第2節 40年度施策の重点

 中小企業に関する諸問題の認識とこれに対する政策の基本的な考え方は,以上に述べたとおりである。このような認識のもとに,40年度においては,諸施策の大幅な拡充に努めてきたが,その主要な点を具体的に述べると,つぎのとおりである。
 1 中小企業の業種,業態に応じた近代化を推進するため,中小企業近代化促進法に基づき,新たに24業種を指定するとともに,近代化基本計画および実施計画を策定し,金融上,税制上の優遇措置を講じつつ,中小企業の業種別近代化を推進した。
 2 中小企業の体質改善を積極的に推進して行くにあたり,最も重要な役割を占める設備の近代化について,財政投融資の大幅な拡充により,政府関係金融機関からの資金供給の円滑化を期するとともに,設備近代化資金貸付制度についても50億円(39年度45億円)の補助を行ない,都道府県の繰入金等を含め,総額177億円(39年度143億円)の貸付規模とした。
 また,近代化保証の推進を図るため,信用保証協会に対し,中小企業信用保険公庫を通じて,1億円(39年度1億円)の貸付けを実施するなど,設備近代化の強力な推進を図ることとした。
 3 経営管理の合理化,技術の向上を促進するため,診断,指導事業および技術指導事業を一層拡充するとともに,経営管理者,技術者に対する研修事業を引き続き実施し,さらに,これら指導事業の実施の中核となっている日本中小企業指導センターの強化を図ることとし,このため,9億43百万円(39年度8億22百万円)の予算を計上した。
 4 事業の共同化,工場,店舗等の集団化等,中小企業構造の高度化を画期的に推進することとし,都道府県に対し,約57億円(39年度約44億円)の貸付けを行ない,都道府県の繰入金等を含め,約123億円(39年度約98億円)の無利子貸付けを実施した。
 5 小規模企業者については,経営改善普及事業の拡充を図るため,商工会等に対し,16億86百万円(39年度13億93百万円)を補助するとともに,家族専従者控除の引上げ等税制上の特別措置を講じた。
 また,国民金融公庫等政府関係金融機関の財政投融資の増額を図るとともに,信用保証協会が無担保無保証人で行う保証を推進するための特別小口保険および無担保で行う保証を推進するための無担保保険を創設した。
 さらに,小規模事業者の退廃業後の生活安定と事業の振興等に資するため,新たに小規模企業共済制度を創設した。
 6 中小企業の自己資本の充実を促進するため,中小企業投資育成株式会社の業務に転換社債の引受けを追加する等,同会社の機能の強化を図った。
 また,税制面においても同族会社の留保金課税の軽減,法人税率の軽減等,種々の税制上の改善を行なった。
 7 中小企業における労働力の確保,従業員の福祉の向上等を図るため,職業紹介,職業訓練事業,最低賃金制度の充実等に努めたほか,労働保険,社会保険の適用促進,退職金共済制度の拡充強化を行なうとともに,福利厚生施設資金として,産業労働者住宅資金,厚生年金および国民年金積立金の還元融資,雇用促進事業団等からの融資を行なった。
 8 中小企業の設備の近代化,構造の高度化等その近代化の推進に必要な資金の円滑な供給を確保するため,政府関係三金融機関に対する財政投融資当初計画に2,045億円を確保し,貸付規模を4,625億円とするとともに,年末を中心とする下期の資金需要に応ずるため,さらに520億円の財政投融資を行ない,三機関の貸付規模を820億円増加した。
 また,信用補完面においても,保険料率の引下げ,特別小口保険の条件改善と保険限度額の引上げ,さらに,深刻な不況に対処するため,41年度末までの臨時措置として,無担保保険および連鎖倒産防止のための保険上の特別措置の創設等を行ない,中小企業の金融の円滑化に努めた。
 9 下請取引の適正化を図るため,下請代金支払遅延等防止法の一部を改正するとともに,取締体制の強化等同法の運用を強化した。
 (10) そのほか,中小企業の組織化,中小企業製品に対する官公需受注機会の確保,輸出の振興,事業活動の調整,調査公報関係活動の積極化等につき,強力な対策を推進した。
 11 以上のような諸施策に関連する立法措置として,「中小企業信用保険法」「中小企業近代化資金助成法」,「中小企業投資育成株式会社法」,「下請代金支払遅延等防止法」等の一部を改正するとともに,「小規模企業共済法」,「中小企業信用保険臨時措置法」等の制定をみた。
 また,予算措置としては,中小企業対策費として,一般会計予算額は,39年度の31%増に当たる216億36百万円(39年度は,38年度の40%増に当たる165億26百万円)を計上するとともに,中小企業向け財政投融資については,前年度当初計画額を26%上まわる2,565億円(39年度1,617億円)の計画を組んだ。
 以上の40年度における中小企業対策予算の概要を示すと,次表のとおりである。

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