第1部 小規模事業者の構造分析

第2節 小規模事業者の多様性

第1節でみてきたように、小規模事業者は、我が国の企業数の約9割を占めており、総従業者数では約26%、売上高は約10%となっている。さらに、小規模事業者のうち、常用雇用者がいない小規模事業者の比率は45%を占めている。小規模事業者は各業種に満遍なく存在し、業種別に見たときの1事業者あたりの従業者数は2.3人〜8.4人であり、これを非一次産業平均で見たときは、3.6人であることが分かった。

すなわち、小規模事業者は小さな規模・少ない従業者数で存立しており、その業種業態は実に多様である。業種的な展開は産業細分類ベースでは、優に1,400業種を超えるものとなっており、我々の生活を支える様々な商品・サービスを提供する多様な存在であると言える。

本節では、第1節において主として産業大分類で見てきた小規模事業者334万者全数について、さらに細かく、非一次産業の産業中分類(約95業種)や産業小分類(約513業種)で分析し、小規模事業者の業種的な展開の広さとその構造について見ていくこととする。

1 業種別の小規模事業者数

(1) 小売業

第1-1-15図は、最も事業者数の多かった「小売業」について、その事業者数を産業小分類で業種別に示したものである。

第1-1-15図 小売業(約59万者)の業種別事業者数(産業小分類)
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これを見ると、コンビニエンスストアなどの「その他の飲食料品小売業」6.8万者、「自動車小売業」4.7万者、「菓子・パン小売業」3.5万者、ドラッグストアなどの「医薬品・化粧品小売業」が3.4万者、「酒小売業」3.3万者、「婦人・子供服小売業」3.3万者、「機械器具小売業(自動車、自転車を除く)」3.3万者となっており、この7業種だけで小売業全体の事業者数の約5割を占めている。

このほか、「書籍・文房具小売業」や「野菜・果実小売業」、「鮮魚小売業」、「自転車小売業」など各々1万者以上あり、日常生活に近接した存在感のある小売分野が多数存在している。

(2) 卸売業

「卸売業」について産業小分類で見ると、「農畜産物・水産物卸売業」1.9万者、「建築材料卸売業」1.8万者、「食料・飲料卸売業」1.6万者、「産業機械器具卸売業」1.4万者となっており、この4業種だけで卸売業全体の企業数の4割以上を占めている(第1-1-16図)。

第1-1-16図 卸売業(約16万者)の業種別事業者数(産業小分類)
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(3) 宿泊業,飲食サービス業

「宿泊業,飲食サービス業」について、産業小分類で見ると、ラーメン店や焼肉店などの「専門料理店」が10.4万者、「酒場,ビヤホール」9万者、「バー,キャバレー,ナイトクラブ」9万者、「喫茶店」5.6万者となっており、この4業種だけで「宿泊業,飲食サービス業」全体の企業数の約9割を占めている(第1-1-17図)。

第1-1-17図 宿泊業、飲食サービス業(約48万者)の業種別事業者数(産業小分類)
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(4) 建設業

「建設業」について、産業小分類で見ると、「土木工事業(舗装工事業を除く)」の6.6万者を始め、「電気工事業」4.6万者、「木造建築工事業」4.5万者、「建築工事業(木造建築工事業を除く)」4.4万者、「管工事業(さく井工事業を除く)」3.8万者、「大工工事業」2.9万者となっており、この6業種だけで建設業全体の企業数の約6割を占めている(第1-1-18図)。

第1-1-18図 建設業(約45万者)の業種別事業者数(産業小分類)
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(5) 製造業

「製造業」は産業小分類ベースでは区分数が多くなるため、産業中分類で見てみることとする。「金属製品製造業」の5.1万者を始め、「繊維工業」4.1万者、「生産用機械機器具製造業」3.4万者、「食料品製造業」3.4万者、「印刷・同関連業」2.7万者、「家具・装備品製造業」2.2万者、「プラスチック製品製造業」1.7万者となっており、この7業種だけで製造全体の企業数の約6割を占めている(第1-1-19図)。

第1-1-19図 製造業(約37万者)の業種別事業者数(産業中分類)
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(6) 生活関連サービス業,娯楽業

「生活関連サービス業,娯楽業」について、産業小分類で見ると、「美容業」が14.6万者と圧倒的に多く、「理容業」10万者と「美容業」と「理容業」合わせて24.6万者となっている。また、クリーニング店が属する「洗濯業」は3.8万者となっており、この3業種だけで「生活関連サービス業,娯楽業」全体の企業数の約7割を占めている(第1-1-20図)。

第1-1-20図 生活関連サービス業、娯楽業(約36万者)の業種別事業者数(産業小分類)
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(7) 不動産業,物品賃貸業

「不動産業,物品賃貸業」について産業小分類で見ると、「貸家業,貸間業」が15.9万者と圧倒的に多く、この1業種だけで約5割を占めている。また、「不動産代理業・仲介業」4万者、「不動産賃貸業(貸家業,貸間業を除く)」3.8万者、「駐車場業」3万者、「不動産管理業」2.5万者となっている。この5業種で「不動産業,物品賃貸業」全体の企業数の約9割を占めている(第1-1-21図)。

第1-1-21図 不動産業、物品賃貸業(約32万者)の業種別事業者数(産業小分類)
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(8) 学術研究,専門・技術サービス業

「学術研究,専門・技術サービス業」について産業小分類で見ると、建築設計や測量などの「土木建築サービス業」が3.8万者を始め、「公認会計士事務所,税理士事務所」が2.4万者、「公証人役場,司法書士事務所,土地家屋調査士事務所」が1.6万者、翻訳や通訳など「その他の専門サービス業」が1.1万者、「法律事務所,特許事務所」が1万者となっており、この5業種で「学術研究,専門・技術サービス業」全体の企業数の約6割を占めている(第1-1-22図)。

第1-1-22図 学術研究、専門・技術サービス業(約16万者)の業種別事業者数(産業小分類)
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(9) 医療,福祉

「医療,福祉」について産業小分類で見ると、マッサージ指圧師などの「療術業」の6.7万者を始め、「歯科診療所」4万者、「一般診療所」2.1万者となっており、この3業種で「医療,福祉」全体の企業数の約9割を占めている(第1-1-23図)。

第1-1-23図 医療、福祉(約14万者)の業種別事業者数(産業小分類)
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(10) その他の8業種

「サービス業(他に分類されない)」、「教育,学習支援業」、「運輸業,郵便業」、「情報通信業」、「金融業,保険業」、「複合サービス事業」、「鉱業,砕石業,砂利採取業」,「電気・ガス・熱供給・水道業」については、産業小分類ベースでは区分数が多すぎるため、産業中分類で見てみることとする(第1-1-24図)。

第1-1-24図 その他8業種(約32万者)の業種別事業者数(産業中分類)
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「サービス業(他に分類されない)」では「自動車整備業」が4.8万者、建物メンテナンスや警備業などの「その他の事務サービス業」が2.1万者、「機械等修理業」が1.6万者となっており、この3業種で「サービス業(他に分類されない)」全体(約10.5万者)の約8割を占めている。

「教育,学習支援業」では、「学習塾」や習い事などの「教養・技能教授業」が圧倒的に多く、約9.2万者となっているほか、「運輸業,郵便業」では「道路貨物運送業」が約2.8万者、「道路旅客運送業」が約1.8万者と多い。

また、ソフトウェア業などの「情報サービス業」が約1.5万者、「金融業,保険業」では「保険業」が約2.4万者となっている。

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