第4部 中小企業・小規模事業者の支援の在り方 

第3節 自治体の施策認知度、活用状況、評価

本節では、自治体の視点から、中小企業・小規模事業者施策が、国と自治体、及び、自治体相互間で、どのように認知され、活用され、評価されているかについて、分析を行うとともに、施策情報を広く中小企業・小規模事業者に届けていくためには、施策情報の発信者たる国及び自治体との間で施策情報の共有がなされている必要があるが、その施策情報の共有を行う課程でどのような問題が生じているのかを確認し、その解決策を考えていく。

1. 自治体の施策認知度

自治体が、中小企業・小規模事業者施策を企画立案するに際しては、国及び他の自治体11の施策情報を知り、参考にして、行政全体として効率的に支援策が講じられていることが望ましい。また、施策広報を行っていくに際しては、国及び他の自治体がお互いの施策情報を十分に理解した上で、行政全体として広報していくことが求められる。したがって、自治体に施策情報が適時適切に伝わっていないことが、自治体の中小企業・小規模事業者施策の企画立案や広報の質を低下させかねない。その意味においては、中小企業・小規模事業者や中小企業支援機関と同様に、自治体にも、施策情報をしっかりと認知してもらうことが重要であるといえる。そこでまず、施策情報の入手先の明確さ、入手方法という二つの観点から、中小企業支援機関の施策情報の入手経路について見ていくこととする。

まず、施策情報の入手先の明確さについて、第4-2-15図を見てみると、市区町村に関しては、国の施策情報は、入手先が「明確ではない」もしくは「あまり明確ではない」と回答した割合が約3割、施策情報の入手先が「とても明確である」もしくは「明確である」と回答した割合が約4割となっている。そして、所属する都道府県の施策情報は、入手先が「明確ではない」もしくは「あまり明確ではない」と回答した割合が約2割、施策情報の入手先が「とても明確である」もしくは「明確である」と回答した割合が約4割となっている。したがって、市区町村にとっては、所属する都道府県の施策情報の入手先はある程度明確である一方で、国の施策情報の入手先は相対的に明確ではないと認識されている。

11 「他の自治体」とは、市区町村の場合は、市区町村が所属する都道府県、都道府県の場合は、都道府県内の市区町村を指す。

第4-2-15図 中小企業・小規模事業者施策の情報入手先の明確さ
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都道府県に関しては、国の施策情報は、入手先が「明確ではない」もしくは「あまり明確ではない」と回答した割合が約1割、施策情報の入手先が「とても明確である」もしくは「明確である」と回答した割合が約7割となっている。そして、都道府県内の市区町村の施策情報は、入手先が「明確ではない」もしくは「あまり明確ではない」と回答した割合が約3割、施策情報の入手先が「とても明確である」もしくは「明確である」と回答した割合が約2割となっている。したがって、市区町村とは対照的に、国の施策情報の入手先は明確であるが、都道府県内の市区町村の施策情報の入手先は明確ではないと認識されている。

市区町村は、国よりも所属する都道府県の施策情報の方が入手先が明確であると認識している一方で、都道府県は、都道府県内の市区町村よりも国の施策情報の方が入手先が明確であるとしており、入手先の明確さに大きな差異があることが分かった。

続いて、施策情報の入手方法について見ていく(第4-2-16図)。市区町村に関しては、現在の施策情報の入手方法として、中小企業・小規模事業者や中小企業支援機関と同様に、どの行政機関の施策情報であっても、「ホームページ」や「施策のチラシ・パンフレット」を活用している割合が非常に高く、また、今後も活用したいとする割合についても同様に高くなっている。また、今後の施策情報の入手方法として、「メールマガジン」や「施策説明会」を活用したいとする割合が高まっている。

第4-2-16図 市区町村の中小企業・小規模事業者施策情報の入手方法
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都道府県に関しては(第4-2-17図)、都道府県内の市区町村の施策情報の入手方法は「ホームページ」や「施策のチラシ・パンフレット」を活用している割合が高く、国の施策情報の入手方法は「ホームページ」や「施策のチラシ・パンフレット」に加えて、「施策説明会」を活用している割合も高くなっていることが特徴である。そして、どの行政機関の施策情報であっても「ホームページ」を活用している割合が9割を超えており、ホームページによる施策情報の入手を基本としていることが分かる。また、今後の施策情報の入手方法を見ても、「ホームページ」、「施策のチラシ・パンフレット」、「メールマガジン」、「施策説明会」を活用したいという割合が高くなっている。

第4-2-17図 都道府県の中小企業・小規模事業者施策情報の入手方
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したがって、自治体に対しても、前述の通り、「ミラサポ」、「施策マップ」を活用して内容、質ともに充実した施策情報を届けていくこと、及び、メールマガジンを通じて、タイムリーかつ的確な情報を頻度よく提供すると同時に、Face to Faceの施策説明会により、丁寧かつきめ細かな説明を行うことで、施策情報を共有していくことが必要といえよう。

自治体が施策情報を入手する段階において、入手先の明確さ、入手方法という2つの観点から、施策情報の入手経路について見てきた。入手方法については、中小企業・小規模事業者や中小企業支援機関とほぼ同様に、「ホームページ」や「施策のチラシ・パンフレット」を活用している割合が高い。しかし、その割合は中小企業・小規模事業者や中小企業支援機関に比べて高く、大半の市区町村、都道府県が、実際に施策情報を入手していることが分かった。それでは、以下、自治体が施策情報を入手したという前提に立って、自治体に届いた施策情報が、自治体にはどのように感じられているのかを、情報量、情報を得られるタイミング、情報のわかりやすさという三つの観点から見ていく。

まず、施策情報の情報量について、第4-2-18図を見ると、市区町村に関しては、国の施策情報、他の自治体の施策情報ともに、情報量が「どちらとも言えない(ちょうど良い)」と回答した市区町村が約6〜7割存在する一方で、情報量が「少なすぎる」もしくは「やや少なすぎる」と回答した市区町村が約1割であるのに対して、約2〜3割の市区町村が「非常に多すぎる」もしくは「多すぎる」と回答している。したがって、市区町村にとっては、相対的に情報量が多すぎると認識されている。

第4-2-18図 中小企業・小規模事業者施策の情報量
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都道府県に関しては、国の施策情報について、情報量が「どちらとも言えない(ちょうど良い)」と回答した割合が約8割、「多すぎる」と回答した割合が約1割、「少なすぎる」と回答した割合が約1割となっていることから、都道府県にとっては、国の施策情報の情報量は適切であるといえる。他方で、他の自治体の施策情報については、情報量が「どちらとも言えない(ちょうど良い)」と回答した割合が約6割、「少なすぎる」と回答した割合が約4割となっていることから、他の自治体の施策情報が相対的に少なすぎると認識している都道府県も一定程度いることが分かる。

この結果から、市区町村に対しては、国、他の自治体ともに施策情報を整理してわかりやすくする工夫が必要であり、都道府県に対しては、他の自治体の施策情報をわかりやすくかつ情報量を増やして広報していく必要がある。

次に、施策情報を得られるタイミングについて見てみると(第4-2-19図)、市区町村に関しては、国の施策情報、他の自治体の自治体の施策情報ともに、施策情報が「とてもタイムリーに得られる」もしくは「タイムリーに得られる」と回答した割合が約3割、「タイムリーに得られない」もしくは「あまりタイムリーに得られない」と回答した割合が約2割となっている。したがって、国の施策情報、他の自治体の自治体の施策情報ともに、相対的に時宜を得た情報を得られていると認識されている。

第4-2-19図 中小企業・小規模事業者施策の情報を得られるタイミング
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都道府県に関しては、国の施策情報について、「とてもタイムリーに得られる」もしくは「タイムリーに得られる」と回答した割合が約7割、「タイムリーに得られない」もしくは「あまりタイムリーに得られない」と回答した割合が約1割となっていることから、国の施策情報については、時宜を得た情報を得られていると認識されている。他方で、他の自治体の施策情報については、「とてもタイムリーに得られる」もしくは「タイムリーに得られる」と回答した割合が約1割、「タイムリーに得られない」もしくは「あまりタイムリーに得られない」と回答した割合が約3割となっていることから、他の自治体の施策情報については、時宜を得た施策情報が届いていないことが分かる。

続いて、施策情報のわかりやすさについても見ていくと、市区町村に関しては、国の施策情報、他の自治体の自治体の施策情報ともに、施策情報が「とてもわかりやすい」もしくは「わかりやすい」と回答した割合が約2割、「わかりにくい」もしくは「ややわかりにくい」と回答した割合が約3〜4割となっている。したがって、国の施策情報、他の自治体の自治体の施策情報ともに、相対的にわかりにくい情報となっている可能性がある。

都道府県に関しては、国の施策情報について、施策情報が「とてもわかりやすい」もしくは「わかりやすい」と回答した割合が約4割、「わかりにくい」もしくは「ややわかりにくい」と回答した割合が約1割となっていることから、国の施策情報については、わかりやすい情報がある程度は届いていることが分かる。他方で、他の自治体の施策情報については、「とてもわかりやすい」もしくは「わかりやすい」と回答した割合が約2割、「わかりにくい」もしくは「ややわかりにくい」と回答した割合が約1割となっていることから、相対的にわかりやすい情報が届いているといえるものの、「どちらとも言えない」と回答した都道府県が約7割存在していることから、今後さらにわかりやすい情報を届けていく努力が必要である(第4-2-20図)。

第4-2-20図 中小企業・小規模事業者施策情報のわかりやすさ
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情報量が多い、少ない、時宜を得た施策情報が届いていないという問題に対しては、やはり、「ミラサポ」、「施策マップ」を活用して、内容の整理された質の高い施策情報をタイムリーに届けていくことが求められる。それと同時に、情報のわかりにくさという問題を解消するために、中小企業庁では、これまで再三述べてきたように、実際に施策を企画立案した担当者による動画による施策説明を行う予定である。

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