第4部 中小企業・小規模事業者の支援の在り方 

第3節 中小企業支援に関する連携状況

第1節と第2節で見てきたように、中小企業・小規模事業者に対して有効に施策を届けていくためには、中小企業支援機関同士又は施策を立案している自治体と施策を届ける中小企業支援機関が連携して中小企業・小規模事業者を支援していくことが必要となる。

本節では、中小企業支援機関同士の連携状況、自治体と中小企業支援機関の連携状況、地域プラットフォームについて、ワンストップでの支援を行っている事例、支援チームを編成してチームで支援している事例について見ていく。

1. 中小企業支援機関同士の連携状況

第4-1-26図は、中小企業支援機関同士の連携状況を示したものである。なお、ここでいう「連携」とは、中小企業支援機関同士が一体となり、中小企業の経営課題に対応していることを指している。これを見ると、認定支援機関制度により、新たに中小企業・小規模事業者支援の担い手として加わった、税・法務関係の中小企業支援機関では、「多くの分野で連携している」又は「一部の分野で連携している」と回答した割合は3割未満となっており、他の中小企業支援機関が7割以上回答しているのと比べて著しく低い。しかしながら、連携していない中で、「連携する必要性は感じている」と回答した割合がほとんどであり、税・法務関係の中小企業支援機関は、連携する必要性は感じているが、連携できていないことが分かる。

第4-1-26図 中小企業支援機関同士の連携状況
Excel形式のファイルはこちら

第4-1-27図は、第4-1-26図で、「多くの分野で連携している」又は「一部の分野で連携している」と回答した中小企業支援機関が、どの中小企業支援機関と強く連携しているかを示したものである。これを見ると、商工会・商工会議所等、コンサルタント、金融機関では、多様な他の中小企業支援機関と連携していることが分かる。一方で、税・法務関係の中小企業支援機関については、連携相手の5割超が税・法務関係の中小企業支援機関となっており、同じカテゴリーの中で連携しているに過ぎず、認定支援機関の大半22を占めている税・法務関係の中小企業支援機関と他機関との連携は十分に行えていないことが分かる。

22 認定支援機関の本認定数には、商工会単会や、金融機関等の支店等の数は含まれていない。例えば、商工会は47都道府県商工会連合会を認定することで、全商工会(1,679)を認定支援機関としての体制に含めており、また、金融機関についても同様に、本店を認定することで、各支店を認定支援機関としての体制に含めていることには留意が必要である。

第4-1-27図 最も連携の度合いの強い中小企業支援機関
Excel形式のファイルはこちら

では、中小企業支援機関同士が連携を推進する際にどのような課題があるかを見ていこう。第4-1-28図は、中小企業支援機関同士が連携を推進するに当たっての課題を示したものである。これを見ると、全体的に、「連携を推進するためのノウハウが不足している」と回答した中小企業支援機関が多く、認定支援機関制度が開始したばかりで、まだ中小企業支援機関間での連携ノウハウがないことがうかがえる。個別に見ていくと、商工会・商工会議所等では、「連携するための時間が不足している」、「連携するための人員が不足している」が多く回答されており、都道府県補助金等の減少に伴う経営指導員数の減少などもあり、他の中小企業支援機関と連携して相談業務を行う余裕がないと推察される。また、最も連携ができていない税・法務関係の中小企業支援機関では、「他の中小企業支援機関とのつながりがない」が回答される割合が高く、経済産業局や自治体等を通じて、税・法務関係の中小企業支援機関と他の中小企業支援機関のつながりを促していく必要がある。コンサルタントでは、「連携するための財源が不足している」、「連携するためのインセンティブが不足している」が多く回答されており、自社のみで対応できない分野が少ないコンサルタントにとっては、連携にそれほどインセンティブを感じていないのが分かる。金融機関では、「連携するための時間が不足している」、「連携するための人員が不足している」が多く回答されており、本業外で中小企業・小規模事業者を支援する余裕がないことがうかがえる。その他の中小企業支援機関が主として都道府県や政令指定都市の中小企業支援センターだとすると、「連携するための財源が不足している」、「連携するためのインセンティブが不足している」が多く回答されていることは、都道府県や政令指定都市からの予算が減少傾向にあることが連携を進める際の障害となっていることが分かる。

第4-1-28図 中小企業支援機関同士が連携を推進する際の課題
Excel形式のファイルはこちら

以上のように、認定支援機関の大半を占める税・法務関係の中小企業支援機関は、他の中小企業支援機関と十分に連携できておらず、かつ、連携している場合であっても同じカテゴリー内で連携している。しかしながら、真の意味で中小企業支援機関が連携して、385万者の中小企業・小規模事業者に支援策を届けていくためには、税・法務関係の中小企業支援機関をも巻き込んだ連携が必要となろう。

以下では、税理士を中小企業支援に巻き込んだ事例を紹介する。

事例4-1-9. 京都信用金庫

中小企業にとって身近な存在である税理士を巻き込みながら、三位一体で経営改善計画策定支援事業に取り組む金融機関

京都府京都市に本店を置く京都信用金庫では、中小企業・小規模事業者の経営改善支援に取り組む上で、中小企業にとって身近な存在である顧問税理士の関与が不可欠という認識の下、営業エリア内に組織している12の税理士の会の顧問税理士と連携して中小企業支援に取り組んでいる。

具体的には、京都・滋賀・大阪に12の税理士の会を組織し、エリアごとに経営改善計画策定支援事業の実務研修を行うとともに、認定支援機関の役割、経営改善計画策定支援事業の説明、経営改善計画策定支援事業の活用勧奨を実施している。

計画の策定段階では、中小企業・小規模事業者の経営者、顧問税理士、京都信用金庫の三者でミーティングを繰り返し、窮状要因と建て直し策の基本方針を共有し、デューデリジェンスの実施、実効性の高い経営改善計画の策定を行っている。その結果、計画を策定するだけでなく、関係者、特に税理士(顧問税理士)における経営改善計画策定能力の向上にも寄与することとなった。

中小企業・小規模事業者にとっても、身近な存在である税理士に対して税務相談以外の相談を行えるようになり、事業継続に不可欠のパートナーという認識が強まるなどの効果があった。

京都信用金庫と税理士の支援体制図
前の項目に戻る     次の項目に進む