第4部 中小企業・小規模事業者の支援の在り方 

第3章 コネクターハブ企業と地域産業構造分析システム

ここまで見てきたように、我が国経済、とりわけ地域経済は、人口減少等による需要縮小という、容易に反転しづらい厳しい構造問題を抱えている。その結果、地域経済を支える中小企業・小規模事業者の数も年々減少を続けている。このような中で、いかにして中小企業・小規模事業者の需要獲得を実現するか、いかにして地域経済を活性化するかが大きな課題となっている。第4部の最終章として、ここでは、〔1〕地域経済活性化の鍵を握る「コネクターハブ企業(地域中核企業)1」について、及び、〔2〕このコネクターハブ企業を抽出・選定するとともに、地域経済の産業構造分析を行う「地域産業構造分析システム(以下、「本システム」という。)」について説明していく。

本システムは、2014年中の開発を目指しているが、完成後には、経済産業省の個別産業ごとの産業政策立案や地域産業政策等の立案に活用するとともに、厳重な情報管理を前提とした上で、都道府県・市区町村にも無償提供する予定であり、地域における産業政策立案や行政区域を超えた地域産業政策の立案に活用してもらうことを企図している。

1 「コネクターハブ企業(地域中核企業)」は、東京大学坂田一郎教授が提唱している。坂田教授の定義では、コネクターハブ企業は、Z値(地域や業種の区分の中で取引が集中する度合い)とP値(地域や業種を超えた取引を行っている度合い)がともに高い企業とされている。ただし、本稿でいう「コネクターハブ企業」とは、その中でも特に地域経済への貢献が高い企業、具体的には、地域からより多くの仕入を行い、地域外に販売している企業をいう。

1. コネクターハブ企業

「コネクターハブ企業」とは、地域の中で取引が集中しており(取引関係の中心となっているハブの機能)、地域外とも取引を行っている(他地域と取引をつなげているコネクターの機能)企業をいう。ここでは、その中でも特に地域経済への貢献が高い企業、具体的には、地域からより多くの仕入を行い、地域外に販売している企業をコネクターハブ企業としている。

企業が、商品を仕入れ、自社で付加価値を付け、販売することで、経済活動は営まれている。企業間の取引に着目をし、どこから仕入れて、どこに販売していくか、一社一社の取引をつなげていくことで、取引の全体像が現れてくる。その取引のネットワークを見ると、地域内の企業と地域外の企業の結節点となる重要な役割を担っている企業の存在が見えてくる。これがコネクターハブ企業である。

コネクターハブ企業のモデルを示したのが、第4-3-1図である。コネクターハブ企業は、地域の複数の企業から仕入れ、自社で付加価値を高め、そして域外へと販売している。その結果、企業間の取引を通して、地域外から資金を獲得し、地域に資金を配分する中心的な役割を担っている。このようなコネクターハブ企業が、地域内の企業からより多く仕入れ、域外への販売活動を活性化させることで、資金は取引先である地域内の中小企業・小規模事業者に流れていき、さらには、地域内で仕入れ、販売も地域内で行う「地域型」の中小企業・小規模事業者の経済活動により、地域に資金がますます循環するようになる(前掲第3-1-26図参照)。

第4-3-1図 コネクターハブ企業とその役割のイメージ図

以上のように、地域内の経済を支えているコネクターハブ企業の活動を活性化させることや、地域で新しいコネクターハブ企業を創出していくことこそ、地域経済活性化の「切り札」となり得る。以下、具体的に見ていこう。

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