主が増加し、自営業主全体の平均年齢が上昇〜

第3-1-11図 自営業主数と平均年齢の推移
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 次に、法人企業の代表者の年齢であるが、全企業の代表者の平均年齢は1985年には53歳1か月であったが、2004年には58歳6か月と上昇している23。資本金別に見ると、資本金が5,000万円以上の企業の代表者の平均年齢はほぼ横ばいで推移しているのに対して、資本金5,000万円未満の企業の代表者の平均年齢は、全社長の平均年齢と同様に高齢化していることが分かる。つまり、中小企業の代表者の高齢化が我が国の企業全体の代表者の平均年齢を押し上げているのである(第3-1-12図)。

23 詳細値は付注3-1-6参照。


 
第3-1-12図 資本金規模別の代表者の平均年齢の推移
〜資本金規模の小さい企業の代表者の高齢化が全体の代表者の平均年齢を押し上げている〜

第3-1-12図 資本金規模別の代表者の平均年齢の推移
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 中小企業においては経営者の意思決定権限が強いため、意思決定者である経営者が高齢化してしまうことにより以前のような積極的な経営ができなくなると、企業の活力が低下し、結果として廃業という形で経営活動を停止せざるを得なくなってしまうケースも多い。廃業した企業の中には、親族や企業内部に後継者がいないなど、事業承継の問題をクリアできなかった企業も存在すると考えられる。企業経営者の高齢化が進むことにより、こういった課題を抱える企業が増加すると推測される。
 今後は、親族や従業員以外による承継の方法も含め、事業自体や経営資源の承継を円滑化することが我が国経済の活力維持にとって重要となる。

 第3節 高齢化の進展

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