第3部:平成26年度において講じた小規模企業施策

第5章 その他の小規模企業振興関係施策

第1節 東日本大震災に係る小規模企業対策

1.東日本大震災復興特別貸付【26年度予算:105億円の内数】

東日本大震災により被害を受けた中小企業・小規模事業者への資金繰り支援として、平成23年5月より、日本公庫(国民生活事業及び中小企業事業)・商工中金において、「東日本大震災復興特別貸付」を継続的に実施している。本制度の運用を開始した平成23年5月23日から平成26年2月末までの貸付実績は、27万7千件、5.8兆円であった。また、原発事故に係る警戒区域等の公示の際に当該区域内に事業所を有していた中小企業・小規模事業者や、地震・津波により事業所等が全壊・流失した中小企業・小規模事業者に対しては、県の財団法人等を通じ、実質無利子化する措置も平成23年度に創設(平成23年8月22日より措置)しているところ、平成26年度も引き続き実施した。

2.マル経・衛経融資の貸付限度額・金利引下げ措置の拡充【財政投融資】

東日本大震災により直接又は間接的に被害を受けた小規模事業者に対し、無担保・無保証・低利で利用できる日本公庫によるマル経・衛経融資の貸付限度の拡充(通常枠とは別枠で1,000万円。)、金利引下げ(別枠1,000万円につき、貸付後3年間に限り、通常金利から更に0.9%引下げ。)を行った。平成26年4月から平成27年2月末までに、マル経融資で635件、23.7億円、衛経融資で17件、0.6億円の融資を実施した。

3.東日本大震災復興緊急保証

東日本大震災により被害を受けた中小企業等を対象に、既存の一般保証や災害関係保証、セーフティネット保証とは別枠の新たな保証制度を平成23年度に創設。平成26年度も、特定被災区域内において引き続き実施した(100%保証。保証限度額は無担保8,000万円、最大2億8,000万円。)。本制度の運用を開始した平成23年5月23日から平成27年2月末までの保証承諾実績は、114,404件、2.4兆円であった。

4.原子力災害に伴う「特定地域中小企業特別資金」

原子力発電所事故の被災区域に事業所を有する中小企業等が福島県内において事業を継続・再開する場合に必要な事業資金(運転資金・設備資金)を長期、無利子、無担保での融資を行った。

5.小規模企業者等設備導入資金事業に係る印紙税の非課税措置

東日本大震災に対処するため、「東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律」により、東日本大震災特財法第129条による者が設備復興のために設備導入資金事業を利用し金銭消費賃借契約を締結する場合は、当該事業者に係る印紙税を非課税とする措置を講じた。

6.「産業復興相談センター」及び「産業復興機構」による再生支援【26年度予算:35.5億円の内数】

平成23年度に、被災各県の中小企業再生支援協議会の体制を拡充して「産業復興相談センター」を設立するとともに、債権買取等を行う「産業復興機構」を設立することで、東日本大震災により被害を受けた中小事業者等の事業再生支援を強化した。各県の産業復興相談センターにおいては、平成27年3月27日までに4,081件の事業者からの相談に対応しており、そのうち対応を終了したものは3,900件となった。主な実績としては、金融機関等による金融支援について合意した案件は753件、うち債権買取は302件となった。

7.「株式会社東日本大震災事業者再生支援機構」による再生支援

被災事業者の二重ローン問題に対応するため、東日本大震災事業者再生支援機構では旧債務に係る返済負担の軽減等の支援を実施した。東日本大震災事業者再生支援機構では、平成24年3月5日の業務開始以来これまでに2,203件の相談を受け付けており、そのうち579件の事業者に対して、債権買取等の再生支援を行う旨の決定をした(平成27年3月末現在)。

8.再生可能性を判断する間の利子負担の軽減【26年度予算:184億円の内数】

東日本大震災及び原子力発電所の事故による被害を受けた中小企業者や小規模事業者等が産業復興相談センターを活用した事業再建に取り組む際に、金利負担を軽減することにより、早期の事業再生の実現を図ることを目的とする事業。具体的には産業業復興相談センターの再生計画策定支援を受けた被災事業者に対し、再建手続き期間中に発生する利子を補填するもの。平成23年度に創設し、平成26年度も引き続き実施した。(26年12月末までの累計実績434件、20.9億円)

9.軽トラックを活用した仮設住宅等への移動販売事業【26年度予算:3.9億円の内数】

仮設住宅等の被災者の買い物環境を整備するため、また、東日本大震災により既存の販売先を失うなどした中小企業者の販売先確保や早期の事業再開等を支援するため、被災地域に100台の移動販売車両(軽トラック)を配備し、中小企業者に貸出しを行うことにより、中小企業者が行う仮設住宅での販売や各種イベント等での販売を支援した。

10.被災中小企業復興支援リース補助事業

被災中小企業の二重債務負担の軽減を図るため、東日本大震災に起因する設備の滅失等により債務を抱えた中小企業に対し、設備を再度導入する場合のリース料の10%を補助した。

11.中小企業組合等協同施設等災害復旧事業【26年度予算:220.7億円の内数】

東日本大震災に係る被災地域の復旧及び復興を促進するため、

〔1〕複数の中小企業等から構成されるグループが復興事業計画を作成し、地域経済や雇用維持に重要な役割を果たすものとして県から認定を受けた場合に、計画実施に必要な施設・設備の復旧等にかかる費用に対して、国が1/2、県が1/4の補助、

〔2〕商工会等の中小企業者のための指導・相談施設等の災害復旧事業にかかる費用に対して、国が1/2の補助、

を実施し、被災された中小企業等のグループ等の施設の復旧等に対して支援を行った。

12.仮設施設整備事業・仮設施設有効活用等助成事業【26年度予算:20.7億円の内数】

東日本大震災の被害を受けた中小企業者等の早期事業再開を支援するため、(独)中小企業基盤整備整備機構が、仮設工場や仮設店舗等を整備し、被災市町村を通じて原則無償で貸し出す事業を実施しており、平成27年2月末までに、6県52市町村577箇所に施設を設置している。また、平成26年4月より、仮設施設の本設化、移設、撤去に要する費用の助成を実施しており、平成27年2月末時点までに5件助成を実施している。

13.施設・設備の復旧・整備に対する貸付け

東日本大震災により被害を受けた中小企業者が、県から認定を受けた復興事業計画に基づいて、その計画を実施するために必要な施設・設備の復旧・整備を行う場合に、中小機構と県が協力して、必要な資金の貸付けを行った。

14.事業復興型雇用創出事業

被災地での安定的な雇用を創出するため、産業施策と一体となって雇用面から支援を実施した。

15.特別相談窓口等の設置

全国の日本公庫、商工中金、信用保証協会、商工会議所、商工会連合会、中小企業団体中央会、中小機構地域本部等及び経済産業局に特別相談窓口を設置し、東日本大震災の被災中小企業者等からの経営・金融相談に応じた。

16.中小企業電話相談ナビダイヤルの実施

どこに相談したらよいか困っている中小企業のために、一つの電話番号で最寄りの経済産業局につながる「中小企業電話相談ナビダイヤル」を実施した。

17.官公需における被災地域等の中小企業者に対する配慮

毎年度策定する「中小企業者に関する国等の契約の方針」において、平成26年度においても東日本大震災の被災地域等の中小企業・小規模事業者に対する配慮等を盛り込むとともに、以下の周知を行った。

(1)平成26年6月27日、経済産業大臣から各府省等の長、都道府県知事、全市町村の長及び東京特別区の長(1,814団体)に対し、「中小企業者に関する国等の契約の方針」の閣議決定に係る要請を行うとともに、中小企業・小規模事業者の受注機会の増大のための措置を講じるよう要請した。

(2)地方における「契約の方針」の周知徹底を図るための全国説明会(官公需確保対策地方推進協議会)を7月から8月にかけて51回開催した。

(3)「官公需契約の手引き」を作成し、国等の機関、地方公共団体の機関及び商工関係団体等に配布した。

18.独立行政法人日本貿易保険(NEXI)による対応

被災者支援として、NEXIでは平成23年4月より、罹災した中小企業を対象とした〔1〕保険契約諸手続の猶予、〔2〕被保険者義務の猶予・減免、〔3〕被保険者の経済的負担の減免措置を実施。また、風評被害への対応として、放射能汚染を理由とした貨物の輸入制限・禁止等による損失のうち、新たな規制が導入されて輸入が制限又は禁止されるケースや仕向国政府による違法又は差別的な対応を受けるケース等、貿易保険によりカバーされる具体的事例を公表。また、相談窓口をNEXI内に設置し、貿易保険未加入者も含め、風評被害に関する相談等に応じた。

19.被災者雇用開発助成金【203.3億円の内数】

東日本大震災による被災離職者等の方を、ハローワーク等の紹介により、継続して1年以上雇用することが見込まれる労働者として雇い入れる事業主に対して、助成金を支給した。また、対象労働者を10人以上雇い入れる事業主に対して助成金を上乗せした。

20.放射線量測定指導・助言事業【26年度予算:0.6億円の内数】

工業製品等の風評被害への対策として、放射線量測定等に関する指導・助言(工業製品等の表面汚染測定又は各種分析等に基づく指導・助言及び同測定に関する情報提供等)を行う専門家チームを派遣する事業を実施した。

21.工業品等に係るビジネスマッチング・商品開発支援事業【26年度予算:2.0億円の内数】

被災地域の持続的な復興や地域経済の活性化を図るため、国内外を問わず被災地域産品の販路開拓(ビジネスマッチング、商品開発)を支援した。

22.高度化貸付の債権放棄

東日本大震災により被害を受けた中小企業者に対して、高度化貸付の既往債権について債権放棄を行い、その整理を円滑に進めた。

第2節 取引価格の適正化・消費税転嫁対策

1.消費税転嫁状況監視・検査体制強化等事業【26年度予算:46.0億円の内数】

消費税の円滑かつ適正な転嫁を行うため、全国に474名の転嫁対策調査官を配置した。併せて、消費税の転嫁拒否等の行為に関する情報を収集するため、公正取引委員会と合同で中小企業・小規模事業者全体に書面調査を実施し、転嫁拒否行為等の監視・取締りを行った。

2.消費税転嫁対策窓口相談等事業(取引先いじめ防止対策事業)【26年度補正:37.4億円の内数】

消費税率の引上げや制度変更の円滑な実施のため、中小企業団体等と連携して、講習会・フォーラムの開催、相談窓口の設置や専門家による出張相談を通じたきめ細かいサポート、パンフレット等による周知等を実施する予算を措置した。

第3節 審議会等における政策の検討等

1.「小規模企業振興基本法案(小規模基本法)」及び「商工会及び商工会議所による小規模事業者の支援に関する法律の一部を改正する法律(小規模支援法)」の施行

「小規模企業振興基本法(小規模基本法)」を平成26年6月に、「商工会及び商工会議所による小規模事業者の支援に関する法律の一部を改正する法律案(小規模支援法改正法)」を平成26年9月に施行した。

また、小規模基本法に基づき小規模企業振興施策の体系を示す5年間の基本計画「小規模企業振興基本計画」を平成26年10月に閣議決定するとともに、改正小規模支援法に基づき、全国の商工会・商工会議所が市町村や地域の金融機関等と連携して、地域ぐるみで小規模事業者を支援する体制の整備を全国各地で進めるため、平成27年1月より商工会・商工会議所が策定する「経営発達支援計画」の認定を開始した。

2.“ちいさな企業”成長本部

中小企業・小規模事業者の成長を実現していくため、経済産業大臣を本部長として平成25年2月に“ちいさな企業”成長本部を設置。中小企業・小規模事業者、支援機関などの方々から「生の声」を伺い、「行動計画」を同年6月に取りまとめ、政府の成長戦略である「日本再興戦略」にも反映させた。「行動計画」策定後、その着実な実行のため、フォローアップ会合を開催し、中小企業・小規模事業者の果敢な取組や抱える課題、提起された施策提言を取りまとめた。

第4節 資金繰り支援・事業再生支援の強化

1.きめ細やかな資金繰り支援・事業再生支援

中小企業・小規模事業者の資金繰りの確保に当たっては、経営改善を合わせて実現していくことが極めて重要であるとの認識の下、平成26年2月6日に成立した平成25年度補正予算によって、政府系金融機関による経営支援と一体となった貸付の拡充等の支援策を講じた。具体的には、日本政策金融公庫及び商工中金によるセーフティネット貸付について、平成25年実績を超える貸付規模を措置して実施するとともに、信用保証協会による借換保証について、平成25年度実績並みの保証規模を措置して実施した。また、日本政策金融公庫において、老朽化設備の新陳代謝、給与支給総額の増額及び創業など、前向きの事業展開に向けた取組に対応した融資を促進するとともに、「経営者保証に関するガイドライン」の利用促進のため、中小企業・小規模事業者等を対象にした説明会の開催や相談窓口の設置、専門家の派遣を実施した。

さらに、事業再生支援については、同補正予算によって、中小企業・小規模事業者に対する着実な再生計画策定支援に向けて、全国47都道府県の中小企業再生支援協議会の体制を強化するとともに、中小企業再生支援全国本部の機能拡充などを実施するなど、中小企業・小規模事業者の事業再生を促進した。

2.セーフティネット貸付

セーフティネット貸付のうち経営環境変化対応資金は、社会的、経済的環境の変化の影響等により、一時的に売上高や利益が減少している等の影響を受けている中小企業・小規模事業者に対して、7億2,000万円(日本公庫(中小企業事業)、商工中金)、4,800万円(日本公庫(国民生活事業))の範囲内で融資を実施するものである。平成26年度補正予算では原材料・エネルギーコスト高などの影響を受ける中、資金繰りに困難を来たす中小企業・小規模事業者を支援するため利益率が低下している場合や厳しい業況にあり認定支援機関等の経営支援を受ける場合に金利の優遇措置を行った。平成26年度の貸付実績は、146,603件、3.1兆円となった(平成26年2月末時点)。

3.小規模事業者経営改善資金融資(マル経融資)【財政投融資】

小規模事業者を金融面から支援するため、商工会、商工会議所、都道府県商工会連合会の経営指導を受けている小規模事業者に対して、日本公庫が無担保・無保証・低利で融資を行った。また、貸付期間の拡充(運転資金:5年→7年、設備資金:7年→10年)、据置期間の拡充(運転資金:6か月→1年、設備資金:6か月→2年)を引き続き実施するとともに、貸付限度額を1,500万円から2,000万円に引き上げた。平成26年4月から27年2月末までに、36,996件、2,069億円の融資を実施した。

4.資本性劣後ローンの推進【26年度予算:145億円の内数】

資本性劣後ローンとは、中小企業・小規模事業者に対して、リスクの高い長期・一括償還の資金(資本性資金)を供給し、財務基盤を強化することで、民間からの協調融資を呼び込み、中小企業・小規模事業者の資金繰りを安定化する日本公庫の融資制度である。平成26年度補正予算において、日本公庫で事業承継や海外展開を行う場合にも新たに貸付対象とする等の拡充を行った。平成26年度の貸付実績は、845件、530億円となった(平成27年2月末時点)。

(注)期限一括償還型の貸付であって、融資を受けた中小企業・小規模事業者が法的倒産となった場合に貸付金の償還順位を他の債権に劣後させる制度。毎期の決算の成功度合いに応じて金利を変更する等の制度設計とすることにより、当該劣後ローンは、金融検査上自己資本とみなすことが可能となっている。

5.中小企業・小規模事業者経営力強化融資・保証事業【26年度予算:9.5億円の内数】

認定支援機関の支援を前提とした、日本公庫による創業または経営多角化・事業転換等を行う中小企業・小規模事業者に対する低利融資(基準金利−0.4%、女性・若者・シニア創業者は基準利率−0.65%)等を整備することで、経営力の強化を図った。また、平成26年度においては、国民生活事業において、追加の金利負担なく無担保・無保証で貸し付けを受けられる金額を1,500万円から2,000万円に拡充した。

6.借換保証の推進

信用保証協会が、複数の借入債務を一本化し、足下の返済負担の軽減を図るための借換保証を推進。平成26年度(平成27年2月末まで)の保証承諾実績は、148,824件、2.7兆円であった。

7.セーフティネット保証(4号及び5号)

セーフティネット保証4号は自然災害によって、セーフティネット保証5号は業種の構造的な不況によって、それぞれ経営の安定に支障が生じている中小企業・小規模事業者を対象として、信用保証協会が一般保証とは別枠で保証を実施するものである(100%保証。保証限度額は無担保8,000万円、最大2億8,000万円)。

平成26年度は、セーフティネット保証4号について、短期間強雨の発生回数が増加し、被害が顕在化するなど、災害のリスクが変化してきていることを踏まえ、災害の指定基準を改正した。これにより、災害救助法が適用された時点で発動を決定するなど、運用が大幅に柔軟化・迅速化されることとなった。

セーフティネット保証5号は、引き続き最近3か月間の月平均売上高等が前年同期比で一定割合以上減少等の基準を満たす業種を指定し、積極的に推進した。セーフティネット保証5号の平成26年度(平成27年2月末まで)の保証承諾実績は、20,735件、0.5兆円であった。

8.認定支援機関による経営改善計画策定支援事業

自らでは経営改善計画の策定ができない中小企業・小規模事業者等に対して、中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律に基づく認定支援機関(税理士、弁護士、金融機関等)による経営改善計画策定支援や当該計画に係るフォローアップに要する費用の一部を負担(2/3)した。平成26年度における相談件数は11,401件、新規受付件数は5,243件となり、制度発足時(平成25年3月)から平成26年度末までの実績は、相談件数21,928件、再生計画の策定完了件数7,524件となった。また、新規受付の期限について、平成27年3月末までとなっていたところ、セーフティネットとしての機能を踏まえ、撤廃した。

9.認定支援機関等研修事業【26年度予算:0.2億円の内数】

中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律に基づく認定支援機関に対し、再生計画や経営改善計画に係る策定支援の能力強化のため、経営改善計画や事業再生計画等の作成等を手がけるビジネスコンサルティング会社等を講師とする研修を全国各地で13回開催した。受講者は費用の一部を負担し、398名が受講した。

10.中小企業再生支援協議会【26年度予算:44.4億円の内数】

各都道府県の商工会議所等に設置した中小企業再生支援協議会において、収益性のある事業を有しているが、財務上の問題を抱えている中小企業・小規模事業者等に対し、窓口相談による課題解決に向けたアドバイスや、関係金融機関等との調整も含めた再生計画の策定支援を行った。平成26年4月から12月末までの実績は、相談件数2,727件、再生計画の策定完了件数1,304件となり、制度発足時から平成26年12月末までの実績は、相談件数34,448件、再生計画の策定完了件数8,552件となった。

また、各協議会の支援体制を強化し、中小企業・小規模事業者等に対する抜本的な再生計画の策定支援を加速するため、補助事業を実施した。

11.中小企業承継事業再生計画(第二会社方式)

産業競争力強化法に基づき、中小企業承継事業再生計画の認定を行い、その計画に従った事業の承継を行う場合に、許認可承継の特例措置、金融支援及び税負担の軽減措置を実施した。計画認定件数は、平成26年度の実績は4件、産業活力再生特別措置法に基づき措置された制度創設時(平成21年6月)から合計すると23件となった。

12.中小企業再生ファンド

再生に取り組む中小企業の再生計画上、資金繰り支援、経営支援や必要な資金供給等を実施するため、(独)中小企業基盤整備機構と地域金融機関、信用保証協会等が一体となって、地域内の中小企業の再生を支援する地域型ファンドや広域的に中小企業の再生を支援する全国型ファンドの組成・活用を促進する取組を行った。平成27年3月末までに43件のファンドが創設され、ファンドの総額は約1,364億円に上った。また、当該再生ファンドによる投資実績は平成27年2月末までに285社、約593億円に上った。

13.「経営者保証に関するガイドライン」の利用促進等

平成25年12月5日に公表された「経営者保証に関するガイドライン」の利用促進を図るため、平成25年度に中小機構地域本部等に設置した相談窓口と、ガイドラインの利用をご希望の方への専門家派遣窓口について、引き続き実施した。また、平成25年度に拡充・創設した公的金融機関における経営者保証によらない融資・保証性度についても、引き続き実施した。また、融資慣行として浸透・定着を図る観点から、広く実践されることが望ましい取組を事例集として取りまとめ、参考事例集として公表した。また、中小企業・小規模事業者等を主な対象として平成26年11月から平成27年2月にかけて全国100か所にてガイドラインの説明会を開催した。

14.金融行政における小規模事業者に対する経営支援の強化等

金融行政を通じた金融機関による企業や産業への成長支援及び小規模企業の経営改善・生産性向上・体質強化の支援等を促進するため、金融モニタリング基本方針に基づき、金融機関に対して、担保・保証に必要以上に依存しない、借り手企業の事業の内容や成長可能性などを適切に評価(「事業性評価」)した融資や、コンサルティング機能の発揮による小規模企業の経営改善等の支援などを促した。

15.貿易保険が付保された中小企業の輸出代金債権の流動化促進

中小企業に対する資金供給促進のため、NEXIは商工中金等の関係機関と連携し、中小企業から金融機関へ譲渡した付保輸出代金債権に係る保険事故後の回収義務(保険事故が発生し、保険金を受け取った後も、金銭の回収に努める義務)等の被保険者義務の一部免除等を行っている。

16.沖縄の中小企業金融対策【財政投融資】

沖縄振興開発金融公庫(以下「沖縄公庫」という)を活用した沖縄の中小企業対策は日本公庫が行う業務・取組の沖縄公庫の業務範囲に対応するものについては、同様に行うとともに、沖縄の特殊事情を踏まえ独自の貸付制度の拡充を実施した。

17.「中小企業の会計に関する基本要領」の普及・活用

中小企業の経営状況の明確化、経営者自身による事業の説明能力の向上、資金調達力の強化を促す観点から、「中小企業の会計に関する基本要領」の普及・活用を推進した。その普及策として、平成26年度においても、「中小企業の会計に関する基本要領」を会計ルールとして採用する中小企業・小規模事業者に対して、信用保証料率を0.1%割り引く制度を実施した。

18.小規模企業者等設備導入資金助成制度(設備資金貸付・設備貸与)

信用力や資金調達力が脆弱である小規模企業の創業及び経営基盤の強化に必要な設備導入を促進するため、各都道府県の貸与機関を通じ、必要な設備資金の半分についての無利子貸付及び必要な設備の貸与を実施した。

第5節 財務基盤の強化

1.中小軽減税率の引下げ【税制】

中小法人に係る法人税の軽減税率(年所得800万円以下の部分に適用。)について、19%から15%に引き下げる措置を引き続き講じた。

2.中小企業投資促進税制【税制】

中小企業者等が一定の機械装置等を取得した場合に、その基準取得価額の30%の特別償却又は7%の税額控除できる措置を引き続き講じた。平成26年度税制改正において、その機械装置等のうち、生産性の向上につながる設備等に該当する場合には、即時償却又は7%税額控除(資本金3,000万円以下の法人は10%)ができる措置が新設された。

3.中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例制度【税制】

中小企業者等が取得価額30万円未満の減価償却資産を取得した場合、年間300万円を限度に全額損金算入することができる措置について、平成26年度税制改正において、適用期限が2年延長された。

4.欠損金の繰越控除・繰戻還付【税制】

当期の事業年度に生じた欠損金を9年間、繰り越して翌期以降の事業年度の所得金額から控除することができ、また、当期の事業に生じた欠損金について1年間の繰戻還付ができる措置を引き続き講じた。

5.商業・サービス業・農林水産業活性化税制【税制】

商業・サービス業等を営む中小企業が、商工会議所等の経営改善指導に基づく設備投資を行った場合、取得価額の30%特別償却又は7%税額控除を受けることが認められる措置(税額控除は、資本金等の額が3,000万円以下の中小企業又は個人事業主のみ認められる)を引き続き講じた。

6.交際費等の損金不算入の特例【税制】

中小企業が支出した交際費等について、平成26年度税制改正において、定額控除限度額(800万円)まで損金算入することができる措置の適用期限が2年延長され、また、支出した飲食費の50%までを損金算入することができる措置が新設され、両措置を選択適用できることとなった。

7.中小企業投資育成株式会社による支援

中小企業投資育成株式会社は、中小企業の自己資本の充実を促進し、その健全な成長発展を図るため、株式、新株予約権、新株予約権付社債等の引受けによる投資事業及び経営相談、事業承継支援等の育成事業を実施した。平成27年1月末現在の投資残高は、2,360社、789億円となった。

第6節 経営安定対策

1.中小企業倒産防止共済制度(経営セーフティ共済制度)

中小企業倒産防止共済制度は、取引先企業の倒産により売掛金債権が回収が困難となった場合に、積み立てた掛金の額に応じて無利子、無担保、無保証人で共済金の貸付けを行う制度である。

2015年1月末現在で37.3万社が在籍しており、2014年4月から2015年1月までの新規加入者、新規貸付金額はそれぞれ、3.6万社、72.4億円に上った。

2.経営安定特別相談事業

経営の危機に直面した中小企業の経営上の様々な問題の解決に資するため、全国の主要な商工会議所及び都道府県商工会連合会に「経営安定特別相談室」が設置されている。本相談室において倒産防止に関する幅広い分野の経営相談が円滑に実施されるよう日本商工会議所及び全国商工会連合会の実施する指導事業等を支援した。

3.中小企業BCP(事業継続計画)普及の促進

中小企業・小規模事業者におけるBCPの策定・運用を支援し、さらなる普及・定着を図るため、BCP策定・運用支援のモデル事業を実施し、BCP策定ワークショップの開催・手引き書の作成及びBCP活用事例の収集を行うとともに、平成26年度補正予算において、「中小企業・小規模事業者事業継続力強化支援事業」を実施し、中小企業・小規模事業者のBCP策定・運用等の支援を行った。

また、普及支援体制の充実を図るため、中小企業関係団体等が実施する支援担当者向けBCP研修・セミナーを支援した。

さらに、中小企業・小規模事業者が自ら策定したBCPに沿って行う防災施設等の整備に対して、日本公庫において低利融資を実施した。

[融資実績](平成26年4月〜平成27年2月):件数100件、99.2億円(うち新設制度3件、3.0億円)

4.ダンピング輸入品による被害の救済【26年度予算:0.5億円の内数】

貿易救済措置のうちAD措置は、他国企業から我が国へのWTOルールに反する不当に安い価格での輸出(日本へのダンピング輸入)により、国内産業が損害を受けた際に、国内産業からの申請を受けて政府が調査を実施した上で関税の賦課により、公正な市場競争環境を確保する措置である。中国産トルエンジイソシアナートについてはAD調査を平成26年2月に開始し、仮の決定に基づく暫定的な課税をすることを平成26年12月に決定した。この他、企業への説明会やWTO協定整合的に調査を行うための調査研究を実施した。

第7節 官公需対策

1.「平成26年度中小企業者に関する国等の契約の方針」の策定及び周知徹底

官公需における中小企業・小規模事業者向け契約目標比率等を策定するものであり、平成26年度においては、その比率を56.7%とし、6月27日に閣議決定を行った。中小企業・小規模事業者の受注機会増大のための措置として、新たに創業10年以内の中小企業・小規模事業者の参入への配慮、小規模事業者が必要な新着情報をより迅速的確に入手できるようにするため、新官公需情報ポータルサイトシステムの開発及び消費税の適正な転嫁及びダンピング対策の強化等を盛り込んだ。

また、中小企業・小規模事業者の受注機会の増大のために、以下の施策を実施した。

(1)平成26年6月27日、経済産業大臣から各府省等の長、都道府県知事、全市町村の長及び東京特別区の長(1,814団体)に対し、「中小企業者に関する国等の契約の方針」の閣議決定に係る要請を行うとともに、中小企業・小規模事業者の受注機会の増大に努めるよう要請した。

(2)地方における「契約の方針」の周知徹底を図るための全国説明会(官公需確保対策地方推進協議会)を7月から8月にかけて51回開催した。

(3)創業10年以内の企業等が開発した商品等をPRするため、11月19日から21日まで間、東京ビックサイトで開催された「新価値創造展2014」に都道府県から推薦のあった28社の出展を支援するとともに、都道府県の調達担当部長を構成メンバーとする新規中小企業者調達推進協議会を新たに設置し、官公需法の改正に係る協力の依頼、官公需適格組合からの調達、官公需ポータルサイトのPR等を行った。

(4)「官公需契約の手引き」を作成し、国等の機関、地方公共団体等の機関及び商工関係団体等に配布した。

第8節 人権啓発の推進

1.人権啓発

中小企業・小規模事業者に対して、人権尊重の理念を広く普及させ、人権意識の涵養を図るため、セミナー等の啓発事業を実施した。また、小規模事業者等が多く、特に重点的な支援が必要な地域又は業種に係る小規模事業者等の活性化のため、経営等の巡回相談事業及び研修事業を実施した。

第9節 調査・広報の推進

1.小規模企業白書の作成

小規模企業の現状や課題を把握するため、平成26年6月に施行された小規模基本法第12条の規定に基づく年次報告等(2015年版小規模企業白書)の作成に向けた検討を行った。

2.施策の広報

中小企業施策を普及・広報するため、施策のポイントをまとめたパンフレットやチラシを作成し、各地方公共団体や中小企業支援機関、金融機関等に配付したほか、イベント「一日中小企業庁」の開催等により、広く普及・広報を実施した。

(1)冊子類の発行

中小企業施策を利用する際の手引き書として200以上の施策を紹介した「中小企業施策利用ガイドブック」や施策別のパンフレットを作成し、中小企業、地方公共団体、中小企業支援機関(商工会、商工会議所等)、金融機関、中小企業を支援する税理士、弁護士、公認会計士、中小企業診断士等に広く配布した。

(2)チラシの発行

中小企業・小規模事業者が活用できる26年度補正・27年度予算・税制についての内容を説明したポイント資料や、「ものづくり支援」、「小規模事業者支援」、「創業支援」等、26年度補正、27年度予算関連のチラシを380万部作成し、広く配布した。

(3)動画による補助金等支援策の説明

26年度補正・27年度予算の中小企業・小規模事業者関連21施策について、中小企業庁担当者による説明を動画で配信した。

(4)「一日中小企業庁」の開催

開催地の都道府県と中小企業庁が共催し、地元中小企業者の方々に最新の施策を説明し、理解を深めていただくとともに、意見交換や交流の場を設け、今後の中小企業施策の見直し・拡充等に反映させるイベントを開催した。

昭和39年度以来、毎年度開催しており、平成26年度は、和歌山県、長野県において開催した。

(5)インターネットを活用した広報

〔1〕ホームページによる広報

中小企業庁ホームページにおいて、中小企業施策に関する最新情報、公募に関する情報、広報のためのチラシ、冊子等を公表した。平成26年度は、年間約3,500万ページビューのアクセスがあった。

〔2〕メールマガジン

各中小企業支援機関と連携し、元気な中小企業の紹介、施策情報、地域情報、調査・研究レポート等の情報をメールマガジン登録者に、毎週水曜日に配信した。メールマガジン登録者数は、約85,000件(平成27年2月末現在)。

〔3〕モバイル中小企業庁

携帯電話専用の中小企業施策検索サイトを運営し、最新の中小企業支援策等の情報提供を行った。年間約1万3千ページビューのアクセスがあった。また、毎週水曜日に携帯版メールマガジンを配信した。登録件数は約2,800件(平成27年2月現在)。

(6)J-Net21(中小企業ビジネス支援ポータルサイト)

中小企業支援に関するポータルサイトを運営し、必要な情報源にスムーズに到達できるサービス体制を提供した。

3.中小企業白書の作成等

中小企業の現状や課題を把握するため、中小企業基本法第11条の規定に基づく年次報告等(平成26年(2014年)版中小企業白書)を作成した。また、小規模企業の現状や課題を把握するため、平成26年6月に施行された小規模基本法第12条の規定に基づく年次報告等(平成27年(2013年)版小規模企業白書)の作成に向けた検討を行った。

4.中小企業実態基本調査

中小企業の売上高、従業者数等の経営・財務情報に関する統計を整備するため、中小企業基本法第10条の規定に基づく中小企業実態基本調査を実施した。

5.中小企業景況調査の公表

中小企業の景気動向を把握するため、四半期ごとに中小機構が実施する中小企業景況調査の公表を行った。

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