平成25年度において講じた中小企業施策 

第5章 東日本大震災への対応・消費税転嫁対策等の重要課題

【具体的施策】

第1節 東日本大震災に係る中小企業対策

1. 東日本大震災復興特別貸付【25年度予算:805.0億円、補正:325.0億円】

東日本大震災により被害を受けた中小企業・小規模事業者への資金繰り支援として、平成23年5月より、日本公庫(国民生活事業及び中小企業事業)・商工中金において、「東日本大震災復興特別貸付」を継続的に実施している。平成25年度においては、被災地の復旧・復興をより一層加速化させていくため、対象地域を特定被災区域に重点化した。本制度の運用を開始した平成23年5月23日から平成26年1月31日までの貸付実績は、約26万4千件、5.6兆円であった。また、原発事故に係る警戒区域等の公示の際に当該区域内に事業所を有していた中小企業・小規模事業者や、地震・津波により事業所等が全壊・流失した中小企業・小規模事業者に対しては、県の財団法人等を通じ、実質無利子化する措置も平成23年度に創設(平成23年8月22日より措置)しているところ、平成25年度も引き続き実施した。

2. マル経・衛経融資の貸付限度額・金利引下げ措置の拡充

東日本大震災により直接又は間接的に被害を受けた小規模事業者に対し、無担保・無保証・低利で利用できる日本公庫によるマル経・衛経融資の貸付限度の拡充(通常枠とは別枠で1,000万円。)、金利引下げ(別枠1,000万円につき、貸付後3年間に限り、通常金利から更に0.9%引下げ。)を行った。平成25年4月から平成26年3月末までに、マル経・衛経融資合わせて813件、29億円の融資を実施した。

3. 東日本大震災復興緊急保証

東日本大震災により被害を受けた中小企業・小規模事業者への資金繰り支援として、平成23年5月より、従来の保証とは別枠で利用できる「東日本大震災復興緊急保証」を実施しており、平成25年度においては、被災地の復旧・復興をより一層加速化させていくため、対象地域を被災地に重点化している。(100%保証。保証限度額は無担保8,000万円、最大2億8,000万円。)。本制度の運用を開始した平成23年5月23日から平成26年2月末までの保証承諾実績は、103,396件、2.2兆円であった。

4. 災害関係保証の実施

東日本大震災により直接的に被害を受けた中小企業に対して、信用保証協会が一般保証とは別枠(セーフティネット保証とは同枠。)で保証を実施した(100%保証。保証限度額は無担保8,000万円、最大2億8,000万円。)。平成26年2月末までの大震災に係る保証承諾実績は、32件、4億円であった。

5. 小規模企業者等設備導入資金貸付の償還期間延長等

東日本大震災に対処するため、「東日本大震災に対処するための特別の財政援助及び助成に関する法律(平成23年法律第40号、以下「東日本大震災特財法」という)第129条により、震災で著しい被害を受けた者について、平成23年3月11日以降の制度利用にかかる償還期間を7年から9年に延長するとともに、「東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律」により、東日本大震災特財法第129条による者が設備復興のために設備導入資金事業を利用し金銭消費賃借契約を締結する場合は、当該事業者に係る印紙税を非課税とする措置を講じた。

6. 原子力災害に伴う「特定地域中小企業特別資金」

福島県及び経済産業省は、中小機構の高度化融資スキームを活用し、原子力発電所事故で甚大な被害を被った中小企業等を支援するため、事業を継続・再開するために必要な事業資金(運転資金・設備資金)を長期、無利子、無担保で融資する制度を実施した。平成25年度においては、警戒区域等の見直しが完了したことを踏まえ、避難指示解除後の当該区域への帰還を促進し復興の加速化を図るため、「特定地域中小企業特別資金」制度の拡充を行った。

本制度の実績については、県内移転先での事業継続・再開向け融資が539件、114.2億円(平成23年6月1日〜平成26年2月末)、解除区域等での事業継続・再開向け融資が231件、16.2億円(平成23年11月25日〜平成26年2月末)であった。

7. 「産業復興相談センター」及び「産業復興機構」による再生支援【25年度予算:31.3億円】

平成23年度に、被災各県の中小企業再生支援協議会の体制を拡充して「産業復興相談センター」を設立するとともに、債権買取等を行う「産業復興機構」を設立することで、東日本大震災により被害を受けた中小企業・小規模事業者の再生支援を強化した。各県の産業復興相談センターにおいては、平成26年3月28日までに2,948件の事業者からの相談に対応しており、そのうち対応を終了したものは2,791件となった。主な実績としては、金融機関等による金融支援について合意した案件は520件、うち債権買取は242件となった。

8. 「株式会社東日本大震災事業者再生支援機構」による再生支援

被災事業者の二重ローン問題に対応するため、東日本大震災事業者再生支援機構では旧債務に係る返済負担の軽減等の支援を実施した。東日本大震災事業者再生支援機構では、平成24年3月5日の業務開始以来これまでに1,735件の相談を受け付けており、そのうち411件の事業者に対して、債権買取等の再生支援を行う旨の決定をした(平成26年3月末現在)。

9. 再生可能性を判断する間の利子負担の軽減

東日本大震災及び原子力発電所の事故により経営に支障を来した中小企業・小規模事業者が、産業復興相談センターを活用して事業再建に取り組む際、相談や調整等を行っている間に旧債務の利子負担が累積し、再建が困難になることのないよう旧債務に係る利子相当額を補給する制度(平成23年度創設)を平成25年度も引き続き実施した。平成25年度の実績は、212件、8.9億円(平成26年2月末時点)であった。

10. 被災中小企業復興支援リース補助事業の実施【23年度3次補正:100.5億円】

被災中小企業の二重債務負担の軽減を図るため、東日本大震災に起因する設備の滅失等により債務を抱えた中小企業に対し、設備を再度導入する場合のリース料の10%を補助した。

11. 中小企業組合等協同施設等災害復旧事業【25年度予算:250.0億円、補正:204.0億円】

東日本大震災に係る被災地域の復旧及び復興を促進するため、

〔1〕複数の中小企業等から構成されるグループが復興事業計画を作成し、地域経済や雇用維持に重要な役割を果たすものとして県から認定を受けた場合に、計画実施に必要な施設・設備の復旧にかかる費用に対して、国が1/2、県が1/4を補助

〔2〕商工会等の中小企業者のための指導・相談施設等の災害復旧事業にかかる費用に対して、国が1/2を補助

を実施し、被災された中小企業等のグループ、事業協同組合等の施設の復旧・整備、修繕に対し、約175億円の支援を行った。

12. 仮設工場・仮設店舗等整備事業【25年度予算:30.0億円】

東日本大震災の被害を受けた中小企業・小規模事業者が早期に事業再開できるよう、中小機構が仮設工場、仮設店舗等を設置し、自治体を通じて事業者に原則無償で貸し出しを行う事業を実施。6県52市町村において、555か所の工事が完成した(平成26年2月21日時点)。

13. 施設・設備の復旧・整備に対する貸付け

東日本大震災により被害を受けた中小企業者が、県から認定を受けた復興事業計画に基づいて、その計画を実施するために必要な施設・設備の復旧・整備を行う場合に、中小機構と県が協力して、必要な資金の貸付けを行った。

14. 高度化貸付の債権放棄・償還猶予・返済期限の延長

東日本大震災により被害を受けた中小企業者に対して、高度化貸付の既往債権について債権放棄を含めその整理を円滑に進めるとともに、償還猶予や返済期限の延長について、対象の拡充、要件の緩和、手続きの簡素化を行った。

15. 軽トラックを活用した仮設住宅等への移動販売事業【25年度予算:3.0億円】

仮設住宅等の被災者の買い物環境を整備するため、また、東日本大震災により既存の販売先を失うなどした中小企業者の販売先確保や早期の事業再開等を支援するため、被災地域に約100台の移動販売車両(軽トラック)を配備し、中小企業者に貸出しを行うことにより、中小企業者が行う仮設住宅での販売や各種イベント等での販売を支援した。

16. 事業復興型雇用創出事業【25年度補正:448.0億円】

被災地で安定的な雇用を創出するため、将来的に被災地に雇用創出の中核となることが期待される事業を行う事業所で、被災者を雇用する場合に産業政策と一体となった雇用面での支援(雇入れにかかる費用(職業訓練・雇用管理等含む。)として助成。)を行う。

17. 起業支援型地域雇用創造事業

依然として厳しい雇用情勢が続く中、失業者を事業の対象とし、工場の閉鎖等により雇用情勢が著しく厳しいと都道府県が認める地域などにおいて、地域の産業・雇用振興策に沿って、雇用創出に資する事業を民間企業、NPO等へ委託し、失業者を雇い入れて実施した。

18. 特別相談窓口等の設置

全国の日本公庫、商工中金、信用保証協会、商工会議所、商工会連合会、中小企業団体中央会、中小機構地域本部及び経済産業局に特別相談窓口を設置し、東日本大震災の被災中小企業者等からの経営・金融相談に応じた。

19. 中小企業電話相談ナビダイヤルの実施

どこに相談したらよいか困っている中小企業のために、一つの電話番号で最寄りの経済産業局につながる「中小企業電話相談ナビダイヤル」を実施した。

20. 官公需における被災地域等の中小企業者に対する配慮【25年度予算:5.8億円】

毎年度策定する「中小企業者に関する国等の契約の方針」において、平成25年度においても東日本大震災の被災地域等の中小企業・小規模事業者に対する配慮等を盛り込んだ。また、東日本大震災の被災地域等の中小企業・小規模事業者の受注機会の増大のために、以下の施策を実施した。

(1) 平成25年6月25日、経済産業大臣から各府省等の長、都道府県知事、人口10万人以上の市の長及び東京特別区の長に対し、「中小企業者に関する国等の契約の方針」の閣議決定に係る要請を行うとともに、中小企業・小規模事業者の受注機会の増大のための措置を講じるよう要請した。

(2) 地方における「契約の方針」の周知徹底を図るための全国説明会(官公需確保対策地方推進協議会)を7月から8月にかけて51回開催した。

(3) 「官公需契約の手引き」を作成し、国等の機関、地方公共団体の機関及び商工関係団体等に配布した。

21. NEXIによる対応

被災者支援として、NEXIでは平成23年4月より、罹災した中小企業を対象とした〔1〕保険契約諸手続の猶予、〔2〕被保険者義務の猶予・減免、〔3〕被保険者の経済的負担の減免措置を実施。また、風評被害への対応として、放射能汚染を理由とした貨物の輸入制限・禁止等による損失のうち、新たな規制が導入されて輸入が制限又は禁止されるケースや仕向国政府による違法又は差別的な対応を受けるケース等、貿易保険によりカバーされる具体的事例を公表。また、相談窓口をNEXI内に設置し、貿易保険未加入者も含め、風評被害に関する相談等に応じた。

22. 外国政府・産業界向け説明会の開催

経済産業省、外務省、ジェトロ等の関係省庁及び機関が連携し、東京電力福島第一原子力発電所事故への対応や、国内のモニタリング及び食品・鉱工業品の安全確保等に関する我が国の取組についての説明会等を国内外で実施した。

23. 被災者雇用開発助成金【25年度予算:411.3億円】

東日本大震災による被災離職者等の方を、ハローワーク等の紹介により、継続して1年以上雇用することが見込まれる労働者として雇い入れる事業主に対して、助成金を支給した。また、対象労働者を10人以上雇い入れる事業主に対して助成金を上乗せした。

24. 日本再生人材育成支援事業(被災地復興建設労働者育成支援奨励金)【25年度予算:500.0億円の内数】

被災地の復興に必要な建設人材を育成するため、被災三県に事業所を有する建設事業主が建設技術・技能の取得に資する訓練を労働者に受講させた場合に、事業主が負担した訓練経費及び受講に際して負担した宿泊費について助成した。

なお、制度創設の平成25年1月から平成26年2月末までの受給資格認定申請数は774件となっている。

25. 放射線量測定指導・助言事業【25年度予算:0.6億円】

工業製品等の風評被害への対策として、放射線量測定等に関する指導・助言(原則として、工業製品等の表面汚染測定又は各種分析等に基づく指導・助言及び同測定に関する情報提供等)を行い、被害の実態把握及び分析を実施した。

26. 工業品等に係るビジネスマッチング・商品開発支援事業【25年度予算:2.0億円】

被災地域の風評被害を払拭し、被災地域の持続的な復興や地域経済の活性化を図るため、国内外を問わず被災地域産品の販路開拓(ビジネスマッチング、商品開発)を支援した。平成25年度から原子力災害により、放射性物質による深刻かつ多大な被害を受けた福島県及び津波浸水地域に限定した。

第2節 消費税転嫁対策

1. 消費税転嫁円滑化等支援情報システム開発事業【25年度補正:5.0億円】

中小企業・小規模事業者等が、消費税増税後も取引を適正化し、事業機会を拡大しつつ、雇用の維持や賃金上昇に寄与するため、取引適正化情報システムの開発、支援ポータルサイト「ミラサポ」の機能強化及びITクラウドを用いたビジネスマッチング等を実現するためのシステム構築の実証を行った。

2. 消費税転嫁状況監視・検査体制強化等事業【25年度補正:20.0億円】

消費税の円滑かつ適正な転嫁を行うため、平成25年10月より「消費税転嫁対策室」を設置、全国に474名の転嫁対策調査官を配置し、転嫁拒否行為等の監視・取締りを行った。また、消費税の転嫁拒否等の行為に関する情報を収集するため、公正取引委員会と合同で15万事業者を対象に書面調査を実施し、結果を踏まえた要請文書を発出、さらに、立入検査等を実施した。

3. 消費税転嫁対策窓口相談等事業(取引先いじめ防止対策事業)【25年度補正:29.6億円】

消費税率の二段階にわたる引上げや制度変更の円滑な実施のため、中小企業団体等と連携して、講習会・フォーラムの開催、相談窓口の設置や専門家による出張相談を通じたきめ細かいサポート、パンフレット等による周知等を実施している。

第3節 審議会等における政策の検討等

1. “ちいさな企業”成長本部の開催

中小企業・小規模事業者の成長を実現していくため、経済産業大臣を本部長として平成25年2月に“ちいさな企業”成長本部を設置。中小企業・小規模事業者、支援機関などの方々から「生の声」を伺い、〔1〕地域のリソースの活用、〔2〕新陳代謝の促進、〔3〕成長市場への参入、〔4〕国際展開支援の4つを柱とする「行動計画」を同年6月に取りまとめ、政府の成長戦略である「日本再興戦略」にも反映させた。また、「行動計画」策定後、その着実な実行のため、フォローアップ会合を開催した。

2. 「小規模企業の事業活動の活性化のための中小企業基本法等の一部を改正する等の法律(小規模企業活性化法)」の施行

中小企業・小規模事業者の約9割を占める小規模企業は、経営資源が脆弱なため、近年、企業数・雇用者数ともに大幅に減少している。他方、小規模企業は地域経済の安定と我が国経済社会の発展に寄与するという観点から重要な意義を有している。このため、小規模企業に焦点を当てた中小企業政策の再構築を図り、施策を集中して講ずることが急務となっている。

そのため、8本の法律改正等を行う「小規模企業の事業活動の活性化のための中小企業基本法等の一部を改正する等の法律(小規模企業活性化法)」を平成25年9月に施行した。本法律のポイントは、主に以下となっている。

〔1〕中小企業基本法の基本理念に、小規模企業の意義として「地域経済の安定と経済社会の発展に寄与する」ことを規定するとともに、その意義を踏まえた施策の方針を明確化。(中小企業基本法の改正)

〔2〕特定の業種について、小規模企業の範囲の変更を政令で行うことができる規定を設けることで、業種の実態を踏まえた対応をとれるようにする。(中小企業信用保険法、小規模企業共済法、商工会及び商工会議所による小規模事業者の支援に関する法律の改正)

〔3〕信用保証協会の信用保証の対象に、電子記録債権を活用した資金調達を追加する。(中小企業信用保険法の改正)

〔4〕ITを活用して、国や都道府県等による支援策や専門家・ビジネスパートナーに関する情報の提供等を行う者の認定制度を設ける。(中小企業支援法の改正)

〔5〕下請中小企業同士が連携して、自立的に取引先を開拓する計画を国が認定し、支援する措置を設ける。(下請中小企業振興法の改正)

〔6〕民間金融機関が実施している債務の株式化(DES)を日本公庫等も行えるよう、公庫の業務に追加する。(株式会社日本政策金融公庫法、沖縄振興開発金融公庫法の改正)

また、平成25年12月には上記〔2〕を受けて、「小規模企業の範囲を弾力化する政令」を制定した。これにより、「中小企業信用保険法」、「小規模企業共済法」、「商工会及び商工会議所による小規模事業者の支援に関する法律」の3法の対象となる小規模企業者に、宿泊業及び娯楽業を営む従業員20人以下の事業者が含まれることとなる。

3. 小規模企業基本政策小委員会

小規模事業者の振興のための「基本法」の制定及び小規模企業振興の新たな政策を検討するため、「中小企業政策審議会」に「小規模企業基本政策小委員会」を設置。平成25年1月末に本小委員会のとりまとめを行い、報告書をまとめた。

4. 「小規模企業振興基本法案(小規模基本法案)」及び「商工会及び商工会議所による小規模事業者の支援に関する法律の一部を改正する法律案(小規模支援法案)」の閣議決定

前年度の通常国会において、8本の関連法案を一括で改正する「小規模企業の事業活動の活性化のための中小企業基本法等の一部を改正する等の法律(小規模企業活性化法)」が成立したが、中小企業基本法の基本理念にのっとりつつ、小規模企業に焦点を当て、小規模企業活性化法をさらに一歩進める観点から、中小企業政策審議会の下に小規模企業基本政策小委員会を設置し、平成25年9月より平成26年1月にかけて、7回にわたり審議を行い、その取りまとめ内容を答申した。

これらの議論内容を踏まえ、小規模企業の振興に関する施策について新たな施策体系を構築する「小規模企業振興基本法案(小規模基本法案)」及び小規模事業者の意欲ある取組を強力に支援するための体制を整備する「商工会及び商工会議所による小規模事業者の支援に関する法律の一部を改正する法律案(小規模支援法案)」を平成26年3月に閣議決定し、国会に提出した。

第4節 資金繰り支援

1. セーフティネット貸付【25年度補正:1,350億円の内数】【財政投融資】

セーフティネット貸付のうち経営環境変化対応資金は、社会的、経済的環境の変化の影響等により、一時的に売上高や利益が減少している等の影響を受けている中小企業・小規模事業者に対して、7億2,000万円(日本公庫(中小企業事業)、商工中金)、4,800万円(日本公庫(国民生活事業))の範囲内で融資を実施するものである。平成24年度補正予算で、経営環境の変化等により一時的に業況が悪化している中小企業・小規模事業者の経営改善を支援するため、経営力強化支援法に基づく認定支援機関等による経営支援を前提としたセーフティネット貸付を創設し、平成25年度の貸付実績は、182,187件、3.9兆円(平成26年3月末時点)であった。また、平成25年度補正予算では金融機関との取引状況の変化(借入残高の減少要請や追加担保の設定要請等)により資金繰りに困難を来している中小企業・小規模事業者に対して、別枠3億円(日本公庫(中小企業事業)、別枠4,000万円(日本公庫(国民生活事業))の範囲内で融資を実施する金融環境変化対応資金についても経営支援と合わせた制度を創設し、平成25年度の貸付実績は、281件、196億円(平成26年3月末時点)であった。

2. 金融行政における中小企業・小規模事業者に対する経営支援の強化等

金融行政を通じた金融機関による成長分野等への積極的な資金供給及び中小企業の経営改善・体質強化の支援を促進するため、監督方針等に基づき、金融機関による新規融資や経営改善・事業再生支援等への取組状況を重点的に検証するとともに、先進的な取組や広く実践されることが望ましい取組を公表・周知した。

3. 資本性劣後ローンの推進【25年度財政投融資計画額:400.0億円】

資本性劣後ローンとは、新事業展開・事業再生に取り組む中小企業・小規模事業者に対して、リスクの高い長期・一括償還の資金(資本性資金)を供給し、財務基盤を強化することで、民間からの協調融資を呼び込み、中小企業・小規模事業者の資金繰りを安定化するものである。平成24年度補正予算において、日本公庫(中小企業事業)では拡充を行い、日本公庫(国民生活事業)では同制度を創設し、さらに平成25年度補正予算においては日本公庫(国民生活事業)で拡充を行った。その結果、平成25年度における資本性劣後ローンの貸付実績は、1,432件、1,075億円(平成26年3月末時点)であった。

(注) 期限一括償還型の貸付であって、融資を受けた中小企業・小規模事業者が法的倒産となった場合に貸付金の償還順位を他の債権に劣後させる制度。毎期の決算の成功度合いに応じて金利を変更する等の制度設計とすることにより、当該劣後ローンは、金融検査上自己資本とみなすことが可能となっている。

4. セーフティネット保証5号

セーフティネット保証5号は、最近3か月間の月平均売上高等が前年同期比で一定割合以上減少等の基準を満たす場合に、指定業種に属する中小企業・小規模事業者を対象として、信用保証協会が一般保証とは別枠で保証を実施するものである(100%保証。保証限度額は無担保8,000万円、最大2億8,000万円。)。平成26年2月末までのセーフティネット保証5号の保証承諾実績は、84,982件、1.6兆円であった。

5. 借換保証の推進

信用保証協会が、複数の借入債務を一本化し、足下の返済負担の軽減を図るための借換保証を推進。平成26年1月に創設した経営改善サポート保証を併せて活用することが可能。平成26年2月末までの借換保証の保証承諾実績は、、163,652件、3.1兆円であった。

6. マル経融資制度【25年度予算:36.0億円】【財政投融資】

小規模事業者を金融面から支援するため、商工会議所、商工会、都道府県商工会連合会の経営指導を受けている小規模事業者に対して、日本公庫が無担保・無保証・低利で融資を行った。また、〔1〕貸付限度額の上限を1,000万円から1,500万円、〔2〕貸付期間を、運転資金は5年以内から7年以内に、設備資金は7年以内から10年以内、〔3〕据置期間を、運転資金は6か月以内から1年以内に、設備資金は6か月以内から2年以内に、それぞれ拡充する措置を引き続き実施した。平成25年4月から平成26年3月末までに、39,303件、1,982億円の融資を実施した。

7. 小規模企業者等設備導入資金助成制度(設備資金貸付・設備貸与)

信用力や資金調達力が脆弱である小規模企業の創業及び経営基盤の強化に必要な設備導入を促進するため、各都道府県の貸与機関を通じ、必要な設備資金の半分についての無利子貸付及び必要な設備の貸与を実施した。

8. 貿易保険が付保された中小企業の輸出代金債権の流動化促進

中小企業に対する資金供給促進のため、NEXIは商工中金等の関係機関と連携し、中小企業から金融機関へ譲渡した付保輸出代金債権に係る保険事故後の回収義務(保険事故が発生し、保険金を受け取った後も、金銭の回収に努める義務)等の被保険者義務の一部免除等を行った。

9. 沖縄の中小企業対策【財政投融資】

沖縄振興開発金融公庫(以下「沖縄公庫」という)を活用した沖縄の中小企業対策は日本公庫が行う業務・取組の沖縄公庫の業務範囲に対応するものについては、同様に行うとともに、沖縄の特殊事情を踏まえ独自の貸付制度の拡充を実施した。

10. 「中小企業の会計に関する基本要領」の普及・活用

中小企業の経営状況の明確化、経営者自身による事業の説明能力の向上、資金調達力の強化を促す観点から、平成24年3月に取りまとめた「中小企業の会計に関する検討会報告書」に基づき、「中小企業の会計に関する基本要領」の普及・活用を推進した。

平成25年4月からは、「中小企業の会計に関する基本要領」を会計ルールとして採用する中小企業・小規模事業者に対して、信用保証料率を0.1%割り引く制度を開始した。

第5節 財務基盤の強化

1. 中小軽減税率の引下げ【税制】

中小法人に係る法人税の軽減税率(年所得800万円以下の部分に適用。)について、19%から15%に引き下げる措置を引き続き講じた。

ただし、平成24年4月1日から平成26年3月31日までの間に開始する事業年度において、復興特別法人税として、法人税額に10%の付加税が上乗せされる。

2. 中小企業投資促進税制【税制】

中小企業者等の設備投資を促進し、その生産性の向上を図るため、一定の機械装置等を取得した場合に、その基準取得価額の30%の特別償却又は7%の税額控除を認める措置を引き続き講じた。

3. 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例制度【税制】

中小企業者等における事務負担の軽減等を図るため、中小企業者等が30万円未満の減価償却資産を取得した場合において全額損金算入(合計年300万円を限度。)を認める措置を引き続き講じた。

4. 欠損金の繰越控除・繰戻還付【税制】

当期の事業年度に生じた欠損金については、一定期間内に限り、翌期以降の事業年度の所得金額から繰越欠損金として控除することができる。また、中小法人の当期の事業年度に生じた欠損金について1年間の繰戻還付を受けることができる措置を引き続き講じた。

5. 商業・サービス業・農林水産業活性化税制【税制】

平成25度税制改正により、商業・サービス業・農林水産業を営む中小企業等の活性化に資する設備投資を促進し、これらの産業の活性化を図るために、商業・サービス業・農林水産業を営む中小企業等が経営改善に関する指導及び助言を受け、その指導及び助言を受けて一定の金額以上の建物附属設備又は器具・備品を取得した場合に取得価額の30%の特別償却又は7%の税額控除を認める措置を創設した。

6. 交際費等の損金不算入の特例【税制】

平成25年度税制改正により、中小法人が支出した交際費等について600万円を上限としてその90%の損金算入を認める措置について、定額控除上限を600万円から800万円に引き上げるとともに、定額控除上限までの損金不算入措置(10%を損金不算入とする措置。)を廃止した。

7. 産業競争力強化法に基づく創業や中小企業の事業再生に係る登録免許税の軽減措置【税制】

産業競争力強化法に基づき、市区町村が民間の創業支援事業者と連携して創業支援事業計画を作成し、国の認定を受けた場合において、創業者が当該認定計画に位置づけられた特定創業支援を受け、株式会社を設立する際には、登記にかかる登録免許税を半減にする措置を講じた。また、産業活力再生特別措置法に基づき、中小企業承継事業再生計画の認定を受けた事業者に対して、会社の設立・不動産の取得等にかかる登録免許税の軽減措置を実施していたが、産業競争力強化法の施行に伴い、引き続き軽減措置を適用し、適用期限を平成28年3月31日までとした。

8. 中小企業投資育成株式会社による支援

中小企業投資育成株式会社は、中小企業の自己資本の充実を促進し、その健全な成長発展を図るため、株式、新株予約権、新株予約権付社債等の引受けによる投資事業及び経営相談、事業承継支援等の育成事業を実施している。平成26年1月末現在の投資残高は、2,286社、757億円となった。

第6節 経営安定対策

1. 中小企業倒産防止共済制度(経営セーフティ共済制度)【中小機構交付金】

中小企業倒産防止共済制度は、取引先企業の倒産により売掛金債権が回収が困難となった場合に、積み立てた掛金の額に応じて無利子、無担保、無保証人で共済金の貸付けを行う制度である。2013年12月末現在で34.8万社が在籍しており、2013年4月から12月までの新規加入者、新規貸付金額はそれぞれ、2.8万社、86億円に上った。

2. 経営安定特別相談事業【25年度予算:0.4億円】

経営の危機に直面した中小企業の経営上の様々な問題の解決に資するため、全国の主要な商工会議所及び都道府県商工会連合会に「経営安定特別相談室」が設置されている。本相談室において倒産防止に関する幅広い分野の経営相談が円滑に実施されるよう日本商工会議所及び全国商工会連合会の実施する指導事業等を支援した。

3. 中小企業BCP普及の促進【財政投融資】

BCPを中小企業・小規模事業者により普及・定着させるため、新たにBCP運用の経営効果を評価する方策等を策定するとともに、普及支援体制の充実を図るため、中小企業関係団体等が実施する支援担当者向けBCP研修・セミナーを支援した。また、日本公庫が実施するBCP融資制度について、中小・小規模事業者が地域と連携し、BCPと地域防災への協力を一体として取り組む場合に、融資対象の拡大や金利の優遇などの拡充措置を講じた。

[融資実績](平成25年4月〜平成26年1月):件数81件、74.0億円(うち新設制度2件、2.5億円)

4. ダンピング輸入品による被害の救済【25年度予算:0.5億円】

貿易救済措置のうちAD措置は、他国企業から我が国に不当に安い価格で輸入されること(ダンピング輸入)により、国内産業が損害を受けた際に、国内産業からの申請を受けて政府が調査を実施した上で関税の賦課により、公正な市場競争環境を確保する措置である。インドネシア産カットシート紙及び南アフリカ、中国及びスペイン産電解二酸化マンガンについてAD調査を実施し、前者については課税しないことを、後者については課税期間を延長することを決定した。また、中国産トルエンジイソシアナートについてAD調査を開始した。この他、企業への説明会やWTO協定整合的にAD調査を行うための調査研究を実施した。

第7節 官公需対策

1. 「中小企業者に関する国等の契約の方針」の策定【25年度予算:5.8億円の内数】

官公需における中小企業・小規模事業者向け契約目標比率等を策定するものであり、平成25年度においては、その比率を56.6%とし、6月25日に閣議決定を行った。中小企業・小規模事業者の受注機会増大のための措置として、新たに原材料価格等の上昇により影響を受ける中小企業・小規模事業者への配慮、価格以外の品質や機能を評価する入札制度である「総合評価落札方式」の適切な活用及び新規開業者及び創意工夫ある中小企業・小規模事業者への配慮等を盛り込んだ。

また、中小企業・小規模事業者の受注機会の増大のために、以下の施策を実施した。

(1)  平成25年6月25日、経済産業大臣から各府省等の長、都道府県知事、人口10万人以上の市の長及び東京特別区の長に対し、「中小企業者に関する国等の契約の方針」の閣議決定に係る要請を行うとともに、中小企業・小規模事業者の受注機会の増大に努めるよう要請した。

また、平成26年2月6日、「好循環実現のための経済対策(平成25年12月5日閣議決定)」を踏まえた平成25年度補正予算の成立を受け、中小企業庁長官から各府省等の長、都道府県知事及び全市区町村の長に対し、同様の要請を行った。

(2)  地方における「契約の方針」の周知徹底を図るための全国説明会(官公需確保対策地方推進協議会)を7月から8月にかけて51回開催した。

(3)  「官公需契約の手引き」を作成し、国等の機関、地方公共団体等の機関及び商工関係団体等に配布した。

2. 中小企業・小規模事業者の受注機会増大のための「官公需情報ポータルサイト」【25年度予算:5.8億円の内数、25年度補正:0.9億円】

中小企業・小規模事業者が官公需に関する受発注情報を入手しやすくするため、国等がホームページで提供している発注情報等を中小企業・小規模事業者が一括して入手できる「官公需情報ポータルサイト」を運営した。平成25年1月末までのアクセス件数は229,238件に上った。また、平成25年度補正予算により、より情報収集機能・検索機能を強化し、更に小規模企業がより迅速的確に入手できるよう支援するため、新たなシステムの開発に着手した。

第8節 人権啓発の推進

1. 人権啓発【25年度予算:1.9億円】

中小企業・小規模事業者等に対して、人権尊重の理念を広く普及させ、人権意識の涵養を図るため、民間団体等や地方公共団体に委託し、講演会の開催、パンフレットの作成等を実施した。

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