第5章 業種別・分野別施策
第1節 中小農林水産関連企業対策
1.6次産業化の推進
(1)6次産業化ネットワーク活動交付金 【29年度予算:19.1億円】
農林漁業者等が多様な事業者とネットワークを構築して行う新商品開発や販路開拓の取組及び農林水産物の加工・販売施設の整備等を支援した。また、市町村の6次産業化等に関する戦略に沿って行う地域ぐるみの6次産業化の取組を支援した。(継続)
(2)農林漁業成長産業化ファンドの積極的活用
農林漁業成長産業化ファンドを通じて、農林漁業者が主体となって流通・加工業者等と連携して取り組む6次産業化の事業活動に対し、出資等による支援を実施した。(継続)
(3)地理的表示保護制度活用総合推進事業 【29年度予算:1.7億円】
地理的表示(GI)の登録申請支援窓口の設置や申請に必要な調査に対する補助、GIに関するシンポジウムや展示会等の開催による制度の普及啓発、国内外へ向けたGI産品の情報発信、海外における知的財産の侵害対策強化等の取組を実施した。(継続)
(4)農山漁村活性化再生可能エネルギー総合推進事業 【29年度予算:1.0億円】
地域主導で再生可能エネルギーを供給する取組を推進し、そのメリットを地域に還元させることを通じて、地域の農林漁業の発展を促進した。平成29年度においては、平成28年度までに事業を実施している者の継続分のみを実施した。(継続)
2.中小農林水産事業者向け支援
(1)木材産業等高度化推進資金、林業・木材産業改善資金 【29年度予算:639億円】
木材の生産・流通を合理化するため、木材産業等高度化推進資金による融資を行うとともに、林業・木材産業の経営改善等を実施するため、林業・木材産業改善資金を融資する。(継続)
(2)次世代林業基盤づくり交付金(うち木材加工流通施設等の整備) 【29年度予算:70.1億円】
価格・量・品質面において安定的・効率的な供給ができるサプライチェーンを構築するために必要な木材加工流通施設の整備を支援した。(継続)
(3)強い農業づくり交付金及び産地活性化総合対策事業による乳業再編整備等への支援 【29年度予算:強い農業づくり交付金230億円の内数 産地活性化総合対策事業25.7億円の内数】
(施策の目的)
- 乳業工場の再編・合理化と衛生管理の向上を図ること等により、中小乳業の経営体質の強化を推進し、酪農家の経営安定に資することを目的とする。
(施策の概要)
- 中小乳業の製造販売コストの低減や衛生水準の高度化を図るため、乳業工場の施設の機能強化を支援した。
- 集送乳の効率化や乳業の再編整備に向けた取組を着実に推進するため、地域における課題の把握・検討の取組等を支援した。(継続)
(4)食品産業品質管理高度化促進基金
食品の安全性の向上と消費者の信頼を確保するため、食品の製造管理の高度化に関する臨時措置法に基づき、〔1〕HACCP導入のための施設、設備の整備、〔2〕HACCP導入の前段階の一般衛生管理や品質管理を行うための体制、施設・設備の整備(高度化基盤整備)への金融支援を行った。(継続)
(5)輸出総合サポートプロジェクト 【29年度予算:16.0億円】
(施策の目的)
- 2019年に輸出額1兆円とする目標の達成に向けて官民一体となって「農林水産業の輸出力強化戦略」(平成28年5月「農林水産業・地域の活力創造本部」取りまとめ)に沿って、輸出促進の取組を行う。
(施策の概要)
- JETRO等への補助を通じて、輸出に取り組む事業者等に対し川上から川下に至る総合的なビジネスサポートを実施。
- 今後輸出が強く期待される国・地域などで開催される海外見本市にジャパンパビリオンを設置し、事業者等と海外バイヤーが直接商談できる機会を提供。
- 海外の有力なバイヤーを国内商談会に招へいする際に、卸売市場や産地等への視察を通じて、日本産品の品目の特性や安全性等を理解してもらい、効果的に商談を実施。
- 今後輸出が強く期待される国・地域を中心に、マーケティングやプロモーション、日本産品のPR等をするためのマーケティング拠点(インストア・ショップ)を設置し、事業者の商品を試験販売し、現地の反応をフィードバック。(継続)
(6)輸出に取り組む事業者向け対策事業
(施策の目的)
- 2019年に輸出額1兆円とする目標の達成に向けて官民一体となって「農林水産業の輸出力強化戦略」(平成28年5月「農林水産業・地域の活力創造本部」取りまとめ)に沿って、輸出促進の取組を実施。
(施策の概要)
- 水産物、コメ・コメ加工品、花き、畜産物、茶、林産物(木材)、青果物及び加工食品(菓子)の品目別輸出団体が、ジャパン・ブランドの確立を目的として、国内検討会の開催や海外マーケット調査、輸出環境課題の解決等の取組を実施。
- 加工食品(菓子を除く)に関する国内の主要な輸出産地・関係事業者等を取りまとめる団体や、地方ブロック規模において複数の品目を取りまとめる団体等が、通年又は長期の安定供給の構築等を目的として、国内検討会、海外マーケット調査や海外での販路開拓の取組を実施。
- 対象国・地域が求める検疫等条件への対応や国際的に通用する認証の取得・更新、品目別の輸出状況に応じた実用的な輸送コストの実現を図るため、最適な輸出モデルの開発・実証を行う取組を実施(継続)。
(平成28年度からの変化)
- 新たに加工食品(菓子)の輸出団体が設立されたことに伴い、計8団体に対するジャパン・ブランド確立の取組を支援。(継続)
3.研究開発等横断的分野等における支援
(1)農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業 【29年度予算:30.7億円】
農林水産・食品分野の成長産業化を図るため、農林水産・食品分野における産学連携による研究開発を基礎から実用化段階まで継ぎ目なく推進した。(継続)
(2)日本政策金融公庫による各種融資
〔1〕特定農産加工業者の経営改善、〔2〕特定農林畜水産物の新規用途又は加工原材料用新品種の採用の推進、〔3〕食品製造業者等と農林漁業者等の安定取引関係構築及び農林漁業施設の整備等、〔4〕乳業施設の改善、〔5〕水産加工業の体質強化、〔6〕農業生産関連事業の事業再編等に対して融資した。(継続)
第2節 中小運輸業対策
1.倉庫業への支援
経済・社会環境の変化の中で高度化・多様化する物流ニーズやトラックドライバー不足に対応することを目的とし、物流の省力化・効率化を図るため、改正物流総合効率化法の活用により、輸送機能と保管機能の連携した倉庫の整備を促進した。また、倉庫の低炭素化を促進するため、省エネ設備等の導入に対して支援を行った。(継続)
2.内航海運・国内旅客船事業対策(船舶共有建造制度) 【財政投融資】
鉄道・運輸機構の船舶共有建造制度により、内航海運のグリーン化に資する船舶や離島航路の維持・活性化に資する船舶といった政策的意義の高い船舶の建造を促進した。(継続)
3.中小造船業・舶用工業対策 【29年度予算:[1]0.4億円の内数[2]160億円(平成25年度予算)[3]6.8億円[4]0.9億円】
(1)経営の安定のためのセーフティネットの確保に取り組むほか、〔1〕経営技術の近代化に向けた講習会を実施するとともに労働災害の防止に向けての統括安全衛生責任者研修会を実施した。(継続)
(2)東日本大震災では東北の太平洋側に位置する造船所のほとんどが壊滅的な被害を受けた。地域の基幹産業である水産業を支える地元造船産業の早期復旧・復興を図るため、国土交通省では、中小企業庁等関係省庁と連携し、各種支援制度を活用した支援を行ってきた。地盤沈下等により震災前と同様の操業を行うことが困難となっている造船事業者に対しては、協業化・集約化による本格的な復興のための造船施設の整備を支援する「造船業等復興支援事業費補助金」を平成25年度に創設し、平成26年度末までに、8件、19事業者に対して補助金を交付決定(補助額計114.2億円)の上、復興事業を推進している。平成29年度末までに7件の事業が完了した。〔2〕造船業等復興支援事業費補助金(継続)
(3)7件の中小企業が参加する、我が国海洋産業の戦略的振興のための海洋資源開発技術開発及び我が国海事産業の船舶の建造・運航における生産性向上のための技術研究開発に係る費用に対し補助を行った。〔3〕海事産業関連技術研究開発補助金(継続)
(4)平成28年7月に施行された中小企業等経営強化法に基づき、造船業・舶用工業における事業分野別指針を策定し、税制等の支援措置が受けられるよう、本指針に沿って中小企業・小規模事業者が策定した経営力向上計画を51件(平成29年12月末時点)認定した。 【税制】(継続)
(5)地域の中小造船企業と教育機関のネットワークを強化するため、平成29年度に「造船事業者等の地域連携によるインターンシップ等実施ガイダンス」を取り纏め、公表し、普及に取り組んだ。さらに、造船業への優秀な労働力確保を支援するため、高校生向けの新たな造船教材の作成、造船教員育成のための研修プログラム等の作成等、造船教育の強化に取り組んだ。外国人造船就労者受入事業については、昨年11月に平成32年度末までに就労を開始した者に限って、最長平成34年度末まで就労を可能とする等の制度改正を実施した。〔4〕造船業における人材の確保・育成(継続)
第3節 中小建設・不動産業対策
1.建設産業生産性向上支援事業 【29年度予算:0.6億円】
地域の守り手として国民の生命と財産を守る極めて重要な役割を果たしている地域の中小・中堅建設企業が直面する、「加速化する技術革新への対応」等の建設産業を取り巻く様々な課題を解決するため、本事業では、人材開発の専門家、中小企業診断士、技術士、労働安全コンサルタント等の建設業に精通した専門家が、建設産業を取り巻く様々な課題解決の必要性に問題意識を持つ中小・中堅建設企業の相談に対してアドバイスを行う「相談支援」を実施。加えて、建設産業を取り巻く様々な課題に対応する取組の中から、モデル性の高い案件を重点的に支援する「重点支援(ステップアップ支援)」を実施。
さらに、各地でのセミナー開催等により、「重点支援(ステップアップ支援)」の好事例を業界内へ効果的に水平展開。(新規)
2.建設業における金融支援の実施
(1)地域建設業経営強化融資制度の実施
元請建設企業の資金調達の円滑化を図るため、中小・中堅元請建設企業が工事請負代金債権を担保に、融資事業者から工事の出来高に応じて融資を受けることが可能となる「地域建設業経営強化融資制度」を実施した。なお、本制度においては、融資事業者が融資を行うにあたって金融機関から借り入れる転貸融資資金に対して債務保証を付すことにより、融資資金の確保と調達金利の軽減を図っている。(継続)
(2)下請債権保全支援事業の実施
下請建設企業等の債権保全を図るため、中小・中堅下請建設企業等が元請建設企業に対して有する工事請負代金債権等をファクタリング会社が保全する「下請債権保全支援事業」を実施した。なお、本事業では、ファクタリング会社に対して一定の損失補償を実施し、下請建設企業等が負担する保証料について助成を行っている。(継続)
3.建設業の海外展開支援 【29年度予算:0.7億円】
独自の技術を有するわが国の中堅・中小建設企業の海外市場への進出を促進することを目的として、中堅・中小建設業海外展開推進協議会(JASMOC)を立ち上げ、その活動として、国内におけるセミナーの開催、3カ国(タイ、ミャンマー、インドネシア)への訪問団の派遣、ベトナムにおける海外見本市出展支援及び合同就職説明会の開催等による支援を行った。(継続)
4.中小不動産業者に対する金融措置
中小不動産事業者の信用を補完し金融を円滑化するため、中小不動産事業者の協業化円滑資金や地域再生のための事業資金等に対する債務保証事業を継続実施した。(継続)
5.地域型住宅グリーン化事業 【29年度予算:114億円】
地域における木造住宅の生産体制を強化し、環境負荷の低減を図るため、資材供給、設計、施工などの関連事業者からなるグループによる、省エネルギー性能や耐久性等に優れた木造住宅・建築物の整備に対して支援を行った。(継続)
6.地域に根ざした木造住宅施工技術体制整備事業 【29年度予算:4.7億円】
地域における木造住宅施工技術体制を維持・整備し、優良な住宅ストックを形成するため、民間事業者からなるグループが行う大工技能者育成のための研修活動の支援を行った。(新規)
第4節 生活衛生関係営業対策
1.生活衛生営業対策 【29年度予算:10.4億円】
理美容業、クリーニング業、飲食店営業などの生活衛生関係営業の経営の健全化、衛生水準の維持向上及び利用者又は消費者の利益の擁護を図り、もって安心・快適な生活環境づくりを衛生的観点から推進するため、生活衛生同業組合及び連合会、全国生活衛生営業指導センター、都道府県生活衛生営業指導センターに対して補助を実施した。平成29年度においては、急増する訪日外国人旅行者への対応が生活衛生関係営業においても喫緊の課題となっているため、生活衛生同業組合連合会におけるホームページの多言語化や受け入れ体制の強化等を行う事業(生活衛生関係営業等インバウンド対策強化事業)などを重点的に実施した。また、平成29年補正予算においては、賃金支給水準の底上げを図るための収益力向上等に関するセミナーの開催等を行った。(継続)
2.生活衛生関係営業者に関する貸付 【29年度予算:30.6億円】
生活衛生関係営業の資金繰り支援を行うことで公衆衛生の向上及び増進を図るため、日本政策金融公庫(生活衛生資金貸付)において、低利融資を行った。平成29年度においては、創業者向け融資に係る貸付条件の拡充等を行い、平成29年度補正予算においては、生産性の高い設備の導入による創業期の経営基盤の安定化を支援するため、日本政策金融公庫(生活衛生資金貸付)が行う無担保・無保証融資の低利融資を行うために必要な財政支援を行った。(継続)