平成28年度において講じようとする小規模企業施策

第6章 業種別・分野別施策

第1節 中小農林水産関連企業対策

1.6次産業化の推進

(1)6次産業化ネットワーク活動交付金【28年度予算:20.3億円の内数】

農林漁業者等が多様な事業者とネットワークを構築して行う新商品開発や販路開拓の取組及び農林水産物の加工・販売施設の整備等を支援する。また、市町村の6次産業化戦略に沿って行う地域ぐるみの6次産業化の取組を支援する。(継続)

(2)農林漁業成長産業化ファンドの積極的活用

農林漁業成長産業化ファンドを通じて、農林漁業者が主体となって流通・加工業者等と連携して取り組む6次産業化の事業活動に対し、出資等による支援を実施する。(継続)

(3)地理的表示等活用総合対策事業【28年度予算:1.7億円の内数】

地理的表示(GI)保護制度に係る登録申請に対する支援及び普及啓発、GI等を活用した地域ブランド化とビジネス化の支援、我が国のGIマーク及び農林水産物・食品等の海外における知的財産の侵害対策強化に取り組む。(継続)

(4)農山漁村活性化再生可能エネルギー総合推進事業【28年度予算:1.0億円の内数】

平成27年度までに事業を実施している地区について、地域主導で再生可能エネルギーを供給する取組を推進し、そのメリットを地域に還元させることを通じて、地域の農林漁業の発展を促進する。(継続)

2.中小農林水産事業者向け支援

(1)木材産業等高度化推進資金、林業・木材産業改善資金【28年度予算:700億円の内数】

木材の生産・流通を合理化するため、木材産業等高度化推進資金による融資を行うとともに、林業・木材産業の経営改善等を実施するため、林業・木材産業改善資金を融資する。(継続)

(2)木材加工設備導入利子助成支援事業【28年度予算:0.04億円の内数】

木材製品の高付加価値化や経営の多角化等を図るための設備導入とそれに伴う施設・設備廃棄等に必要な資金の借入に対する利子助成を行う。(継続)

(3)森林・林業再生基盤づくり交付金(木材加工流通施設等の整備)【28年度予算:61.4億円の内数】

価格・量・品質面において安定的・効率的な供給ができるサプライチェーンを構築するために必要な木材加工流通施設の整備を支援する。(新規)

(4)強い農業づくり交付金及び産地活性化総合対策事業(乳業再編整備等への支援)【27年度予算:強い農業づくり交付金:207.9億円の内数、産地活性化総合対策事業:20.5億円の内数】

(施策の目的)

飲用牛乳の消費が低迷する中、酪農家の経営安定に資するために、乳業工場の再編・合理化と衛生管理の向上を図ること等により、中小乳業の経営体質を強化を推進するため。

(施策の概要)

中小乳業の製造販売コストの低減や衛生水準の高度化を図るため、乳業工場の施設

の新増設・廃棄、新増設を伴わない場合の乳業工場の廃棄等を支援する。

集送乳の効率化や乳業の再編整備に向けた取組を着実に推進するため、地域における課題の把握・検討、具体的な計画の策定、従業員の合理化への取組等を支援する。

(5)食品の製造過程の管理の高度化に関する支援

食品の安全性の向上と消費者の信頼を確保するため、食品の製造管理の高度化に関する臨時措置法に基づき、〔1〕HACCP導入のための施設、設備の整備、〔2〕HACCP導入の前段階の一般的衛生管理や品質管理を行うための体制、施設・設備の整備(高度化基盤整備)への金融支援を行う。(食品産業品質管理高度化促進資金)(継続)

(6)輸出総合サポートプロジェクト【28年度予算:14.8億円の内数】

(施策の目的)

2020年に1兆円とする目標の達成に向けて官民一体となって「農林水産物・食品の国別・品目別輸出戦略」(25年8月策定、以下「国別・品目別輸出戦略」という。)に沿って、輸出促進の取組を行う。

(施策の概要)

日本貿易振興機構(JETRO)等への補助を通じて、輸出に取り組む事業者等に対し川上から川下に至る総合的なビジネスサポートを強化する。

(27年度からの変化)

輸出拡大の可能性が高い地域を中心に、輸出に取り組む事業者の商品を試験販売し、現地の反応をフィードバックする「新興市場等におけるマーケティング拠点」の交付先について、ジェトロに対する特定補助から民間事業者等を含めての公募により決定することに変更する。

地理的表示(GI)を活用した輸出について、事業者からの相談に応じる専門家を設置する。

事業者発掘から商談支援、輸出相談窓口のワンストップ化、海外主要都市へのマーケティング拠点の設置など、ジェトロを通じ、輸出に取り組む事業者に対し、継続かつ一貫したサポート体制を提供する。(継続)

(7)輸出に取り組む事業者向け対策事業【28年度予算:8.4億円の内数】

(施策の目的)

(施策の概要)

(平成27年度からの変化)

3.研究開発等横断的分野等における支援

(1)農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業【28年度予算:32.1億円の内数】

農林水産・食品分野の諸課題の解決や革新的な技術の開発につながる技術シーズ(新技術や新事業・アグリビジネスの創出につながる技術要素)を開発するための基礎段階、創出されたシーズを基に、実用化段階の研究開発に向けて発展的に進めるための応用段階、国の重要施策や農林水産・食品分野の多様なニーズに対応した技術の実用化段階の各段階における研究開発を推進、また産学官の技術力を活かし、実需者等の多様なニーズに応じた新品種の開発を推進する(継続)

(2)日本公庫による各種融資【財政投融資】(継続)

第2節 中小運輸業対策

1.倉庫業への支援

経済・社会環境の変化の中で高度化する物流ニーズやトラックドライバー不足に対応すべく、物流総合効率化法により効率的な物流を促進し、施設における物流機能の高度化及び業務の効率化を推進する。(継続)

2.内航海運・国内旅客船事業対策

(1)内航海運暫定措置事業

内航海運暫定措置事業の円滑かつ着実な実施を図るため、同事業に要する資金について政府保証枠の設定による支援措置を講じる。(継続)

(2)船舶共有建造制度【財政投融資】【28年度予算:187億円の内数】

鉄道・運輸機構の船舶共有建造制度により、内航海運のグリーン化に資する船舶や離島航路の維持・活性化に資する船舶といった政策的意義の高い船舶の建造を促進する。(継続)

3.中小造船業・舶用工業対策【28年度予算:〔1〕0.5億円の内数〔2〕160億円の内数(平成25年度予算)〔3〕6.4億円の内数〔4〕0.9億円の内数】

(1)経営の安定のためのセーフティネットの確保に取り組むほか、〔1〕【経営技術の近代化に向けた講習会を実施するとともに労働災害の防止に向けての統括安全衛生責任者研修会を実施】する。(継続)

(2)今般の東日本大震災では、東北の太平洋側に位置する37の造船所全てと多くの造船関連事業者が壊滅的な被害を受けたところ。国土交通省では、中小企業庁等、関係省庁との連携により、「中小企業等復旧・復興支援(グループ化)補助事業」の活用支援や、設備の早期復旧に必要な資機材の調達支援を行う。(継続)また、被災地域の水産業に大きく貢献する地元造船産業の復興を促進するため、地域基幹産業である水産業に貢献し、地盤沈下により復興が困難な中小造船関連事業者の集約等に対し、事業者により共有される建造・修繕施設、係留施設等の施設の建設費等に対して補助を行うための基金を設置し、8件、19事業者に対して114.2億円の補助金交付の決定を行っているところ。補助事業を実施中の事業については引き続き、適正に実施されるよう支援を続ける。〔2〕造船業等復興支援事業費補助金(継続)

(3)我が国海洋産業の戦略的育成のための海洋資源開発技術と船舶からのCO2を削減する世界最先端の海洋環境技術の技術研究開発費に対し補助を行う。〔3〕海事産業関連技術研究開発費補助金(継続)

(4)造船業への理解を深め、造船業を目指す若者を増やすため、造船所によるインターンシップを推進するほか、造船を学ぶ高校生向けの魅力ある教材の作成などに取り組む。(継続・新規)引き続き、外国人造船就労者受入事業の適正化を図り、外国人材の活用を促進する。〔4〕造船業における人材の確保・育成(継続)

第3節 中小建設・不動産業対策

1.地域建設産業活性化支援事業【28年度予算:1.7億円の内数】

社会資本の整備・維持管理や地域の防災・減災など、地域社会を支える中小・中堅建設企業及び建設関連企業(測量業、建設コンサルタント及び地質調査業)に対して、人材開発の専門家や中小企業診断士等の活性化支援アドバイザーが、経営上の課題又は施工管理等の技術的な課題の解決に資する幅広いアドバイスを実施。

また、担い手の確保・育成や生産性向上に資する取組でモデル性の高い案件については、重点支援として専門家の支援チームによる計画策定等の目標達成までの継続支援や計画実行段階の経費の一部支援を実施。

加えて、重点支援の取組や活性化支援アドバイザーの知見等を活かし、生産性向上に資するベストプラクティスの見える化、建設業に応用可能な他産業の生産性向上を参考にした、建設業版「生産管理モデル」の構築を検討し、本事業スキームによる支援にも活用するほか、ベストプラクティス・生産管理モデルに関するセミナー・個別相談会の開催や、オンライン講座等の効率的・効果的な教育手法を開発・試行する。(新規)

2.建設業における金融支援の拡充

(1)地域建設業経営強化融資制度の実施

元請建設企業の資金調達の円滑化を一層図るため、中小・中堅元請建設企業が公共工事請負代金債権を担保に、融資事業者から工事の出来高に応じて融資を受けることが可能となる「地域建設業経営強化融資制度」を引き続き実施する。なお、本制度においては、融資事業者が融資を行うにあたって金融機関から借り入れる転貸融資資金に対して債務保証を付すことにより、融資資金の確保と調達金利の軽減を図っている。

(2)下請債権保全支援事業の実施

下請建設企業等の債権保全及び資金調達の円滑化を一層図るため、中小・中堅下請建設企業等が元請建設企業に対して有する工事請負代金債権等をファクタリング会社が保全する場合に、そのリスクを軽減する損失補償を実施し、また、当該下請建設企業等が負担する保証料について助成を行う「下請債権保全支援事業」を引き続き実施する。(継続)

3.建設業の海外展開支援【28年度予算:0.7億円の内数】

中堅・中小建設企業の海外進出を支援するため、企業の海外進出のステージに応じた適切な支援を実施する。具体的には、対象国において市場調査を行い、我が国建設企業の海外建設市場への展開可能性について分析する。その結果を踏まえ、対象国への進出を検討している中堅・中小建設企業の経営者層を対象に、海外進出のための海外進出戦略策定セミナーを全国にて開催し、訪問団を派遣する。そのほか、海外見本市等への出展支援、海外建設実務セミナーの開催や、海外建設・不動産市場データベース等を通じた最新情報の発信、紹介等の取組みを行う。(継続)

4.中小不動産業者に対する金融措置

中小不動産事業者の信用を補完し金融を円滑化するため、中小不動産事業者の協業化円滑資金や地域再生のための事業資金等に対する債務保証事業を継続実施する。(継続)

5.地域型住宅グリーン化事業【28年度予算:110億円の内数】

地域における木造住宅の生産体制を強化し、環境負荷の低減を図るため、資材供給、設計、施工などの関連事業者からなるグループによる、省エネルギー性能や耐久性等に優れた木造住宅・建築物の整備に対して支援を行う。(継続)

6.木造住宅施工技術体制整備事業【28年度予算:5.1億円の内数】

新規大工技能者の育成や大工技能者の技術力の向上に資するリフォーム技術講習等の取組に対する支援を行う。(継続)

第4節 生活衛生関係営業対策

1.生活衛生営業対策【28年度予算:10.3億円の内数】

理美容業、クリーニング業、飲食店営業などの生活衛生関係営業の経営の健全化、衛生水準の維持向上及び利用者又は消費者の利益の擁護を図り、もって安心・快適な生活環境づくりを衛生的観点から推進するため、生活衛生同業組合及び連合会、全国生活衛生営業指導センター、都道府県生活衛生営業指導センターに対して補助を実施する。平成28年度においては、生活衛生関係営業者の経営改善を支援するため、生産性向上に資する取組事例を収集し取りまとめるとともに、業態、規模及び地域性に応じたきめ細やかな経営相談、経営指導等を行うモデル事業(生活衛生関係営業生産性向上等モデル事業)などを重点的に実施する。(継続)

2.生活衛生関係営業に関する貸付【28年度予算:25億円の内数】

生活衛生関係営業の資金繰り支援を行うことで公衆衛生の向上及び増進を図るため、株式会社日本政策金融公庫(生活衛生資金貸付)において、低利融資を行う。平成28年度においては、耐震化に係る運転資金の貸付内容の拡充等を行い、引き続き生活衛生関係営業者の資金需要に適切に対応する。(継続)

第5節 環境・エネルギー対策

1.中小企業等の温室効果ガス削減量等を認証する制度(J-クレジット制度)における手続等支援【28年度予算:4.4億円の内数】

J-クレジット制度は、中小企業等の設備投資による温室効果ガスの排出削減量等をクレジットとして認証する制度であり、制度運営や事業計画の作成支援等を実施する。

また、本事業では、カーボンフットプリント(CFP)制度で「見える化」された、製品・サービスのCO2排出量をクレジットにより埋め合わせるカーボン・オフセットの仕組みの基盤整備を実施し、J-クレジット制度の下で創出されるクレジットの需要開拓も推進する。本事業により、中小企業等の省エネ設備投資等を促進し、クレジットの活用による国内での資金環流を促すことで環境と経済の両立を目指す。(継続)

2.環境・エネルギー対策資金(公害防止対策関連)【財政投融資】

中小事業者の公害防止対策を促進するため、対象設備・利率を見直した上で、日本政策金融公庫による低利融資を引き続き実施する。(継続)

3.公害防止税制【税制】

中小企業・小規模事業者の公害防止対策に対する取組を支援するため、本税制措置を引き続き実施する。(継続)

4.エネルギー使用合理化等事業者支援事業【28年度予算:515.0億円の内数】

工場・事業場における既設設備・システムの入替、製造プロセスの改善等に向けた改修による省エネや電力ピーク対策・事業者間の省エネ対策を行う際に必要となる費用を補助する。その際、省エネ法との連携を重視し、より高い水準の省エネの取組を重点的に支援する。(継続)

5.エネルギー使用合理化特定設備等導入促進事業【28年度予算:27.0億円の内数】

省エネ設備等の導入や、目標年度到達前等のトップランナー制度対象製品の設置等を促進するため、民間金融機関等から融資を受ける事業者に対し、利子補給を行う。事業の実施に当たっては地域金融機関等との連携を強化し、省エネに積極的に取り組む地域の中小・中堅企業等の省エネ投資を後押しする。(継続)

6.省エネルギー対策導入促進事業【28年度予算:7.5億円の内数】

中小・中堅事業者等に対し、省エネ・節電ポテンシャルの診断等を実施し、診断事例や省エネ技術を広く情報発信することで、横展開を図る。また、診断によって提案された省エネの取組を促進するため、各地域できめ細かな省エネ相談を実施する「省エネルギー相談地域プラットフォーム」を構築する。(継続)

7.環境関連投資促進税制【税制】

平成27年に策定したエネルギーミックスの実現のため、平成28年度税制改正において、地熱発電、木質バイオマス発電設備等の対象設備への追加等の重点化を行った上で、適用期限を2年延長する。(継続)

8.地域低炭素投資促進ファンド事業【28年度予算:60億円の内数】

一定の採算性・収益性が見込まれるものの、リードタイムや投資回収期間が長期に及ぶこと等に起因するリスクが高く、民間資金が十分に供給されていない再生可能エネルギー事業等の低炭素化プロジェクトに民間資金を呼び込むため、これらのプロジェクトに対し、「地域低炭素投資促進ファンド」からの出資を行う。(継続)

9.エコリース促進事業【28年度予算:18.0億円の内数】

低炭素機器の導入に際して多額の初期投資費用(頭金)を負担することが困難な中小企業等に対し、リース料総額の一部を補助することによって、頭金なしの「リース」の活用を促進し低炭素機器の普及を図る。(継続)

10.エコアクション21

中堅・中小事業者等にも取り組みやすいエコアクション21の推進を引き続き図っていくとともに、エコアクション21ガイドラインの改訂草案の作成・検討を実施する。また、CO2削減に特化したプログラムを引き続き補助事業として実施し、環境経営に取り組む中堅・中小企業を増加させる。(継続)

第6節 IT化の促進

1.政府系金融機関の情報化投資融資制度(IT活用促進資金)【財政投融資】

中小企業におけるITの普及変化に関連した事業環境の変化に対応するため、日本公庫による融資を着実に実施する(継続)

第7節 知的財産対策

1.特許出願技術動向調査【28年度予算:9.0億円の内数】

市場を獲得する可能性のある技術分野、科学技術政策等の国として推進すべき技術分野を中心に技術テーマを選定し、「市場動向」、「特許出願動向」等の調査結果を踏まえて、日本の産業界の研究開発戦略や知的財産戦略に資する調査結果を特許庁ホームページ等を通じて情報発信する。また、特定の国において市場が創出されると予想される技術分野等を選定し、当該国の「市場動向」、「特許出願動向」等の調査結果を踏まえて、日本の産業界における研究開発戦略、知的財産戦略や事業戦略の策定に有用な情報として提供する。(継続)

2.中小企業外国出願支援事業【28年度予算:6.3億円の内数】

中小企業等による戦略的な外国出願を促進するため、都道府県中小企業支援センター等及び全国実施機関としてジェトロを通じて、外国への事業展開等を計画している中小企業に対して、外国への出願に要する費用(外国特許庁への出願料、国内・現地代理人費用、翻訳費用等)の一部を助成する。28年度はより多くの都道府県中小企業センターに取組を拡大。(継続)

3.知的財産権制度に関する普及【28年度予算:0.8億円の内数】

知的財産権制度に関する知見・経験のレベル応じて、知的財産権制度の概要や基礎的知識について説明する初心者向けと、特許・意匠・商標の審査基準や、審判制度の運用、国際出願の手続等、専門性の高い内容を分野別に説明する実務者向け、及び最新の法令改正事項を広く説明する法改正の説明会を開催する。

平成28年度は、初心者向け説明会を47都道府県において開催、実務者向け説明会を全国の主要都市で開催する。(継続)

4.中小企業等海外侵害対策支援事業【28年度予算:1.3億円の内数】

中小企業の海外での適時適切な産業財産権の権利行使を支援するため、ジェトロを通じて、模倣品に関する調査から模倣品業者に対する警告・行政摘発手続に要する費用を補助し、海外で現地企業等から知財権侵害で訴えられた場合の弁護士等への相談費用や訴訟に要する費用についても補助を行う。28年度からは新たに冒認商標無効・取消係争の実施に要する費用の補助も開始する。(継続)

5.特許戦略ポータルサイト【28年度予算:0.1億円の内数】

特許庁ホームページ内の特許戦略ポータルサイトでは、パスワード交付申込みのあった出願人に対し、インターネットを通じて、自社の直近10年間の特許出願件数、審査請求件数、特許査定率等のデータが掲載された「自己分析用データ」を提供する。(継続)

6.中小企業向けの特許料等の軽減

積極的に研究開発を行う中小企業等に対し、審査請求料や特許料(第1年分から第10年分)を半額に軽減する措置を引き続き実施する。

また、中小ベンチャー企業・小規模企業等に対し、審査請求料、特許料(第1年分から第10年分)、国際出願に係る手数料(調査手数料、送付手数料、予備審査手数料)を1/3に軽減する措置及び国際出願手数料や取扱手数料の2/3に相当する額を交付する措置を引き続き実施する。(継続)

7.早期審査・早期審理制度

出願人や審判請求人が中小企業・小規模事業者の場合、「早期審査に関する事情説明書」や「早期審理に関する事情説明書」を提出することにより、通常に比べ早期に審査又は審判を受けられるようにする。(継続)

8.中小企業の知財に関するワンストップサービスの提供(知財総合支援窓口)【28年度予算:INPIT交付金】

中小企業等が企業経営の中で抱える知的財産に関する悩みや課題に対し、その場で解決を図るワンストップサービスを提供するため、「知財総合支援窓口」を都道府県ごとに設置し、窓口に支援担当者を配置している。また、専門性が高い課題等には知財専門家を活用し解決を図るほか、中小企業支援機関等との連携、知的財産を有効に活用できていない中小企業等の発掘等を通じて、中小企業等の知財活用の促進を図る。平成28年度は、事業の実施主体が(独)工業所有権情報・研修館となり、支援対象を中堅企業まで広げるとともに、職務発明規程に関する支援を行う専門家の更なる拡充を行うなど、支援体制を強化する。(継続)

9.営業秘密に関するワンストップ支援体制の整備(「営業秘密・知財戦略相談窓口~営業秘密110番~」【28年度予算:INPIT交付金の内数】

平成27年2月2日に独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)に新設した「営業秘密・知財戦略相談窓口~営業秘密110番」においては、知財総合支援窓口とも連携して、主に中小企業を対象に特許としての権利化、営業秘密としての秘匿化を含むオープン・クローズ戦略等の具体的な知的財産戦略に加え、秘匿化を選択した際の営業秘密の管理手法、また営業秘密の漏えい・流出等に関する相談に専門家が対応しており、平成28年度もこれを継続する。特に営業秘密の漏えい・流出事案や情報セキュリティ対策、サイバーアタックについて、相談内容に応じて、警察庁や独立行政法人情報処理推進機構(IPA)とも連携して対応する体制を継続する。さらに、平成28年度は、営業秘密・知財戦略セミナーやeラーニングコンテンツ等による普及・啓発活動を強化しつつ、本相談窓口の周知を行い中小企業による活用を促進していく。(継続)

10.新興国等知財情報データバンク【28年度予算:0.01億円の内数、INPIT交付金の内数】

新興国等でのビジネスに関わる我が国の企業の法務・知財担当者等を対象に、各国の知財情報を幅広く提供することを目的とする情報発信ウェブサイトであり、新興国等を対象に出願実務、審判・訴訟実務、ライセンス実務情報、統計・制度動向等の情報を提供する。(継続)

11.海外知的財産プロデューサー派遣事業【28年度予算:INPIT交付金の内数】

独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)において、海外での事業内容や海外展開先の状況・制度等に応じた知的財産戦略策定等、海外における事業展開を知的財産活用の視点から支援するため、海外での事業展開が期待される有望技術を有する中小企業等に対して、知的財産マネジメントの専門家(海外知的財産プロデューサー)を派遣する。(継続)

12.出張面接審査・テレビ面接審査【28年度予算:0.2億円の内数】

全国各地の中小・ベンチャー企業等の方々への支援を目的として、全国各地の面接会場に審査官が出張する面接審査、及び、インターネット回線を利用し出願人自身のPCから参加できるテレビ面接審査を実施する。(継続)

13.中小企業等特許情報分析活用支援事業【28年度予算:1.4億円の内数】

中小企業等における効果的な研究開発や権利化等の知財活用を促進するため、中小企業に加えて、地方公共団体、公設試験研究機関、商工会や商工会議所等も対象とした「研究開発」、「出願」及び「審査請求」の各段階のニーズに応じた包括的な特許情報分析を支援する。(継続)

14.知財金融促進事業【28年度予算:1.0億円の内数】

中小企業の知財を活用したビジネスの価値・評価を「見える化」して、金融機関からの融資につなげる包括的な取組を実施する。具体的には、調査会社が中小企業の知財を活用したビジネスの価値・評価を「見える化」した「知財ビジネス評価書」を作成し、知財の専門人材が不足している金融機関に提供することで、同ビジネスが、中小企業への融資判断に適切に反映されることを目指す。

また、知的資産経営についても普及・支援を実施する。(継続)

15.日本発知財活用ビジネス化支援事業【28年度予算:3.6億円の内数】

中堅・中小企業や地域団体商標取得団体の知的財産を活用した外国でのビジネス展開の促進を支援するため、ジェトロを通じて以下の取組を行う。

〔1〕優れた知財を保有する我が国企業等のライセンスビジネスのパートナー候補を、調査によってリストアップし、〔2〕及び〔3〕の商談機会で活用する。

〔2〕専門家による国内でのセミナー・研修や、海外での複数回にわたる個別面談などを通じて、海外でのライセンスビジネスにつなげるビジネスモデル構築やブランド戦略策定を支援し、イベント等商談機会を提供する。

〔3〕国内外での展示会出展、商談会参加等を通じ、ビジネスパートナー候補との商談機会の提供等の支援を実施する。

〔4〕技術流出の予防を目的として、知財専門家による助言等を実施する。

〔5〕有望な知財を保有する我が国の中堅・中小企業や地域団体商標取得団体の魅力を技術流出に配慮しながら海外に多言語で発信する。(継続)

16.地域中小企業知的財産支援力強化事業【28年度予算:2.0億円の内数】

中小企業の様々な課題や地域特性等に応じたきめ細かな支援により中小企業の知財保護・活用を促進するため、意欲の高い地域の支援機関等から先導的・先進的な知財支援の取組を経済産業局を通じ募集し、その実施を支援する。28年度は、国として一律に解決が困難な重点課題の解決を重視した取組への支援を新設する。(継続)

17.海外知財訴訟保険補助事業【28年度予算:0.6億円の内数】

中小企業等が海外知財訴訟への対抗措置を取ることができるようにするため、全国規模の中小企業等を会員とした団体を運営主体とする知財訴訟費用を賄う海外知財訴訟保険制度を創設する。

中小企業等を会員とする全国団体に補助金を交付し、海外知財訴訟保険の掛金の1/2を補助する。掛金負担を軽減することで、中小企業の加入を促進する。(新規)

18.地方創生のための事業プロデューサー派遣事業【28年度予算:1.0億円の内数】

新規事業として、地方における事業化機能拡充のため、潜在ニーズを掘り起こして事業を構想し、金融機関を含む地域ネットワークを構築・活用しながら、シーズのマッチングから事業資金調達、販路開拓までを含めた事業創出環境整備を支援する「事業プロデューサー」の派遣を平成28年度より開始する。(新規)

19.特許情報の提供

特許情報について、高度化、多様化するユーザーニーズに応えるべく、「特許電子図書館」を刷新し、新たな特許情報提供サービス「特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)」の提供を平成27年3月より開始している。J-PlatPatは使いやすいインターフェースを備え、国内の特許、実用新案、意匠、商標の公報の検索や、経過情報の照会機能等を有している。

また、外国特許文献、特に急増する中国・韓国特許文献を日本語で調査できるように「中韓文献翻訳・検索システム」の提供を平成27年1月より、ASEAN等の日本企業の進出が著しい諸外国の特許情報を照会する「外国特許情報サービス(FOPISER)」の提供を平成27年8月より、それぞれ開始している。

なお、いずれのサービスもインターネットを介して無料にて提供している。(継続)

第8節 標準化の推進

1.中堅・中小企業等における標準化の戦略的活用の推進

「日本再興戦略」改訂2015、知的財産推進計画2015に基づき「新市場創造型標準化制度」等を活用して中堅・中小企業等の優れた技術・製品の標準化を推進するとともに、自治体・産業振興機関、地域金融機関、大学・公的研究機関(パートナー機関)と一般財団法人日本規格協会(JSA)が連携し地域において標準化の戦略的活用に関する情報提供・助言等を行う「標準化活用支援パートナーシップ制度」を引き続き実施する。(継続)

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