平成25年度において講じた中小企業施策 

第3章 下請構造から脱却し、自ら積極的に成長分野に参入する

〈行動計画の内容〉

多くの中小企業・小規模事業者は、長らく大企業の下請として企業活動を行ってきた。ただし、大企業の業態変化や海外展開が進んでいくことで、中小企業・小規模事業者自身が商品開発から市場開拓まで一貫して行う必要が生じている。

特に、今後将来にわたって成長が期待できる分野である環境・エネルギー、健康・医療、航空宇宙等の分野に中小企業・小規模事業者が参入していくためには、技術開発支援の方向性を変えていくとともに、国際認証や許認可手続きといった参入障壁のハードルを下げていく必要がある。

また、新分野展開を促進するためには、大企業や異業種企業も含めた企業間連携をより一層推進していく必要がある。企業間連携はお互いの弱みを補完するだけではなく、強みの相乗効果を生み出し、企業にとって新しい分野への進出を後押しする。併せて、適切な担い手の確保・育成が必要不可欠である。

〈国のアクション〉

○大企業の下請生産技術を前提とした中小ものづくり高度化法の22技術分野を見直し、医療、環境分野などの成長分野に中小企業が直接参入しやすくする。

○国際認証の取得に向けた業界経験者等の長期派遣や相談支援、支援機関、ITポータルサイト等を通じた情報提供を強化する。また、中古設備も含めた専用設備等の導入を支援する。

○中小企業と医療機関等との連携を支援する専門家の派遣と育成、薬事相談・申請費用の支援などにより、中小企業による医療機器開発・審査に係る費用低減と期間短縮を進める。

○「企業間連携促進会議」の設置や支援ポータルサイト・展示会の活用等により、大企業や異業種企業とのマッチングの場の整備と連携を促進する。

○地域の核となる人を発掘し、情報交換や交流の場を設けることにより、新分野展開に重要となる知識の共有と人的ネットワークの構築を図る。

○小規模な事業者の活用を念頭においた新商品開発に対する補助金制度を拡充する。

○下請中小企業の連携による取引先の自立的な開拓の取組等に対する補助金制度を拡充する。

○優れた技術・技能を有する外部人材を活用することで、ものづくり現場における技術・技能の継承を地域が一体となって支援するとともに、優秀な人材を確保するための職場実習(インターンシップ)の支援を行う。

【具体的施策】

第1節 技術力の強化

1. 中小企業のものづくり基盤技術の高度化に向けた総合支援

中小ものづくり高度化法に基づき、高度化指針に沿った特定研究開発等計画について認定を行い、認定された中小企業に対して戦略的基盤技術高度化支援事業や日本公庫による低利融資などの支援を実施した。

【実績】(2013年度)  ※2014年1月31日時点

2. ものづくり中小企業連携支援事業【25年度予算:118.7億円】

(1) 戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン事業)

我が国経済を牽引していく重要産業分野の競争力を支える特定ものづくり基盤技術(鋳造、鍛造、切削加工、めっき等の22技術:平成26年2月10日に精密加工、立体造形等の11技術へ改正)の高度化等に向け、中小企業等から成る共同研究体が行う研究開発から試作までの取組を支援した。平成25年度においては、112件の認定計画に従って行われる取組を採択した。

(2) グローバル技術連携支援事業

中小企業の海外への展開を図るため、ニッチ分野等の世界市場獲得を目指す中小企業の共同体が、オンリーワン技術獲得や技術流出防止等のために取り組む試作品開発やその販路開拓等を支援した。平成25年度の採択件数は5件であった。

(3) 地域中小企業イノベーション創出補助事業

地域の中小企業、大学、高等専門学校及び公的研究機関等が共同で、実用化技術の事業化に取組む実証研究を支援した。平成25年度においては、12件の取組を採択した。

3. 新製品・新技術の試作開発や販路開拓等に取り組む中小企業への低利融資【財政投融資】

中小ものづくり高度化法に規定する特定ものづくり基盤技術を活用し、新製品・新技術の試作開発及び当該試作開発の成果に係る販路開拓等に取り組む者に対し、事業計画の審査により日本公庫が低利融資を実施した。2013年度は38件(累計317件※2014年1月末時点)の融資を実施した。

4. 中小企業技術革新挑戦支援事業【25年度予算:0.4億円】

中小企業者が、自社の有する技術及び技術シーズを用いて国等における技術開発課題が解決可能であるかどうかやその事業性に関して探索研究・実証実験(F/S)を行うことを支援。本事業により、国等の特定補助金等への中小企業者等の参加機会の拡大及び研究開発成果の事業化の拡大を図った。平成25年度は、厚生労働省「障害者自立支援機器等開発促進事業」と連携し、13件のF/Sを実施した。

5. 研究開発税制(中小企業技術基盤強化税制)【税制】

中小企業・小規模事業者等が行う研究開発活動に対して、試験研究費の12%相当額の税額控除ができる措置を引き続き講じた(税額控除限度額は当期の法人税額の20%から30%に引き上げた(平成26年度末まで))。上記に加え、要件を満たす場合において、試験研究費の増加額の5%を税額控除できる制度又は平均売上金額の10%相当額を超える試験研究費の額の一定割合を税額控除できる制度のいずれかを選択して適用できる措置(税額控除限度額は当期の法人税額の10%を上限)を引き続き講じた。

6. ものづくり中小企業・小規模事業者試作開発等支援事業【25年度補正:1,007億円】

きめ細かく顧客ニーズをとらえる創意工夫に取り組むために、認定支援機関等と連携しつつ、ものづくり中小企業・小規模事業者が実施する試作品の開発や設備投資等を支援した。平成25年度においては、10,516件の取組を支援した。

7. 中小企業・小規模事業者ものづくり・商業・サービス革新事業【25年度補正:1,400億円】

革新的なものづくり・サービスの提供等にチャレンジする中小企業・小規模事業者に対し、地方産業競争力協議会とも連携しつつ、試作品開発・設備投資等を支援した。

第2節 販路開拓支援

1. 小規模事業者販路開拓・支援基盤整備事業【25年度補正:12.5億円】

小規模事業者等のニーズに対応した施策情報の提供等のための経営診断の統合データベースの整備、ITを活用した販路開拓促進のためのe-learningやオンライン相談、海外販路開拓のためのホームページの外国語化、代金決済システムの構築等の支援に着手した。

2. 地域力活用新事業創出支援事業【25年度予算:14.6億円】

地域の小規模事業者による全国規模の市場に向けた事業展開を促進するため、商工会・商工会議所等が事業者と協力して進める、特産品開発や観光開発及びその販路開拓等の事業(調査研究事業:101件、本体事業(1年目:87件、2年目:37件)に対し、幅広い支援を行った。

3. 地域力活用市場獲得等支援事業【25年度補正:121.0億円】

地域経済の下支えとともに、消費税率の引き上げを見据えた体質強化を図ることを目的とし、中小企業・小規模事業者が行う新商品・新サービス開発、内外販路開拓、海外共同現地進出、統合財務管理ソフトの開発・導入等を支援した。具体的には、新商品・新サービス開発では462件、海外共同現地進出支援事業で90件支援するなど、中小企業・小規模事業者の販路開拓等を支援した。

4. 各種展示会や商談会等による販路開拓支援【25年度予算:185.0億円の内数】

中小機構が農商工連携や地域資源活用等により開発した商品・サービス等や、魅力ある隠れた地域産品等について、展示会や商談会等の開催を通じて、販路開拓・拡大を支援した。中小企業総合展においては447社が出展し、54,119人が来場した。

5. 販路開拓コーディネート事業【25年度予算:185.0億円の内数】

新事業活動促進法に基づいて経営革新計画の承認を受けた中小企業者等に対し、中小機構に配置されている商社・メーカー等出身の販路開拓の専門家(販路開拓コーディネーター)が新たな市場開拓につなげるための支援を行った。具体的な取組として、開発した新商品等を商社・企業等に紹介又は取次ぎを行い、新商品・新サービスを持つ企業のマーケティング企画から、首都圏・近畿圏を舞台に想定市場の企業へのテストマーケティング活動までの支援を行った。平成25年度(平成26年1月末現在)は113件の支援を行った。

6. 販路ナビゲーター創出支援事業【25年度予算:185.0億円の内数】

中小機構が、豊富なネットワークを有する企業OB等を販路ナビゲーターとして登録し、販路紹介や販売代行業務等につなげるための中小企業と販路ナビゲーターとのマッチングの機会を提供した。中小機構主催のマッチングイベントであるマッチングプレゼンテーションを実施するとともに、都道府県等中小企業支援センター主催のマッチングイベントへの販路ナビゲーター派遣等を実施し、平成25年度(平成26年1月末現在)は、291社を支援した。

第3節 新分野・新事業展開、異業種連携

1. 新事業活動支援

〔1〕新連携支援事業【25年度予算:18.6億円の内数】

中小企業新事業活動促進法に基づき、異分野の中小企業が連携し、その経営資源(技術、販路等)を有効に組み合わせて行う新商品・新サービスの開発・販売等の事業計画に対して認定を行い、補助金による支援を行うとともに、融資、保証の特例等により総合的な支援を実施した。平成25年度においては、69件の事業計画の認定を行った。

〔2〕農商工等連携促進対策支援事業

【25年度予算:18.6億円の内数】

農商工等連携促進法に基づき、中小企業者と農林漁業者とが有機的に連携し、それぞれの経営資源を有効に活用した新商品・新サービスの開発・販売等を行う事業計画に対して認定を行い、補助金による支援を行うとともに、融資、保証の特例等により総合的な支援を実施した。平成25年度においては、67件の事業計画の認定を行った。

2. 中小企業技術革新制度(SBIR制度)に基づく支援

新産業の創出につながる新技術開発のための特定補助金等の指定、支出の目標額、特定補助金等を利用して開発した成果の事業化支援措置等の方針の作成等により、引き続き国の研究開発予算の中小企業・小規模事業者への提供拡大、及び技術開発成果の事業化を図った。さらに、技術開発成果の事業化を促進するため、特定補助金等の採択企業の技術力をPRするデータベースや日本公庫による低利融資等の事業化支援措置を中小企業・小規模事業者等に周知し、利用促進を図るとともに、特定補助金等への多段階選抜方式の導入拡大を図った。

3. 小規模事業者活性化事業【25年度予算:30.0億円】

小規模事業者が認定支援機関たる金融機関等と連携して行う新商品・新サービスの開発、販路開拓の取組に対し、補助金による支援を行った。平成25年度においては、1,518件の採択を行った。

4. 新事業創出支援事業【25年度予算:185.0億円の内数】

中小機構の全国10支部・事務所にマーケティング等に精通した専門家を配置し、中小企業新事業活動促進法、中小企業地域産業資源活用促進法、農商工等連携促進法の枠組みにより、新事業に取り組む中小企業等に対して一貫してきめ細かな支援を行った。平成25年度(平成26年1月末現在)の支援件数は15,456件であり、内訳は、支援事務局における窓口相談2,851件、事業者の認定計画をサポートするブラッシュアップ支援3,540件、販路開拓支援等のフォローアップ支援9,065件である。

5. 課題解決型医療機器等開発事業【25年度予算:30.5億円】

優れたものづくり技術を有する中小企業等と、医療現場の課題を有する医療機関等との医工連携による医療機器の開発・改良について、臨床評価、実用化までの一貫した取組を実施した。平成25年度は平成23、24年度からの継続分とあわせて52件の医療機器開発案件を支援した。

第4節 下請脱却支援

1. 下請代金法の運用強化【25年度予算:5.8億円の内数】

下請取引の公正化、下請事業者の利益保護のため、公正取引委員会と中小企業庁が密接な協力関係の下、下請代金法を執行した。また、平成25年度においても、公正取引委員会及び中小企業庁が親事業者等に対して書面調査等を実施した。加えて、下請代金法違反事実に関する情報提供・申告等を行うための専用フォーム「中小企業取引相談目安箱」により、下請代金法違反に関する情報収集を行い、下請代金法の厳格な運用に努めた。さらに、11月に実施した「下請取引適正化推進月間」においては、「過去に同様の改善指導を2回以上受けている親事業者」等を対象に、特別事情聴取を実施し、下請代金法の厳格な運用を図った。また、年末の金融繁忙期に向けた下請事業者の資金繰り確保の点から、親事業者代表取締役(約20万社)及び関係事業者団体代表者(645団体)に対し、経済産業大臣、公正取引委員会委員長の連名で、下請代金法に基づく下請取引の適正化の要請文を発出し、同法の周知徹底を図った。

2. 相談体制の強化と下請取引適正化に関する普及啓発【25年度予算:5.8億円の内数】

全国48か所に設置した下請かけこみ寺において、中小企業の取引に関する相談に対応した(平成25年度の相談件数は4,982件、無料弁護士相談710件)。また、下請代金法の違反行為を未然に防止するための講習会を開催した。親事業者の調達担当者を対象とした講習会を126回開催し、下請代金法及び下請振興法の一層の周知を図ったほか、全国8会場で親事業者の取組事例等を紹介し、広く下請代金法の遵守を呼びかけるシンポジウム等を開催した。さらに、親事業者と下請事業者の望ましい取引関係を構築するためのガイドライン(下請適正取引等の推進のためのガイドライン)について、平成25年度は、建設業トラック運送業を除いた14業種において、消費税の円滑な転嫁に向けた改訂を実施し、16業種のガイドラインの説明会を198回開催した。

3. 下請中小企業・小規模事業者の自立化支援【25年度予算:7.0億円の内数】

改正下請中小企業振興法(平成25年9月20日施行)に基づき、取引依存度の高い下請中小企業・小規模事業者が連携して課題解決型ビジネスを行う事業計画の認定を行い、補助金、融資、保証の特例により支援を実施した。また、親事業者の生産拠点が閉鎖(予定も含む)された地域における下請中小企業等が行う新分野進出等に対する補助金により支援を実施した。

4. 下請中小企業の振興

下請中小企業の振興を図るため、以下の事業を実施した。

〔1〕下請取引あっせん、商談会による販路開拓支援

【25年度予算:0.5億円の内数】

新たな取引先を開拓したい下請中小企業に対して、「ビジネス・マッチング・ステーション(BMS)(http://biz-match-station.zenkyo.or.jp/)」により、自社の希望する業種、設備、技術等の条件に合った製造委託等の企業間取引の受発注情報の提供を行った。平成25年3月末現在の登録企業数は25,607社である。また、新たな販路開拓を支援するため、緊急広域商談会を9会場で開催した。

〔2〕下請事業者への配慮要請等

【25年度予算:5.8億円の内数】

下請振興法に基づく下請事業者及び親事業者がよるべき一般的基準(振興基準)等について、講習会等で周知を図った。加えて、下請事業者への配慮等を行うよう、平成25年11月22日に関係事業者団体(745団体)の代表者宛てに要請文を発出した。

第5節 技術・技能の伝承

1. 小規模事業者等人材・支援人材育成等事業【25年度補正:3.1億円】

認定支援機関の支援事例等の調査等を通じ、他の認定支援機関のモデルとなる優良な取組を選定し、事例を取りまとめて広く認定支援機関等に共有することにより、認定支援機関の更なる質の向上を図ると共に、中小企業・小規模事業者自身が認定支援機関を評価した上で最適な支援機関を選定できる体制の整備を図ることとした。また、ものづくり小規模事業者等の製造現場において中核として働く人材が、技術・技能の継承に係る講習を受ける際の費用や、現場において技術・技能の継承の指導を受ける際の費用の一部を補助することとした。さらに、地域人材育成コーディネーターを核とする「地域人材育成コンソーシアム」を組成し、複数の中小企業・小規模事業者間での出向や共同研修の開催等の実証を行うことで、地域の企業における人材育成を推進することとした。

2. ものづくり小規模事業者等人材育成事業【25年度予算:3.5億円】

ものづくり人材を育成するため、優れた技術・技能を有するものを指導者として活用し、ものづくり小規模事業者等における技術・技能の継承を支援した。平成25年度においては、92件の取組を支援した。

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