第4部 中小企業・小規模事業者の支援の在り方 

第1章 中小企業・小規模事業者支援の現状と今後の在り方

第3部で見てきたように、中小企業・小規模事業者は、厳しさを増す外部環境を生き抜くべく様々な課題に果敢に取り組んでいる。このような中小企業・小規模事業者を支援するべく、国や地方自治体は毎年、予算や税制など様々な支援策を用意しているが、これらの支援策の存在を知っている中小企業・小規模事業者はほんの一握りであり、実際に活用する者はさらに少なくなる。全国の中小企業・小規模事業者385万者に適切に支援施策を届けるためには、施策を立案する行政、施策を届ける支援機関、そして施策を利用する中小企業・小規模事業者間の施策情報の流れや連携の在り方などを、今一度抜本的に見直してみる必要があるだろう。

第1章では、中小企業・小規模事業者支援の全体像について概観していき、今後あるべき中小企業・小規模事業者支援の体制を明らかにしていく。

第1節 自治体の中小企業施策

現在、国・都道府県・市区町村は、中小企業・小規模事業者という同じ「顧客」を相手にしているにもかかわらず、バラバラに支援策を講じており、行政全体で考えれば、とても「効率的」といえる状態ではない。そこで、国・都道府県・市区町村が連携して、効果的・効率的に中小企業施策を講じていくことが第一に求められる。

本節では、「自治体の中小企業支援の実態に関する調査1」に基づき、都道府県、市区町村ごとに、中小企業施策の実施状況、連携状況を把握し、連携することの効果について見ていく。

1 中小企業庁の委託により、三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)が、2013年11月に、47都道府県及び1,741市区町村を対象としたアンケート調査。回収率51.1%。

1. 自治体の中小企業施策の実施状況

第4-1-1図及び第4-1-2図は、都道府県及び市区町村の中小企業施策を支援分野・支援制度ごとに見たものである。これを見ると、都道府県では、ほとんどの自治体がそれぞれの支援分野について何らかの支援制度を有していることが分かる。有している支援制度の内訳を見ると、いずれの支援分野においても「情報提供・相談業務」を有している割合が高いことが分かる。また、「情報提供・相談業務」以外の支援制度についても比較的網羅的に有してはいるが、「下請中小企業の振興」、「財務・税制支援」、「中小企業の事業承継支援」の分野においては、「情報提供・相談業務」以外の支援制度が若干手薄である。

第4-1-1図 都道府県の中小企業施策の実施状況(複数回答)
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第4-1-2図 市区町村の中小企業施策の実施状況(複数回答)
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一方、市区町村では、それぞれの支援分野についていずれの支援制度も有していない自治体が多いことが分かる。有している支援制度の内訳を見ても、「情報提供・相談業務」が中心となっているなど、中小企業・小規模事業者の支援を行うに当たり、十分な支援制度がそろっているとはいえないのが現状である。これは、昨今の地方自治体の財政事情を勘案すれば、やむを得ない面もあり、必ずしも市区町村まで重畳的に全ての支援制度がそろっていなければならないわけではない。なぜならば、支援制度がそろっていない分野については、都道府県や国と連携することで中小企業・小規模事業者からの要望に応えていくこともできるからである。

第4-1-3図は、自治体が中小企業施策を行う際の課題を示したものである。都道府県・市区町村共に「財源不足」、「人員不足」が課題に挙げられており、限られたリソースで有効な施策を実施するためにも、自治体間での施策連携がより一層求められる。また、市区町村では、「企業のニーズをつかめていない」、「ノウハウ・経験不足」も多く回答されており、近隣自治体の施策を知るための情報交換や、中小企業・小規模事業者と日頃から密接なつながりのある商工会・商工会議所との連携も必要である。

第4-1-3図 中小企業施策を行う際の課題
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