第4部 中小企業・小規模事業者の支援の在り方 

2. 中小企業支援機関の現状

2012年8月より、中小企業・小規模事業者に対する支援をより強化するため、商工会・商工会議所等の既存の中小企業支援機関に加えて、新たに、税理士や地域金融機関などが中小企業支援を行う機関として、国が認定する「認定支援機関制度15」がスタートした。

以下では、中小企業支援機関16について、商工会・商工会議所・中小企業団体中央会を「商工会・商工会議所等」、税理士・税理士法人・公認会計士・監査法人・弁護士・弁護士法人・社会保険労務士・行政書士を「税・法務関係の中小企業支援機関」、中小企業診断士・民間コンサルティング会社・個人コンサルタントを「コンサルタント」、金融機関を「金融機関」、財団法人・社団法人・NPO法人などその他の中小企業支援機関を「その他の中小企業支援機関17」と、五つのカテゴリーに分類した上で、それぞれの中小企業支援機関の相談状況や強み、課題などについて見ていくこととする。

第4-1-23図は、中小企業支援機関の相談業務を行うに当たっての、強みを発揮できる分野と実際の相談分野を示したものである18。これを見ると、商工会・商工会議所等では、「経営改善支援」、「金融支援」、「税務支援」、税・法務関係の中小企業支援機関では、「税務支援」、コンサルタントでは、「事業計画書作成」、「経営改善支援」、「再生支援」、金融機関では、「金融支援」が強みを発揮できる相談業務として回答されており、中小企業支援機関ごとに強みを発揮できる相談業務の分野が異なっていることが分かる。

15 2014年2月末日時点で20,873機関が認定支援機関として認定されている。内訳は、税理士(個人)14,612(70.0%)、税理士法人1,744(8.4%)、公認会計士1,383(6.6%)、監査法人61(0.3%)、弁護士1,292(6.2%)、弁護士法人71(0.3%)、商工会連合会47(0.2%)、商工会議所285(1.4%)、中小企業団体中央会39(0.2%)、中小企業診断士324(1.6%)、コンサル等347(1.6%)、NPO法人23(0.1%)、一般財団・一般社団法人68(0.3%)、公益財団・公益社団法人54(0.3%)、金融機関481(2.3%)、その他42(0.2%)。

16 今回のアンケート対象は、認定支援機関が中心ではあるが、商工会議所の一部に認定支援機関ではない機関が含まれているため、中小企業支援機関という呼び方をしている。

17 便宜上、「その他の中小企業支援機関」としてまとめているが、大半は都道府県や政令指定都市にある中小企業支援センターである。

18 便宜上8項目についてのみまとめている。全項目についての集計結果は、付注4-1-2付注4-1-3付注4-1-4付注4-1-5付注4-1-6を参照。

第4-1-23図 中小企業支援機関の相談業務対応状況
Excel形式のファイルはこちら

また、実際の相談分野については、いずれの中小企業支援機関を見ても、強みを発揮できる分野と同じ分野を回答する傾向にあるなど、現状では、強みを発揮できる分野への相談が多いことが分かる。

第4-1-24図は、中小企業支援機関の相談業務への対応状況を示したものである。これを見ると、どの中小企業支援機関についても、「対応できている」又は「どちらかというと対応できている」と回答した割合が9割程度となっている。これは、強みを発揮できている分野への相談が多いため、適切な対応も可能ということであろう。

第4-1-24図 中小企業支援機関の相談への対応状況
Excel形式のファイルはこちら

では、中小企業支援機関が相談業務を行うに当たっての課題を見ていこう。第4-1-25図は、中小企業支援機関が相談業務を行うに当たっての課題を示したものである。これを見ると、全般的に、「自社のみで対応できない分野が多い」、「相談業務を行える人員が少ない」、「相談に対応するための時間が確保できない」と回答した中小企業支援機関の割合が多く、相談対応できない分野に対しては、他の中小企業支援機関や自治体との連携が必要であり、人員不足・時間不足を補うためにも、適切な機関へ中小企業・小規模事業者をつなぐことなどが有効であると考えられる。また、新たに中小企業支援機関として認定を受けた、税・法務関係の中小企業支援機関やコンサルタントでは、「認定支援機関制度の認知度が低い」や「自社の認定支援機関としての認知度が低い」と認定支援機関の認知度の低さを課題とする回答も多く見られており、「中小企業・小規模事業者の相談窓口として、認定支援機関が利用できる」ということについて、より一層の周知が必要であると考えられる。

第4-1-25図 中小企業支援機関が相談業務を行うに当たっての課題
Excel形式のファイルはこちら

以下では、認定支援機関として積極的に活動を行っている認定支援機関の事例を取り上げる。

事例4-1-8. 富山信用金庫

代表認定支援機関19として、事業者の経営改善に取り組む金融機関

富山県富山市に本店を置く富山信用金庫は、中小企業・小規模事業者の経営改善の促進に加え、職員の支援能力の強化につながると考えたことから、「経営改善計画策定支援事業20」に積極的に取り組んでいる。

特徴は、提携する富山県中小企業診断協会の中小企業診断士が事業デューデリジェンス21を実施するスキームを構築している点で、これにより、スピーディな中小企業・小規模事業者への支援スキーム提案と経営改善支援を実現している。

審査部・営業推進部経営相談担当(本部)と営業店が、中小企業・小規模事業者への制度利用の提案から経営改善支援まで連携して実施し、中小企業診断士が実施する事業デューデリジェンスは定額制として、事業者負担を明確化するとともに、支援の目線・方向性を合わせるため、中小企業診断士と緊密に相談を行っている。また、認定支援機関である他の取引金融機関とも連携しながら経営改善支援を実施することで、認定支援機関相互の経営改善支援ノウハウの共有化を促進している。

19 「代表認定支援機関」とは、「認定支援機関による経営改善計画策定支援事業」に基づき、中小企業・小規模事業者の再生支援を行う際に、専門家チームの構成が求められており、その中で、チームを代表する認定支援機関のこと。

20 「経営改善計画策定支援事業」とは、認定支援機関が、中小企業・小規模事業者の依頼を受けて、経営改善計画の策定支援などを行うことにより、中小企業・小規模事業者の経営改善を促進しようとする事業のこと。計画策定に係る費用やフォローアップ費用の総額に対して3分の2を補助するもの。

21 「デューデリジェンス」とは、資産価値を適正に評価する手続きのこと。M&Aなどで企業価値の評価や、収益還元法による不動産の評価に用いられる。企業の場合は、その企業の持つ収益性や成長性、リスク、資産内容などを詳細かつ多角的に分析した上で、価値を判断している。

富山信用金庫と中小企業診断士協会による支援体制図
前の項目に戻る     次の項目に進む