第1章 最近における中小企業の動向

 39年終りから40年にかけてのわが国経済は,不況と沈滞のうちに推移した。このなかにあって,中小企業は,生産,流通活動の伸び悩み,設備投資の著しい低下を示し,企業の経営では,収益性,財務内容等の傾向的な悪化が続いており,これを反映して企業倒産は,過去にその例をみないほどの高水準に達した。このような事業活動等の不振にもかかわらず,労働力の需給関係は,若年労働力を中心として依然ひっ迫基調にある。

第1節 最近におけるわが国経済の動向

 1 昭和39年の終りから40年にかけてのわが国経済は,不況と沈滞のうちに推移した。すなわち,38年末に始められた金融引締めの結果,39年夏ごろから悪化のきざしをみせ始めた景況は,同年秋以降,急速に不況への途をたどり,40年にはいって,一層その度合を深めた。このような事態に対処して,金融引締措置は,39年末から40年にかけて逐次撤廃され,公定歩合は,40年6月の第3次引下げによって戦後最低の水準にまで低下し,金融は,全体として大幅な緩和をみせたにもかかわらず,総需要は,依然停滞を続けた。ことに,かつては経済成長の主導的役割を果たしていた民間設備投資は,40年度において,前年度の水準から7.2%も減少することが予想され,消費の伸びもかなり鈍化する見通しである。このため,輸出の87億ドル(通関ベース),対前年度伸び率21.1%という非常な好調にもかかわらず,40年度の実質経済成長率は,2.7%という,過去にほとんど例をみない低水準にとどまる見通しである。
 2 以上のように,39年後半から40年にかけての経済活動は,不況と沈滞が強く支配したといってよい。ことに,企業経営の面においては,38年の景気回復期にもあまり好転をみせないまま,今回の不況に突入したため,収益性の低下,財務内容の悪化は,著しく深刻なものとなった。
 3 39,40年を中心とする経済全体の動向は,以上のとおりであるが,このような状況のなかにあって,中小企業は,経営の悪化,倒産の増加等とりわけ多くの困難に直面している。そして,このような困難は,景気の循環変動によってもたらされたものであることはいうまでもないが,これに加えて,日本経済の高度成長期以降における諸条件の変化,および中小企業に従来からある特性が大きく影響しており,ことに景気の沈滞によって,その影響がより顕在化しているのが現状にほかならないと考えられる。

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