2018年版中小企業白書の概要

2018年版中小企業白書の概要

第1部では、最近の中小企業の動向についての分析に加え、中小企業の労働生産性や経営の在り方等について分析を行う。

第2部では、第1部の分析結果を踏まえた上で、中小企業の生産性向上に向けた取組について分析を行う。具体的には、業務プロセスの見直し、人材活用面の工夫、IT利活用、設備投資、M&Aを中心とする事業再編・統合について取り上げる。

第1部 平成29年度(2017年度)の中小企業の動向

●中小企業の動向

我が国経済の緩やかな回復基調にあり、これに伴い、経常利益が過去最高水準にあるなど、改善傾向にある中小企業の景況等を分析する。

●中小企業の構造分析

我が国中小企業の企業数、従業者数及び付加価値の現状やその変化を、常用雇用者階級と設立年の視点で区分して分析する。業歴が長く規模の小さい企業が大きく減少していること、業歴の若い企業が従業員数を大きく増加させていること等を示す。

●中小企業の労働生産性

中小企業の過去10年間の労働生産性の変化を、従業員数と付加価値の伸び率を用いて類型化する。従業員数の伸び以上に付加価値額を伸ばし、生産性を向上させている領域にある中小企業は全体の約20%を占めている。こうした領域に向かうために必要となる生産性向上に向けた取組について分析する。

●中小企業の経営の在り方

中小企業の経営の在り方が投資行動や経営の取組に与える影響を分析する。中小企業はオーナー経営であることが多く、長期的な目線による経営ができるというプラスの側面がある一方、取締役の開催や経営計画の策定に取り組みにくいというマイナスの側面があること等を明らかにする。

第2部 深刻化する人手不足と中小企業の生産性革命

●深刻化する人手不足の現状

中小企業において深刻化する人手不足の現状について概観するとともに、人手不足の状況下での中小企業の対応について分析する。また、女性・シニア等の潜在的な労働力の掘り起こしに向けた取組についても取り上げる。

●生産性向上の鍵となる業務プロセスの見直し

設備投資やIT利活用等の取組を進める上でも、業務プロセスの見直しを行うことで、自社の業務プロセスにおける課題を明らかにし、課題に応じた取組を行っていく必要があることを示していく。

●人材活用面での工夫による労働生産性の向上

限られた人手で業務を回すための人材活用面での工夫について、近年非製造業でも取組が進みつつある多能工化・兼任化の取組や、アウトソーシングの活用、人材育成の取組状況について分析する。

●IT利活用による労働生産性の向上

中小企業のIT導入の課題について確認すると、「効果が分からない」、「コストが負担できない」といった声が多い。日頃の相談相手である地元のITメーカ・販売会社等がIT導入を働きかけていくことが重要であることを示す。

更にIT利活用の効果を高めていく上で、業務領域間のデータ連携(財務会計と給与管理間のデータ連携等)や企業間のデータ連携を行っていく重要性を明らかにする。

●設備投資による労働生産性の向上

中小企業の設備投資は、緩やかな増加基調にあるが、足下では設備老朽化を背景とした維持更新投資が中心。省力化投資等の生産性向上につながる投資をより一層促進していく必要性について示す。

●M&Aを中心とする事業再編・統合を通じた労働生産性の向上

事業承継等を背景に、中小企業のM&A件数は増加傾向にある。M&Aは買い手側の中小企業にとっても、相手先の企業との間で相乗効果を発揮することで生産性を高める契機となっていることを明らかにする。

M&Aの相手先を見付けたきっかけとしては、金融機関等の第三者からの紹介が多く、M&Aを推進していく上でマッチングの円滑化を図る重要性について示す。

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