第1部 小規模事業者の構造分析

2 地域における小規模事業者の役割

前掲事例1-4-2で見たように、地域住民が協力することで、小さな会社を運営し、地域のくらしを守るという取組が行われていることを見てきた。他方で、この様な取組をするにあたっては、地域活性化や地域課題の解決に向け、主体的に活動を計画し、実践できるリーダー的存在(以下、「地域リーダー」という)が必要とされる場合もあると考えられる。以下では、本章の結びとして、地域リーダーを含む小規模事業者の地域における役割について論じていく。

第1-4-20図は、地域活性化や地域課題解決における地域リーダーの必要性について見たものである。これを見ると、「どちらとも言えない」(22.8%)と回答した者を除くと、ほとんどの地域住民が、地域活性化や地域課題解決において地域リーダーは必要であると認識していることが分かる。

第1-4-20図 域活性化や地域課題解決における地域リーダーの必要性
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それでは、そのような地域活性化や地域課題解決に必要とされている地域リーダーは、そもそも地域に存在するのだろうか。第1-4-21図を見てみると、リーダーが「いる」(14.5%)、「リーダーはいないが候補者はいる」(13.0%)を合わせても、3割にも満たない一方で、そもそも地域リーダーの存在の有無について認識していない者が、過半数を超えていることが分かる。他方で、地域リーダーが存在する地域の住民にその職業について尋ねてみると、「分からない」(16.6%)と回答した者を除くと、「無職・定年退職」(26.7%)、「自営業」(17.2%)、「会社員・役員」(12.6%)の順で多くなっていることが分かる。このことから、定年退職したシニア層が、地域活性化や地域課題解決の取組に積極的に参加しているだけでなく、そのような取組を推進する地域リーダーとしても期待されていることが分かる。また、小規模事業者の太宗を占める個人事業主についても地域リーダーとして認識している住民が多く、小規模事業者が生業としての事業活動のみならず、地域の活性化を牽引する存在としても認識されていることが見て取れる。

第1-4-21図 地域リーダーの存在の有無と職業
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次に、その地域リーダーが備えている素養について見ていく(第1-4-22図)。これを見ると、「人望・カリスマ性がある」(26.4%)、「人的ネットワーク」(16.3%)など、地域リーダーであると認識されている人物は、そのパーソナリティを評価されているということが見て取れる。地域の小規模事業者は、業種にもよるが、取引先や地域の消費者たる地域住民と顔の見える信頼関係に基づき事業活動を行っている。そうした中で、小規模事業者の人望・カリスマ性や人的ネットワークが評価され、その結果、小規模事業者を地域リーダーと認識する場合も多くなっているものと推察される。

第1-4-22図 地域リーダーの素養
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ここまで、地域の小規模事業者が、地域住民から地域リーダーとしても期待されていることについて見てきたが、以降では、地域の小規模事業者が取り組んでいる、生業としての事業活動にとどまらない地域貢献について見ていく。

まず、小規模事業者の地域経済への貢献度について、第1-4-23図から見ていく。いずれの項目についても、貢献していると感じている者よりも、貢献していないと感じている者が多いことが分かる。この結果には、様々な要因があるものと考えられるが、例えば、地域住民は小規模事業者よりも大手フランチャイズチェーン加盟店や大手スーパーでの商品・サービスの購入機会が多いことや、小規模事業者の規模感からもたらされるイメージからこのような認識を持っているものと考えられる。

第1-4-23図 小規模事業者の地域経済への貢献度
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第1-4-24図は、小規模事業者の地域活動への参加状況について見たものである。小規模事業者の約7割が「地域のお祭り、イベント」には参加しており、「消防団、防犯活動」や「PTA活動」については、地域のお祭り、イベントほどではないものの、「積極的に参加している」、「参加している」と回答した者の割合がそれぞれ38.0%、26.8%となっており、少なからず参加しているといえる。

第1-4-24図 小規模事業者の地域活動への参加状況
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他方で、地域住民から見た小規模事業者の地域活動の評価について見たものが第1-4-25図である。地域住民は小規模事業者の地域活動について一定の評価をしており、特に「地域のお祭り、イベント」や「消防団、防犯活動」といった地域活動についての評価が高いことが分かる。日頃から地域に根付いた事業活動を行う小規模事業者は、地域活動に参加する際も顔の見える関係性により活動を行っていると考えられるため、地域住民から一定の評価を得ているものと考えられる。

第1-4-25図 住民からみた小規模事業者の地域活動の参加状況についての評価
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以上、本章では小規模事業者と表裏一体の関係にある地域について、地域住民の小規模事業者に対する認識を中心に考察してきた。地域における消費の現状を見てみると、地方、とりわけ中山間地域においては人口減少が進行しており、その結果、地域の需要も減少している。そのような中、地域住民の小規模事業者に対する消費の認識について見てみると、小規模事業者の事業活動に対して、厳しい認識を持つ者も少なくないことが分かった。

他方で、小規模事業者は生業としての事業活動にとどまらず、地域のお祭りやイベントへの参加を通じた地域貢献活動や、地域のリーダーとして地域の活性化への取組など、地域において様々な役割を担っていることも分かった。顔の見える信頼関係に基づく事業活動を行う小規模事業者は、地域住民からの信頼も厚く、地域の活性化のという場面においても頼りになる存在として認識されている。今後、人口減少、少子高齢化が進行すると予想されている地域も多いが、そのような中でこそ小規模事業者は必要不可欠な存在として、ますます活躍の場が広がっていくことが期待される。

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