平成26年度において講じようとする中小企業施策 

第2章 中小企業の新陳代謝を活発にする

〈行動計画の内容〉(再掲)

地域の起業・創業を推進することは、地域経済の活性化にとっては必要不可欠である。ただし、起業・創業をしたとしても、利益計上までの立ち上がりの時期は最も資金繰りが厳しい。その時期を乗り越えることで、起業家は雇用を増やし、新しい商品・サービスを生み出し、地域経済の活性化を実現する。また、起業家の多くは初めての起業となることから、資金供給のみならず、起業に当たってのノウハウをいかに伝えていくかも重要な課題である。

一方、経営者の高齢化の進展や後継者難が一層深刻化する中で、中小企業・小規模事業者が有する技術・ノウハウ等の経営資源や雇用を喪失させないために、次世代への円滑な事業の承継が必要となっている。したがって、経営者の世代交代、親族外への事業承継等による有用な経営資源を移転促進することにより、中小企業・小規模事業者の新陳代謝を促進することが求められている。

〈国のアクション〉(再掲)

○創業から経営ノウハウに至る支援をワンストップで行う「創業よろず支援」を順次展開する。(再掲)

○支援ポータルサイトを通じた起業家ネットワークの創設・拡充、ビジネスコンテストの実施、創業塾の全国での開催などを通じ、地域のリソースを活用した起業・創業の担い手を拡大させる。(再掲)

○起業・創業に対する資金支援を抜本的に拡充する。

―創業当初の据え置き期間の延長を図るなど政府系金融機関の創業者向け融資を拡充する。

―認定支援機関による起業・創業計画の策定支援と併せた創業向け補助制度の拡充等を通じて民間融資を促進する。

○中小企業の各ライフステージ(創業、成長・発展、早期の再生着手、円滑化な事業承継、企業の再起等)における取組意欲を増進する個人保証制度の見直しを行う。

○事業承継、事業引継ぎ支援を抜本強化する。

―「事業引継ぎ支援センター」を全国展開する。

【具体的施策】

第1節 起業・創業支援

1. 創業促進補助金(事業者向け)

新たな需要を創造する新商品・サービスを提供する創業(第二創業含む)に対して、店舗借入費や設備費等の創業に要する費用の一部の支援を引き続き行うこととした。(継続)

2. 新創業融資制度【財政投融資】

新たに事業を開始する者や事業を開始して間もない者に対し、無担保・無保証人で日本公庫が融資を行う制度である。(継続)

3. 創業者向け保証

民間金融機関による創業者への融資を後押しするため、信用保証協会において、これから創業する者又は創業後5年未満の者等を対象とする保証制度である。(継続)

4. 地域創業促進支援委託事業【26年度予算:7.5億円】

年間5千社以上の創業を目指し、全国300か所に「創業スクール」を開催し、創業予備軍の掘り起こしをはじめ、創業希望者の基本的知識の習得からビジネスプランの策定までを支援する。(新規)

5. エンジェル税制【税制】

創業間もない中小企業への個人投資家(いわゆる「エンジェル」)による資金供給を促進するため、引き続き、本税制の普及啓発を実施し、起業促進の環境整備を図る。(継続)

6. 企業のベンチャー投資促進税制【税制】

主として事業拡張期にあるベンチャー企業に投資するファンドであって、産業競争力強化法に基づき投資計画について経済産業大臣の認定を受けたものを通じ、ベンチャー企業に出資する企業が、出資額の8割を限度として損失準備金を積み立て、損金算入することができる制度である。

本制度が有効に活用され、我が国から多くの魅力的なベンチャー企業が生まれるよう、引き続き周知普及を徹底する。(継続)

7. 起業・創業時に必要となるリスクマネーの供給強化

産業革新機構のベンチャー案件等に係る手続簡素化措置等を通じてベンチャー企業への支援を促進するとともに、日本政策投資銀行や株式会社商工組合中央金庫(以下「商工中金」という。)の活用等により、起業・創業時及び事業化に必要となるリスクマネーを供給する。あわせて、個人投資家からの資金調達の円滑化や、民間企業のベンチャー投資を促進する。(継続)

8. 女性、若者/シニア起業家支援資金【財政投融資】

女性や30歳未満の若者、55歳以上の高齢者のうち、開業して概ね7年以内の者を対象に日本公庫(中小企業事業・国民生活事業)による優遇金利を適用し、多様な事業者による新規事業の創出・育成を支援する。(継続)

9. 新事業育成資金(グローバル展開志向創業支援関連)【財政投融資】

高い成長性が見込まれる新たな事業を行い、海外を含めたマーケティングを踏まえた自社製品開発や、国内外への販路開拓等を行う中小企業者を対象に、日本公庫による優遇金利を適用する融資制度である。(継続)

10. ファンド出資事業(起業支援ファンド、中小企業成長支援ファンド)

民間の投資会社が運営する投資ファンドについて、中小機構が出資(ファンド総額の1/2以内)を行うことで、民間資金の呼び水としてファンドの組成を促進し、創業又は成長初期の段階にあるベンチャー企業(中小企業)や新事業展開等により成長を目指す中小企業への投資機会の拡大を図る事業である。(継続)

11. 経営革新支援事業

新事業活動促進法に基づき、中小企業が新たな事業活動を行うことで経営の向上を図ることを目的として作成し、承認された経営革新計画に対し、低利の融資制度や信用保証の特例等の支援策を通じ、その事業活動を支援する。(継続)

12. 地域における創業支援体制の構築

地域の創業を促進させるため、平成25年12月に成立した産業競争力強化法において、市区町村が民間の創業支援事業者と連携して創業支援事業計画を作成し、国の認定を受けた場合、計画に基づく創業支援を受けた創業者に対し、信用保証の拡充、税制(登録免許税半減)等の支援を行うとともに、創業支援事業者に対し信用保証等の支援を行う。(継続)

第2節 事業再生・事業承継支援

1. 非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度(事業承継税制)【税制】

事業承継税制は、後継者が経済産業大臣の認定を受けた非上場会社の株式等を現経営者から相続、遺贈又は贈与により取得した場合において、その後継者が事業を継続することを前提に、相続税・贈与税の納税を猶予し、後継者の死亡等の一定の場合には猶予税額を免除する制度である。平成21年度より事業承継税制の適用の基礎となる認定を開始し、平成26年1月末までに、相続税に係る認定を508件、贈与税に係る認定を284件実施した。(継続)

2. 非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度(事業承継税制)の拡充【税制】

平成25年度税制改正において、事業承継税制の適用要件等の一部を見直すことが決定し、一部を除き平成27年1月以後の相続若しくは遺贈又は贈与から適用されることとなった。主な改正内容は以下のとおりである。

(1)  後継者は、現経営者の親族に限定されていたが、親族外承継も適用対象となった。

(2)  雇用の8割以上を「5年間毎年」維持する要件について、雇用の8割以上を「5年間平均」で評価することとなった。

(3)  要件を満たせず納税猶予打ち切りの際は、納税猶予額に加え利子税の支払いが必要となるが、利子税の税率が引き下げられる(平成26年1月より、現行2.1%から0.9%へ。)とともに、承継から5年を超えての打ち切りの場合には5年間の利子税が免除されることとなった。

(4)  民事再生、会社更生、中小企業再生支援協議会での事業再生の際にも、納税猶予額を再計算し、猶予税額を一部免除されることとなった。

(5)  贈与税の納税猶予制度の適用要件のうち、現経営者が贈与時に役員を退任するとの要件について、贈与時に代表者を退任するとの要件に改められた。

(6)  納税猶予制度の利用の前に、経済産業大臣の事前確認を受ける必要があったが、事前確認を受けていなくても制度利用が可能となった(平成25年4月から。)。

3. 事業引継ぎ支援事業【26年度予算:8.6億円】

47都道府県の各認定支援機関に設置されている「事業引継ぎ相談窓口」において事業引継ぎ等に関する情報提供・助言等を行うとともに、事業引継ぎ支援の需要が多く、支援体制が整った地域に「事業引継ぎ支援センター」を設置していく。「事業引継ぎ支援センター」については、平成26年4月に秋田、広島、沖縄に新たに設置しており、平成26年4月時点で、北海道、宮城、秋田、東京、長野、静岡、愛知、大阪、岡山、広島、愛媛、福岡、沖縄の計13か所に設置済みである。(継続)

4. 「経営者保証に関するガイドライン」の利用促進等

平成25年12月5日に公表された「経営者保証に関するガイドライン」の利用促進を図るため、平成25年度に中小機構地域本部等に設置した相談窓口と、ガイドラインの利用をご希望の方への専門家派遣制度について、引き続き実施する。また、平成25年度に拡充・創設した公的金融機関における経営者保証によらない融資・保証制度についても、引き続き実施する。また、融資慣行として浸透・定着を図る観点から監督指針及び金融検査マニュアル等について、金融機関に対して営業現場の第一線までの周知徹底及び所要の態勢整備を求める。(継続)

5. 小規模企業共済制度【中小機構交付金】

小規模企業の個人事業主、共同経営者又は会社等の役員が廃業や引退等をした場合に共済金等を受け取れる小規模企業共済制度について、従業員20人以下に加入対象が拡大された「宿泊業」、「娯楽業」を含め、引き続き、制度への加入促進と共済金等の支給を着実に実施する。(継続)

6. 事業承継融資【財政投融資】

平成25年度補正予算で貸付対象者に「事業会社の株式又は事業用資産を取得する持株会社」及び「事業承継に際して経営者個人保証の免除等を取引金融機関に申し入れたことを契機に取引金融機関からの資金調達が困難となっている者」を追加する等の制度の拡充を行った。平成26年度も日本公庫において、事業承継に要する資金(株式・事業用資産の買取資金等)を必要とする中小企業及び代表者個人に対する低利融資を実施する。(継続)

7. 中小企業再生支援協議会【26年度予算:44.4億円】

各都道府県の商工会議所等に設置した中小企業再生支援協議会において、収益性のある事業を有しているが、財務上の問題を抱えている中小企業・小規模事業者に対し、窓口相談による課題解決に向けたアドバイスや、関係金融機関等との調整も含めた再生計画の策定支援を行う。より多くの中小企業・小規模事業者を支援するための機能強化として、中小企業再生支援協議会に対し人員体制の拡充、再生計画支援を行うにあたり資産査定(デューデリジェンス)及び計画策定支援を行う専門家に対する謝金の一部補助を実施する。その他、中小企業再生支援全国本部において、〔1〕中小企業・小規模事業者に対する事業再生等の個別支援、〔2〕各地の中小企業再生支援協議会での中小企業再生支援業務の実施状況を評価し、その結果を経済産業大臣に報告する。(継続)

8. 中小企業承継事業再生計画(第二会社方式)

産業競争力強化法に基づき、中小企業承継事業再生計画の認定を行い、その計画に従った事業の承継を行う場合に、許認可承継の特例措置、金融支援及び税負担の軽減措置を実施する。(継続)

9. 中小企業再生ファンド

再生に取り組む中小企業の再生計画上、資金繰り支援、経営支援や必要な資金供給等を実施するため、中小機構と地域金融機関、信用保証協会等が一体となって、地域内の中小企業の再生を支援する地域型ファンドや広域的に中小企業の再生を支援する全国型ファンドの組成の促進に取り組む。(継続)

10. 認定支援機関による経営改善計画策定支援事業・認定支援機関等研修事業【平成26年度予算:0.2億円】

自ら経営改善計画の策定ができない中小企業・小規模事業者に対して、認定支援機関(税理士、弁護士、金融機関等)による経営改善計画策定支援や当該計画に係るフォローアップ等を実施する。当該計画策定支援やフォローアップ等を実施するに当たって、当該認定支援機関能力強化のための研修や中小企業・小規模事業者が計画策定する際に要するデューデリジェンス(調査分析)、計画策定支援及びフォローアップに係る費用の一部を負担(2/3)する。(継続)

11. 経営承継円滑化法による総合的支援

経営承継円滑化法には、遺留分の制約を解決するための民法の特例をはじめとした総合的支援が盛り込まれており、民法特例の適用の基礎となる経済産業大臣の確認を実施する。(継続)

12. 事業承継円滑化支援事業【中小機構交付金】

全国各地で中小企業の事業承継を広範かつ高度にサポートするための事業承継支援ネットワーク体制の形成、中小企業支援者向けの研修や事業承継フォーラムによる中小企業経営者等への普及啓発を実施する。(継続)

13. 再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)【財政投融資】

日本公庫が、いったん事業に失敗した起業家の経営者としての資質や事業の見込み等を評価することにより、再起を図る上で、困難な状況に直面している者に対して低利融資制度を実施する。(継続)

前の項目に戻る     次の項目に進む