第4部 中小企業・小規模事業者の支援の在り方 

第2章 中小企業・小規模事業者施策の認知度、活用状況、評価

我が国において、中小企業・小規模事業者施策は、毎年度、国、都道府県、市区町村等の行政機関によって、企画立案・実施されている。他方で、中小企業・小規模事業者にとって真に必要な中小企業・小規模事業者施策に関する情報(以下「施策情報」という)が、適時適切に中小企業・小規模事業者に届いているかというと、必ずしもそうとは言えない。しかしながら、日本経済を活性化させるためには、地域経済を支える385万の中小企業・小規模事業者、とりわけ334万の小規模事業者が元気になっていかなければならない。そのためにも、まずは、中小企業・小規模事業者に施策情報をしっかりと届けていくことが重要となる。

本章では、以上のような問題意識に基づき、中小企業・小規模事業者、中小企業支援機関1、自治体の三つの視点から、中小企業・小規模事業者施策の認知度、活用状況、評価について、それぞれ分析していく。

1 「中小企業支援機関」とは、商工会、商工会議所、中小企業団体中央会等の既存の中小企業支援機関に加えて、認定支援機関等も含む。

第1節 中小企業・小規模事業者の施策認知度、活用状況、評価

本節では、中小企業・小規模事業者の視点から、中小企業・小規模事業者施策が、どのように認知され、活用され、評価されているのかについて、分析を行うとともに、中小企業・小規模事業者に最終的に施策情報が届くまでの過程でどのような問題が生じているのかを確認し、その解決策を考えていく。

1. 中小企業・小規模事業者の施策認知度

中小企業・小規模事業者施策が、中小企業・小規模事業者に効果的に活用されるための重要な前提条件として、施策情報が中小企業・小規模事業者に認知されることが必要である。そこでまず、施策情報の入手先の明確さ、入手先、入手方法という三つの観点から、中小企業・小規模事業者の施策情報の入手経路について見ていくこととする。

まず、施策情報の入手先の明確さについて見てみる(第4-2-1図)。中小企業・小規模事業者は、どの行政機関の施策情報であっても、入手先が「とても明確である」もしくは「明確である」と回答した割合は1割程度であり、「明確でない」もしくは「あまり明確でない」と回答した割合が約5〜6割となっている。したがって、中小企業・小規模事業者には、施策情報の入手先は明確ではなく、どこから施策情報を入手すればいいのか、明確に認識されていないといえる。

第4-2-1図 中小企業・小規模事業者施策の情報入手先の明確さ
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中小企業・小規模事業者にとって、施策情報の入手先が明確ではないことは確認できた。それでは、施策情報の入手先が明確ではない中でも、施策情報を入手している中小企業・小規模事業者は、どこから施策情報を入手しているのだろうか。

第4-2-2図は、国の施策情報における、中小企業・小規模事業者の施策情報の入手先を示したものである。これを見ると、中小企業・小規模事業者は、現在、どの行政機関の施策情報についても、「入手していない」とする割合が最も高くなっている。しかし、今後の施策情報については、「入手しない」とする割合は低下していることから、中小企業・小規模事業者の中には、施策情報を入手したいという意欲はあるものの、施策情報が届いていない、もしくはどこで入手したらいいかわからない事業者が存在することが分かる。他方で、施策情報の入手先として、現在及び今後、「中小企業支援機関」から、施策情報を入手している(したい)とする割合が相対的に高くなっており、中小企業・小規模事業者にとって身近な中小企業支援機関の果たす役割が大きいことが分かる。

第4-2-2図 国の中小企業・小規模事業者施策情報の入手先
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また、市区町村及び都道府県の施策情報についても同様のことがいえることから2、中小企業支援機関が、国・都道府県・市区町村まで含めた施策情報を一元的に把握できていれば、中小企業・小規模事業者に対して一元的な情報提供が可能となる。そのため、「ミラサポ3」や、「ミラサポ」上に構築された、国・都道府県・市区町村の施策を一覧できる「施策マップ4」による施策情報の発信を積極的に行い、中小企業支援機関の施策情報の一元的把握をサポートしていくことが求められる。さらに、2014年度に設置予定の「よろず支援拠点5」も、中小企業・小規模事業者に対して一元的に施策情報を提供する窓口となることで、中小企業・小規模事業者に対して、重層的かつ丁寧な施策情報の提供が可能となる。

続いて、国の施策情報の入手方法について、第4-2-3図を見てみると6、中小企業・小規模事業者は、現在の施策情報の入手方法として、「ホームページ」や「施策のチラシ・パンフレット」を活用している割合が高く、また、今後も活用したいとする割合についても同様に高くなっている。したがって、今後、ホームページや施策のチラシ・パンフレットによる施策情報の伝達を促進していくことが重要であり、特に、情報を迅速に伝えられるホームページでは、「ミラサポ」や「施策マップ」を活用することで、中小企業・小規模事業者に対して、内容、質ともに充実した施策情報を早期かつ積極的に届けていくことが求められる。また、今後の施策情報の入手方法として、「施策説明会」を活用したいとする割合も高まっており、中小企業・小規模事業者に対する施策情報の説明の機会をより一層増やしていくことが求められる。これに対しては、これまでは主に都道府県向けに行われてきた施策説明会を、市区町村や中小企業支援機関向けにも開催することで、中小企業・小規模事業者にとって、より身近な場所で、かつ、Face to Faceで施策情報を届けられる環境を全国津々浦々で構築していくことが求められる。

2 市区町村、都道府県の施策情報の入手先については、国の施策情報の入手先と同様の結果が得られたため、ここでは割愛し、付注4-2-1付注4-2-2に掲載することとする。

3 「ミラサポ」については、コラム4-1-1の第4-1-1〔1〕図を参照。

4 「施策マップ」については、コラム4-1-1を参照。

5 「よろず支援拠点」については、第4部第1章第4節を参照。

6 市区町村、都道府県の施策情報の入手方法については、国の施策情報の入手方法と同様の結果が得られたため、ここでは割愛し、付注4-2-3付注4-2-4に掲載することとする。

第4-2-3図 国の施策情報の入手方法
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ここまで、中小企業・小規模事業者が施策情報を入手する段階において、入手先の明確さ、入手先、入手方法という三つの観点から、施策情報の入手経路について見てきた。以下、中小企業・小規模事業者が仮に施策情報を入手できたという前提に立って、中小企業・小規模事業者に届いた施策情報が、中小企業・小規模事業者にはどのように感じられているのかを、情報量、情報を得られるタイミング、情報のわかりやすさという3つの観点から見ていく。

まず、施策情報の情報量について、第4-2-4図を見ると、約5割の中小企業・小規模事業者が、「どちらとも言えない(ちょうど良い)」と回答しており、情報量は適切であると考えている中小企業・小規模事業者がある程度はいることが確認できる。その一方で、行政機関の中小企業・小規模事業者施策は数多くあるにもかかわらず、情報量が、「非常に多すぎる」もしくは「多すぎる」と回答した割合が約1割であるのに対して、約4割の中小企業・小規模事業者が、「少なすぎる」もしくは「やや少なすぎる」と回答したことは意外な結果と言える。つまり、情報量が多すぎて情報を処理し切れていないというよりはむしろ、入手できる情報量が少ないという理由で、施策情報が中小企業・小規模事業者に伝わっていない可能性がある。

第4-2-4図 中小企業・小規模事業者施策の情報量
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次に、施策情報を得られるタイミングについて見てみると(第4-2-5図)、中小企業・小規模事業者の約5割が、施策情報を「タイムリーに得られない」もしくは「あまりタイムリーに得られない」と回答しており、「とてもタイムリーに得られる」もしくは「タイムリーに得られる」と回答した割合が1割にも満たない。このことから、中小企業・小規模事業者には時宜を得た施策情報が届いていないことが分かる。

第4-2-5図 中小企業・小規模事業者施策の情報を得られるタイミング
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続いて、施策情報のわかりやすさについても見ていくと(第4-2-6図)、中小企業・小規模事業者の約5割が、施策情報が「わかりにくい」もしくは「ややわかりにくい」と回答しており、「とてもわかりやすい」もしくは「わかりやすい」と回答した割合が1割にも満たない。したがって、仮に時宜を得た施策情報を入手できたとしても、その施策情報が中小企業・小規模事業者にとっては、わかりにくい情報となっている可能性がある。

第4-2-6図 中小企業・小規模事業者施策の情報入手先
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情報量が少ない、時宜を得た施策情報が届いていないという問題に対しては、やはり、「ミラサポ」、「施策マップ」を活用して、内容、質ともに充実した施策情報を届けていくことが求められる。それと同時に、情報のわかりにくさという問題を解消するために、中小企業庁では、実際に施策を企画立案した担当者が、当該施策の内容を説明した様子を動画に収め、それを「ミラサポ」の動画にアップすることを検討している。施策を企画立案した担当者が、当該施策を企画立案するに至った背景や想い等も併せて語ることで、当該施策の支援内容もより一層分かりやすくなると期待している。

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